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Tetchy さんのレビュー一覧

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レビュー数217

全217件 161~180 9/11ページ

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No.57:
(10pt)

余韻が深く、そして哀しい。

愛に飢えた人々が家族という一番小さな、そして身近な社会集団を形成した時、こんなにも哀しい事件が起こるのか。
愛されるという事を欲望という形で求めるが故、視える物も視えなくなり、無我夢中に貪欲なまでに模索し、踠く。一番手に入れたかった父親の愛を形として求めたがため、実感できなかった娘。その事実を何もかも無くしてしまった最後に告げられる残酷な結末。
終わり間際に真相通告人として太陽のような娘を選んだ作者の意図は何だったのだろうか?
縞模様の霊柩車 (ハヤカワ・ミステリ文庫 8-2)
ロス・マクドナルド縞模様の霊柩車 についてのレビュー
No.56:
(10pt)

1ページから傑作と感じた。

最初の1ページを読んだ時からこの作品は傑作だなと感じた。それも生涯忘れ得ぬほどの…。
前回読んだ『バスク、真夏の死』とは比べ物にならない読み易さと簡潔かつ的確な訳。外国の小説でこれほど町のイメージがたやすく浮かんだのは、本書が初めてではなかろうか?それは著者が街の住人を誰一人として疎かにせず、見事に活写したため。行間から息吹が、匂いが立ち上ってくるが故に、それぞれが皆、確かに生きていた。
稀に見る傑作だ。
夢果つる街 (角川文庫)
トレヴェニアン夢果つる街 についてのレビュー
No.55:
(10pt)

全てが一級品の短編集。

今回はじっくり読ませてもらった。途中で次の日に持ち越さないよう、一編が完結するまで読んだのが功を奏した。
率直な感想を云わせてもらえば全てが一級品の短編集だ。
自伝的な短編、「増山雁金」、「簪」、「弱竹さんの字」。
ラストに不意を打たれた「遺影」、大人の恋愛を感じさせる表題作や「絹針」、それに加えて自分なりのベストの二作品「くれまどう」と「色揚げ」。
戦慄のラストの「竜田川」。
寂寥感漂う「校舎惜別」に微笑ましい「十一月五日」。
本統に素晴らしかった。
蔭桔梗 (創元推理文庫)
泡坂妻夫蔭桔梗 についてのレビュー
No.54: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

短編もまた極上。

今までの『銀英伝』シリーズの中で最も体調が悪く、また読書環境も万全ではなかったのにも関わらず、読ませる筆力に脱帽。
それと『銀英伝』本編全10巻を読み終わってから着手した私の判断が間違っていなかったことも評価に加味された。本編の隙間を補う旨味を伴ったエピソードが何とも云えないエキスとなってカタルシスを少量ながら味あわせてくれる。小刻みであるが故、それが読書の牽引力となった。
銀河英雄伝説外伝〈1〉星を砕く者 (創元SF文庫)
田中芳樹銀河英雄伝説外伝1 星を砕く者 についてのレビュー
No.53: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

傑作以外何ものでもない。

『銀河英雄伝説』即ち『ラインハルト・フォン・ローエングラム伝説』はとうとう終わってしまった…。1~10巻まで衰えを見せない筆力で引っ張ってくれた作者に感謝したい。
私は今、実際にあった歴史の一部始終を体験させてくれた、そんな気持ちで一杯だ。…どうも書きたい事が一杯あるのに上手く表現できない。このシリーズを述べる時、一言、「傑作」と私は告げるだろう。余計な修飾語は要らない。
願わくば、アレク公とフェリックスの創る歴史も読みたいものだが…。
銀河英雄伝説 〈10〉 落日篇 (創元SF文庫)
田中芳樹銀河英雄伝説10 落日篇 についてのレビュー
No.52:
(9pt)

“職人”泡坂が丹精込めて作り上げた短編集

最近(とは云っても同著者の『ゆきなだれ』以来だが)触れていない純文学の香気に酔わせて頂きました。しかも日本の伝統工芸の職人の世界を基に繰広げられる恋愛物語ということで日本情緒溢れる芳醇さが堪らなかった。
それぞれの4作品に通底するのは、登場人物達の頑なまでのストイックさ。奔放な登場人物など1人としていず、それがまたぷんぷんと市井の暖かみを行間から立ち上がらせてくるのだ。
正に“職人”泡坂妻夫が丹念に織り込んだ短編集と云えるだろう。
折鶴 (創元推理文庫)
泡坂妻夫折鶴 についてのレビュー
No.51:
(9pt)

“怪物”は実に身近なところに潜んでいる。

これが噂の、という期待感で臨んだ本書。
冒頭の有名な一文から全てを聖ヴァレンタイン・デイの惨劇へと収斂させていく手並みは見事。日常の、本統に何気ないアクシデント、例えばTVの故障などが文盲であるユーニスにとって狂気へ駆り立てる一因となっていく事を実に説得力ある文章で淡々と述べていく。そして事件後の真相に至る経緯も、事件前に散りばめられた様々な要素が、単純に真相解明に結びつかない所が面白い。
運命を弄ぶレンデル、そして“怪物”を生み出したレンデルに拍手を贈りたい。
ロウフィールド館の惨劇 (角川文庫 (5709))
No.50: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

ミステリ風味の純文学

泡坂妻夫の美意識が詰まった短編集。
面白ければミステリというのが昨今の風潮だが、やはりこれは、泡坂なりの謎かけはあるものの、純文学と呼びたい。
収録作8編中、私は『雛の弔い』と『闘柑』を推す。前者の戦慄を覚える真相。人物造詣のための何気ない説明がこの結末の布石になっているのはミステリなのだが、でも私は純文学であると云いたい。また後者は小市民家族を描いた人生讃歌。総ての登場人物が活きているという稀有な作品。志賀直哉を想起させてくれました。
ゆきなだれ (文春文庫)
泡坂妻夫ゆきなだれ についてのレビュー
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(10pt)

私はしあわせになりました♪

のわ~っ!!凄い!!凄いとしか云いようが無い!!
昔から評判高く、果たしてどのような仕掛が施されているか自分なりの憶測を立て、軽い気持ちで探っていたのだがこんな超絶技巧だったなんて。
内容は確かにしっかりしているが本来10点レベルではない。しかしこの本自体に掛けられたトリックとその苦労を思えば、よくまともに話が書けたなあと感服するしかない。
いやぁ、こんなことって本統に出来るんだぁ。
しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術 (新潮文庫)
No.48: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]   ネタバレを表示する

なぜここまで人を感動させるのか!

どうしてこの作者(ひと)はこんなにも人を感動させるのだろうか…。
どうだろう、この溢るる才気!
ヤンの死を以ってしても衰えを知らないヴォルテージ!
本統に、全く以って前巻を読んだときに抱いた懸念は杞憂に終わった。第2巻における布石がここに至って最大に活き、登場人物各々に血液を脈動させる。
素晴らしき人生讃歌!!
もはや、これは本統の宇宙叙事詩だ。
そして次回で物語は、いや歴史は終局を迎える…。
銀河英雄伝説〈9〉回天篇 (創元SF文庫)
田中芳樹銀河英雄伝説9 回天篇 についてのレビュー
No.47: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

とうとうこの日が…。


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銀河英雄伝説 8 乱離篇 (8)(創元SF文庫 た1-8)
田中芳樹銀河英雄伝説8 乱離篇 についてのレビュー
No.46:
(10pt)

意外な拾い物でした!

上手い!
重厚で昏いイメージを数多の書評子から植え付けられていたが、いやいやどうして!何と読み易い、そして抜群のリーダビリティーがある。
恐らく本作は著者にとっては傑作ではなく寧ろ佳作となるべき作品だろう。しかし、登場人物、特に女性像がどれも印象的で、登場人物表に載ってないのが不思議なくらいだ。
しかもプロットをしっかり形成して取りかかる作者らしく、終始一貫したテーマが立ち上り、着地も見事決まった。
ひとたび人を殺さば (角川文庫 赤 541-1 ウェクスフォード警部シリーズ)
ルース・レンデルひとたび人を殺さば についてのレビュー
No.45: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

名将去る!

歴史は繰り返す。
打破した悪政を反面教師として善政を志すも肥大化した組織と、有能なるが故に充足することに不器用な一部の諸将達が綻びとなり、やがて奔流になるのか…。これは作者特有のアイロニーであるのだが、それが夢物語を現実レヴェルまでに引き落とし、等身大の人間を描くことに成功している。半ば漫画的な側面があるが…。


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銀河英雄伝説〈7〉怒涛篇 (創元SF文庫)
田中芳樹銀河英雄伝説7 怒涛篇 についてのレビュー
No.44: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

物語は更なる高みへ

シリーズ半ばにしても勢いは衰えず。人間の欲望で物語はさらに膨張する。
銀河英雄伝説〈6〉飛翔篇 (創元SF文庫)
田中芳樹銀河英雄伝説6 飛翔篇 についてのレビュー
No.43: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

もう止められない!止まらない!

何もかもがハイレヴェル!一体にどこにケチがつけられようか。
銀河英雄伝説〈5〉風雲篇 (創元SF文庫)
田中芳樹銀河英雄伝説5 風雲篇 についてのレビュー
No.42: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

もはやただの小説ではない。未来の歴史だ。

今まで背景としてしか語られなかった歴史に焦点を当て、小説世界にさらに厚みが加わった。
銀河英雄伝説〈4〉策謀篇 (創元SF文庫)
田中芳樹銀河英雄伝説4 策謀篇 についてのレビュー
No.41: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

美味しいワインには熟成期間が必要なのだ。

今まで名のみの存在だった登場人物らもこの巻まで来ると個性がどんどん出てきて非常に面白い。と同時に物語に深みが増し、奥行きが出てきて、ますます勢いを増してくるのには感服。
銀河英雄伝説〈3〉雌伏篇 (創元SF文庫)
田中芳樹銀河英雄伝説3 雌伏篇 についてのレビュー
No.40: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

ここでこの展開とは…。

全10巻というヴォリュームを考えると、2巻でこの英断を下した作者はものすごい冒険をしたのだと思う。
とにかく内容が濃い巻だった。
そしてとてつもなく哀しい巻でもあった・・・。
銀河英雄伝説〈2〉野望篇 (創元SF文庫)
田中芳樹銀河英雄伝説2 野望篇 についてのレビュー
No.39: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

読んでいない人は人生の大いなる損失

おおっ、このシリーズもこのサイトにはあるのか!
紛れもなく傑作!田中芳樹の原点でエッセンスが全て詰まっている。
読んでいない人は人生の損失。全10巻、必読のシリーズだ!
銀河英雄伝説 1 黎明編 (創元SF文庫)
田中芳樹銀河英雄伝説 についてのレビュー
No.38:
(9pt)

名作の本歌取り!しかし主人公は…

この作品の原典であるライアルの『深夜プラス1』は未読だが、あまりに有名なのでほとんどが原典の本歌取りである事は解ったが、主人公が元相撲取りだなんて・・・。
ただ162cmといえば舞ノ海よりも小さいんですよ、シミタツさん!もっと人物設定練った方が良かったんではないか?162cm、80kgの主人公が超絶技巧のドライヴィングテクニックを持つ( ^艸^)。
気の利いた台詞も主人公を想像すると自然と笑いが出てしまう。でもそんなマイナス点があっても本書は実に面白い!
深夜ふたたび (徳間文庫)
志水辰夫深夜ふたたび についてのレビュー