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(短編集)
漂流巌流島
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漂流巌流島の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.75pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1~12 1/1ページ
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本書は、連作短編ミステリ集であり、4編が収録されています。 このうち、表題作の【漂流巌流島】は、2005年に東京創元社主催の第2回ミステリーズ!新人賞を受賞し、デビュー作となったもの。 この賞は、第1回が受賞作なし、という結果なので、この賞の実質的な第1回受賞作品ということになります。 収録の4編は、いわゆる「歴史ミステリ」と呼べるもので、日本史での有名な事件の裏の真相に迫るという趣向です。 いずれも、語り手である駆け出しのシナリオライターである「僕」が、テレビドラマの三津木監督の依頼を受け、時代劇の題材を取材した内容をまとめ、持ち込むところから始まります。 これを読んだ監督が、思いもよらない推理で、その歴史的事件について、一般に考えられているのと異なる真実を導き出していく、というもの。 収録4編の題材は、次のとおり。 【漂流巌流島】 宮本武蔵が佐々木小次郎と一騎討ちを行ったとされる、「巌流島の決闘」が題材。 【亡霊忠臣蔵】 吉良邸へ赤穂浪士が討ち入った、いわゆる「赤穂事件」が題材。これに、浅野内匠頭以外が起こした、江戸城内での刃傷沙汰を交えて、真相に迫る。 【慟哭新撰組】 近藤勇率いる新撰組のメンバーが長州の志士を襲った「池田屋事件」が題材。 【彷徨鍵屋ノ辻】 三代仇討ちのひとつ、「鍵屋ノ辻」が題材。 どの作品も、史実をよく調べて作り上げていることに感心しました。 また、聞き役の監督がいわゆる安楽椅子探偵となり、その史料から感じる矛盾をもとに推理を進めるというのは上述のとおり。 ここで導かれる真相が、とてつもなく意外で、実際にはこんなことは起きてはいないだろうな、と頭では分かっていても、納得されられてしまいます。 これだけ中身が濃いと、量産は難しいだろうと思われ、実際まだ作品数は、少ないけれど、貴重な「歴史ミステリ」の書き手として、今後にも期待できる作者だと感じています。 | ||||
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Kindleで何となく面白そうなので電車の中で購入.すごくひきつけられるわけではないなと最初読み続けたが,だんだん面白くなってきて,あと少しというところで降りる駅に.仕事先でも休み時間に読み通してしまいました.宮本武蔵,忠臣蔵,鍵屋の辻の決闘,新撰組など有名どころの題材の解釈を行っています.ときどき,漢文や昔の文章がでてくるのですが,電車の中ではおちついて読むのが難しく,とばしぎみ.そこで星1つ減らしましたが,好きならいいのかも. とくに,私が好きなのは忠臣蔵の話.常識と思っていた喧嘩両成敗の真実とは... 日本の武士の話と推理小説が好きだけど,人情ものではないので,池波正太郎,藤沢修平,山本周五郎好きの私としてはそれで買ったのではなく,推理小説好きな自分が星4つをつけたのかなと思います. | ||||
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2008年に出た単行本の文庫化。 歴史上の有名な事件の「真相」を大胆に推理してやろうというミステリ。 巌流島の決闘、忠臣蔵、池田屋事件、鍵屋の辻の仇討ちと4件が取り上げられている。それをB級映画監督と、シナリオライターの2人がああでもないこうでもないと話しながら、考えていくのである。 池田屋事件なら、近藤が援軍を待たずに突入したこと、逃げ出せた人数が多すぎることなどを切り口に、実は……というのを導き出す。 歴史的資料(文書類など)を使いながらの推理で、それなりによく練られているとは思う。説得力もある。 しかし、やはり釈然としないものが残る。 また、探偵役の監督のキャラクターの癖が強く、読んでいて疲れた。 | ||||
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居酒屋で話す2人、会話を時代劇の再現VTRっぽくすれば 結構おもしろい映像になりそう こういうお話を読んだのははじめてなので とても新鮮でした ミステリーも時代小説も好きなので、かなりのめりこみ 一晩で読みきってしまいました ところどころ、わかりにくいところがありますが そこは私が無知ゆえのこと・・・もっと学習したくなる一冊でした。 | ||||
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歴史ミステリの短編集であります。 巌流島の決闘の真相をあつかった表題作は歴史の検証と本格ミステリとしての推理が巧みに結びついた秀作なのですが、残念なことに併録三編は頭数合わせのレベルを出るものではありません。謎解きのための謎解きといったらいいか、歴史上の実際の事件にムリに真相を捻じ込んでいる印象です。 そんな中で刃傷事件の判例と喧嘩両成敗法の規定をまるで嫌がらせのように(史実通り+原文通りに)並べた「亡霊忠臣蔵」が、史実を並べるだけで意外な真相になるという、俗説批判の観点でなかなか頑張っています。 時代小説風のリライトで題材となる事件の大筋を語り、詳細を現代人による解説で処理したのはよいアイデアで、時代小説部分をやめにした『本能寺遊戯』と比べるとずっと読みやすいです。この小説のよかった部分は『柳生十兵衛秘剣考』が全部持っていってしまったような感じ。 | ||||
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主人公の青年シナリオライターと人使いの荒い監督とがビデオ映画製作の事前検討の中で歴史の常識に挑戦して驚きの新解釈に導くという体裁の連作中編集。表題作を含め、「亡霊忠臣蔵」、「慟哭新選組」、「彷徨鍵屋ノ辻」の全4編を収めている。「亡霊忠臣蔵」中で引用されている事が示す通り、J.テイ「時の娘」の想起させるが、日本人として新解釈のレベルを実感できるという点では本作の方が優っているのではないか。 特に表題作が凄い。主人公が史料を丹念に収集・調査し、人口に膾炙した認識を覆す新事実を発掘し、酒場等で打ち合わせ中に監督が新解釈を閃くというのが毎回のパターンなのだが、表題作の構成は巧緻を極めている。主人公は複数の史料に基づいて新事実を次々と披瀝するのだが、それらは互いに矛盾している様に見える上に、人物関係や事実関係が錯綜しており、とても1つの解釈に収斂しそうにない。それを、採り上げた全ての史料中の記述を損なわないとの制約(作者自身が設けたもの)の中で斬新な解釈を与える手腕には、まるでマジックを観ているかの様な感覚を覚えた。まさに史料考証の深さと謎解きの醍醐味とが融合した傑作だと思う。 また、主人公の調査結果が作中作という形式で語られる趣向も気が利いている。読者の興味を惹くと共に、史料に関する(煩わしくて無味乾燥な)学究的説明を省いて読み易さを増すという二重の効果を挙げている。表題作以外の3編の出来がやや落ちるのが残念だが(その中では「彷徨鍵屋ノ辻」が一番読ませる)、全体として斬新かつ秀逸な歴史ミステリに仕上がっていると思う。 | ||||
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映画作りの打ち合わせから、歴史上の事件の意外な一面が明らかになるという、ジョセフィン・テイの「時の娘」の流れを汲むミステリーです。 この手の作品を読む際は、歴史的な背景をどれだけ知っているかどうかで、楽しめる度合いがかなり変わってくるかもしれません。 とはいえ、本書はかなり丁寧に背景を説明してくれるので、大河ドラマを見た程度の知識でもそれなりに楽しむことができるのではないでしょうか? 残念ながら続編は出ていないようですが、各話とも密度が濃い内容で、もっとこの作家の作品を読んでみたいと思いました。 | ||||
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これは歴史とミステリが好きな人にお勧め。 歴史に詳しくなくてもちゃぁんと背景を説明してもらえますので安心。 かなぁり資料が長々載っているので、つい読み飛ばしてしまいましたが、それでも「えー、そういう推理にいっちゃうかぁ!」っていうのが楽しめます。 真に受けちゃだめだけど、ホントかもと思いたくなること超請け合い。 でも、疲れているときには読み飛ばすページが増えそうなので、元気で知的好奇心旺盛なときに読むのが良いかも。 | ||||
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これは歴史とミステリが好きな人にお勧め。 歴史に詳しくなくてもちゃぁんと背景を説明してもらえますので安心。 かなぁり資料が長々載っているので、つい読み飛ばしてしまいましたが、それでも「えー、そういう推理にいっちゃうかぁ!」っていうのが楽しめます。 真に受けちゃだめだけど、ホントかもと思いたくなること超請け合い。 でも、疲れているときには読み飛ばすページが増えそうなので、元気で知的好奇心旺盛なときに読むのが良いかも。 | ||||
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居酒屋の片隅で繰り広げられる歴史うんちく談義と、それによって明かされる「有名な」事件の真相の数々・・・というストーリ展開による短篇連作集。 鯨統一郎の「邪馬台国・・・」シリーズと趣きを一つにするもので、読者としてはどうしても比べてしまう。読んでみると、実は中身はかなり感じが違う。鯨作品は、基本的に対立する立場の会話がベースになっていて、丁々発止の議論がどんどん進んでいく中で、次第に真相が明らかになってゆく、というもの。一方で本作品は、かなりの分量の史料を引いている体裁をとっていて、一部古文表現(読み下し文にはなっているが)ということもあり、個人的にはとても読みづらいという印象。最後の謎解き(?)シーンは、なかなかおもしろいのですが。 解説で有栖川有栖も述べているが、ちゃんと史料をひいているあたり、歴史好きのミステリ好きにはたまらない作品なのだろう。一方で、ミステリは好きだが、歴史はどうも、という者から見ると、そんな硬い話は良いから、えぇーっ、という話を読ませてほしいなあ、という印象を強く持つと言う話はある。 その点、鯨の場合は、読者にすっと読ませる工夫をしている、ということなのかもしれない。 | ||||
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われている事柄は誰もが知っている歴史的事実である。それをしがない若手のシナリオライターと百戦錬磨の映画監督が、ああだこうだと議論していくうちに意外な事実が浮かび上がってくるというのが本書の基本的な構成。 第一話では有名な宮本武蔵と佐々木小次郎の巌流島での決闘について、思いもよらない新事実が浮かび上がってくる。この決闘について一般的に知られている数々の事柄、例えば武蔵が決闘の時間に遅れてきたとか、佐々木小次郎が美剣士だったとか、われわれが本来もっている巌流島の決闘のイメージは、吉川英治の小説や大河ドラマなどで植えつけられた誤ったイメージであって、実際あったであろう決闘の真実はそのイメージから大きくかけ離れたものであったのだ。また赤穂浪士の討ち入り事件、新撰組の池田屋事件、荒木又右衛門の仇討ち事件それぞれについても本来培っていた勝手なイメージと大きくかけ離れた真実が浮かび上がってきて興奮をさそう。これらの事実は、ちょっと歴史に詳しい人なら誰もが知っていることなのかも知れない。だが、それをこうしてわかりやすく且つおもしろくエンターティメントに仕上げた手腕は、なかなかのものだと思った。いかんせん、構成に少々難ありだったが、それには目をつぶるとしょう。歴史の闇を新たな切り口で新鮮に甦らせた手腕に拍手を送りたいと思う。なかなか楽しめましたぞい。 | ||||
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われている事柄は誰もが知っている歴史的事実である。それをしがない若手のシナリオライターと百戦錬磨の映画監督が、ああだこうだと議論していくうちに意外な事実が浮かび上がってくるというのが本書の基本的な構成。 第一話では有名な宮本武蔵と佐々木小次郎の巌流島での決闘について、思いもよらない新事実が浮かび上がってくる。この決闘について一般的に知られている数々の事柄、例えば武蔵が決闘の時間に遅れてきたとか、佐々木小次郎が美剣士だったとか、われわれが本来もっている巌流島の決闘のイメージは、吉川英治の小説や大河ドラマなどで植えつけられた誤ったイメージであって、実際あったであろう決闘の真実はそのイメージから大きくかけ離れたものであったのだ。また赤穂浪士の討ち入り事件、新撰組の池田屋事件、荒木又右衛門の仇討ち事件それぞれについても本来培っていた勝手なイメージと大きくかけ離れた真実が浮かび上がってきて興奮をさそう。これらの事実は、ちょっと歴史に詳しい人なら誰もが知っていることなのかも知れない。だが、それをこうしてわかりやすく且つおもしろくエンターティメントに仕上げた手腕は、なかなかのものだと思った。いかんせん、構成に少々難ありだったが、それには目をつぶるとしょう。歴史の闇を新たな切り口で新鮮に甦らせた手腕に拍手を送りたいと思う。なかなか楽しめましたぞい。 | ||||
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