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egut さんのレビュー一覧
egutさんのページへレビュー数239件
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囁きシリーズや館シリーズで感じていた
著者の雰囲気を十分に堪能できた作品でした。 ただ、いろんなランキングなどに取り上げられた事が 私には余計な期待を持ってしまい、本格物ではなかった印象が、 物足りなさを感じてしまいました。 そんな事を考えた時に、ふと十角館の当時の事を思い出しました。 私は十角館でミステリの小説にハマった口ですが、 その頃、身の回りにいた私よりも年配で乱歩や横溝、 黄金期の海外ミステリを多く読まれていた読者の方が 十角館をあまり好んでいなかった状況がありました。 この時の感覚がそのまま10年単位でスライドしたんだと思いました。 今の若い世代がどういう物が好みかを研究把握され、 それらの事を巧くミステリに取り入れ昇華している。 そんな事を感じました。 アニメやコミックなど複数のメディア展開など、 これを機にミステリが好きな世代が増えればよいなと思う所と、 デビューから20年経った状況で同じ事をやってのける著者の偉大さを感じた気がしました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ハイジャック中に起きた謎の殺人事件。
飛行機内の閉鎖空間で何が起きたのか? と、証拠検証や推理、 議論していく展開はとても面白く読めました。 ですが、ハイジャックやこの特殊な空間は 物語の為の舞台設定で必要なのはわかるのですが、 空間内の雰囲気にとても違和感がありました。 200名以上の人質がいる中の緊迫感はなく、 腕に抱いている赤ん坊は最初から動作なし。 (ぐずって泣いたり、暴れたりしないのかな?) 純粋に謎解きを楽しめるように、パニック状況を極力省き、 ハイジャック中と言うことを忘れない程度に イベントを挟む苦労を感じてしまいました。 読んでいて楽しいのですが、 臨場感のない奇妙な違和感には馴染めませんでした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ネット世界で知り合った面々が、役を演じながら架空遊戯を行うアイディアが良いです。
人物も匿名。それぞれの発言も本心の言葉なのか、役を演じているセリフなのか分からない。 この先どんな展開になるのか読めない魅力があります。 また、見慣れた古典的なミステリを感じさせつつも、 描かれる情景は現代的で文章も読みやすい為、 これからミステリを読む人には薦めやすい本だとも思いました。 個人的な好みとしては、閉じ込められたクローズド・サークルで 場面展開や他者が介入する街中の移動などを無くし、 制限された空間での架空遊戯が見たかったかなと思う所です。 ただ、そう言った限定した空間の殺伐とした雰囲気と本書は違う位置にあり、 爽やかで綺麗にまとまった作品でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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読後に感じるタイトルが非常に一品です。
罪と罰、自己、相手を思う気持ちなどの心の量りを巧く表しています。 各々の考え方が異なる難しい気持ちを、 秋山先生がぼくに語るようにやさしく丁寧に描かれていました。 純粋な子供心によるぼくの考え方。 物事の経験を得た大人の考え方をする秋山先生。 持っている量りが異なる通り、ぼくの最後の決断は私自身が予想外なもので、 かつ、残念に思いました。 残念と言うのは内容や何かに期待していた意味ではなく、 この気持ちは秋山先生とシンクロしているものだと思います。 とても良い作品なのですが、 考え方の違いと好みによりこの点数にしました。 |
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奇術師の集まる客船ウコン号で起こる奇妙な連続殺人事件。
著者自身が奇術師なのもあり、奇術の情景が良く描かれたミステリです。 また、言葉遊びを用いて回文を散りばめているのが面白いです。 これは、とても泡坂作品らしい作品だと感じました。 背景はちょっと重めな話を扱ってたのですが、 呑んだくれのダメ奇術師と若くて美人の弟子のコンビや 回文遊びなどが相まってユーモアな作品に仕上がっていると思います。 見出しを簡単に抜き出すだけでも 期待を抱き、危険劇、どこまで真(まこと) と言った具合に回文尽くしです。 奇術と回文を巧く用いた作品でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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絵画の世界や過去の世界の住人に精神が乗り移り、その世界で事件に遭遇する。
不思議な世界の短編集です。 なんともいえない特殊な設定を、硬質に感じる文章で描かれていて少し苦手でした。 ただ、序盤を乗り越え、作風に慣れた頃に挟まれた表題の「ゴーレムの檻」。 これは面白かったです。 檻の内側と外側の空間を反転させると謎の言葉を残して消失した 密室トリックとその動機が斬新でした。 短編集最後に収録された、現代版「ゴーレムの檻」の太陽殿のイシスも 物語の作りが巧い。 序盤、慣れが必要でしたが独特の雰囲気が面白い作品でした。 |
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とりあえず、"殺人事件"を付けてみました。
と言わんばかりの、サラリーマンを対象にした娯楽小説。 主人公は30歳。上司と後輩に挟まれた位置にいるサラリーマン。 アクセク会社の為に一生懸命に働き、休みたいのに休むのが怖い。 仕事の苦悩、家庭での奥さんとのすれ違い。 そんな心境を共感する読者がターゲットだと思います。 一応、登場する人々の場である会社で殺人事件が発生し、 ちゃんと推理をして犯人を導く内容はあるのですが、 ミステリーの要素は少なめです。 なんというか、飲み屋で聞きそうな愚痴、共感してほしい悩みなどが たくさん吐き出されている本でした。 以下、本編とは関係ない雑文です。 ネタばれでもなく、あえてミステリとしてこの本を深読みしてみると、 サラリーマンの苦悩の果てに発生する事件の真犯人は"会社"であるとも感じます。 本文中にも出てきますが、「会社に殺される。」という比喩の活用で、 意外な犯人=会社という構造が面白いと思いました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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トリックメーカーの著者が仕掛けた連続する不可能状況+密室劇。
ドアの開かなくなった事故車から出てきたのは、無傷の男性と内臓を取り出された女性。 事故の直前にすれ違ったドライバーは2人は生きていた事を証言する。 この不可能状況から一気に魅了されました。 その後も関係者の屋敷で起こる怪奇現象や新たな密室。 前作の武家屋敷の殺人を読んだ時の楽しさ同様、 1冊の中にいくつもの仕掛けを施した贅沢な作品でした。 ただ、トリックの奇抜さはとても楽しかったのですが、 「そうだったんだ!」と驚かされたわけではなく、 「そんなことがあったんだ…」と傍観者の気分での読了でした。 何となく思うところですが、 読者が探偵と刑事達から離れた位置で情報を零れ見ている距離感があり、 気持ちが事件に深く介入してなかった気がします。 なので真相を聞いても驚けなかったかな……と。 とは言え、第1の事件の真相のインパクトは強烈だったのは確かなので、 少し残念な読了でした。 それにしても著者からは本格やトリックに対する愛情が強く感じられ今後も読んでみたい作家さんになりました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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感想が難しい…。
内容とは関係ない感じた事の感想です。 本格ミステリ大賞作品ですが、 私にはその本格やミステリの印象よりも、 自分の中にある心の闇のようなものを浮き出された感覚を受けた作品でした。 ミステリの雰囲気で多くを語らず何が起きているか分からないまま話が進むのですが、 要所要所に出てくる単語から連想するイメージに後ろめたさや悪い事を勝手に想像してしまいました。 その連想する思考を持っているから、変な方向に勝手に振り回されて 怖がったり疑ったりしたわけで、 純粋な気持ちで作品を俯瞰して見るとなんでもないようにも思えたりと、 なんと言いますか、心理を操られた気持ちでした。 好みの面で点数は低いですが、こういう作品が書けるのは凄く、 他の作品にも惹かれる気持ちになりました。 |
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麻耶雄嵩氏の作品はたびたび、探偵の存在を問いかけるテーマが隠されていると感じます。
ミステリに探偵は必要ですか?と言ったニュアンスです。 本作での貴族探偵は"探偵"でありながら推理をしません。 推理して一同に伝えるなんて労働は貴族のする事ではないので信頼する優秀な使用人に任せる。と言ったキャラでした。 推理を放棄(断念?)するという要素の問い掛けは過去作でもありましたが、 今作では貴族という特徴を生かして変わった探偵を作りだしていたのが特徴的で面白いと感じました。 短編集に収まっている各話のタイトルも ワルツ王のヨハンシュトラウス2世の曲名からとられており、 貴族である優雅な雰囲気を引き出していると思います。 シュトラウス2世は個人的に好きな作曲家なので 物語にどう絡んでくるのかと淡い期待を抱きましたが、 そこはあまり関係が感じられませんでした。 貴族の扱いについても探偵の存在に活用されている傾向で、 事件の謎にはあまり関与してなかったのが個人的に残念でした。 貴族ならではの舞台や仕掛けが絡んできたらと、期待していた次第です。 物語の中では、こうもりが巧い仕掛けだと思いますが、 ロジカルに解決するのが目立つ加速度円舞曲が一番好みでした。 |
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1作目、2作目の期待とは違う方向へ行ってしまった作品。
好みの問題もありますが、とても残念でした。 雑誌掲載における連作の時間の中で、 1、2作目読んだ人へ意外性を与える為にとられた方法としては、この選択肢はアリで、 やろうとしている仕掛けやテーマは好感です。 ですが、全体的に事件やトリックなどの説明箇所が煩雑で、 こういう人たちだから。こういう設定だから。と、 理論的ではなく場や感触でごまかしてしまっている印象をとても受けました。 1,2作目を読んだ人が前提の補足作りです。 先出しフォローみたいで面白い表現が、 P145付近のザンギャ君が 『ざけんな』 と言って 頭狂人が 『実はこの反応が見たかったんだよ。今回はこれがテーマだった。 人間というのは結局、自分の価値観に合ったものしか認めたがらない生き物なんだね。』 と言う所。 頭狂人の気持ちが作者の気持ちで、 本書はこういう実験的なものがテーマだったんじゃないかなと思いました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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幻想的といいますか宗教的といいますか、
本編にもあります蝋燭の炎の揺らぎの様な、 輪郭が定まらない不思議な世界でした。 ミステリのわかりやすい要素を挙げるとしたら、 穹廬(テント)の中でおきた密室殺人ですが、 このトリックも本書の不思議な世界により意識がぼやけ、 大胆な仕掛けが見えなくなってました。 端的に述べられる文とそこから生み出される幻想とで 不思議な魅了を受けます。読後の余韻も不思議なものでした。 |
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ラストで覆る5つの物語が入った短編集です。
ミステリの醍醐味でもある最後に世界が変わる様が味わえるのは良かったです。 気軽に読みやすい『恋煩い』『嘘つき紳士』が好みでした。 『妖精の学校』については、調べてから色々考えさせられた話で深いなと思いました。 『終の童話』に至っては私の中での北山さんらしい一面が強く感じる作品でした。 物理の北山と言われてますが、こういった幻想や童話的な世界感の下地があるから現実的な物理ものが強調されるんだろうな。 そんな事を感じました。 |
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仲間の汚名を明日までに解決できるのか?と、
タイムリミットがある内容ながら慌ただしい話になっていないのが印象的。 内容の展開は確かに早いのですが、重みのある会話。地道な捜査。 根強い仲間の協力を得る事で淡々と事件の概要を把握して行った為、 ずっしりと重みを感じる内容でした。 ただ、地味なので好みに合わないのが正直な所です。 警察小説ってどんな本?と聞かれればこの本が出るのも頷ける作品でした。 |
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独白する…を読んだ後にページ数が少ない短編集をさっと読んでみようと手に取りました。
ミステリではないのは分かっていた上での読書と感想ですが、 この良い意味で不快な表現力はやはり凄い。たまに読みたくなる変な中毒性を感じました。 |
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