エアー3.0
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フィクションとノンフィクションがモザイクの様に入り混じっている。読み始めは、その線引きがハッキリしているのだが、どんどん境が曖昧になっていく。 次の展開も全く読めない。それはラストまで続く。 気がつくと著者が創り上げた世界にグイグイ惹きこまれていた。 そして、いつのまにか、主人公と同じ夢を追いかけていた。 ワクワクした素敵な時間が過ごせた。 | ||||
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現実と同一視する読者がいないか心配になりますね。そのくらい世界情勢の話を作り込む一方で本筋は旅行記です。中谷の思想がふんわりしていているからか麺食い倒れ旅のパートと世界の真相はこう!というパートが交互に来る話がエンタメとして素直に楽しめなかったです。 中谷が体当たり的で思想の説得力を欠いたのとわかりやすい世界の構造が陰謀論チックでげんなりしたからだと振り返ります。 余談ですが、空手と中国のあの寺はそんなに関係ある? と思いました。 前作に比べてプロットもスマートではないと感じたのは、こうしたちょこっとしたエピソードの物語での位置付けをばかりかねたからなのと、省略できる会話が多いからだと思います。 (長回しのカメラを意識した演出もしれませんが) 空手の話も全体的に「ふわっとした中谷がふわっと話をまとめるための、ふわっとした感じのお話」として読む分には問題ないかもしれません。虚構として読みましたからね。 ただ、現実世界の真相を作者が書きたくなったのか、そうした方が売れる言われたのか、蛇足的に感じる部分が多かったです。プロットがもっとスマートなエアー2.0の方がエンタメとしては上でした。興味ある方には違うのかもしれませんが、創作の陰謀論としてもちょっと長いなと思いました。 その割に思わせぶりなオチ、中谷の最後のシーンが安易な結末に見え拍子抜けしました。 途中の世界の政治や経済構造云々より、中谷をもっともっと掘り下げた方がドラマチックだったろうに……。ラストは若干投げ気味に見えたのはそのためかもしれません。 結局、彼の思想も言葉尻を変えた暴力にしか見えなくなり(前半はまだ自覚的で王政だと自己批判的でもあったのですが、後半は聖書の引用に頼りという印象でした) 愛も暴力と紙一重だと認識できたのは、良かったものの、尻すぼみ感が残念でした。 | ||||
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なんだろ?この壮大なスケール。 「エアー2.0」にも驚かされたけれど、それをも凌ぐ大作です! ページをめくるのさえもどかしいほどに一気読みしてしまいました。 ハラハラとドキドキとワクワクと共に雄大な大地を旅した気分。 しあわせのあり方とは?そんなことを考えながら、これ、なんだろ?著者の人柄なんだろうか、読後感がなんともあたたかい。 映画化されないかなぁと思いつつ… | ||||
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爽快で面白い! 自分自身が主人公と並走して "新しい世界" を発見していく疾走感がたまらない。そりゃそうだ。進化した人工知能「エアー」の "お告げ" で国家予算に比肩する莫大な富を築いた主人公が、理想郷を作るために世界を駆けぬけ、彼の周囲の面々(と読者の我々)の固定観念を次々に壊していく。金があるからたいていのことはやれる。邪魔者の思惑をはるか置き去りにして主人公が進んでいく。彼を通して見た "世界" と、彼が描くビジョンを明確に伝えるために、「エアー」が築いた富と主人公が備えた資質が、些事を全て掃除してしまっているのだ。夢のようだ。そう。結末まで、夢のようなのだ。前作「エアー2.0」から読んでみて欲しい! 日本に横溢する何とも言えない閉塞感の源が見えるような気がする。この主人公のように生きるならどうするかな…と思えば、日常がちょっと変わってくる。 | ||||
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『エアー3.0』を2日かけて一気に読みました。質量ともに作者の今までの作品を凌ぐような重厚な内容で、心底驚きました。こんなスケールのミステリーには、今まで出会ったことがないため、最初のうちは、頭の中がクエスチョンだらけになったほど。「これってミステリーなの?」「犯人とか被害者はどこ?」「刑事事件とかじゃないの?」「アリバイやトリックはどこに行っちゃったの?」みたいな。だから、いわゆる普通のミステリーを期待していると、あっさり裏切られるのではないかと思います。その裏切りは、読み進めるうちに、驚きとなり、最後は感嘆、驚嘆となるのですが。ミステリーというエンターテイメントの範疇に入る作品であるにもかかわらず、経済や政治、さらには宗教を含む思想の研究書あるいは解説書、そして、この世界の未来に対する予言書、警告書のような印象もあるからです。もはやミステリーを超えちゃったんじゃないの?というのが、正直な感想でした。そして、読み終わった今は、その感を強くしています。まるで、作品自体が榎本憲男という作者の手を離れて、勝手にバージョンアップしていったのではないかというように。あるいは、執筆されているうちに、作者の意図を超えたところに、勝手に連れて行かれたのではないかと思うほど。私が作品全体に感じた衝撃は、このようなものでした。よくわからないけど、何か、とてつもないものを読んでしまったのではないかという畏怖さえ感じました。作者自身が、エアー3.0をまかされた中谷をさらに超越するペイマスターになったかのような印象でもあります。 『エアー3.0』には、作者が他の作品でも追求されている、「この世の真理とは何か」の一つの解のようなものがあるのではないかと感じます。そしてそれは、作中に登場人物が瞑想をするシーンがありますが、作者自身が日々実践しているヴィパッサナー瞑想、原始仏教のカルマ論と密接に結びついていくと感じられる。 エアー3.0に選ばれた中谷が、ペイマスターとしての任務を遂行する際に心がけていることは、「利他心に通じるやさしさと公平性」でした。現在、行き詰まっているように見える資本主義に欠けているものを補う役目をするのが、やさしさに満ちたカンロ(の分配)であり、現在の貨幣流通のネットワークに、カンロを絡ませその普及を徹底させれば、理想的な経済機構が構築されるのではないかというように。そういう意味では、エアー3.0というハードウェアをつくった「老人」と、ソフトウェアにあたるその運用をまかされた中谷は、車の両輪の神のような存在に思えます。複雑な金融工学の計算に加えて人々の感情さえ数値化し、進化の産物である人間の脳の完成版ここにあり!というようなコンピューターであるエアー3.0。それは、100%の未来予測まで可能にします。ただ、それだけでは、不十分であったという。なぜなら、ゲーデルの不完全性定理でも証明されたように、数字や理論に裏打ちされた科学には100%という一見完全に見えるゴールさえ、自ら否定する不完全性というか不満足性をはらんでいるからです。それを補うのが、中谷の役目であった。ということは、中谷は、エアー3.0を超える叡智というか、エネルギーの持ち主だということになります。神のような完璧な知性を超えるのは、欠点だらけの人間だったとでもいうように。そこに、一つのどんでん返しが隠されているような気がしてならないのですね。人間の感情は石油や原子力のような無機質なエネルギーではありません。ましてや、お金でもない。お金では買えないもの、気づきや生きてることの実感、それこそが、感情に翻弄される弱点だらけの人間の証なのだから。人間は、どれほど訓練し、学習しても必ず間違えます。一方、進化を極めたエアー3.0のようなコンピューターは間違わない。間違えるから劣るのではなかった。間違えるから、救われていたのです。それが、中谷の存在意義なのではないかと感じられたのですね。 小説のラストには、心底ショックを受けました。こんな展開が待っていたなんて!まんまとしてやられた!!と思わず天を仰いだほどです。ここのところは、ミステリーとしての最大の山場であり、専門書などからは決して得られない醍醐味でもあります。この作品の続きを読まずにはいられない!そんな焦燥感にかられたくらいでした。してやられた!というと、普通はネガティブな印象に受け取られますが、ミステリーでは、そういう気持ちになれるのは、至福の境地なのですね。こんな力作を世に出してくださった榎本憲男氏、そして、出版社の方々に、心から感謝申し上げます。氏の作品は、ミステリーの範疇からはみ出すというか、そういう規定を凌駕するパワーを秘めているゆえに、どのように解釈したらいいのかわからないという方もいらっしゃるかもしれません。でも、それこそが、すでに、世間の理解の枠を超えているという証拠なのではないでしょうか。異次元の作家榎本憲男のファンの一人として、これからも活躍を期待します。 | ||||
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