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眩暈



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眩暈

眩暈の評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
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(7pt)

卑しい街の悲しい風に抗う、家族思いの探偵・畝原

探偵・畝原シリーズの第七作。偶然、少女殺害事件に関わってしまった畝原が、誰に依頼された訳でもないのに事件の真相を解明していくハードボイルド・ミステリーである。
夜中にタクシーで帰宅途中、何かから逃げている様子の少女を見かけた畝原は一旦は通り過ぎたのだが気になって引き返し、運転手と共に探したのだった。しかし少女は見つからず翌日、刺殺死体で発見された。少女を見かけた時点で声をかけていればと自責の念に駆られた畝原は、償いのつもりで事件の真相を探ろうとする。最初に被害者の両親を訪ねたのだが、彼らの反応は要領を得ず、何の成果も得られなかった。そうこうするうちに、タクシー運転手が殺害されて見つかった。彼も自責の念からあれこれ探っていたようだった。一方、ネット世界では10年前に少女連続殺人を犯した少年Aが社会復帰し、札幌に住んでいて、真犯人ではないかと騒がれていた。果たして2つの殺人と少年Aは関係があるのだろうか?
依頼者がある仕事ではなく、ただただ自分を納得させるために卑しい街を駆け巡る探偵・畝原のひたむきさが印象的。その畝原のバックボーンとなっているのは家族への愛で、損得抜きの純粋さが眩しい。世の中の権威や風潮に従わず、己の信念を貫くところはハードボイルドだが、その言動には常に弱者への優しさがある。これが畝原シリーズの最大の読みどころ。家族を愛する畝原にとっては苦さばかりが蔓延っている現代だが、それでも希望を見出すところに微かな救いがある。
本シリーズの中では動機や犯人像に力がない作品だが、絶対に読んで損はない。オススメだ。

iisan
927253Y1

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