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スパイよさらば



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【この小説が収録されている参考書籍】
スパイよさらば (新潮文庫)

スパイよさらばの評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

スパイはやはり道具でしかないのか…

フリーマントルがジャック・ウィンチェスター名義で発表した本書は実にフリーマントルらしい運命の皮肉に満ちたスパイ物語となった。

オーストリアのユダヤ人であるフーゴ・ハートマンは多数のユダヤ人の例に漏れず、ナチに拉致され強制収容所で屈辱の日々を過ごした過去を持つ。そして解放後彼はKGBとCIAの二重スパイとして今に至る。

それが彼の類稀なる才能を引き出すことになった。つまり図らずも二重スパイはハートマンにとっては天職だったのだ。しかし人波の幸せを願う彼はこの稼業に終止符を打ちたがっていた。
これは優秀な二重スパイがいかにして国にボロボロになるまで利用され、果てには国の秘密を保持するために抹殺される運命から逃れる物語である。

たった270ページしかない作品ながら、ここには物語巧者であるフリーマントルによるサプライズが複数用意されている。

まずは主人公ハートマンと息子デイヴィッドとの確執である。

もう1つはラインハルト殺害時にハートマンが思わず溢す妻ゲルダに対してのある思いだろう。

そして最後のサプライズは後述する事にしよう。

原題は“The Solitary Man”。つまり世捨て人だ。ハートマンはCIAとKGBの二重スパイを辞めるために自らを葬り去ろうとする。この題名はこれから来ている。
通常のフリーマントルの諸作品に倣えば「自分を葬ろうとした男」といった具合になろうか。従って今回の邦題はあながち間違っていないながらもロマンチックに過ぎるような気がしないでもない。

物語の結末の皮肉さはフリーマントル作品を読み慣れた者ならばあながちサプライズとは感じないだろう。
決して幸せになれない人がいる。そんな男に対するフリーマントルの筆は今回も容赦はなかった。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
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