「十六歳だった。あのひとに出会うまで十六年もかかってしまったという気持ちは、後悔に少し似ている―」。

深夜のバー。小学校のクラス会三次会。

人に迎合し、喜ばせることが生きがいの眉子。

30歳の誕生日を挟んで、ふたつの大災難に見舞われた松村鳩子。婚約者に逃げられ、勤め先が破綻。

デートの経験もある。男と寝たこともある、一度きりだけど。

ご近所さん、同級生、バイト仲間や同僚―。

31歳になった。遠距離恋愛中、年下の彼は何も言ってくれない。

朝霞、新座、志木。家庭を持ってもこのへんに住む元女子たち。

誰もが名も無き日常を、諦めと期待の中で生きている―ともしびスーパーマーケット鳥居前店の買い物客も従業員も、彼らの帰宅を待つ家族も、遠くから想う恋人も。

「夫としてはたぶんもう好きじゃないんだよね」。

北海道のある町で運命的に出会った中学生「ニコ」と「弥子」。

B(ブス)でW(わきが)の内海恵理伊は、幼い頃から華やかな名前と地味な容姿とのギャップに悩み、自信が持てずにいた。

母親が自分に寄せる夢を体に溜め込み肥満化した節子。他人の秘め事を言い当てられるがゆえに高慢で孤独な絵理香。

かつて炭鉱で栄えた離島で、小学校の養護教諭であるセイは、画家の夫と暮らしている。

アットホームが社風のメーカーに入社した美夏が配属された総務課には、美人、真んなか分け、中年女の3人の先輩OLが待ち構えていて…(「直立チューリップ」)。

事務系OLの青葉は、仕事で出会った男、朔郎と結婚した。新居は彼の赴任先の札幌の築十五年3LDKのマンション。

平安時代中期。天皇の従兄である仁和寺僧・寛朝は、己の楽音を究めるため、幻の師を追って京から東国へ下った。

最高に格好いい87歳、伝説の元刑事。

ぼくの飼い猫のピートは、冬になるときまって「夏への扉」を探しはじめる。

浅草にある老舗おもちゃ会社で働く富田宝子は、ガーリーなものが大好きで楚々として控えめな外見とは裏腹に、好きなものに対するパワーと想像力の豊かさを持ってして、敏腕プランナーとして活躍している。

正子は75歳の元女優。

小さなまちで、男の目を引くからだを持て余しつつ大人になった地味な性格のアカリ。

わたしは、この「ちいさな集まり」の一員になったときの母が、もともとの母であるような気がした。

妻子を愛する42歳の平凡な会社員、本間は、出来心で始めた「出会い系」で「リカ」と名乗る女性と知り合う。

愛する人との内縁関係を貫いた曾祖母、族のヘツドの子どもを16歳で産んだ祖母、理想の家庭像に邁進しすぎる母という、強烈な女系家族に育つ女子高生の若菜は、自分のキャラのなさに悩んでいた。

一番近くにいるのに 誰よりも遠い。 海釣りに出たまま、二度と帰らなかった夫。

三人組強盗が病院に押し入り、患者たちを人質に立て籠もった。

この子の未来を応援しよう、と決めた子がわたしたちにはいた。オリンピック代表の彼女に期待し、夢を託したが―(第一話)。

これほどまでに心を揺さぶる“純愛”があっただろうか── 誰にも言えなかった たった一度の恋。

いつもだいたい機嫌がよろしい元ブリキ職人の夏目清茂・七十四歳。

おニャン子に夢中だったあの頃。

平凡な街の地下鉄駅構内で通り魔事件が発生。事件はさまざまな人々に影響を及ぼす―。

正式に探偵社に入社した井上雅也。だが、地味な仕事続きで不満気味。

人生の「秋」をむかえたおとなたちは、家族、恋愛、仕事のあれこれに、日々惑わされている。

毎日が黄金に輝いていた12歳の夏、少年は川辺の流木に奇妙な印を残して忽然と姿を消した。

ろくに高校に行かず、かといって夢中になれるものもなく日々をやり過ごしていた大田のもとに、ある日先輩から一本の電話が入った。

あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。

想いがつらなり響く時、昨日と違う明日が待っている! 児童養護施設を舞台に繰り広げられるドラマティック長篇。

正しい恋、正しい結婚、どれを選べば満足するの?三十八歳で大手企業の課長職を務める晶子には、児島君という二十四歳の年下の彼氏がいる。

あなたのワケあり写真は、あなたの心の有りようを写している――。

この学校の花子さんは、音楽室から飛び降り自殺した少女の霊です。

誰とも比べなくていい。

銘和乳業勤務のわたし(川村晶子)とピーアール会社の契約社員・児島くん。

コーヒーの香りとともに蘇る、学生時代の思い出とほろ苦い暗号。いまは亡き夫が、俳句と和菓子に隠した想い。

札幌のデパートに勤務する吉田は、中年の男性にひとめぼれしました。あとは、まっしぐらです。

さあ、行こう。これは僕らの最後の旅だ。

『元気ですか?浮上したら漁火がきれいだったので送ります』彼からの2ヶ月ぶりのメールはそれだけだった。

7月1日東京・杉並。小学校の校門に男児の切断された頭部が置かれていた。

この主人公の流され方に、自分は違うと言い切れますか。人間・人生の不可思議をとことん突きつめる、著者の新たな代表作の誕生。

40歳独身の尚之は、お見合いパーティーで“サトウミサキ”と出会う。

休暇で沖縄に帰ってきたリョウは、親孝行のため「おかあさん」と3日間島内を観光する。

就職先を3カ月で辞めて以来、自堕落気侭に親の臑を齧って暮らす“甘ったれ”25歳が、母親の病を機に一念発起。

小劇団「シアターフラッグ」―ファンも多いが、解散の危機が迫っていた…そう、お金がないのだ!!その負債額なんと300万円!悩んだ主宰の春川巧は兄の司に泣きつく。

「日本に美術館を創りたい」。その夢を追いかけ、絵を一心に買い集めた男がいた。

結婚おめでとう。大学時代、新婦とは一番の親友だった。

朝倉かすみが挑む少女×ふしぎの物語。表題作のほか「留守番」「カワラケ」「おもいで」「へっちゃらイーナちゃん」の全5話。