失脚/巫女の死
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あらすじ
「トンネル」……いつも乗り慣れた列車だが、気づくともうずいぶんトンネルに入ったまま。不審に思って車掌を探すと…。ありふれた日常が知らぬ間に変貌を遂げる。皮肉と寓意に満ちながらかつ底知れぬリアリティに戦慄させられる物語。「失脚」……粛清の恐怖に支配された某国の会議室。A~Pと匿名化された閣僚たちは互いの一挙手一投足に疑心暗鬼になり、誰と誰が結託しているのか探ろうとしている。だが命がけの心理戦は思わぬ方向に向かい…デュレンマットの恐るべき構成力と筆力に舌を巻く傑作。※本邦初訳「故障」……自動車のエンストのために鄙びた村に一泊することになった営業マン。地元の老人たちと食事し、彼らの楽しみである「模擬裁判」に参加するが、思わぬ追及を受けて、彼の人生は一変する…。「現代は故障の時代」と指摘するデュレンマットが、彼なりに用意した結末に驚き!「巫女の死」……実の父である王を討ち、実の母と結婚するというオイディプスの悲劇。しかし当時政治の行く先を決めていたのは、「預言」を王侯に売る預言者たちであった。死を目前にした一人の老巫女が、驚愕の告白を始める…。揺らぐことのない権威的な神話の世界に別の視点を取り入れることで、真実の一義性を果敢に突き崩す挑戦的な一作。※本邦初訳出版社からのコメント綿密に組み立てられたプロットと、登場人物の頭の中にある記憶や感情をえぐり出していく圧倒的な筆力に感嘆! 古典新訳文庫としてはドイツ語文学のくくりで刊行していますが、これは極上の心理サスペンス、ミステリ、巧みな人間劇と言ってもよく、なにはともあれ、読んで引き込まれること請け合いです。同時に、作品全体に通底する、デュレンマット独自の皮肉や社会批判にも注目したいところ。解説も充実。ぜひ古典新訳文庫でお楽しみください。(「BOOK」データベースより)
評判
失脚/巫女の死の評価:
0.00/10点 レビュー 0件。 B ランク
失脚/巫女の死の総合評価:
8.60/10点 レビュー 10件。
感想一覧
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Amazonレビュー
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① 現代は、世界には不変的/普遍的な意味秩序が貫徹しているという前提が不可能となった時代である。
② つまり、世界から「もっともらしさ」が消失してしまった時代である。
③ そこにあるのは、各サークルがそれぞれの真善美を喚きあう胡散臭い喧騒だけである。
④ そして、「世界に真理はない」という言明自体が喧騒の一部としてしか成立し得ない。
⑤ よって現代は、世界に関して有意味な表現が可能なのかが常に問題となる時代である。
彼の不条理で奇妙な作風の背後には、こうした現代という時代への痛切な問題意識があったように思う。現代において「まだ可能な物語」とはいかなるものなのか、と。
□ 「トンネル」
① どうも何かが食い違っている気がする。
② つまり、世界は既に破綻をきたしているのかもしれない。
③ しかし、誰も世界の根源的なメカニズムを見通せない。
④ だから、何もなす術がない。
⑤ よって、誰もが世界の破綻を直視せず日常をそのまま継続しようとする。
ひとは日常という分厚い肉の内奥に押し込められて、世界の実相にまるで近づけなくなってしまったよう。