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小説の神様



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【この小説が収録されている参考書籍】
小説の神様 (講談社タイガ)

小説の神様の評価: 9.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点9.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(9pt)

小説の神様の感想

かなり好みの作品でした。念のためお伝えしますと本書はミステリーではなく青春小説です。

映画化や漫画化などマルチ展開されている為、どれに最初に触れているかで印象が変わりそうです。原作となる本書にて初めて物語に触れましたが、自分は物語を楽しむ以上に、著者の内面に潜む想いと、世に解き放つべく爆発させたエネルギーをとても強く感じた読書で好みでした。
読者の好みが、物語としてどう見るかなのか、描かれている想いをどう感じるかなのか、どこに注目するかで本書の好みが変わると思います。

私が勝手に感じた感覚ですが、主人公の売れない小説家である千谷一夜は著者自身の現実的な負の一面で、ヒロインの小余綾詩凪は理想や希望となる存在、その男女の対比を用いて小説や創作に対する考え方を熱く描かれた内容に感じました。
小説作りにおいて、純粋に好きで創る気持ちと、生活面などにおいて現実的なお金の問題など、好きなだけでは創り続ける事ができないという、創作における『作品』と『商品』の葛藤がとても描かれていました。クリエイティブの仕事においてはずっと付きまとう問題です。小説家としての著者の代弁を主人公とヒロインを通して熱く語られており、個人的に興味深く読んでいた次第です。

本書の物語が小説家を描くという事から、文章の描写もあえてかなり緻密に行われていると感じました。あえて描いていて気に入っているシーンは、序盤のヒロインを見る主人公の緻密な描写からの「卑猥な目で見ないでもらえる?」の展開。これは著者ならではお約束の笑いで面白い。本書刊行前の作品よりも文章が読みやすくかつイメージしやすい描き方になっており文章の変化点的な作品をも感じます。他、2人が描こうとしている創作の内容が『medium』を感じさせたり、シリーズの続編が出なくて物語が紡がれない悩みは『マツリカシリーズ』の事かと感じるなど、主人公は著者自身を表していると感じました。それゆえに語られるセリフの一つ一つがとてもリアルでして、悲観的な事も、本当にやりたい事も、とても痛切に響いてきます。この想いを吐き出す点は物語を楽しみたい読者にとってはノイズに感じるかもしれませんが、私はこういうリアルな感情を爆発させている内容は商品ではなく意味のある作品としてかなり好感でした。

主人公・ヒロイン以外のキャラクターも良い味をだしてる。河埜さんは本書のリアルな担当編集の人なのかな。文芸部の部長の九ノ里は特にいいキャラ。主人公の周りには悪意がなく見渡せばよい人たちに囲まれているのではないでしょうか。ホントなんというか、本書は著者の内面を描いた作品に見えた次第でした。『小説』という媒体が好きな人には触れてもらいたい作品でした。

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