最後の抵抗



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    初公開日(参考)1992年11月
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    長編小説

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    最後の抵抗 (扶桑社ミステリー)

    1992年11月01日 最後の抵抗 (扶桑社ミステリー)

    一本の高速道路がバートン・ドーズの人生を狂わせた―彼の自宅と、勤める工場との上に高速道路784号線が建設されることになったのだ。移転に抵抗するドーズは、妻に逃げられ、部下を失い、酒に溺れ、自暴自棄になってゆく。さらには非合法に爆薬を入手して、工事現場を破壊、そのうえ、家中に爆薬をしかけて最後の時を持つ―。日常と紙一重の狂気を内側から描き、作者自ら、「もっとも愛着ある作品」と語る異色サイコ・サスペンス。(「BOOK」データベースより)




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    最後の抵抗の総合評価:6.14/10点レビュー 7件。Eランク


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    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:
    (3pt)

    キングにとっての何に対しての“最後の抵抗”なのか?

    どうにも煮え切らない小説である。いわゆるダメ男小説、人生の落伍者のお話である。

    主人公ドーズは高速道路の延伸工事のため、自分の自宅と自身の勤めるクリーニング工場の立ち退きを迫られるが、頑なにそれを拒む。移転のための費用も出るし、また工場もいい条件を提示する不動産会社もあるのに、ドーズはそれに一切関与しようとしない。
    彼は高速道路の延伸自体を認めたくないのだ。そして移転することは政府の勝手な申し出に屈することになる、そうドーズは考えている。

    しかし彼の行動は正直褒められたものではない。妻には移転先の物件を探しているふりをして、いつも嘘を云って誤魔化し、会社の上司にも不動産会社が紹介する物件に多数の不備があり、購入後は多額の修繕費が掛かると、調べてもいないのに嘘八百を並べ、終いには期限が過ぎればもっと価格を下げて提示してくるとまで云いのける。

    更に勝手に保険を解約して3,000ドルの保険金を受け取り、妻に内緒で銃を買い込み、爆薬まで闇ルートで手に入れようとする。そして会社を辞めるのも唐突で妻に何の相談もしない。
    確たる根拠もないのに全てが自分の思い通りに事が運ぶと信じる。いや現実から目を背け続けている弱い男なのだ。

    しかし長らく勤めていたクリーニング工場の責任者という地位と職業も失い、更には妻にも逃げられながらも、一体何がこのバート・ドーズをそうさせるのか?

    土地に固執する人々の大きな特徴として帰属意識の強さが挙げられる。先祖代々の土地を人様に渡すことを極端に嫌う、昔からその土地で生きている人たちにその特徴は顕著だ。
    ドーズは先祖代々住み着いた土地ではないが、彼にとってウェストフィールドは思い出の地なのだ。時折挟まれる妻メアリーとの思い出が非常に眩しいのもそのためだ。

    まだ食うのもやっとな若い2人が内職してテレビを購入するエピソード、一人目の子の死産を乗り越えて、ようやくできた2人目の息子チャーリーとの思い出とその死。
    そんな困難もありながら、ささやかだけど幸せな時間を妻と共に過ごしてきた思い出の家を法律を盾に奪おうとする行為が許せなかったのだろう。ドーズは思い出に生きる男なのだ。

    そして恐らくドーズは一方で安定を壊したかったのではないか。
    自宅のみならず自分の勤める工場の移転も強いられ、意のそぐわぬことをしてまでの安定に何の意味があるのかと常に自問自答していたのではないか。常人であれば普通に選択すべきことを敢えてしなかったのはそんな鬱屈した日常を破壊したかったのではないだろうか。
    つまり伸びてくる高速道路は彼の鬱屈した心の象徴でそれを壊すこと、もしくは誰もが従った土地買収に抗うことが彼にとって一皮剝けた新たな自分を生み出すことだと信じていたのではないだろうか?

    だから工場閉鎖を機に他の仕事を宛がわれた元同僚の安定した職について変なアドバイスをする。
    映画館の館長となった元同僚が自分で上映したい作品を選ぶことすらせず、ただ食料品の注文と管理のみで映画館を経営していると述べ、優越感に浸るさまを見て、一生飼い殺しになるくらいなら今のうちに辞めた方がいいと助言し、殴られる。
    このことからも解るように彼バート・ドーズは単に上司の云う通りに仕事をするのを嫌い、自分の考えと意見を主張して、自分の色を出したがる男である。それは正しいが逆に彼の場合は自分の考えに固執しすぎてそれに同調できない人を癇癪のあまり、こき下ろして罵倒する感情のバランスが崩れやすい人物でもあるのだ。
    彼にとって高速道路の延伸工事に屈することはもう「どうにもたまらなかった」ことなのだ。

    彼バートン・ジョージ・ドーズにはもはや世界など意味がなかった。

    独りよがりな理屈と自分勝手な行動と自分のことを棚に上げて人を怒鳴り、または訳の分からない説教をしようとする男バート・ジョージ・ドーズ。どうやっても共感を得られる人物像ではない。狂える、そして女々しい男だ。
    キングは本書を「もっとも愛着のある作品」と称しているらしいが、私にはやはり単なる狂人が迷い彷徨い、そして崩壊するだけの話としか読めなかった。
    本書の時代はベトナム戦争が終わった後の1973年だ。アメリカという国中にどこか鬱屈した空気が流れていた時代だろう。だからこそ戦争に負けた政府に従わない男をキングは書こうとしたのかもしれない。
    本書を著すことがベトナム戦争に負けたアメリカに対するキングのささやかな「最後の抵抗」だったのではないだろうか。


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    No.6:
    (4pt)

    タイトルがいけません。

    ストーリー的には、とても良かったのに、タイトルがイマイチです。そのまま、「ロードワーク」でよかったのに。本というのは、映画と同様、タイトルが全てなんです。「キヤリー」を「ブタの血をかけられた女」というタイトルをつけたなら、ヒットしなかったでしょう。キャリーはキャリーなんです。ランボーは、最初の血じゃ困るんです。
    最後の抵抗 (扶桑社ミステリー)Amazon書評・レビュー:最後の抵抗 (扶桑社ミステリー)より
    4594010776
    No.5:
    (5pt)

    高速道路

    「圏央道」が、開通した。
    関越、中央、東名の新しいつながりにより、著しい時間短縮が実現するだろう。

    高速道路建設の話で、いつも頭のどこかに思い浮かぶのが、キングの『ロードワーク』という短編小説だ。日本では、『最後の抵抗』という題名にして、読者にわかりやすく伝えようとしているようだ。

    登場する素材が、キングらしくない作品で、“超自然小説”ではない数少ない作品のひとつでもある。
    はっきり言うと、キングの作品群では、まったく傑作とはかけ離れている。
    ただし、「意外性の発見」という意味や、キングを研究している人にとっては、興味深い作品であるとも言える、確かに。

    こんな話だ。

    ハイウェイの建設によって、自宅と職場を失う主人公のバートン。彼は、息子を3年前に脳の病気で亡くしていた。その悲しみの延長線に、ハイウェイ784号線建設が重なる。移転用地の買い付けが頓挫し、彼のクリーニング工場は閉鎖。社員も妻も去って行った。酒に依存し、工事現場に焼き討ちをかけるバートン。開発担当者が自宅の明け渡し交渉にやってくる。いよいよだ。バートンは合意し、代金の半分を妻に送金した。残りの半分で非合法の爆薬を大量購入する。引き渡しの当日、家にしかけた爆薬と銃を備え、立て籠もる。TVレポーターに真相をすべて伝えた後、バートンは自爆するのだ。この事件を描いた『ロードワーク』というドキュメンタリーは、ピューリッツアー賞を受賞する。しかし、何事もなかったように1年半後には、ハイウェイが完成する。後味が悪い物語だ。

    キングは、この作品完成の前年、母親を亡くしている。キング兄弟をひとりで支えた母親。ずっとクリーニング工場で働いていたと聞く。キング自身も、クリーニング工場で働きながら、小説を書き続けていた時期があったのだ。

    確かにこれは、小説の中のひとりの人間の狂気じみた話だ。

    しかし、小説同様、現実世界の高速道路建設で失うものは当然あるだろう。
    家や土地、そこに横たわる思い出や信仰。人間だけではない、他の生きものの犠牲も。そういうものを「生贄」にしていることを他人事にして、私は、時間短縮の恩恵を与えられ、「速いねえ」と妻と息子に自慢げに言うのだ。遠くの出来事に人は軽く優しいのだ。
    せめて、心して気を入れて言おう。
    「便利になったね。おかげ様で」と。
    息子と妻には。
    最後の抵抗 (扶桑社ミステリー)Amazon書評・レビュー:最後の抵抗 (扶桑社ミステリー)より
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    No.4:
    (1pt)

    傑作?いや、駄作でしょうこれ

    キングはこれがお気に入りらしいが、なぜこれを気に入ってるのかわからない。ホラーではないし、だからといって心理小説でもない。
    出版社もこれをどうカテゴライズしていいか迷ったらしく、旧版の文庫には「キングの社会派小説」とかいうキャプションつけてたけど
    現実のアメリカ社会に対するなんの批判にもなってないので、当然社会派小説でも何でもない。もしかすると、キングが自分でそういう位置づけにしてるのかもしれないが、だとしたらキングの世間知らずが際立つとしか言いようがない。そもそも、キングは心理描写や、ストーリーテリングの天才ではあるが、もともと政治や経済に対する深い洞察みたいなものはない人で、キングの小説は全判的に設定の甘さがあるわけで、社会派小説には最も向かない人だと思う。
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    No.3:
    (4pt)

    狂人と化すまで

    舞台は1973年10月20日から1974年1月20日の3ヶ月。一九七四年一月五日というように、章は一日ごとに区切られています。12月からは上司への確執から職を失い、妻とは別居(一応ドーズの予測範囲内らしい)。12月と1月の無職生活では、有料道路を往復するだけの毎日。

    息子をガンで失った悲しみと、人生を己を見つめることに疲れ、朝から酒を飲むドーズ。「気が狂ってる」とヒッチハイクの少女に、「精神科に通っているか」と妻に説得される。「立ち退き料を底増しするから」と弁護士に交渉を持ちかけられるも応じない、市の障害として立ちはだかる、主人公バートン・ドーズ。

    全ては市によって故郷を高速道路に潰されないため。三ヶ月である行動のために念入りに準備し、期を待ちます。

    故郷を守るために一人、凶行に打って出ようとするドーズの姿は、一歩間違えれば狂人そのもの。他のSキングの小説と違い、サスペンスやホラー感はなく今作はヒューマンドラマ。刑務所のリタヘイワーズやスタンドバイミーなどで見せた人間性のみを読者にぶつけてくる。「もっとも愛着ある作品」と自己評価する著者の言葉の通り、職も家庭も友人関係を犠牲にするドーズを、知らずと応援したくなる。

    「一人殺せば犯罪者、百人殺せば英雄」はチャップリンの言葉。果たしてドーズはどちらに転ぶのか。

    ちなみに、裏面の「あらすじ」は、物語の結末まで言いかけていて、そこまで内容を公開していいの、と思っていました。しかし主人公バートン・ドーズは度々不可解な行動を起こし、ストーリーを読みとく力のない私にとっては、「あらすじ」によって何度か助けられました。淡々と事が進んでいくので、内容を切り込ませようという判断かもしれません。自分にはナイスあらすじでした。
    最後の抵抗 (扶桑社ミステリー)Amazon書評・レビュー:最後の抵抗 (扶桑社ミステリー)より
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    No.2:
    (1pt)

    駄作中の駄作

    ここまで駄作だと、言うべき言葉が見つからない。
    キングは「徐々に蝕まれていく精神」とやらを描こうとしたのかもれないが、
    よくまあこれだけ酷い駄作を刊行したものだと、逆の意味で感心した。

    高速道路の延長工事で、仕事と家を失う主人公。
    主人公の人生の大半を捧げた仕事(クリーニング工場)と、過去の思い出の
    詰まった自宅。道路に飲み込まれてしまう「自分の人生そのもの」。
    そこから精神が徐々に蝕まれ、自ら破滅を招く主人公。

    どうやら上記のことをキングは「文学的」に描きたかったらしが、出来上がりは
    そもそも何を言いたいのかさえ分からない「文学作品」。

    キングの作品では「駄作の金字塔」。これより読む価値がないキングの小説を
    見出すのは難しい。
    これでは、キングが何回も書く「ぼんやりした恐怖」の方が、「またか」と
    いうため息をつきながらでも読み通せるので、まだまし。

    時折キングは何か「文学的」なものに憧れている心情を吐露することがあり、そこが見苦しい。
    ある作品では「カフカ」と自分を重ねている文章があり、いくら金儲けがうまくても、
    コンプレックスがあるんだと感じ、見苦しい。
    ジョン・ダニングの作中でもかなり辛らつにキングを侮蔑する言葉があった事を
    思い出す。

    何も小説を「文学的」だの「エンターテインメント」と分ける必要もないだろうに
    キングは何を考えてこの小説を書いたのか。

    小説として全くの失敗作。
    キングは「パルプフィクション(映画の題名ではありません)」の帝王でいいではないか。

    全く評価できず、☆一つもない駄作中の駄作。 キングを情けなく思った。
    最後の抵抗 (扶桑社ミステリー)Amazon書評・レビュー:最後の抵抗 (扶桑社ミステリー)より
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