ジェラルドのゲーム



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初公開日(参考)1997年08月
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長編小説

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ジェラルドのゲーム (文春文庫)

2002年08月31日 ジェラルドのゲーム (文春文庫)

季節はずれの山中の別荘。妻を緊縛してセックス遊戯にふけるはずだったジェラルドは急死、床に転がっている。バンザイの恰好で両手をベッドポストにつながれたまま取り残されたジェシーを、渇き、寒さ、妄想が襲う。そしてさまざまな“声”が彼女の思考に入りこんで…。ホラーの帝王・キングが描きだす究極の拘禁状態の恐怖。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.00pt

ジェラルドのゲームの総合評価:7.08/10点レビュー 12件。Eランク


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(3pt)

私は多分本書の主人公と同じ事はできない。

もはや監禁物はキングの数ある作品群の中で1つのジャンルを形成したと云えるだろう。
『クージョ』、『ミザリー』に続き、キングが用意したシチュエーションは子供のいない弁護士と元教師の夫婦が別荘で拘束プレイに興じようとして、抵抗した挙句に夫が心臓発作で亡くなってしまい、一人ベッドに手錠につながれた状態で取り残された妻の話だ。まあ、何とも苦笑を禁じ得ない状況であるが、直面した当人にとっては生死にかかわる大問題である。

正直シチュエーションはこれだけだ。これだけのシチュエーションでキングはなんと約500ページを費やす。
妻ジェシーが夫に抵抗して心臓発作を起こして亡くなってしまうのが30ページ目。つまり残りの470ページを使って拘束された妻の必死の脱出劇を語るのだ。
しかしよくこんなことを小説にしようとしたものだ。

この実に動きのない状況の中にもかかわらず、それだけのページを費やしているのはやはりキングの豊富な想像力によって生み出される次から次へと降りかかる危難、困難の数々と拘束されたジェシーの頭の中で巻き起こる妄想や回想の数々だ。

まずは空腹の捨て犬が開いていた裏口から迷い込み、ジェラルドの死体から放たれる肉の匂いに抗えず、なんと亡くなった夫を食べ始めるのだ。
この状況は何とも凄まじい。たとえすでに死んでいるからと云っても死後犬の餌になるなんて最悪の死に様である―というか、犬ってやっぱり人肉も食べるのかとショックだった―。

特に犬がジェラルドの右腕を食いちぎろうと激しく揺さぶるのをベッドの上から見つめるジェシーには夫がダンスを踊る様に見える描写は恐ろしさと共に滑稽さが合わさり、実に妙な気分になった。こういう描写を書かせるとキングは実に上手い。

さらに喉の渇きを覚えたジェシーが夫がセックスの前にベッドの棚に置いた氷の入った水のコップを取り、そして口に運ぶのも大いなる苦行となる。
手錠に繋がれたまま、コップに手を伸ばし、棚を傾けさせて自分の方に引き寄せて取るまでに16ページを費やし、そしてコップを手にしたものの、今度は手錠の鎖のために口にまで持って行けないため、落ちていたDMを拾ってそれを丸めてストロー代わりにして飲むまでに18ページを費やす。このコントでもありそうな様子がジェシーにとっては生きるか死ぬかの死活問題なのだ。

コップの水を飲むだけで30ページ以上も費やされるのはその一部始終のみが語られるだけではないからだ。その試行錯誤を行う際、彼女は常に彼女の内部と対話している。それは彼女の頭の中にいる友人たちとの対話だ。

最も頻繁に登場するのは悪友ルース・ニアリーだ。
人とは違った価値観を持つ彼女は学生時代、たびたびジェシーを怒らせた。したがってジェシーの脳内に登場するルースもまた彼女に期待を抱かせることとは真逆のことを―ある意味現実的な線ではあるが―述べ、彼女を絶望の淵に追いやる。

次によく登場するのがグッドワイフ・バーリンゲーム。
そう、ジェシーが外部の人達に取り繕う良き妻である自身の人格だ。彼女はグッディと呼ばれ、彼女はジェシーの現実逃避をたしなめ、そして時に現実を見定めさせ、また時にいい方向に考えが及ぶようにジェシーを説得する。そう、あくまでジェシーが汚れなき良き妻であろうとするために。

さらに彼女のセラピスト、ノーラ・キャリガンも登場する。
彼女はジェシーが気が触れそうになった時、絶望に陥りそうになった時に呪文のように唱えるマントラを授けた女性でジェシーが正気を保つのに役立つ存在だ。

そしてジェシー自身も登場する。
彼女がまだ少女だった頃の、パンキンと呼ばれていた自身だ。実は彼女がジェシーの、こののっぴきならない状況から脱出するヒントを与える重要な役割を果たすのだ。

登場人物表はこのジェシーとジェラルド夫妻の2名しか記されていないが、実は本書ではこのジェシーの脳内登場人物がたびたび登場し、彼女を悩ませ、混乱させ、そして封印していた記憶を呼び覚ます。

その1つは父親トム・マハウトを巡る母サリーとの確執だ。いやこれは一方的に夫が娘に愛情を注ぐ姿に妻が嫉妬しているだけと云えよう。

しかしその父親も10歳になるジェシー、つまりパンキンと2人で皆既日食を見ていた時に自身の娘に対して性的興奮を覚え、彼女のドレスに射精するという“事件”を起こす。

ジェシーはそんな忌まわしい過去をこの拘束状態で思い出すのだ。

さてこの絶体絶命の中、ジェシーはどうにか与えられた条件の中で状況を打開しようと奮闘する。

本書でキングが描いた、もしくは描きたかったのは次の2点なのではないだろうか。

まずはたった1人で取り残された状況で人の思考はいろんな方面に及び、そして過去を掘り返す。それは封印していた忌まわしい記憶でさえも。本書ではその忌まわしい記憶が主人公を窮地から救う手立てを与えるヒントになっているのが皮肉だが。
いやむしろ思い出したくない記憶にこそ、ヒントがあり、それを乗り越えたからこそこれからも窮地に直面しても乗り越えられるという意味だろうか。

もう1つは自分1人しかいないはずの家の中で誰かがいる気配を感じることはないだろうか。よくあるのは一人暮らしの部屋でシャンプーしているときに誰かが後ろに立っていると感じるというあの感覚。

主人公ジェシーも同様に奇妙な男の存在を感じる。しかし彼女が気を喪って目が覚めると誰もいなくなっており、しかも自分に害が及んでいないことから気のせいだと思い出すが、最後の最後で実際にいたことが判る。

つまり自分1人しかいないはずの部屋に誰かがいるという錯覚を覚えながら、実際に誰かがいたという恐怖だ。
この何とも云えない気持ち悪さがしこりとして残り、そしてジェシーはたびたびその幻影に惑わされる。

最後に1つだけ。
本書の最大の犠牲者はジェシーでもなく、ジェラルドでもない。それはプリンスと名付けられた野良犬だ。そうジェラルドの死体を餌にした野良犬だ。
彼は元々は飼い犬だったが勝手な事情で捨てられ、そして餌も与えられずにカシュウォカマク湖近辺を空腹で彷徨っていた犬だ。結局彼はジェシーの家の捜査に入った警察に撃ち殺される。
コロナ禍の在宅勤務中に寂しさからペットを買う人が増えたが、在宅勤務が終わって世話を出来なくなってペットを捨てる人が増えているという。プリンスは今なお増え続けているのだ、人間たちの勝手な都合で。そういう人達は本書を読んで猛省してほしい。

本書は1963年7月20日に起きた皆既日食を軸にしたもう1作『ドロレス・クレイボーン』と対になる物語らしい。つまり本書に散りばめられ、謎のままに終わった部分についてはそっちで判明するのだろうか。

とにかく『荒地』に続いて放り出された感じで終わった本書の後味は何とも奇妙なものだった。
知名度で云えば本書よりも高い『ドロレス・クレイボーン』を早く読んでこのもやもやを払拭したいものだ。

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No.11:
(5pt)

怖かった…

ネトフリのドラマを観て、原作を読みたくなりました。
ジワジワと怖い描写が多く、背筋が寒くなりました。
登場人物のバックグラウンドやトラウマを織り交ぜて怖いストーリーを進行させるのが上手いですね、キングさんは
ジェラルドのゲームAmazon書評・レビュー:ジェラルドのゲームより
4163172300
No.10:
(1pt)

キングファンにもお勧めはしない。

80年代からのキングのファンで、この40年間にたいていの作品は読んでいますが、ところどころ抜けているところがあり、最近はその抜けを埋めるために未読作品を読んでいます。

キングの作品には当然当たり外れはあります。 ただ外れでも「キングにしては面白くない」なんて注釈は付くもんですが、この「ジェラルドのゲーム」は注釈なしに面白くないです。
私のキング作品ワースト1は「トミーノッカーズ」ですがこの作品はワースト2確定です。

とにかく、感情移入が出来ない。 私自身が男性なんで感情移入出来ないのではなく、ベッドに縛り付けられた人間が何を考えどんな行動を起こすかが、薄いというか読者の興味をそそらない感じがします。
同じ身動きが取れない恐怖のシチュエーションでは「ミザリー」や「クージョ」なんかがありますが、あの緊迫感やドキドキ感は全くありません。
やたら、私にはどうでも良いとしか思えない話が延々と続きますし、頭に入ってこない作品になりました。

文庫本で5分冊の「スタンド」よりもキング作品には珍しい1冊で完結の「ジェラルドのゲーム」の方が読み終わるのに時間がかかった(実際にはそうではありませんが)ような感覚になるくらい苦痛でしたね。

本当は、キング作品は「面白い!」と伝えたいのですが、いろんな事情や調子もありますから、キングでもこんな作品があるのは仕方ないかもしれませんね。
他の方も書かれていましたが、この作品は短編で良かったと思います。 長編にするためにダラダラ無駄な話をくっ付けた印象しかありません。
短編なら傑作になったかもしれないのに勿体ないですね。

とにかく、お勧めはしませんが私の様にキングコンプリートを目指すなら避けては通れないんで頑張ってください。
ジェラルドのゲームAmazon書評・レビュー:ジェラルドのゲームより
4163172300
No.9:
(5pt)

5 stars

Excellent quality.
ジェラルドのゲームAmazon書評・レビュー:ジェラルドのゲームより
4163172300
No.8:
(5pt)

すごく綺麗

ジェラルドのゲームは、とても綺麗な状態でした
いい作品でした。
ジェラルドのゲームAmazon書評・レビュー:ジェラルドのゲームより
4163172300
No.7:
(1pt)

ただただ息苦しい一冊

主人公が拘束され、身動きが取れない様子をひたすらただただダラダラと描く、キングの悪い面が一気に露呈した一作。
本当に読んでて窒息するかと思いました。
ジェラルドのゲームAmazon書評・レビュー:ジェラルドのゲームより
4163172300



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