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あんみつ さんのレビュー一覧
あんみつさんのページへレビュー数119件
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北鎌倉で栞子と五浦がひっそり営む「ビブリア古書堂」。
以前、田中敏雄は太宰治『晩年』の初版版をめぐり、栞子を階段から突き落とした。 田中の執念を危惧した栞子は、偽物を本物に見立てて燃やすことで田中を出し抜き、本物を死守した。 その田中が仮出所した途端、栞子に田中名義の脅迫状が届く。 しかし、田中に会うと脅迫状など知らず、そのうえ奇妙な依頼まで。 依頼は栞子のものとは別の、祖父・田中嘉雄が所有していた『晩年』の捜索。 署名がないにも関わらず、太宰のものとわかる書き込みがある珍本らしい。 本を追ううち、二人は四七年前の稀覯本盗難事件に辿り着く。 そこには田中の祖父・嘉雄だけでなく、五浦の祖母・絹子、そして栞子の祖父・聖司まで関わっていた。 これは何かの因縁なのか。 はたして四七年前の真相は。 そして今回の事件の真相は―・・・ 今回は長編古書ミステリです。 メインは太宰治『晩年』。 一巻の田中敏雄の事件の延長になります。 一巻は五浦絹子サイドが明らかになりましたが、今回は田中嘉雄サイドが明らかになります。 五浦家と田村家の繋がりはともかく、今回はそこに篠川家も関わり、巡り合わせというか、因縁めいたものを感じます。 これまでシリーズ通して五浦くん、栞子さん、そして周りの人々の過去や謎が判明してきました。 今回は嘉雄だけではなく、篠川聖司、そして「ビブリア古書堂」の過去が少し判明します。 さらに、四七年前の事件の因縁が、どうやら智恵子の過去に繋がりそうな気配です。 五浦くんと敏雄はやはり気が合うようですが、それはどちらも嘉雄の孫だからなのでしょうか。 それとも絹子と嘉雄の気が合ったからなのか。 五浦くんは栞子さんしかり、敏雄しかり、業が深い本の虫と気が合う気質なんでしょうか。 栞子さんと五浦くんがお付き合いして、文香ちゃんとしては嬉しかったんでしょう。 それにしても口が軽すぎですが(笑) まさかの昴くん登場に、五浦くんが来てからの「ビブリア古書堂」の人の輪の広がりを改めて感じます。 各々の家の過去や因縁、智恵子の真意もですが、何といっても二人の行く末が楽しみです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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北鎌倉の片隅で、栞子と五浦が営む「ビブリア古書堂」。
とうとう五浦は栞子に自身の想いを告げたが、栞子の答えは「今はただ待ってほしい」。 ついギクシャクする二人を取り持つのはやはり古書。 古書を通じて、残す者・残される者の想いや繋がりを知る。 そして栞子は、五浦の想いに答えるため、母・智恵子と対峙することに。 なぜ栞子は智恵子と会わなければならないのか。 栞子の出す答えとは―・・・ 今作は連作短編集になります。 これまでしのぶさん、井上さんの過去が明らかになってきました。 今作は志田さんの過去が少し明るみになります。 さらに、これまで名前のみ登場していたリュウちゃんが登場します。 第一話は面白いです。 古書の折り目や印付けから、持ち主の個性を読み取り、そこから謎を紐解きます。 何だか原点回帰っぽいというか、あまりエスパーな推理じゃない気がしてよかったです。 一方で第二・三話はあまり印象に残らなかったです。 話の好みや登場人物の好みの問題かもしれませんが。 でも今作で一番気になっていたのは、古書の謎でも智恵子の謎でもなく、栞子さんの答えです。 個人的に前作ほどは面白く感じませんでしたが、それを知るだけでも読んでよかったです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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北鎌倉の片隅で、栞子と五浦がひっそり営む「ビブリア古書店」。
二人は最近、古書取引だけでなく、古書にまつわる謎解きも請け負うように。 ある日、二人に謎めいた依頼が来る。 依頼主は江戸川乱歩の貴重かつ膨大なコレクションを譲る代わりに、金庫を開けてほしいという。 金庫を開けるには持ち主の、そして江戸川乱歩の謎を紐解かなければならない。 難航する中、母・篠川智恵子が現れた。 智恵子は栞子に対し、乱歩のコレクションが欲しいならば、自分より先に謎を解けと煽る。 思いがけず、栞子と智恵子の知恵比べの様相を帯びてくるが、智恵子の真意は何なのか。 そして、乱歩のコレクションを手放してでも開けたい金庫の中身とはいったい何なのか―・・・ シリーズ初の長編ミステリです。 メインとなる作家は日本の推理小説の礎である江戸川乱歩! 乱歩を取り扱うだけあって、シリーズ一ミステリ色が強いです。 「金庫解錠」自体がミステリらしいですが、解錠のための手がかり探し、隠し場所、暗号、どんでん返しと、ミステリ要素が結構あります。 そこに乱歩に対する敬意、説明、蘊蓄が上手く織り混ぜられています。 シリーズの謎も、新事実が判明する一方で、また深まっています。 本作ではとうとう母・智恵子が登場します。 ヒトリ書房の井上さんも登場し、智恵子との過去の因縁が明らかになります。 また、シリーズ通して読んでいる方は、栞子さんと五浦くんの進展も気になるでしょう。 本作で五浦くんがとうとう一歩踏み込みます。 それが正直、一番の驚きです(笑) うつし世はゆめ よるの夢こそまこと 乱歩のこの言葉は、本作の印象そのものかもしれません。 栞子さんの想いと智恵子の意図、次作が楽しみです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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北鎌倉の片隅でひっそり営む古本屋「ビブリア古書堂」。
店主は美人だが非常に人見知りな本の虫・篠川栞子。 店員は本が好きだが読めない体質・五浦大輔。 栞子は本に関してだけ饒舌で、そんな栞子の話を大輔も興味深く聞き入り、二人は上手く店をまわしていた。 前作で父娘を捨て、出奔した母・篠川智恵子の存在が明らかになった。 大輔は少しずつ栞子と距離を縮め、栞子の母親への複雑な想いを知った。 そんな中、二人はまた古書に秘められた謎を紐解いていく。 何の因果か、持ち込まれる古書は母親について考えさせるもの。 母親はなぜ出て行ったのか。 栞子は古書を通して何を想うのか。 そして大輔には何が出来るのか―・・・ 前作同様、古書ミステリの連作短編集です。 前作で栞子と母親との因縁に少し触れ、母親のフラグ立てをしています。 今作ではフラグ回収にまでは至りません。 しかし、謎を解き明かす過程で、母親の存在が見え隠れし、母親について考えさせられます。 また、栞子だけではなく、父親や文香の母親への想いも少しうかがえます。 これまではどちらかというと、古書を通して間接的に栞子の謎を追っていましたが、今作は母親の謎を追っていきます。 3巻から読む人はそうそういないとは思います。 1巻の時点ではあまりシリーズ化を考慮していなかったのか、2巻へのフラグや流れはあまりありません。 2巻には前作の流れなどが割合丁寧に記されており、2巻からでも読めなくはないです。 しかし、2巻から3巻にかけてはシリーズ化され、2巻から継続の謎や流れがあります。 栞子の母親の謎に迫るため、母親を知る新キャラも登場しますが、1巻からのキャラも結構出ます。 是非、順番通りに読んでください。 やはりミステリというより、青春小説、古書雑学小説の印象が強いです。 今作は古書そのもの雑学だけでなく、古書の流通システムについても触れており、勉強になります。 前作ではあまりミステリにおける人の業のようなものはあまり感じません。 しかし、今作では心温まる話と、人の業を思わせる話とが混在しています。 人々は古書を通して失くしたものや、寂しい想いを埋めようとしています。 篠川家の場合はそこに母親が大きく影響します。 母親に関しては仲良し姉妹でも、というか、姉妹だからこそ折り合えないことがあるようです。 また、母親を知る人は、安易にその話題に触れることがきません。 そんな中、母親について知らず、本の世界に引きこもる栞子に知らず影響を与える大輔がどのような役割を果たすのか、次作が楽しみです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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北鎌倉の片隅でひっそり営む古本屋「ビブリア古書堂」。
店主は美人だが本の虫・篠川栞子。 店員は本が好きだが読めない体質・五浦大輔。 栞子は非常に人見知りな性質だが、大輔は本に関して素人ながらも無骨で優しく、そんな大輔とは良好な関係を築くことができた。 今回も持ち込まれた古書と持ち主をめぐる想いと謎を紐解き、そのなかで二人はまた一歩近付いたと思われた。 しかし、どうやら栞子には複雑な事情があるようで―・・・ 1巻同様、連作短編集。 所謂「人の死なないミステリ」であり、そのなかでも古書に関するミステリです。 1巻同様文章は読みやすく、古書に関してもよく調べられていて、丁寧に作り上げられたことが感じられます。 ただ、正直ミステリという印象はあまりありません。 栞子の推理はもはやエスパーのいきではないかという気がします。 ミステリというより、栞子と大輔の青春小説、または古書雑学小説の印象が強いです。 青春小説としては、二人とも二十歳を過ぎた大人ですが、中高生の初心な恋愛のようで微笑ましくなります。 古書雑学小説としては、純粋に勉強になり、面白いです。 1巻を未読でも読めなくはないです。 しかし、1巻の知識がないと、なぜ人見知りが激しい栞子と大輔が共に働けているのかわかりにくいです。 また、1巻の登場人物が結構出てきますが、その人物とビブリア古書堂との関係もわかりにくいです。 そのため、1巻から読むことをおすすめします。 ただ、難点をあげれば、栞子が少々あざとい気がします。 また、巨乳情報が少々しつこい気もします。 軽くサラッと読める小説です。 あまりミステリ感はないですが、青春小説・古書雑学小説として面白いです。 個人的には青春小説として、続きも読みたいと思います。 |
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オーストラリア日本語学校のグループは、千年岳へヘリスキーを楽しみに訪れた。
その千年岳スキー場では、“ワームホール”によるタイムスリップ現象が噂されていた。 ヘリスキーに興じる一行は、ある人物の企みにより、“ワームホール”がある方へコースを外れてしまった。 憤るなか、突然一人が不可解な死を遂げ、一行は憤るどころではなくなってしまった。 さらに、吹雪を避けるため避難した山小屋には、一行の凄惨な最期を記した“未来手帳”があった。 手帳の主は、“ワームホール”を抜けてきた未来の一向の誰からしかった。 一方、東京ではラブホテルでホテトル嬢が惨殺されるという、連続殺人事件が起きていた。 犯人は通称“キラーエックス”。 一体一行を狙う犯人は誰なのか。 一行の中の誰かなのか。 それとも“ワームホール”を抜けてきた未来人か。 はたまた“キラーエックス”なのか。 そもそも“ワームホール”は存在するのだろうか―・・・ 長編推理小説で、スキー一行・行方不明の友人を心配するグループ・キラーエックス・警察の4つの視点で展開します。 いわゆるクローズド・サークルものですが、上手く“ワームホール”を活用し、一工夫しています。 一行は“ワームホール”なんてありえないと思いつつ、そうなると仲間内に犯人がいることになってしまう。 どうにか外部に犯人を求めたいと葛藤します。 また、“未来手帳”は“ワームホール”に信憑性をもたせつつ、一行の不安を煽ります。 手帳を読めば、後の展開を予測し、対策を練れるかもしれない。 けれど、そこに自分の死が記されているかもしれないと恐れます。 一行が遭難し、手帳通りに殺害されていく展開はハラハラし、面白いです。 しかし、ラストは少しいただけないかなと思います。 トリックに無理があるというのは、他のミステリでもあるので、まぁ話が面白ければいいかなと思えます。 ただ、“ワームホール”というタイムスリップものを扱うならば、時系列は整然とあってほしいです。 正直、時系列がわかりにくいです。 途中はとても面白いのですが、ラストで少々粗っぽい印象になってしまいます。 ミステリ好きの方の中には、トリックやラストに納得できず、好まないかもしれません。 しかし、個人的にはクローズド・サークル特有のハラハラ感もあり、“ワームホール”や“未来手帳”でさらに不安が煽られ、面白かったです。 本作がキラーエックスシリーズの2作目と知らず、先に読んでしまったので、次は1作目を読みたいと思います。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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25の推理短編集です。
1つひとつが10頁以内で、問題編・解答編で構成されています。 問題編はただ問題設定・謎の呈示ではなく、ショート・ショートとして楽しめるようになっています。 登場人物の名前などに、作者の遊び心もあらわれています。 解答編に進む前に「読み進める前に、ちょっと考えて見てください」と間を置き、解答は頁をめくらなければ読めないよう、謎解きを楽しむ「探偵」に親切なつくりになっています。 「フーダニット(犯人探し)」「手がかり探し」「ハウダニット(方法探し)」「暗号」「倒叙」。 ミステリはだいたい先の5パターンに分類されますが、本作は全て網羅しています。 解答編はえっと思うものもありますが、割合良質なオチばかりだと思います。 さらに解説では神保博久氏が25のミステリを5パターンのどれにあたるか分類し、独自の難易度を示しています。 自分の得手不得手がわかるかもしれません。 例えば私は難易度に関わらず、「暗号」に弱いようです。 期待以上に面白かったです。 気軽に、かつ楽しく頭の体操ができるといった感じです。 ショート・ショート、ミステリとして楽しみ、解説で自己分析して楽しむと、2度楽しめた作品です。 |
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東京ドームでの巨人阪神戦。
5万6千人の観衆がひしめく中、一人の観客が殺された。 大勢の人がいながら、誰も試合終了まで殺人に気付かなかった。 その後もドーム側は試合を中止せず、観客も減らず、被害者は増えていった。 いったい犯人はどうやって警察と観衆の目をかいくぐり、殺害したのか―・・・ 先のあらすじでは犯人はどうやって云々述べましたが、犯人視点が割合多いです。 そのため、殺害方法や動機は序盤でわかります。 サイコサスペンスというか、とにかくミステリー色は薄い気がします。 観衆下での殺害にあたり、どんな緻密な計画・計算がなされるのか期待しましたが、そのあたりもあまり。 犯人以外の思惑が絡みだし、これから面白くなるかもというところで割合あっさり終わってしまいます。 岡嶋二人氏にしては、正直可もなく不可もなく、サラッと読む作品かなと思います。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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北島早苗はホスピスで働く精神科医。
恋人の高梨は作家兼投資家で、生活に余裕がある裕福な男性であった。 しかし、余裕故に考える時間が有り余る高梨は、死恐怖症を抱えていた。 早苗はそんな高梨の影に魅かれる一方、支えたいと考えていた。 そんな中、高梨は新聞社主催のアマゾン調査隊へ参加することになった。 早苗はこの参加が高梨の精神に良い変容をもたらすことを期待していた。 しかし、帰国後の高梨は別人の如く、死恐怖症から死愛好症へと人格変容していた。 しかも、高梨は時折「天使の囀り」が聞こえると言い出した。 早苗は高梨の精神分裂症を疑うも、微妙に当てはまらなかった。 そんな最中、とうとう高梨は自殺してしまった。 それも異常さを遺して。 調べるうち、他の調査隊メンバーも異常な自殺をしていることがわかった。 さらに調査隊ではないにも関わらず、異常な自殺者が出てきた。 いったい何が起きているのか―・・・ とても面白く、そして恐い小説です。 ミステリーかホラーか、サスペンスか。 ジャンル分けが難しい小説でもあります。 しいて分ければコレというものはあります。 しかし、それはネタバレに直結しますし、それ故に筆者も参考文献等を詳しく載せていません。 心霊怪奇的恐さでも人間心理的恐さでもありません。 似たような事態が絶対に起こりえないとはいえない恐さがあります。 先にジャンル分けが難しいと述べましたが、ホラー的恐さやミステリ的ドキドキ感がないわけではありません。 しかし、それ以上に生理的嫌悪感を覚え慄きます。 異常な自殺というだけあって、死に方は非常に凄惨です。 遺体の有様は勿論、心理描写、情景描写、原因・核全て想像すると非常に気持ち悪いです。 一見普通の主張のようでどこか支離滅裂な文章は、気持ち悪い一方で、筆者の文才を感じます。 話が進むにつれ自殺者も増え、当然ながら凄惨な描写も増えますが、続きが気になってしまい、つい読み進めてしまいます。 ただ、説明文が少々難しいうえ長いので、だれてしまいます。 ある程度必要な説明なのは理解できます。 しかし、話が大きく展開する中盤辺りまでは、だれて読む手が止まりがちになります。 また、最後の展開は何となく予想出来てしまいました。 嫌いなラストというわけではありませんが、他の方のレビューを見る限り、筆者の小説を多数読んでいる方はラストの予想が容易かもしれません。 とても面白く、そして恐い小説です。 心臓がキリキリ、身体がゾワゾワする不安や嫌悪感満載です。 凄惨な描写が大丈夫という方にはオススメです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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北鎌倉の片隅でひっそり営む古本屋「ビブリア古書堂」。
店主は篠川栞子。 栞子は淑やかな美人だが、非常に人見知りでとても接客向きではない。 しかし、古書への愛と知識は並大抵ではない。 栞子は古書に関することとなると、人が変わったように堂々と、情熱的に語りだすのである。 一方、五浦大輔は「本が好きだが読めない体質」。 祖母の遺品を整理していると、夏目漱石全集の一冊にサインらしきものが。 そこで、五浦はビブリア古書堂へ鑑定を依頼することに。 すると、栞子は持ち込まれた古書を見、五浦の話を聞いただけで、古書と祖母にまつわる謎を解き明かしてしまう。 「人見知りな本の虫」篠川栞子と、「本が好きだが読めない体質」五浦大輔。 この一件を機に、二人は古書の秘密に触れ、解き明かしていく―・・・ 所謂「人の死なないミステリ」形式の連作短編集です。 古書にまつわるミステリです。 古書には本の著書や内容だけでなく、数多の持ち主を経た歴史、そしてそれに伴う秘密という魅力があります。 また、栞子と五浦の青春小説でもあります。 面白い小説だと思います。 人物は割合魅力的ですし、文章も読みやすいです。 各話も全編通しても、伏線等々、綺麗にまとまっています。 難点を上げれば、何となく展開が読めてしまう点でしょうか。 また、ミステリらしく、人間の業がないわけではないのですが、あまり深みを感じません。 良くも悪くも綺麗で軽い気がします。 そのため、深く印象に残る一冊ではないかなと思います。 決して面白くないわけではありません。 古書に着目している点も面白いです。 著者の古書への想いや、本作を丁寧に作り上げたことが感じられます。 重厚なミステリではないですが、軽くサラッと読むミステリとしては良いと思います。 個人的にはミステリとしてより、青春小説として続きが気になります。 軽いミステリを求めている方、ほのぼのとした青春小説を求めている方にオススメです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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売り出し中の新人歌手・結城ちひろ。
彼女はゼネラル・フィルムの新商品『パチリコ』のイメージキャラクター。 その日はテレビ局でCM曲を唄う予定だった。 同日、警察に結城ちひろ誘拐の匿名電話がかかった。 多くの人が出入りするテレビ局で、人目をひくタレントの誘拐などありえない。 そう思った矢先、結城ちひろが誘拐された。 彼女を心配する両親やマネージャー。 被害者保護と犯人確保を狙う警察。 しかし、被害者がタレント故に、関係者はそれだけではすまなかった。 芸能プロ・広告業界・スポンサーそれぞれの思惑と駆け引き。 そしてそれに踊らされる大衆によって捜査は混乱した。 はたして犯人はどうやって白昼堂々、タレントを誘拐し身代金を得たのか。 そのトリックは、そして犯人は―・・・ あらすじにある通り、誘拐ミステリです。 今回の舞台はコンピュータでも競馬でもなく、テレビ・広告業界。 本作は誘拐トリックだけが主軸ではないと思います。 「何故」犯人は人目をひくタレントを誘拐したのか。 「何故」犯人はこのようなトリックを用いたのか。 それも勿論重要なポイントです。 しかし、それと同じくらい、テレビ・広告業界の危うさやえげつなさがえがかれています。 関係者はなかなかに下種で、人命・人権より宣伝・視聴率が重要な様子も結構本作の幅を占めています。 関係者の思惑に邪魔され、警察はストレートに犯人追跡が出来ません。 しかし、そういった駆け引き・思惑は犯人・トリック推理の目くらましだけではなく、鍵にもなっています。 ただ、二点ほど気になることがあります。 まず、犯人の動機が弱い気がします。 次に、犯人の狙いやトリックは緻密なのに、狙い通りに人が動くかは運であり、その運の要素がかなり重要な点です。 緻密な割に運要素が強いというのは矛盾している気がします。 とはいえ、関係者の思惑により事件は二転三転し、非常に面白いです。 トリックの面白さは勿論、テレビ・広告業界の裏側も緻密にえがかれています。 さすが「人さらいの岡嶋」だと思える作品です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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某日、画家・梅沢平吉がアトリエで自殺した。
彼は死に際し、奇妙な手記を遺した。 ―六人の処女から肉体の一部をとり、星座に合わせて組み入れ、完全な人体“アゾート”を生成する。 幸い自身の側に六人の娘がいるため、“アゾート”の生贄として殺害しなければならない― 平吉の死から一ヵ月後、六人の娘は行方不明となり、その後バラバラ死体が見つかった。 平吉以外に動機はないが、その平吉は既に死んでおり、事件は迷宮入りした。 世に言う梅沢家占星術殺人事件。 事件から四十数年後、一人の女性が亡き父親の手記を持ち、とある占星術師を尋ねた。 手記にはなんと、梅沢家占星術殺人事件の知られざる情報が語られていた。 女性は事件の真相究明を占星術師に依頼した。 かくして、御手洗潔は日本のにわか探偵たちが四十数年間挑み敗れてきた謎に挑むこととなった。 正直、起承転結の結部分までは、すごく面白いというほどでもありませんでした。 冒頭の手記は御手洗潔が言うとおり、まるで電話帳を読んでいるようでした。 登場人物・星座・鉱物・土地等々、情報が多すぎて読みにくかったです。 石岡君の推理も、彼の役割やご都合主義的解釈の多さから、外れると予想できてしまいました。 御手洗による解説が気になるため、石岡君パートは少々長いと思ってしまいました。 とはいえ、段々と面白くなってはいきました。 冒頭の手記を乗り越え、少しずつ事件について情報が集まるにつれ、続きが気になっていきました。 結部分でトリックが判明したときは、その大胆さと盲点とに興奮しました。 事件が戦前であること、それ故に事件現場や関係者がどんどん失われている点も上手く使われていると思いました。 綾辻行人氏の“島田潔”の名が本作の作者・探偵名からきていると知り、いつか読みたいと思っていた一冊でした。 “御手洗潔シリーズ”も、作品数が多いですが、読んでいきたいと思いました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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江戸深川の鉄瓶長屋。
「ぼんくら」な小役人・井筒平四郎は今日もお徳の煮売屋で舌鼓。 鉄瓶長屋は何の変哲のない、平和な長屋である。 しかし、ある夜八百富の太助が何者かに殺害されてしまう。 目撃者である妹・お露は「殺し屋が来て兄を殺した」と言う。 これを機に鉄瓶長屋では事件が相次ぎ、次々と店子が離れてしまう。 どうやら事件には裏があうようで―・・・ 一見連作短編集のようで、実は一つの長編になります。 短編部分は物語の伏線・序章であり、真相へ向けて集結いていきます。 また、短編部分は江戸人情物のようですが、全編読むと時代ミステリーとなります。 江戸時代の暮らし・長屋・役人のシステム等々についても長ったらしくない程度に説明されており、勉強になります。 主要人物はどこか個性的で面白く、魅力的です。 子どもたちはとても可愛らしいです。 個人的には佐吉が好きです。 個性的な面々の中、普通に一生懸命なイイ奴だと思いましたが、烏を飼っているあたり、彼も個性的かもしれません(笑) しかし、結末は好みではありません。 いまいち救われず、すっきりもしない結末を平四郎のように呑み込めません。 結末は好みがあると思います。 そもそも宮部みゆき氏の「三島屋シリーズ」を読み、スピンオフ作品「お文の影」に「ぼんくらシリーズ」の人物も関わると知り、本作を読了。 ミステリー色は「ぼんくらシリーズ」の方が強いと思いますが、個人的には「三島屋シリーズ」の方が好きです。 しかし、主要人物のその後は気になるので、続編も読もうかと思います。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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江戸の袋物屋「三島屋」はひとつ妙な趣向を凝らしている。
主人の伊兵衛が百物語の語り手を求めているのだが、それがまた妙なのである。 語って語り捨て、聞いて聞き捨て。 夜半ではなく昼間、一度にひとりずつ。 しかも聞き手は主人の姪・おちかである。 おちかはある事件を境に心を閉ざし、三島屋に行儀見習として身を寄せている娘である。 おちかは様々な不思議談を聞くうち、世間知を得、自身の不幸を見つめ直す。 ある日の語り手は番頭と丁稚という奇妙な組み合わせ。 はたしていかなる不思議談か―・・・ 全4話の連作短編集。 単品でも読めますが、前作「おそろし」から読むことを奨めます。 前作はおちかの不思議談を通じて心を溶かす過程がメインかと思います。 今作のおちかは、前作の経験を経たためか、若干明るくなった気がします。 おちかが心を溶かし、多少打ち解けたためか、三島屋の面々の様子が前作より語られています。 三島屋の仲良い雰囲気や、叔父夫婦の人格者ぶり、奉公人の茶目っ気などが伺え、読んでいて楽しいです。 また、次作以降も関わりそうな新たな人物も出てきます。 彼らとおちかや三島屋の面々との会話は面白く微笑ましいです。 百物語そのものはもちろん、おちかの変化や周りの面々との関わりは面白いです。 次作はどうなるのか、楽しみにしています。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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おちかは旧い旅籠の娘であった。
17歳で器量よしなのだが、ある事件を境に心を閉ざし、他人とのふれあいを避けるようになってしまった。 そのため、江戸で袋物屋『三島屋』を営む叔父夫婦のもとへ一度身を寄せることとした。 おちかは主人の姪という立場ながらも、忙しい方が気がまぎれると女中同様に働いた。 ある日、叔父・伊兵衛はおちかに頼んだ。 得意先で大事のこしらえができた。 そういう次第なので、これから来る客の対応を任せた。 おちかは気が重いながらも、客に対し約束を反故にする非礼を詫びた。 しかし、どういうわけかそれで終わらず、客の不思議な話を聞くことに。 それを機に、おちかは自身の事件を改めて考えた。 そんなおちかを見た伊兵衛は、ある“荒療治”を思いついた―・・・ 全5話の連作短編集です。 ミステリというより、江戸人情物です。 解説の「やさしい怪談」という言葉が非常にしっくりきます。 百物語ということで、奇怪な話ではあります。 しかし、そこで語られるものは妖や呪いの恐ろしさばかりではありません。 人間の弱さ故の咎が、時に恐ろしく、哀しく、そして切なく語られています。 人間誰しも大小後ろめたいことや不幸があります。 それにどう向き合い、時に割り切るか。 読者はおちかと共に話を聞き、考えます。 初歴史物でしたが、堅苦しさなどは感じず楽しめました。 ワクワクドキドキといったことはないのですが、何となく続きが気になり、いつの間にか読了していました。 まさに話に引き込まれる一冊でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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プロデビューを目指す若き音楽家の千秋と要之助。
ある日、二人は富豪の後妻となった友人・須磨子に呼び出された。 何と先妻の息子・国彦と弟・和巳が誘拐されたという。 犯人は身代金2000万円を須磨子自身が持ってくるよう指示した。 もし警察などに知らせれば命はないという。 須磨子は千秋が警察署長の娘であったため、相談を持ち掛けたのだった。 しかし、須磨子は相談したことで決心がついたのか、犯人の指示通り単身出発してしまう。 二人は須磨子を追いかけ、タイミングをみて警察へも連絡した。 犯人が指示した受け渡し場所は湘南の小島。 島への通路も海上も警察が張り込み、一見犯人に逃げ場はなかった。 しかし、事件は思わぬ展開を迎えた―・・・ 受け渡し場所が逃げ場のない小島ということで、誘拐ミステリでありながら、密室ミステリの要素もかねています。 ただの誘拐ミステリで終わらないあたり、さすが岡嶋二人氏。 誘拐ミステリを期待したのに、密室ミステリで当て外れ。 どちらでとるかは人それぞれだと思います。 犯人の予想は容易です。 しかし、密室のトリックが難しいです。 密室自体も屋内・屋外と二重になっており、工夫されています。 登場人物にはあまり共感できません。 人間性に問題がある人物の登場は、「人間性に問題があるから」で片付いてしまうことがあるため、少し興ざめしてしまいます。 また、千秋がたまに見せる、自分に気があるのを利用する様子などは、性格が悪いと感じます。 しかし、にわか探偵の二人がでしゃばりすぎず、適宜警察に連絡する点は良いと思います。 面白くないわけではありませんが、岡嶋二人氏の誘拐ミステリならば、『あした天気にしておくれ』や『99%の誘拐』の方が面白いです。 しかし、クオリティが低いわけではないので、他作家さんの誘拐ミステリに比べれば面白いのかもしれません。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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一年前の冬、兄・公一が死んだ。
死因は毒薬。 場所は密室。 遺書はなく、不可解な点はあったが、警察は自殺として処理した。 しかし、妹・ナオコは納得出来なかった。 公一は死の直前、ナオコにメッセージを遺した。 「マリア様はいつ帰るのか?」 これから死のうという人間が、はたしてこんなメッセージを遺すだろうか。 ナオコは親友・マコトと共に、公一が死んだペンション『まざあぐうす』を訪ねた。 くしくも宿泊客は一年前と同じくだった。 各室にはマザーグースの歌が飾られていた。 マザーグースの歌に秘められた謎。 ペンションに隠された過去。 一昨年の不可解な事故。 公一はいったい何に興味を抱き、何を知ったのか。 調べる程謎が生じ、全てが怪しく思えた。 そんな中、新たな死者がー・・・ 雪の山荘・密室・暗号と古典的ミステリの要素満載です。 古典的ながらもひとひねり工夫されています。 伏線もしっかり回収されています。 東野圭吾氏の作品は綺麗にまとまりすぎて通俗的な印象を受けるものもあります。 本作はまとまっているものの、二重三重の真実は残酷さがあり、良い意味で後味の悪さもあり、良かったです。 しかし、きもち強引と感じる箇所、くどく感じる箇所があります。 マザーグースが本作の鍵ですが、マザーグースに馴染めない方もいると思います。 マザーグース自体が奇妙で、かつ、英文も関わります。 そのため暗号解読は難しく、だれる方もいると思います。 私は古典的ミステリの要素を押さえつつ、ひとひねりされていたため、面白かったです。 犯人の予測はそれほど難しくはありませんが、真相は一つではありません。 そのため、どんでん返しとまでは言いませんが、真相解明かと思いきや、更なる真相が浮かび、飽きることなく読めます。 ミステリ初心者も中堅者も楽しめる作品だと思います。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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デブで不細工なノラ猫が我が物顔でぼくの家に鎮座していた。
お母さんは怒り心頭で、ぼくとお父さんは猫を遠くに捨て置いた。 ところが、後日また猫は我が物顔で鎮座していた。 なかったはずの首輪付きで。 誰がこんな猫を飼うのか興味を持ったぼくは、猫の首輪に手紙をはさんでみた。 すると、後日猫の首輪に返事がはさまっていた。 それから猫を通じた文通が始まった。 文通相手はタカキという別学区の同級生。 首輪は飼っているからではなく、保健所対策。 猫の名前はモノレールねこ。 文通が楽しくなってきたところで、猫は車に轢かれて死んでしまった。 これで文通は途絶えたが―・・・。 ほろ苦くも、じんわり心温かくなるような短編8本です。 加納氏は日常の些細な謎を優しいメッセージと共に記すのが上手な作家というイメージですが、本作においてはミステリ要素はほぼないと思います。 当然ながら好き嫌いもある一冊だと思います。 素直に感動する人もいれば、共感できずつまらないと感じる人もいるでしょう。 正直、良い話と思うものもあれば、良い話っぽくまとめすぎと思うものもあります。 カバーのあらすじには「大切な人との絆」とありますが、絆は言い過ぎかなと思います。 あまり難しいことを考えず、ちょっと軽めで穏やかな気持ちになれる本を読みたい人にオススメです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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本間菊代は回廊亭へ訪れた。
亡き夫の親友、一ケ原高顕が死去したためだった。 高顕は一代で莫大な財を成したが、妻子がいなかった。 そのため、遺産は一族に相続されることとなり、回廊亭にて遺言書を公開することとなった。 その場に菊代は関係者として招待された。 しかし、菊代の目的は別にあった。 半年前、回廊亭にて高顕の女性秘書が恋人に無理心中を図られ、火事が起きた。 秘書は一命を取りとめたが、その後自殺した。 警察はあっさり捜査を打ち切ったが、不可解な点がある事件だった。 菊代は心中事件の真相を探りに来た。 また、菊代にはもう一つ重大な秘密があった。 莫大な遺産相続にあたり、一族誰もが白にも黒にも思えた。 その夜、新たな殺人事件が起きた。 はたして菊代は自身の秘密を隠したまま、真相に辿りつけるのか―・・・ 主人公の設定は面白いです。 秘密がばれる危険を抱えつつ、真相究明のため一族と接する展開は緊張感があります。 犯人が二転三転する展開や、少しずつ心中事件と遺産相続の問題が明かされる展開も面白いです。 しかし、わざわざ回廊亭という舞台を用意した割に、回廊亭自体には面白味はありません。 また、終わり方は微妙です。 途中緊張感があって面白いだけに、最後の急な駆け足展開は残念で、興奮も冷めてしまいます。 そのため、作品の印象が面白いミステリから、通俗的なドラマのようになってしまいます。 東野圭吾氏の作品は読みやすく、そこそこ面白いです。 しかし、私には微妙に合わないのか、すごく印象に残るものでもないかなと思います。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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中庭を渡り廊下で結んだ特殊な屋敷、通称“8の字屋敷”。
この屋敷で不可解な殺人事件が起きる。 一見、殺人を犯し得た人物は一人。 しかし、速水警部補には否認する容疑者が嘘をついているようには思えない。 さらに美人に容疑者の無実証明を求められる。 つい大きく出てしまった速水警部補は、ミステリマニアの弟&妹と共に事件に挑戦する―・・・ 我孫子武丸氏の長編推理デビュー作であり、速水三兄弟シリーズ一作目です。 良くも悪くも初心者向けだと思います。 人物像・動機・トリックすべてライトな印象です。 ユーモアミステリなのでしょうが、ドタバタコメディ感が強めです。 よく2時間サスペンスドラマでは推理の合間にコメディが挟まれますが、あの感じです。 残念ながら私には合わなかったです。 登場人物に苛々することが多かったです。 合間のコメディは面白味を感じず、集中が途切れてしまいます。 トリックや推理も少々突っ込みたい箇所があります。 デビュー作ですし、次作の「0の殺人」の評価が高いので、次作まで読んでみようと思うのですが。 ユーモア(ドタバタコメディ)ミステリが好きな方や、自分で推理できるミステリが好きな方には良いと思います。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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