キューバ・リブレ



    ※タグの編集はログイン後行えます

    【この小説が収録されている参考書籍】
    オスダメ平均点

    5.00pt (10max) / 1件

    5.00pt (10max) / 1件

    Amazon平均点

    4.33pt ( 5max) / 3件

    楽天平均点

    0.00pt ( 5max) / 0件

    みんなの オススメpt
      自由に投票してください!!
    0pt
    サイト内ランク []D
    ミステリ成分 []
      この作品はミステリ?
      自由に投票してください!!

    0.00pt

    40.00pt

    15.00pt

    0.00pt

    ←非ミステリ

    ミステリ→

    ↑現実的

    ↓幻想的

    初公開日(参考)2007年11月
    分類

    長編小説

    閲覧回数1,832回
    お気に入りにされた回数0
    読書済みに登録された回数1

    ■このページのURL

    ■報告関係
    ※気になる点がありましたらお知らせください。

    キューバ・リブレ (小学館文庫)

    2007年11月06日 キューバ・リブレ (小学館文庫)

    ニューオーリーンズ出身のカウボーイ、ベン・タイラーは、馬を売るべくキューバに渡った。折も折、アメリカの戦艦がキューバのハバナ港で爆沈され、スペインとの戦争に突入する気配を漂わせていた。ホテルのバーで絡んできたスペイン軍人を撃ったことからタイラーは投獄されてしまうが、アメリカ人大農園主の情婦と家僕のキューバ人らがなぜかタイラー救出に動き出す。敵か味方か、それとも?事態はやがて巨額の誘拐身代金争奪戦へと発展し…!?犯罪小説の巨匠が描く歴史冒険ロマン。1898年の混乱のキューバを舞台に、クセモノたちの思惑が絡み合う。 (「BOOK」データベースより)




    書評・レビュー点数毎のグラフです平均点5.00pt

    キューバ・リブレの総合評価:7.75/10点レビュー 4件。Dランク


    ■スポンサードリンク


    サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

    新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:
    (5pt)

    レナードにしてはちょっと大人しめ

    レナードの手による歴史小説。スペイン支配下にある1900年直前のキューバを舞台となっている。
    時代的にはアメリカがスペインからの支配から脱却しようとしている反政府軍を支援し、キューバの独立戦争勃発の前後を描いている。

    まず気になったのはタイトル。キューバ・リブレとはカクテルの名前で、洒落た題名をつけるレナードが今回キューバを舞台にした小説を書いたので、単純にその名前をタイトルに関したのかと思ったら、さにあらず。その意味は「キューバ自由万歳」であり、テーマとなったキューバ独立戦争において反政府軍のスローガンともなった言葉だった。
    しかしレナードが現代ではなく、古き時代を舞台に小説を書くとはなんて珍しいのだろう。知っている限りでは未訳の西部小説以外ではアメリカの禁酒法時代を舞台にした『ムーンシャイン・ウォー』ぐらいだ。

    今回の主人公はベン・タイラー。昔ハバナで叔父が製糖工場を経営しており、それが街の有力者に搾取され、ニューオーリーンズに移り住んで、カウボーイをやっていた。過去に銀行強盗をして、刑務所暮らしをした経験がある度胸の据わった人物だ。
    人も殺した事もないのに、早撃ちのガンマンである。物語は彼がキューバに自分の馬を売りに行くところから始まる。

    このタイラーの後の恋人となるアメリア・ブラウン、そしてタイラーの取引相手ブドローの家僕フエンテス3人が一計を案じてブドローから大金をせしめようとするのが本書の大きな内容。
    しかしそこに関わるのはグアルディア・シビルの大佐、ライオネル・タバレラと彼の手先で逃亡奴隷捕獲の名人オスマ。そしてハバナで幅を効かしているアメリカ人富豪ブドローだ。
    さらにサブキャラクターとして爆沈したアメリカ軍戦艦“メイン”の生き残った乗組員でタバレラの策略で刑務所に入れられてしまうヴァージル・ウェブスター、キューバ独立派のリーダーでフエンテスの弟イスレロなども関わってくる。

    レナードの物語の特徴として先の読めない展開と各登場人物たちの軽妙洒脱な会話。悪人なのにどこか憎めない奴らといった際立ったキャラクター造形が挙げられるが、今回はいつもの作品と違い、なんとも大人しい感じがした。特に軽妙洒脱な会話と、憎めない悪人どもといった部分が成りを潜め、どこか単調な感じがした。
    先の読めない展開については健在。まさかフエンテスがあんな事をするなんて思わなかったし、タバレラの最期についても、ああいう形で終わるとは思わなかった。そしてそれらを許してしまう主人公二人の寛容さ。これはレナードの特有の明るさだろう。

    今回は特にスペイン人将校を正当防衛で射殺してから入れられるタイラーのムショ生活についての内容が長く、その間ずっとアメリアとフエンテスのタイラー救出工作について延々と語られるあたりで物語のリズムが狂ったように思う。ここはもう少しすんなり行ってほしかった。
    というのも目にも止まらぬ早撃ちで鮮やかに鼻持ちならぬスペイン人将校を撃ち殺してから、このベン・タイラーのキャラクター性が際立ってくるのだが、そこから一気に抑圧された刑務所生活、タバレラによる陰湿な尋問の描写が延々140ページに渡って繰り広げられるのだ。これはなかなか忍耐を強いられる読書だった。

    確かにこの箇所において漠としたアメリアの、タイラーへの好意が確証されていくし、ヴァージルとタイラーとの友情も確立されていくのだから、重要なパートであるのは間違いないが、ちょっと冗長すぎるという感じがした。これも当時のキューバの不条理さを印象付けたかったのかもしれない。
    そしてようやくタイラーは脱獄し、本書でのクライマックスシーンとも云える列車からの身代金強奪へと移っていく。4万ドルという大金を中心にそれぞれの人物がそれぞれの思惑を張り巡らす。金によって人が右往左往し、思いもかけない行動に出るというのはレナードの終始一貫としたテーマなのだろう。本書においてもそうである。特にこの4万ドルの行く末は本当に意外な人物の手中に収まるのだから。

    しかし、そんな活劇シーンがあっても、今回のレナードはなんだか大人しいなぁという印象が拭えない。
    そして物語後半になってようやく登場する奴隷狩りのプロ、オスマ。こいつこそタイラー最大のライバルと成りえるキャラクターだったのだが、2回も行われる対決シーンはなんとも呆気ないもの。これもちょっと残念。
    思えばレナードの主人公の敵役といえば、だいたいボスを倒して成り上がろうとするマフィアの手先とか殺し屋、しかもちょっと変わった趣味や性癖を持つ者で憎めない奴ら。しかし今回は悪徳役人とはいうものの、国側の人間だった事もちょっといつもと違う。だから今回のタバレラはいつもにも増して陰湿な人物像になったのかもしれない。

    若島正氏によればレナードの各作品は微妙にリンクしており、しかもそれぞれの登場人物にきちんと時間が流れており、また血縁関係までもが確立されているとのこと。ミステリマガジン誌上で詳細に分析が成されていたが、本書においてもそれは例に洩れていないだろう。
    私が気付いたのはタイラーのかつて雇い主デイナ・ムーンという名前。おそらくこれは『ビー・クール』に出てくる歌姫リンダ・ムーンのご先祖様ではないだろうか(いや、待てよ。リンダ・ムーンも本名ではなく、誰かからムーンの姓を拝借したんだっけ?)?手元にないのでそれ以外の人物相関については不明だが、時間が出来た時に誌面を紐解いて調べてみるのもまた一興だろう。


    ▼以下、ネタバレ感想

    ※ネタバレの感想はログイン後閲覧できます。[]ログインはこちら

    Tetchy
    WHOKS60S
    新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

    ※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
    未読の方はご注意ください

    No.3:
    (4pt)

    ふわふわとしたストーリー

    レナード作でなかったら、酷評されていただろう。500頁のうち前半は、登場人物の性格を語るエピソードの積み重ねで、後半は4万ドルの争奪戦である。全体を通しての背景として米西戦争の始まりから終わりまでが描かれている。ふつうなら、4万ドルが転々流通して主人公のもとに戻る起承転結と戦争の重大局面を関連づけて明快な冒険活劇にするだろう。
     ところがレナードの場合、戦争も4万ドルも最後はどうでもよくなるだけでなく、最大の敵との決着もまさかの人物があっさりとつけてしまう。前半良い味を出していた海兵隊員の退場もまったく拍子抜けで、つまるところ、あらゆる局面で読者の予想と期待に肩すかしを食らわし続けるのがこの小説だ。行動原理の説明などなく、そのためにいろんな挿話を重ねているのだからあとはそっちで理解しろよという書きぶりだ。
     たぶん、これがはじめてのレナード作品という読者なら眉をひそめるだろうが、何作品か読んでいる者なら「レナードったら、またレナードしちゃってるよ」という感想になるだろう。もうご本人は天国に召され、文庫は絶版続きなので、この味が癖になる人は早めに確保しておきましょう。
    キューバ・リブレ (小学館文庫)Amazon書評・レビュー:キューバ・リブレ (小学館文庫)より
    4094054685
    No.2:
    (5pt)

    洒落た会話は 時代を超えて

     あのレナードがスペイン戦争時代のキューバを舞台にしたというだけで、ちょっと驚いてしまいますが、カウボーイ、海兵隊員、悪党達の会話はみんな待ち望んでいた洒落たレナード節そのものでした。
     何か楽しみながら書いているなあと思っていたら、もともとレナードは西部劇を書いていたそうで、思わず納得。
     まやかしの開放戦争だったスペイン戦争から50年、アメリカの覇権から独立したのはゲバラとカストロの革命だった訳で、今キューバがカストロ後に向かって変革していこうとおりキューバが面白くなっている時、歴史を感じることも出来て面白かった!
    キューバ・リブレ (小学館文庫)Amazon書評・レビュー:キューバ・リブレ (小学館文庫)より
    4094054685
    No.1:
    (4pt)

    ある意味牧歌的な小説

    エルモア・レナードと言えば、フロリダあたりを舞台にスタイリッシュな犯罪小説が定番の作家さんですが(『ゲット・ショーティ』など映画化された作品も多い)、この本では19世紀スペイン統治時代のキューバが舞台。 『フィクションで、歴史を知る』なる目的で手にし、1959年のキューバ革命以前の人種的なことなど、勉強になりました。
    今回文庫本のカバーに使用されているのは、福山雅治が撮った写真なんですって。キューバに行く俳優。かなーり珍しいと思う。いや、写真家のスタンスで行ったのかも知れない。。。
    キューバ・リブレ (小学館文庫)Amazon書評・レビュー:キューバ・リブレ (小学館文庫)より
    4094054685



    その他、Amazon書評・レビューが 3件あります。
    Amazon書評・レビューを見る     


    スポンサードリンク