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死後開封のこと



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死後開封のことの評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

世の中には、永遠にそっとしておくべき秘密があるのだ

オーストラリアで大人気の女性作家の長編第5作。日本では順序が逆になったが第6作「ささやかで大きな嘘」に続く邦訳で、それぞれの家族の悩みと秘密と喜びを抱えながら生きている3人の女性たちの人生が出会い、絡まり合って紡ぎ出す、切ない人間ドラマである。
ハンサムな夫と3人の娘に恵まれ、タッパーウェアの販売やPTA活動で飛び回っているセシリアが天井裏で「死後開封のこと」と書かれた封筒を発見した。「若気の至りで恥ずかしいことを書いてしまったから絶対に読むな」という夫の言葉を信じつつも、疑心暗鬼と誘惑に負けたセシリアは開封してしまい、驚くべき事実に直面する。夫と立ち上げた広告会社の営業部長として活躍していたテスはある日、夫から「(テスの従妹で仕事上の仲間でもある)フェリシアと愛し合っている」と告げられ、ショックのあまり一人息子のリーアムを連れて実家に戻った。テスが息子の転入のために訪れた小学校(セシリアがPTA会長を務めている)で出会ったのが、校長秘書で、28年前に12歳で殺された最愛の娘の思い出を忘れられない孤独な老婦人のレイチェル。レイチェルは娘を殺した犯人だと思われる男を憎み続けてきたのだが、あるとき、決定的な証拠になるビデオを発見し、犯人逮捕への望みを新たにした。3人は、それぞれの秘密を抱えたまま日常生活を続けようとするのだが、絡まりあった運命の歯車は思いも掛けない方向へと回るのだった・・・。
犯人探しや事件捜査のスリルではなく、家族とは何か、夫婦とは何かを問う人間ドラマが主題の作品で、何気ない日常に起きるさざなみのような心理ドラマの描写が抜群に上手く、残酷なシーンは皆無だが心理的なサスペンスの盛り上がりにゾクゾクさせられる。ときどき顔を見せる辛辣なユーモアもピリッと効いて、読んでいて楽しい作品である。
謎解き系よりは人間模様系のミステリーがお好きな方にオススメだ。

iisan
927253Y1

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