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最悪



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【この小説が収録されている参考書籍】
最悪
最悪 (講談社文庫)

最悪の評価: 8.00/10点 レビュー 7件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

狂った歯車が噛み合ってしまった悲劇

奥田英朗の長編第2作。どこにでもいそうな人物が、ちょっとしたきっかけで犯罪者に転化してしまう恐さとおかしさを描いた傑作犯罪小説である。
1990年代後半、不況の影に覆いつくされていた川崎市。
自分を含めて従業員3人の零細鉄工所を経営する47歳の川谷は、得意先からの無理難題に耐え、向かいに建ったマンション住人からの騒音苦情に悩まされながら、金策のために汗水たらして走り回っていた。
川崎にある大手銀行の支店に勤める22歳の藤崎みどりは、高校を中退して遊び歩く妹と母親のトラブルに悩み、やりがいのない仕事に悶々とする憂鬱な日々を過ごしていたが、銀行恒例の行事に参加して上司からセクハラ被害を受けた。
パチンコとケチなカツアゲで食いつないでいた20歳の和也は、川崎のパチンコ屋で知り合ったチンピラと組んでトルエン窃盗をやったことから、ヤクザに締め上げられ、600万の金をもってくるように強要された。
縁もゆかりもない3人だったが、それぞれのちょっとずつ狂って来た日常の歯車が、みどりが勤める銀行で奇妙に食い込みあい、激しい音を立てながら破滅への道を暴走することになった・・・。
3人の主人公のキャラクター設定、言動や心理の描写が素晴らしく、読者は彼らに共感したり反発したりしているうちに、どっぷりと物語の世界に浸っている自分を発見することになる。文庫で600ページを超える長編だが、緩むことがないストーリー展開のスピードが心地よい。
ホラー的ではない犯罪小説、社会派ミステリーのファンを始め、多くのミステリーファンにオススメだ。

iisan
927253Y1

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