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本好き! さんのレビュー一覧
本好き!さんのページへレビュー数183件
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これまでと物語の印象がかなり変わりました。
長編であることのほかにも、江戸川乱歩をテーマにして暗号解読なんかも出てきて、ミステリ色が濃い一冊となっています。 いつかは出てくるだろうな、と思っていたらやはり出てきた「乱歩」。 ストーリーもそれに合わせたでしょうね、ミステリの王道のような展開です。 栞子さんの”探偵ぶり”も堂に入ってます。 こうなると次回作はもっとミステリらしくなるんでしょうか。 そして栞子さんと大輔君の運命は!? |
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岬洋介シリーズです。「ドビュッシー」「ラフマニノフ」ときて「ショパン」です。
前2作と比して、舞台がポーランドで行われる「ショパン・コンクール」、そしてテロリストによる爆破事件とスケールが一気に大きくなりました。そして、内容の描写も格段に進化しているような気もします。コンクールの場面とテロの部分も難なく融合していると思います。 コンクールにおける演奏時の描写も変わらず秀逸で、まさにその場にいるように演奏者や観客の気分がよく伝わってきます。 それにしても、われらが岬洋介の今後が気になります。 ショパンの次にお目見えする大作曲家はさて、どなたでしょうか(・ ・)?? |
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女性ベストセラー作家が突然の絶筆宣言、その真相を探り、できれば作家活動を再開してもらうべく、編集者が女性作家・咲良怜花の元へ。そして彼女は切々と絶筆宣言に至った経緯を語る...
作家・咲良怜花誕生の秘話から挫折、男性遍歴とベストセラー作家への転機、そして筆を折ることとなった経緯が実に細かに描かれています。 作家デビューまでの経緯は、一時は作家を夢見た私にとっては、生半可な考えではとても難しいぞといわんばかりに、その困難さを教えてくれてもいます。(著者ご自身の経験も踏まえてるんでしょうか?)比較的重厚な物語となっており、またその結末も重いものがあり、読み応えのある一冊でした。 女性作家を主人公にした小説を男性である著者がみごとに書き上げています。女性読者から見た咲良怜花観はどんなものなのでしょうか。 |
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「さよならドビュッシー」にちらっと出てくる玄太郎じいさんが主役となったいわゆるスピンオフ小説。
脳梗塞で倒れて車椅子生活となるも、その毒舌ぶりは健在で、その名探偵ぶりを存分に発揮してくれる短編集です。 「さよならドビュッシー前奏曲」とは文庫化にあたって改題されたもので、最終章以外は音楽的な要素は一切出てこないので、少々違和感を感じるが、最終章でやっと音楽的要素が現れ、しかも岬洋介が登場するのでまぁ、よしとしますか。 どの章もそのどんでん返しぶりに度肝を抜かれました。(ちょっと大げさかな?)ぜひ続編を期待します。 |
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歴史的超大作「カラマーゾフの兄弟」の続編に勇猛果敢・大胆不敵にも挑戦し、江戸川乱歩賞受賞の快作です。ドストエフスキーの作品を日本人が完結(?)させたなんて考えるとなんとも壮大ですが、乱歩賞史上異色さでは群を抜いているでしょうね。
物語全体に”ロシア”感があふれているし、原典を読んでいない人にもわかるようご親切に概略が盛り込まれている点には好感。しかし、19世紀半ば頃の話にしては、その頃の雰囲気がイマイチ伝わってこなかった。 このスタイルでの受賞は著者だからこそで、選考委員も言ってるように、二番煎じは絶対やめましょうね。 |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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要するにストーカー男の手記と’事件’に関わる人たちのインタビューで構成された物語である。
ストーカー男「鈴木誠」のその’ストーカーぶり’は読んでいて、その風貌の描写と併せて非常に不快である。 しかし...最後のドンデン返しでその印象はガラッと変わるのです。その鮮やかさたるや、流石は夢人!と賛辞を送りたくなります。しかも、ビートルズのアルバム「ラバー・ソウル」に収録された曲と、小説の章がうまいことリンクしていて、これまたさすが夢人!と再度賛辞を送りたくなります。 夢人さんの作品は何冊か読んできましたが、本作ほどそのドンデン返しぶりに度肝を抜かれたことはないですね。 ビートルズのアルバム「ラバー・ソウル」を持っているので、BGMに流しながら読むとホント、夢人ワールドに浸れます。このアルバムを聴く度、この小説のことを思い出すんでしょうね。 ぜひ夢人さんとビートルズの「ラバー・ソウル」、セットで堪能されることをオススメしますo(^-^)o |
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【ネタバレかも!?】
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「最悪」「邪魔」に続き、登場人物の徐々に堕ちていく様が、これまでにも増して色濃く描かれた作品です。それぞれ接点のなさそうな5人を襲う苦難が、読み進めるごとにエスカレートして、その後どうなるんだ?とページをめくるスピードを速めてくれます。
5人が経験するどれもが実際に起こりうる、すでに似たような事が起きているであろうと思われる妙にリアリティのあるもので、それが恐ろしくもあり、面白くもあるのですが、中でも特に女子高生を監禁するゲームオタクの引きこもり男は非常に怖いと思いました。女性の監禁事件を起こしたヤツは実際にいるし、彼がおかれている状況、周囲への態度は現実の世界ではシャレにならないほど恐ろしいものです。 結末は期待したほどではなかったので、少々拍子抜けでしたが、それでも前2作と比較して遜色ないデキだと思います。 |
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著者の作品では「さよならドビュッシー」や「おやすみラフマニノフ」のイメージが強いので、法廷ミステリと聞いて、数ある法廷モノにまたなんで?などと思いながら読みましたが、意外にストーリーがしっかりしていて、面白かったです。
冒頭部分はよくあるパターンの印象でも、少年院のエピソード(ピアノ演奏を聴いているシーンはさすが中山七里!と思いました)、後半の法廷でのシーンは圧巻でした。(実際の裁判であんなことが可能なのか?)結末も悪くないと思いましたね。 また登場人物それぞれが個性豊かで(少年院の章は特に)著者はクラシックミステリだけではないことを改めて認識しました。 |
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美術、特に絵画に関してはてんで絵心も興味もないのですが、あえて読んでみました。
アンリ・ルソーは名前を聞いたことがあるかな?という程度で、いわば真っ白な状態で読み始めましたが、 やはり話題になるだけのことはある。 こういったジャンルに疎い私でも納得のストーリーでした。 作中作といえるルソーに関する「物語」も効果的で、これぞ美術ミステリ、アートミステリといった 作品です。 |
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クライトン氏の死後、PC内から見つかったという原稿。
それだけでどんなものか早く読んでみたいとそそられていましたが、期待を裏切らない冒険ミステリーでした。タイトルから某ヒット映画を彷彿とさせますが、クライトン流の痛快小説、却ってこっちの方が面白いのでは?と思わせるほどページをめくる手が進みました。 ”私掠人”という海賊とは少し違う職を初めて聞きましたが、ハンターや彼と行動を共にするキャラクターたちはどこか「桃太郎」を思い起こさせてくれます。(いい感想だと自画自賛しましたが、巻末の解説にそっくりそのまま書かれていましたね...)後半はあっという間に読み進めましたが、楽しい読書時間を過ごせました。 |
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著者ならではの企業小説と野球小説の融合が実現しました。どちらか片方だけなら今までにも多数あったでしょうが、これがひとつになると新しい世界が開けます。かつては名門と言われた会社の野球部の斜陽と会社の統合を持ちかけられる上層部の苦悩。それがうまくマッチして痛快な作品となっています。
確かにストーリー的にはパターンが決まっているのだけれど、それを払拭させるものを著者の作品には感じます。企業小説ファンはもちろん、野球ファンにもオススメの一冊でしょう。 |
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昭和39年。東京オリンピックに沸く日本。オリンピックを無事開催させることに心血を注ぐ警察と、その警察に一泡ふかせるべく、開催を妨害しようとする学生。その闘いがみごとに描かれています。
この作品のいいところは、当時の世相・文化などがさりげなく織り込まれてまるでノンフィクションとおもってしまうようなリアリティーがあること。当時流行ったモノや人気のあった有名人などが実名で出てくるとドキュメンタリーのような様相も伺えます。また、華やかな舞台の裏側で支えている下請け労働者の悲哀・格差社会の問題点も浮き彫りにされています。 時系列で物語が進むのですが、その日付が章ごとに前後していて読み進めるのにやや注意深さを要するのと、最後の場面は警察側だけではなく、島崎側からの視線でも描いてほしかった気がします。 いずれにせよ、オリンピックイヤーの最初を飾るのに最適な小説でした。 余談ながら。次回の東京オリンピックの誘致がちょくちょく取り上げられますが、この小説にもチラッと出てくるように、開催の間隔は100年に一度位でちょうどいいと思います。 |
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一見何の関係もないようないくつかのエピソードを意外なところに接点を持ってくるという著者の
得意技が光る一品だとは思います。 数々のエピソードは誰もが経験したことがあるであろう些細なモラル違反。 それが運悪く繋がってしまい、一人の子供を死なせてしまう。 物語の持って生き方はウマイと思います。ただ、今回は前段のエピソードが少々長いかなと。 半分ちょっと読んだところで、やっと「事件」が起きます。 後半部分は逆に駆け足になっている印象。 上下巻の2分冊になっていてもよかったかな?とも思いました。 しかし世の中、ちょっとしたモラルの違反がとんでもない事件・事故を引き起こすこともあるんだよ、 と警鐘を鳴らしてくれているメッセージ性の高い作品であることは確かです。 こういう私も犬のフンをそのままにしてたこと、ありますm(_ _)m |
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「呪い」をテーマにした作品ということで、どろどろした内容を期待したが、案外軽妙でさっぱりしたものでした。
全体的に軽妙さを感じさせるのはおそらく会話の部分が多く、登場人物に薀蓄を語らせすぎ(?)なところが原因か。でも全体的な流れでみると、よく練られてるし、民俗・習俗のおどろおどろしい伝統が奥深く描かれていると思います。それでいて読後感はさっぱりしていて好印象でした。 乱歩賞同時受賞の「完盗オンサイト」と比して内容も深いし、どちらを推すかと問われればこちらを取るでしょう。次回作も期待できそうです。 |
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医療サスペンスのジャンルにはいるのでしょうが、病に冒された脳外科医とその娘との確執の方が前面に出て、メインになるはずの殺人事件の解明がサブに回っている感はあります。(それをあえて狙ったか?)
著者にとって専門分野ではないはずの医療に係る知識は(おそらく様々な文献で綿密な調査したのでしょうが)それなりに物語に溶け込んでいます。でもやはり説明調に陥ってる感は否めないところがマイナス。でも言うほど悪くはないですよ。全体的なストーリーは丁寧に描かれているようで好感が持てるし、感動的な場面も違和感なく読めました。 最近巷で人気の医療サスペンスですが、映像化されている人気作より、地味だけどこういった作品の方が個人的には読んでいて安心感があります。 |
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19世紀半ばのイギリスを舞台に、主人公エドワードの手記という形で、”復讐”をテーマに描かれる壮大・重厚なミステリ。2段組で600ページにわたる超大作で少々読了までに時間がかかりましたが、その内容と構成には至極感銘を受けました。主人公の手記に編集者の注釈もついているという懲りよう。著者が30年にわたって練った構成が功を奏しています。ラスト数ページのクライマックスも秀逸です。著者の早世はなんとも悔やまれますが、続編があるとのことなのでその出版が期待できます。
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ビジネスの世界で躍動する男たちの熱いドラマ。
著者の作品は一言でいうとそう表現できるものが多いと思いますが、まさしく本作はその一文にピッタリです。ロケットエンジン部品を製作する中小企業のアツイ社長を中心に、数々のトラブルに巻き込まれながら自分たちの信じた方向へ社員一体となって突き進む。行く手には会社の外のみならず、社内からも反抗分子が現れて、この先どうなるのか?とハラハラさせてくれます。果たして自分たちが同じような境遇になった時にどうするか?となると甚だ自信はないですが、読後の爽快感は本作はもちろん、著者の作品には必ずと言っていいほど味わわせてもらえます。 とにもかくにも、悲願の直木賞受賞おめでとうございます。 |
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細川政元という名前は聞いたことがあるようなないような。”もうひとりの信長”というキーワードが気になって本書を手に取りました。ほとんど知られていないその存在は、まさしく信長を彷彿とさせてくれます。「聡明丸」と呼ばれた幼少期からその奇才(鬼才?)ぶりが発揮され、41歳で家臣に殺害されるまで、実に個性的な人物が描かれています。
修験道に入れ込み、生涯、妻を持たなかった彼の生き方は、正直、何を考えているのかよくわからないのですが、それには深いわけがありそうです。はっきりとした理由は明らかにされませんが、それだけに読者にいろいろと類推をさせてもくれます。何かしらの意図をもっていたことは充分うかがえます。姉・洞松院もうまく描かれていて、この姉に対する政元の言動からもそれは考えられます。 本書で細川政元という人物のほんの一部分が垣間見えたような気がしますが、それにしても著者は普段注目されないモノ・コト・ヒトにスポットライトを当てるのが実にウマイですね。 |
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ドラゴンウィルスによる竜脳炎の流行で大勢の犠牲者が出てパニックに陥る中、奇跡的に生存者となった3人には奇妙な後遺症が。
手を使わずに物を動かせたり、他人の過去や未来が透視できたり、自らが若返ったり... なんとも奇想天外、荒唐無稽なストーリーで、アクションアニメに出てきそうな展開ですが、そこはさすがの夢人さん、確かなプロットで笑わせ、考えさせ、ホロッとさせてくれました。 またメディアや警察権力に対するメッセージも盛り込まれ、現実感はほとんどないのですが楽しくワールドにはまりました。やはり夢人さんはこれくらいのぶっ飛び方でちょうどいいと思います。(確かに好き嫌いが分かれるかも知れませんが) |
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まず最初に感銘を受けたのは、キリスト教の世界をベースに違和感なくミステリ小説が描かれていること。
「イエスの涙」でも感じたことですが、ミステリの基本がすんなり溶け込んでいる。これは著者の力量はもちろん、この世界のもつ神秘さなどもあるのでしょうか。 本作ではマリア様の本当の姿を知ることができると同時に、終盤の演奏会の場面を通して心が安らぎを与えられる、神父の教えを請うたようなさわやかさが漂う作品です。 「イエス」「マリア」と来て、第3弾をぜひ早いうちに出してほしいと思います。 |
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