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egut さんのレビュー一覧
egutさんのページへレビュー数71件
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これは面白かったです。
好みはあれど、児童や初心者も、ある程度のミステリ好きも楽しめそうな万人向けな作品だと思いました。 個性的で好みなので加点。 白雪姫をモチーフに、なんでも答える「魔法の鏡」が存在するファンタジーミステリ。 『鏡や鏡!真相を教えてちょうだいな』 と、鏡に聞けば、事件はどうで、動機はこうでと、絶対的な真実を教えてくれます。 まず、解答が先に提示されてしまう可笑しさがあります。 それでミステリとして楽しいのか?と言う点については、本作は工夫が凝らされていて、鏡を持つ女子中学生のママエの探偵業の設定が活きています。 依頼人から悩みを相談され、鏡で答えを聞いて、答えだけ依頼人に告げると、何でそんな事知っているの?実はグルだったの?と、真相は正しいのに、話の道筋が無い事で疑惑が生まれる悩みを抱えます。ここからミステリの面白さが生まれ、何故その真相に行き着いたかを導き出す所が、それまでの些細な出来事に深みが生まれ驚かされます。 よくあるミステリの、『事件発生→推理→真相』で真相がすごいと印象を受ける感想とは違い、『発生→真相→推理』の順序だてで、最後の推理に注目が集まり、過程や伏線に驚きを得るのが刺激的でした。 本書は、2部構成で上記の雰囲気が第1部。 読者が舞台の概要や登場人物達を把握した所で、悪い名探偵に鏡の存在がバレ、あらすじ通り命を狙われてしまいます。 第2部は、非現実の超アイテムの魔法の鏡と、超頭脳の悪役名探偵の事件模様に変わります。 漫画のデスノートをイメージすると伝わりやすいかもしれないですが、これがまた発想外で面白い。 入り込み易い周知の白雪姫のモチーフ。ミステリ要素、何でも知る事ができる鏡のアイテムなど、個性的な設定。 現実的な深みを求める人には合わないかも知れないですが、軽い雰囲気も好感触で読んでいて凄く楽しかったです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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傑作。読後にズッシリとした余韻を得た作品は久々です。
『江戸川乱歩賞』『少年犯罪』どちらも個人的に肌に合わない作品が多くて敬遠してましたが、乱歩賞の中で数少ない好きな作品の『13階段』の高野和明が解説を書いていたのを知ったのと、評判の良さから手に取った所、とんでもない食わず嫌い本だったと思い知りました。 少年法により加害者の情報は保護される。被害者は事件で家庭が壊さたのに更にマスコミや大衆にさらされ精神的な苦痛も味わう。法による理不尽さを痛感しました。 そりゃ、加害者を見つけて殺したいとも思う気持ちもわかる。夫、桧山の暗澹たる心模様を感じながらのスタートで、冒頭の電車内で、はしゃぐ少年達を見る視線から『被害者』という存在を強く感じた次第です。 加害者の1人が何者かに殺された所から物語が展開していくのですが、その広がり方が凄かった。 『事件』と言う点の周りに存在する『被害者』『加害者』それぞれが事件後、どんな事を思い、過ごしているのか、何故その事件が起きて加害者になったのか。 少年犯罪の更生とはなんなのか。波紋が広がり全容が見えた読後、色々と感じ、得られるものがある体験となります。おすすめ。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ホラー小説としての受賞作品ですが、中身はSFミステリ。
自身のコピーが知らない所で発生し、日常を活動されるというのはホラーとしての恐怖は存在しますが、いったい何故?何が起きているのか?と言った真実を知りたい欲求が恐怖より強く思ったのでミステリと感じます。 ミステリには双子ものがありますが、容姿だけでなく思考回路まで完全にコピーされたドッペルゲンガーが扱われるという新感覚な物語。 人間のクローンを扱ったSFミステリとして、西澤保彦『複製症候群』を当初思い浮かべながら読みました。複製症候群の方はコピーされた方はその存在がそのまま残り続け、本体との差が生まれていくのですが、本作の『バイロケーション』は、出現したコピーが一定期間で消失し、また出現する時はその時の本体の容姿・記憶を新たにコピーされて出現するという設定が一品です。 また、設定だけでなく、手がかりや違和感の小出しがうまく、早く真相が知りたいという欲求が強い読書でした。 著者の本は以前『リライト』を読んだのですが、読者の気持ちを考えられているような作りが良いです。 伏線や設定も良く考えられていて、とても印象に残る作品でした。面白かったです。 好みの話なので☆8+1で。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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読み終わって、何だこれは・・・。と、放心。
あらすじにて最悪と銘打っていましたし、こんな事も起きるだろうなと思いつつも、読まされるとなかなかの衝撃です。 タイムトラベルもので、過去が変わってしまった所から始まり、同級生も謎の死を遂げていき、何が起きたのか?と、この手の本が好きな人にとっては見慣れた設定です。 ラベンダーの香りがする錠剤で時間を移動する設定など、筒井康隆『時をかける少女』を筆頭に、時間移動を扱う、いくつかの本を感じますが、それらとは違う独特の味がありました。 章区切りで、1992年、2002年、1992年、2002年…と時代を交差させて話が進みます。 小説で最後に収束するよくある構成と感じるのですが、本書の面白い所は冒頭より過去が変わってしまった謎を活かし、前後の話の辻褄が合わさっていないと感じる所です。読み進めても自分が理解していた設定と異なっている気がして、なんだか嫌な感じで混乱します。過去が変わっていく不安感を読者へ巧く体験させていると思いました。 伏線回収の良い点とは逆に、タイムパラドックスについて細かな設定や矛盾を感じる粗さがあります。 それを覆い隠すかのように勢いよく話を展開して力技で押し切られた気持ちもありますが、読了まで良い意味で呆然とさせられ記憶に残る作品となりました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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これは好みの作品ですね。埋もれてました。
冒頭から始まる『無重力空間での墜落死』という不可解な状況の提示は魅力的です。 宇宙ステーションが舞台なのでSFとなりますが、何でもありの奇想のSFではなく、ほんの少し先の未来が舞台である現実的な世界を描いてます。 また、理系用語豊富ですが教養範囲。特殊なものは丁寧に説明されています。 ライトノベルも描く方なので、キャラの気持ちも入りやすい。 本書は初心者から楽しめるSFミステリだと感じました。 なんとなく、森博嗣『すべてがFになる』の設定や雰囲気を色々と感じましたが、 S&Mシリーズが好きな方には本書も好まれると思いました。 事件の魅力も然る事ながら、テーマ性もよかったです。 『ミラーワールド』と表現された、現代で言うインターネットのバーチャル空間においての相手との対話。 相手は人なのか人工知能なのか。人の死後、その人の情報はネット中にどのように存在し続けるのか。と、語りかけられるテーマに面白く触れられました。 2作目の『海底密室』にも話題として出てきましたが、ネットと言う新たな世界での『人の存在』を意識させられました。 SFを読みなれていないのもあって、宇宙での表現方法が新鮮でした。 気に入った所を引用しますと、 >舞依の瞳から、涙がこぼれた。地上に比べて、ほんの少しだけ、ゆっくりと流れ落ちるその透明な液体を、凌はとても綺麗だと思う。 重力の違う宇宙空間にいる事を感じさせる表現が素敵です。 シリーズをもっと読みたいのですが、無いのが残念。 よい作品でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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読後最初の一言は、うあ。何だこれ……っと、
個人的に衝撃を受けたので点数甘めで。 表紙と序盤の雰囲気やセリフ回しからは、まったく想像出来なかった展開。 ミステリと言えばそうだろうし、 青春小説ともSFともホラーとも恋愛とも哲学書とも好きなように感じられる。 過去にどんな作品に触れてきたかで、 類似作品をいろんなジャンルから思い当たるのではないだろうか。 それらがたった200数ページのボリューム内に混在している。 作中に出てくる二見が天才最原のコンテに触れた時の表現通り、 この作品は一気に読まされました。 題材の映画を論じる場面にて、 何千万人を感動させるには?そもそも感動とは何か? どうやって伝えるか。興味深い話がでてきます。 メタ要素もありますが、読後に思った事は、 作者は読者がここを読んだらこんな反応になる。という事を 想像ではなくて確信をもってやっているような気がしました。 表紙やラノベのキャラ色が出ていたり、 ギャグが合わないと思うかもしれませんが、 それもそういう読者の感情を狙って引き出しているとしたら・・・恐ろしいものです。 ミステリと思ったり青春モノと思ったりと、 何かを希望し思いながら読むとその望みは叶わなそうです。 短い小説なので何も意識せず作品に触れてみるぐらいが良い読書な気がします。 作品の作り方、感じさせ方、読者が受け取る感情の多様性。 内容の外側に驚きました。 著者の『2』が読みたいのですが、 その前に過去作を読んでおくのが良さそうなので少し追っかけて読もうと思いました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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タイトルを初めて見た時の印象は、なんか捻りがなく地味で冗談かと思いました。
本格物という噂を耳にした事をきっかけに、あまり期待せず読み始めたのですが、 読み終わって見ると久々に推理本を読んだ満足感が得られました。 『体育館』の単語があまりに日常に馴染み過ぎて最初気づかなかったのですが、 体育『館の殺人』で、館モノですね。 広々とした体育館で起きる密室殺人。足跡ではないですが雨が降り、 残された1本の傘からロジックを展開していく流れなど、好み満載でした。 アニメオタクの探偵役によるアニメネタが随所にあったので、 ここは好みが分かれそうですが、 ライトノベルが流行っている現代では、このテイストで学園ミステリを扱う本書によって 本格推理の楽しさを若い世代に知ってもらえたら良いなとプラスに感じました。 ロジックの見せ所が豊富でありながら、所々探偵のノリで端折る荒を感じるのは確かですが、 私はそこまで問題にせず若い作者のデビューの勢いを感じる作品でした。 ベテランになるほど荒の出る作品が出し辛く穴を突かれ批判されやすくなる故、 結果こういう推理物の楽しさを感じる作品の出会いが少なくなり、 古典や新本格頃の作品に目を向けてしまいがちでした。 なので現代でこの作風の本書が出てきた事に嬉しく思います。 2作目の期待が高まってプレッシャーになりそうですが、 作者受賞の言葉にある通り、また好きな物を書いてもらいたいなと思います。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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殺人者のアイドルが誰かに過去の事件を告発される現在のパート。
始まりの物語。演劇ユニット羅針盤結成の過去のパート。 現在と過去を章仕立てで入れ替える構成はよく見ますが、 本書は効果的で魅せ方がすごくよかったです。ミステリの謎や少女達の物語も面白く読めました。 過去パートでの少女達の前向きで勢いある青春物語を楽しむと同時に、 仲間として笑い合い助けあう4人の羅針盤のメンバーの中で これから悲劇が生まれる未来が予め提示されているので、 一体誰が誰をどうして?と言った疑問が悲しく付きまといました。 沈む気持ちもあるのですが、 それを補える良さがたくさんある作品でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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好みの小説で満足です。
記憶を持ったまま10ヶ月前の自分へ戻れる。 前半はそんなことが本当に可能なのか?と、選ばれたゲスト達が疑心暗鬼にかられます。 ただ、疑いつつも実際に体験したいという人間の心理・欲望が見えるのが面白いです。 恋愛にしても競馬でのお金儲けにしても、物ではなく、 物理的には存在しない情報や経験の重要性を再認識しました。 カオス理論のお話が途中にでますが、 初期動作が変わればどんどん未来が変化していく。 そして何がきっかけか分からないまま、ゲスト達が次々と怪死を遂げていく。 この不安要素の作りが巧くミステリの謎となっています。 この手の小説での既視感はあるものの、 それが変に裏切らない安定した面白さで、結末に至ってもこれは好みでした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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これは良かった。好みな要素満載でした。
魔法の世界も本格物も私の好みの内容。 期待が膨らみながら読みましたが、それに応える面白さだったので大満足。 魔法の世界とはいえ、いきなり突拍子もない設定が飛び出す訳ではなく、 あくまで読者に納得できる世界観を提示した上での物語なので理不尽に感じる事はありません。 事件の主題は、操りの魔術によりソロンの領主を殺害した人物を見つけ出す事。 魔法が存在する世界であろうと、<走狗>(操られた人物の事)は彼である。また彼ではない。と、 理由をロジカルに導く様が本格物であることを感じました。 その他、 不死の青年の密室からの消失の謎や、 呪われたデーン人との戦いなど読ませ所もあり、 ファンタジーの物語と本格ミステリを巧く融合させた一冊だと感じました。 またこの様な魔法の世界観に沿った新たな物語を読みたいものです。(続編ではなく) 良作でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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リンカーン・ライムシリーズ1作目。
ジェットコースター・サスペンスの名にふさわしく、 目まぐるしく事件の発生と捜査劇が展開され、 文庫上下のボリュームもあっという間に読めました。 ライムは卓越した頭脳を持つ元科学捜査官であったが、 事故で脊椎不随になり、動くのは首から上と左手の薬指だけ。 ベッドの上で死にたいと尊厳死を求める日々である。 医師より念願の死を受けられる前日に 刑事より不可解な事件の調査協力を求められ、妥協で1日だけ協力する。 安楽椅子探偵物にもなりますが、 科学捜査や知識の提示方法のスピードと緊張感が面白く、 またそれに負けないぐらいスピーディーに猟奇的な連続殺人が発生するのが見ものでした。 推理小説における謎が提示されて読者と一緒に考える。と言うスタンスとは違い、 読者が知らない科学捜査や事件の現場を体験する構成となってます。 ここが結構徹底されて作られていると感じた所で、 読者に考える時間を与えない。科学捜査であっても、難しすぎる用語は控え思考を停止させない。 知的好奇心を刺激する捜査と事件を頻繁に発生させる。 作り方が巧い。ジェットコースター・サスペンス。なるほどって思いました。 とても面白かったです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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圧巻のボリュームでした。
広範囲に情報量を散りばめておき、 それらがページを読むごとに絶妙に絡みあってきます。 読むごとに新しい発見があるので止め時が見つかりませんでした。 SF的な内容でもあるし、ミステリとしての面白さもある。 かと言えば人権、人種問題。戦争、核、サイバー脅威、科学などを使った 冒険物、アクション、などなど色々含まれています。 意外と凄いなと思うのが、専門的に話しつつも言葉が判り易く伝えられてますし、 登場人物が外人のカタカナ名であっても特長や名前が区別しやい事。 ストレスを感じさせない事が標準。というぐらい苦なく読ませる表現や文章作りは凄いです。 ネタバレなしで、 本書で一番巧く印象に残ったシーンは、 イエーガーたちが森の中でサル集団に出くわし、猟奇的な場面に出くわすシーンでした。 人間より知能の劣るものたちの争いを見つめる様、 ライフルで射殺し文明の差を表現する内容など。 2,3ページのシーンですが、本書全体をとても凝縮させて表現している1シーンだと感じました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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著者は関わる皆を大切にする刀自同様、
本書にでてくる人々をとても大切に温かく描いているのが印象的です。 ミステリの特性から事件を扱うにも関わらず、 すべてが気持ち良く丸く収まる様は本当に気持ち良い。 おばあちゃんが本当に良いキャラしてます。 価値観や物の考え方を伝えるインプット&アウトプット。 凛とした振る舞いの裏に見えた内なる悩み。 おばあちゃんが本当に魅力的でした。 なかなかの活劇で傑作です。 |
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ノベルス版「雪と魔術と殺人と」の改稿版、
「北斗の星」殺人事件を読みました。 ゲレンデのスピーカーから突如鳴らされたジングルベルの音楽と共に サンタクロースの帽子を被ったロウ人形の首が現れる。 異様な雰囲気で始まる雪の山荘物です。 90年代始めのころの本書。 世の中オカルトが流行っていたのもあり、 悪霊が人に乗り移り、勝手に手が動き出してしまう所など、 今読むと首をかしげてしまうシーンが現れます。 が、第2、第3の非現実すぎる出来事が続き、 一体どんな真相なのか。まとまるのか?と不安になりますが、 ラストの真相はなるほどと納得。 なかなか面白かったです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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剣と魔法の世界に君臨する圧倒的な存在である不死身の竜が刺殺されてしまった。
誰がどうやって?何のために……。 全体を通してRPGをしているような旅のお話。 旅の目的は竜事件の真相解明の為、事件前に竜に会ったとされる容疑者達に会いに行く事です。 容疑者1人毎に章が設けられていますが、 その各エピソードがそれぞれ面白く、 個性的なキャラクターやファンタジーの世界観に楽しく浸れました。 普段ファンタジー物を読まないのもありますが、 コテコテな展開なので分かりやすく気軽に読めたのもよかったです。 この旅の雰囲気に竜が殺されたという、 世界観ならではの不可能犯罪が足され、 先が気になり一気読みでした。 あんまりミステリに拘ると肩透かしをくらう恐れがあるので、 世界観に浸る気軽な気持ちで読んでもらいたい1冊でした。 とはいえ、なかなかの伏線の入れ方と真相でした。 シリーズ物なので他のも読んでみたいと思いました。 (真相でおかしいなと感じる所があったのですが、それはネタバレで) ▼以下、ネタバレ感想 |
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瞬一郎より、著者の日本語や芸術、教育思想にいたるまで、
思いを強く代弁させている印象を受けました。 日本語の美しさや表現力、ルビの扱い、文学の歴史など 読んでて嫌な気持ちにならなず、色々と良い面で再認識させられました。 瞬一郎の作中作「花窗玻璃」に至っては 物語を表現する文体まで芸術化を目指したんだと 著者の意気込みを感じました。 美術好きには蘊蓄かつ、それが参考書で目にするような類ではなく、 著者自身の新しい考えとして聞けるのが、たまらなく面白かったです。 そして、これらがタダの衒学にならずに事件に結びつく所が毎回凄いと感じる所です。 シリーズ通して本作も芸術(今回は美術)の分野で事件構成、 トリックに至るまで表現するのが本当に凄い。 コンセプトと作風の統一が凄いなと思いました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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