最後の国境線



    ※タグの編集はログイン後行えます

    【この小説が収録されている参考書籍】
    オスダメ平均点

    4.00pt (10max) / 1件

    4.00pt (10max) / 1件

    Amazon平均点

    5.00pt ( 5max) / 7件

    みんなの オススメpt
      自由に投票してください!!
    0pt
    サイト内ランク []D
    ミステリ成分 []
      この作品はミステリ?
      自由に投票してください!!

    0.00pt

    41.00pt

    9.00pt

    0.00pt

    ←非ミステリ

    ミステリ→

    ↑現実的

    ↓幻想的

    初公開日(参考)1968年01月
    分類

    長編小説

    閲覧回数2,072回
    お気に入りにされた回数0
    読書済みに登録された回数1

    ■このページのURL

    ■報告関係
    ※気になる点がありましたらお知らせください。

    最後の国境線 (1977年) (ハヤカワ文庫―NV)

    1977年01月31日 最後の国境線 (1977年) (ハヤカワ文庫―NV)

    ※あらすじは登録されていません



    書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt

    最後の国境線の総合評価:9.25/10点レビュー 8件。Dランク


    ■スポンサードリンク


    サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

    新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:
    (4pt)

    語りに過ぎたか、マクリーン

    デビュー以来戦争物を書き、冒険小説作家としての地位を不動のものとしたマクリーンが4作目で書いたのはスパイ小説。ロシアに囚われた弾道学の権威である博士をイギリスに取り戻す任務を与えられた特別工作員マイケル・レナルズの物語だ。

    しかしこの特別工作員レナルズ、最初に説明があるようにあらゆる感情に左右されずしかも格闘術に長け、人殺しの技を身に着けた危険な男とされているが、協力者ジャンシの部下サンダーに致命的な一撃を与えるものの、びくともしないし、博士と接触した時は盗聴器に気付かずにそれが元で作戦成功に大きな打撃を与える困難を生みだし、さらにジャンシの娘に惑わされたりと、どこが凄腕のスパイなのか解らないほど、間が抜けているのだ。しかも幾度となく彼の前に現れるAVOことハンガリー秘密警察の一員である巨漢のココとの最後の対決では打ちのめされ、サンダーにいいところを持って行かれてしまう。
    これが不屈の魂で満身創痍の中、人間の極限を超えて任務を遂行した『女王陛下のユリシーズ号』や『ナヴァロンの要塞』を描いた作者によって創作されたヒーローとはとても思えないのだが。

    かえって不屈の魂を垣間見せるのがレナルズの協力者ジャンシだ。
    ウクライナ国民軍の司令官であった彼は母と姉と娘と、そして妻を喪い、さらに拷問に次ぐ拷問の日々を耐え、両の掌はもはや原形を留めぬほど変形しているが、そんな人生を歩みながら人類みな兄弟とばかりに人間を狂気に追いやる政府と宗教と、そして犯したその人の罪を憎むさえすれ人そのものには温情を抱く。さらに刑務所で敵の陥穽に嵌り、これまでにない精神崩壊を招く自白剤を摂取されながらも強靭な精神でそれを耐え抜き、軍門に陥ろうとするレナルズを叱咤激励する心の強さを持つ男だ。
    彼こそマクリーンが描いてきた極限を超える負荷を与えられながらも明日を信じて乗り越えようとする男の肖像だ。

    しかも彼ジャンシの両手に刻まれた凄惨な傷痕は彼の昏い人生を行間で語らせている。して実際に彼が受けた仕打ちは残酷ここに極まれりと云うべき極悪非道の所業がこれでもかこれでもかと語られる。およそ人間が思いつく限りの、いやそれ以上の拷問方法だ。

    最近昔のヨーロッパ諸国のスパイ小説を読む機会が増えたのだが、こういう歪んだ社会の構図が生み出した、この世界の歴史の暗部の惨たらしさには心底震えあがらせられる思いが読むたびにする。

    しかし今回は久々に苦痛を伴う読書だった。というのも、ハンガリーとロシアの極寒の地の中で時には敵の追手をかいくぐりながら博士奪還のために吹雪の中を疾駆する列車の屋根に上り、連結器を外すというアクションも盛り込みながらも、ところどころに挟まれるジャンシがレナルズに語る政治論が実に濃密過ぎて物語のスピード感を減速してしまったのは否めない。この内容の濃さはほとんど作者マクリーンが抱く政治論そのものであろうが、3ページに亘って改行も一切なく語られてはさすがに疲れを強いるものであった。

    マクリーン初のスパイ小説ということもあって作者の独自色を出すための構成なのかもしれないが、国家の原理原則論についてこれほどまでに弁を揮うとなると、もはや小説ではなく大説である。作家としての気負いが勝ってしまったのかもしれないが、これはいささかやり過ぎ。この手の主張は小説ではなく、また別のノンフィクションなどで語るべきだろう。

    次作はマクリーンらしい人間ドラマと我々の想像を絶する逆境の中で極限状態に陥りながらも歯を食いしばり、自身の教義を貫いて使命を果たす迫力ある小説であることを望みたい。

    Tetchy
    WHOKS60S
    新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

    ※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
    未読の方はご注意ください

    No.7:
    (5pt)

    説明の通りです。

    説明の通りで満足です。
    最後の国境線 (ハヤカワ文庫 NV 132)Amazon書評・レビュー:最後の国境線 (ハヤカワ文庫 NV 132)より
    4150401322
    No.6:
    (5pt)

    米ソ冷戦軍拡競争時代

    この時代は、敵味方が明確でした。冷戦後は刹那的です。なぜならば、教育資格、教養は善悪道徳を教えないからです。他の方法で自己研鑚する風習のない西洋は困っておるようです。しかし足元をみれば崩れておりました。政治宣伝の変換時代を感じさせる、考えさせられる一冊です。
    最後の国境線 (1968年) (ハヤカワ・ノヴェルズ)Amazon書評・レビュー:最後の国境線 (1968年) (ハヤカワ・ノヴェルズ)より
    B000JA6032
    No.5:
    (5pt)

    やはり傑作です。

    初めて読んだのは中学生の時。それから幾年月たったか・・・(笑)東西冷戦は遠くに去りき、と思っていたら今年になってのアメリカでのロシアスパイの多数発覚。驚きました。久しぶりに読みたくなったのに図書館にすらなかった・・・しかも絶版。マクリーンは「女王陛下のユリシーズ号」も凄いですが、こちらも同じくらい胸を打つ傑作です。泣きます。ベルリンの壁がなくなっても人の心に自らが引いた国境線が残っている限り、この小説の登場人物(ジャンシ)の描いた理想の世界には程遠いのです・・・最後に一言。登場人物の1人「伯爵」が素晴らしいんです。中学女子の心を鷲掴みでしたが、大人になって読んでもとてつもなく魅力的でした。今になってわかる、その孤独がたまらなく悲しかった・・・再版希望します!もっと読まれるべき作品です。
    最後の国境線 (ハヤカワ文庫 NV 132)Amazon書評・レビュー:最後の国境線 (ハヤカワ文庫 NV 132)より
    4150401322
    No.4:
    (5pt)

    アリステア・マクリーンの傑作

    イギリスの秘密情報部工作員のレナルズ大尉に与えられた任務は、ハンガリーに連れ去られた弾道学の権威、ジュニングズ教授を奪還すること。
    ハンガリーに潜入するレナルズ大尉だが、あえなく捕らえられてしまう…。
    ハンガリー秘密警察とのスパイ戦は、そのまま冷戦時代を象徴するかのよう、今では滑稽にすら感じる。
    が、スパイ小説としては超傑作。アリステア・マクリーンの代表作としては『女王陛下のユリシーズ号』が定番だが、私としてはこちらをお奨めしたい。登場人物の設定が絶妙、初めて読んだときは激しく感動した!
    ラストは号泣、感動。現在手に入りづらいのは残念のきわみ。
    最後の国境線 (ハヤカワ文庫 NV 132)Amazon書評・レビュー:最後の国境線 (ハヤカワ文庫 NV 132)より
    4150401322
    No.3:
    (5pt)

    アリステア・マクリーンの傑作

    イギリスの秘密情報部工作員のレナルズ大尉に与えられた任務は、ハンガリーに連れ去られた弾道学の権威、ジュニングズ教授を奪還すること。
    ハンガリーに潜入するレナルズ大尉だが、あえなく捕らえられてしまう…。
    ハンガリー秘密警察とのスパイ戦は、そのまま冷戦時代を象徴するかのよう、今では滑稽にすら感じる。
    が、スパイ小説としては超傑作。アリステア・マクリーンの代表作としては『女王陛下のユリシーズ号』が定番だが、私としてはこちらをお奨めしたい。登場人物の設定が絶妙、初めて読んだときは激しく感動した!
    ラストは号泣、感動。現在手に入りづらいのは残念のきわみ。
    最後の国境線 (1977年) (ハヤカワ文庫―NV)Amazon書評・レビュー:最後の国境線 (1977年) (ハヤカワ文庫―NV)より
    B000J8U3F0



    その他、Amazon書評・レビューが 7件あります。
    Amazon書評・レビューを見る     


    スポンサードリンク