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遊廓島心中譚



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【この小説が収録されている参考書籍】
遊廓島心中譚

遊廓島心中譚の評価: 6.67/10点 レビュー 3件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.67pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全3件 1~3 1/1ページ
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(4pt)

遊廓島心中譚の感想

港崎遊廓については知識がなかったので、その概要を知ることができてよかった…というのが感想です。
折しも吉原遊廓が舞台の大河も始まり、遊廓の物語として興味深く読みました。
ただ…残念なことに、いくら使命や目的があろうとも、いとも簡単に洋妾への道へ足を踏み入れてしまう女性たちに全く共感をできず、最後まで物語へ入り込むことができませんでした。無邪気に恋する乙女たちであろうと、こんなに軽い描きようでは…。
現代の若者には、女であることを武器にするお仕事も単なる飲食店従業員に過ぎないのかもしれませんが、私の世代では受け入れられる考えではないように思います。夜の街に働く女性はそれぞれに深い事情を抱え、最後の手段として流れ着く場、という思い込みは、今は通用しないのですね。
最後に証されるトリックも歴史的背景を絡め上手くできているとは思いますが、犯人も含めた登場人物の背景が描ききれていなかったせいか、愉しむことができませんでした。ちょっと残念です。
綿洋妾について歴史的背景に興味のある方にはオススメいたします。

はつえ
L7BVQMDY
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

遊廓島心中譚の感想

幕末の横浜を舞台にした恋愛ミステリーと位置づけするとしっくりくるか。ラシャメンとして生きる女性の恋愛とミステリの部分がイマイチな気もしたが、乱歩賞受賞作としての完成度は充分なものがあると思う。個人的には評価はイマイチにしたが、設定もよく練られており、同時受賞の「フェイクマッスル」と引けを取らない作品になっていると思う。次回作はどのようなものに出会えるか。

本好き!
ZQI5NTBU
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

遊廓島心中譚の感想

2024年度の江戸川乱歩賞受賞作。
凄く好みの作品でした。雰囲気がとても好きです。(☆8+好み)

舞台は幕末。実在した横浜の『港崎遊郭』を背景に、遊女の愛の物語を描いた作品です。『愛』がテーマと感じられる作品でした。
物語は1860年と1863年、二つの時代を生きる遊女たちの視点で進行し、史実を絡めたミステリーだからこそ描ける愛の形が浮かび上がります。作者が描きたかったのはこのような愛だったのかと驚きました。
歴史物や時代物が好きな方には特におすすめです。歴史に少し苦手意識がある方も、後述するポイントを押さえてから手に取ると、さらに楽しめると思います。

本書をより楽しむためには、幕末の時代背景を知っておくと良いです。物語は歴史的な知識があるのを前提に進行していきます。
実のところ、私自身は歴史ものが苦手で、初読の序盤は内容を把握するのが難しかったです。一度読み進めるのを止め、当時の出来事をWikiで調べ、史実を理解した上で再び本書に向かいました。そのおかげで、より深く楽しめました。この点について少し補足します。

まず『港崎遊廓』をwikiで調べるとよいです。これを見ておくだけで本書の物語がとても把握しやすくなります。

1859年、日本が鎖国を終え、横浜が開港されると、多くの異人(外国人)が訪れるようになりました。それに伴い、現在の横浜公園の場所に外国人専用の遊郭が建設されました。ここが本書の舞台となる『遊郭島』です。表現が適切か分かりませんが、外国人の現地妻、もとい妾という職業としての遊女が本書の女性の登場人物となります。ただし、本書では悲観的に遊女になるのではなく、目的をもって遊女になる姿が描かれているのが好感でした。この辺りは、学校では学ばない歴史として興味深く、物語を楽しむ一因となりました。

時代物・歴史ものとしての雰囲気の面白さは然ることながら、序盤からミステリとしての期待と興味をそそられる展開が光ります。
主人公・伊佐の物語では、行方不明の父が遺骸となって発見されます。その遺骸は燃やされており、さらに父には町娘を殺した容疑がかけられていました。しかも、町娘の首が見つかっていないという状況は、ミステリ好きの心をくすぐる魅力的な謎として提示されます。伊佐は父の無実と真相を確かめるべく、遊女となって遊廓島に乗り込むという流れです。

2つの時間軸を描く物語の構成は、終盤どう繋がるかが作品の醍醐味です。本書では、終盤にてミステリとテーマの『愛』の姿が浮かび上がり、その展開が見事でした。詳細な感想はネタバレ側で記述します。

他、表紙のイラストや、本書の見返しに描かれた遊郭島の地図など、書物全体が時代物の雰囲気を醸し出していてワクワク感がとても感じられました。また、帯に書かれている『二人の愛はどうなった。』というコピーも、読後の余韻に浸れます。とても良い作品でした。

▼以下、ネタバレ感想

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egut
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