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ツーリスト 沈みゆく帝国のスパイ
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ツーリスト 沈みゆく帝国のスパイの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.86pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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スパイスリラーとして、よく練られた構成で、どんでん返しもあり、水準以上の作品といえると思います。 とはいえ、主人公以外のキャラクターについての掘り下げが甘いので、シンプルにスピード感を出すことに徹するか、脇役のキャラクターをもう少し掘り下げるエピソードを足すかしたほうが良かったと思います。 同じ作家なら、残念ながら訳出が止まってしまいましたが、文春文庫から出ているヤルタブルーバードシリーズの「極限捜査」、「嘆きの橋」といった諸作のほうが面白く読めました。 | ||||
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ヨーロッパ系の名前だが、’70年生まれのアメリカ人であるオレン・スタインハウワーは、『嘆きの橋』(’03年、CWAやMWAなど5つのミステリー新人賞候補となる、訳出は’05年)でデビュー。続く『極限捜査』(’04年、訳出された’08年、「このミステリーがすごい!」海外編で第14位にランクイン)を含む、いずれも架空の東欧の小国を舞台に民警捜査官たちの活動を描いた≪ヤルタ・ブールヴァード≫5部作を完結させ、’09年、“21世紀型のスパイ小説”と評価される本書を発表した。’10年、「このミステリーがすごい!」海外編で第17位にランクイン。また、ジョニー・デップ、アンジェリーナ・ジョリー主演で映画化もされた。 <ツーリスト>とは、CIAが世界各国に放った非合法諜報工作員。冒頭、2001年、自殺まで思いつめた苦悩の<ツーリスト>、ミロ・ウィーヴァーが組織の工作資金を持ち逃げした仲間の上司を追ってのヴェネチアの行動と無残な結果で幕を開ける。そして物語は一気に2007年7月に。一線を退いたミロに上司から機密漏洩が疑われる旧知の同僚の調査を命じられ、最前線に復帰、パリへ赴く。 そこからは一気呵成である。殺人の容疑をかけられたミロが逃亡しながら真相を探るという暗闘が続くのだが、展開は二転三転四転、工業化が進む中国、そこに石油を輸出するアフリカ、ロシアの実業家、自殺を遂げた暗殺者、ミロを追う国土安全保障省のスペシャル・エージェントたちが入り乱れ、読者は何を、誰を、上司すらも信じられない事態に追い込まれるミロの姿を見る。やがてミロ自身の出自の謎までも・・・。 本書は、9・11以後混迷を深める世界情勢を、ミロという、ハードな活動をしながらも休暇に家族と遊び、常に家族を大切に思う、ひとりの<ツーリスト>をフィーチャーして、従来のマッチョなヒーロー・スパイ小説とは一線を画し、シニカルに切り取ったエンターテインメントではないだろうか。 最後に、現在では馴染みのない難解な言葉や言い回しを多用した年配者による訳出が、本書の魅力を損ねてしまっていることは残念に思った。 | ||||
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米国各紙絶賛、ジョージ・クルーニーが映画化権取得のスパイ小説。CIAのとあるエージェントに起こった一連の出来事を綴った回顧録のような仕上がり。これほどまでにインテリジェンスというものをリアルに描いた小説はなかっただろう。ミステリーでもハードボイルドでもなく、スパイ小説というジャンルであるといっていいと思う。登場する人物には一人として修飾句的な人物はいない。誰もが絶妙に絡みあい、複雑なパズルのピースのようにストーリー上ではまってゆく。しかしながら最後の最後まで果たして物語がどこへ向かっているのか明かされることはない。不条理がゆえの圧倒的リアリティがここにはある。だからこそ、エンタメ度は殆どといっていいほどない。ジョージクルーニーはこれをどう料理しようというのか...。人の好みは様々だがもう少し俗っぽくってもよかったのではないかと思う。ただのリアリティのあるスパイの回顧録で終わってしまっている気が否めない。また所々に状況を把握しにくい表現があり、訳文がこなれていない。ある意味で優れている小説だとは思うが、正直私は興奮も満足もしなかった。 | ||||
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本書を読むに当たっては基本的な歴史的背景もさることながら、スパイ小説というジャンルの背景を理解しなければ評価を誤ると感じます。私自身、正直スパイ小説は門外漢で、スパイといえば007くらいしか知りません。つまりスパイ小説の黄金時代をまったく知らない人間なのです。スタインハウアーはスパイ小説の新しい物語を始めるにあたり、古典といわれるようなスパイ小説の様式美、醍醐味、嗜み方を読者に知ってもらいたかったのでしょう。それが上巻での読みにくさ、時間軸と人物関係の分かりにくさに繋がっているのだと思います。その分かりにくさも下巻に入ると一気に解消されストーリーが動き出します。思うに私たちは前半でスパイ小説の文法と特徴的な構造を学習させられ、その上でトータルでのスパイ小説を提示されたような気がします。つまり本書は過去からの繋がりのあるひとつのジャンルの転換点にある作品であるがゆえに、こうも前半読み辛いのだと思います。しかしその読み難さは本書の本質を損なうべき要素ではありません。ひとつの文法や文章構造になれていない読み手が苦痛なく作品を楽しむためには、ある意味反則ではありますが巻末の解説を一読していただき物語構造を少し理解した後に読み始めることをお勧めします。解説を始めに読んだとしてもネタバレはありませんし、前半のイラツキを経験しないだけでもずいぶん印象が変わると思います。しかるべき準備をした上で本書に触れ、スパイ小説の新世界の冒険をはじめようではありませんか! | ||||
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アメリカのスパイ謀略小説の歴史に新たな名を刻む期待の若手スタインハウアーの第6作にして本国でベストセラーとなり絶賛された出世作です。本書の帯に書かれた「スパイ小説の復活を告げる新世紀の傑作」という宣伝文を目にして期待に胸を膨らませワクワクしながら読んだのですが、結果誠に書くのが心苦しいですが私には正直それ程の傑作とは思えませんでした。逆に本書がどうして本国の多くの人々から絶賛される程の高評価を得たのか?私にはその事実の方が謎に思えます。 CIAが世界各地に派遣した凄腕エージェントのスパイ組織ツーリストに属していた主人公ミロ・ウィーヴァーは任務を解かれ妻子と平和に暮らしていたが、過去に親交のあった女性エージェントのスパイ疑惑の調査を命じられる。やがてミロは事件の陰で暗躍する謎の人物の手掛かりを得るが、事態が急転し予期せぬ殺人事件に巻き込まれ自身殺人の容疑で追われる身になってしまう。上司に助けられ際どく逮捕の手を逃れたミロは手掛かりを追う中で遂に驚くべき真相に到達するが、矢継ぎ早に更なる困難に見舞われるのだった。 私の本書に対する最大の不満は、旧態依然の筋書きで全ての面に全く目新しさが感じられない点です。一見複雑に思える個々の謎も実際は特に驚く様な裏がある訳でなく、結局は狭い世界の中で小じんまりとまとまってしまったなという印象しか残りません。やがて真相が判明した中盤以降に窮地に陥った主人公が如何にして危機を脱するかに期待がかかりやや持ち直しますが、それも他力本願であり敵を陥れる為に使われる手口もありふれた初歩的な物でガッカリさせられます。しかし推測するに著者が本書で重きを置いて書こうとしたのは、非情な欺瞞の世界に生きる中堅スパイのミロがパラノイアと思われようと意に介さず必死で家族を守る為に過酷な拷問をも耐え忍ぶ努力が、ごく普通の平和な世界に暮らす妻子には伝わらず全く理解してもらえない一般人との間に乗り越えられない壁を感じる事の悲哀だと思います。 実は本書のレビューを書くのには随分と迷いました。評判の高そうな本に酷評を書くのは相当に勇気がいる事で躊躇われましたが、本書の刊行から一定期間が経つのに一向に盛り上がって来ない現状に力を得て、自分の判断もそう的外れではないのだろうと思いようやく書く事にしました。私としては読む前の期待値の高さに比べて読み終えた後この程度なのかと落胆させられたのが一番大きく、終盤次々に立ち現れてくる事実にも驚かされる事なく丸で心ときめかないのが歯がゆかったです。とは言っても3部作となる予定の本書の続編が既に発表されているという事で、どちらかと言えば賢明でなく不器用だがしぶとい中堅スパイのミロはこのままでは終わらず必ずや復活するだろうと確信しますので、本書のリベンジを期待して引き続き注目して行きたいと思います。 | ||||
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話が色々複雑そうに見えるんだが、結局は世界的暗殺者タイガーの成り立ちと、その死の原因を巡っての暗闘話らしい。 そのタイガーの殺られ方が、実際にあった元KGBがイギリスで病死させられた方法を模倣して小説に移植したようで、 更には、助かる可能性もあるのに拒否するとか、確実にとどめをさせないのに、なんでこんな方法を? 国土安全保障省がロミを犯人に仕立ていきなり逮捕に走るのにはチョッと無理あるでは? と首を捻っているが、まだ上巻のみ故、とりあえず☆は4。 それよりも問題は、バリバリの現在のスパイの物語のはずが、日本語になるとなんとも古臭い、読みにくい物語に感ぜられる事... 何故か? 所々の表現がなんとも古臭いと言うか、すぐに意味を把握できず、チョッと意味を斟酌する間が必要になる表記されていたり、 簡単な漢字の使用を避けた、<ひらがな>だけの会話言葉が多く、その為に読み進むテンポが乱されてしまう。 携帯電話をダイヤルする(ダイヤルはしないだろう) 陋巷(むさくるしい街では駄目なのか?) 人定符丁(合言葉で十分) 邪慳 (邪険と如何違いを出したいのか?) 震顫 (震え、でいいでしょう) 呻吟 (うめく、では駄目ですか?) 倉皇 慌てるで十分? 駐さつ(漢字が出ない) 駐在と如何違う? 熾 (灰ではいけませんか?) 北京官語 (北京語でしょう) 千篇一律のレストラン (普通の、でいいでしょう) 火線に身をさらす/単騎でなければならない/言葉のひまひまに (会話に火線とは?銃口では駄目なのか? 単騎なんて 会話で言われたら短期とか短気しか思いつかんだろう?端々とは違う?) まだまだ、あります P222 意図せざる自殺=事故死なのか?殺人か? P231 頭をそったきれいな女 =空港のスキンヘッド女? 更には、逆で 簡単な漢字にはやたら<ひらがな>を多用 ばあい/おなじ/のこす/隠しごと/みつける/われわれ/いう/あくどいこと/ これらが、会話に多用されたら読みにくい事この上ない。 <このひらがな使いの多さに、何か特別な意図があるなら是非知りたいのだが...> これらに特別の意図がないなら、訳者が相当の高齢の為かかる表現になったと愚考するが、本書はエンターテインメントで、 表現に格調を求めるより、筋運びとか、読者にわかりやすい会話のリアリティを優先、重視すべきではないか? それでこそ、スピード感が増すと思うのだが、この調子で進んでゆくのかと思うと、物語への興味自体失われそう。 (前作でも同じことがあったが...) さらには訳者の翻訳力自体をうたがいたくなる(あるいは不親切?)表現も散見されるのですが... あっ、そうそう113P 7歳の 女の子が歌う<<蝋人形と、糠人形>>と言うオドロオドロシイ曲名だが、これは poupee de cire, poupee de son<夢見るシャンソン人形>の事。これは勿論承知した上での表記? そうであれば、一言付け加えてもいいのでは... | ||||
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プロットは複雑なのに抜群のリーダビィリティー。ツイストも複線もばっちり。エンディングも渋いっ。他人に自信を持って薦められる、素晴らしいスパイスリラーです。 映画向きの小説ですが、ビシッとしまった作品にするのは至難の業と見た。どこをそぎ落とすか、が問題。ジョージ、がんばれ! | ||||
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