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梁山泊 さんのレビュー一覧
梁山泊さんのページへレビュー数166件
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大ヒットしたドラマ「半沢直樹」は、元銀行マン原作という事で、全てとは言いませんが銀行の「黒い」部分に間してはリアリティを感じながら拝聴していました。
この作品は、テレビ畑に籍を置いていた作者が、数字至上主義のテレビ局に対して一石を投じる作品になっています。 やっぱり内部告発って感じで面白いです。 汚職に関するタレコミのテープを数回見ただけで「使える」と確信しテレビで流してしまった女編集者。 「使える」とは数字が狙えるという事だろう。裏付けもろくに取らず明らかなスタンドプレイ。 内容が内容だけに、何かあった時どうなるかは大人なら分かりそうなもの。 それでも私なら出来ると思えるその自信。正直大嫌いなタイプだ。自業自得だよ。 それにしても、女編集者が好きに作成した映像がプロデューサーの了承を得ず電波に乗ってしまうという・・・ 結果を出しているんで誰も文句が言えないって事?それとも「報道の自由」ってヤツですか? ある程度分かってはいたものの、マスコミの傍若無人っぷりに怒りすら覚えました。 一番問題なのは、それを鵜呑みにしてしまう我々視聴者の浅はかさなのかも知れませんけど・・・ 結末としては、発端となった事件の解決がなされておらず、刺身のツマみたいな扱いで終わっている点が少々消化不良を感じさせますが、作者の主眼はそんなとこにはなかったのでしょう。 数字に取り憑かれた人間の末路、壊れていく過程の描写がある意味恐ろしかったです。 良質のサスペンス。 |
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物語の時代背景として、女性の社会的地位が低かった時代というのがあります。
謎を追うのは、探偵でも刑事でもなくそんな普通の女性です。 彼女には人脈も情報収集力もないはずで、贔屓目に見ても推理とは言えないはずが、難題とも言える核心に徐々に近づいていくという・・・ それでいて最後犯人が真相を告白しない訳ですから、彼女の推理はぴったしカンカンだったって事なんでしょう。 納得出来ないという意見が多いのも頷けます。 でもこの作品は、戦後アメリカの占領下において逞しく生き抜いてきた日本人女性の悲哀を描いた作品だと思います。 そんな女達の物語なんだからこれでいいんですよ。探偵や刑事が割り込んできてよい物語ではないと思うんです。 重きが置かれるのはホワイダニットなのですから。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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予め犯人もその動機も明らかにされていますし、複雑な人間関係に関しても同様。
ミステリではなく人間ドラマだといえますね。 テーマはタイトルにもある通り「使命」 主人公、医師、看護婦、刑事そして犯人、皆それぞれ使命を持ち、それを信じ、それを遂行するために懸命に行動する。 東野作品にしては、プロットにヒネリがないですが、テーマを考えるとそんな必要はないかも知れないですね。徹底したブロ意識の描写です。 人間ドラマを象徴しているのが、犯人が選択した最後の行動。 小説としての面白味よりも人間味を感じさせた作者の徹底ぶりに感心させられました。 犯人に同情した読者も多かったのではとも思えます。 ただ、爆弾事件という事で展開にスピード感がある分か、作品テーマの割に重厚感を感じられなかったのが難点。 また、東野氏の人間ドラマにしては、中途半端に読後感がいいのも物足りなさを感じてしまう原因かも。 あと、最後主人公夕紀の少し歪んだ「使命」が氷解されるのですが・・・ こんな事があった後でも、私なら母親と医師を祝福し迎え入れる事は出来ないだろうと思いました。 多分圧倒的少数派なのかも知れないが・・・ |
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折原一さんといえば叙述トリック。
勿論筋は通っています。よくもまぁこんなプロットを思いついたものだと感心させられます。 なのに、さほど驚け無いのは何故だろう。 上手く説明できないのですが「立体的じゃない」気がするんですよね。 隠蔽されている事実は複数あるのですが、どれも同列で絡み合っていない。 隠蔽された事実を補強するための隠蔽とか、そういう構成になっていない。 また伏線とおぼしき記述もなかったような気がしています。 「複雑なのに不親切」って事だと思うんですが、例えば「十角館」なんかだと、その時点で「あっ!やられた」て気付くじゃないですか。 この作品にはそれがないんですよ。 全てを出し惜しみし過ぎているが故に、種明かしに読者が追従していけない。 読み終えて、何だったんだろうって色々調べて整理して初めて「あ~凄いじゃん」っていう。 個人的に、こういうのってどうなのって思います。 凄い作品だとは思いますが、「十角館」「ハサミ」「殺戮」「慟哭」辺りとは、同列の評価はできないって感じです。 |
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シリーズ前作「さよならドビュッシー」と比べるとミステリ色はほぼ皆無で音楽色を前面に打ち出しています。
というか、最早音楽青春小説と言ってしまっていいかもしれません。 主人公のヴァイオリンへの情熱と成長を楽しむ作品だと言えますが、何せ音大生という事で価値観やらが世間一般とは少し乖離している危険性をはらんでいます。 しかし、主人公は才能こそあれ金欠という現実的な苦悩を抱えており一般にも非常に感情移入しやすい設定になっています。 そんな彼に、音楽の素晴らしさ、そして演奏する事の喜び、高見を目指して奮闘する音大生が抱える苦悩とその実情を代弁させています。 「このミス」のための「さよなら~」であり、作者が本当に描きたかったのはこれだったのかなという印象です。 ミステリーの部分に関しては、殺人事件が起こる訳でもなく、楽器消失の謎を明らかにするという程度のものなので、フーダニットというよりホワイダニット。 犯人が施したトリックも最早トリックと呼べるものでもなく「何故」の部分で読者を驚かせるしくみになっていますね。 このシリーズには、探偵役として岬さんが登場しますが、この作品に関しては、主人公である晶にその大部分を委ねた方が美しかったような気がします。 わたしは「さよなら~」より、こちらの方が好きですね。 |
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タイトルの意味を考えると、作中にもあった「人間誰しも平等ではない」ってな感じの事が作品テーマなのかなとも思えるのですが、
読んだ感じでは、最先端技術に頼り切りの現代社会へのアンチテーゼな気がしました。 タイトルとテーマが合っていないのではという違和感を感じずにおれません。 そして、どちらが主眼だったとしても、何れにしても主張として「弱い」気がしましたね。 題材は面白いと思います。 先見の明のある作者の事ですから、DNA登録なんてリアリティがありますし、まるでノンフィクションであるかのように読めます。 読み始めは、先が知りたくてページをめくる手が止まらないのです。 しかし読了後に読み応えは余り感じないという・・・ この作者の作品によくある傾向なのですが、外れじゃない、でも当たりじゃないっていう一冊。 導入部で読者をグッと引き付けるのですが、謎解きの部分が物足りない・・・って感じです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ユニークなタイトルと装丁から容易に想像できるように文体は軽く、テンポもよくリーダビリティも高い。
しかし、扱っているテーマは重く、作品としての骨格は意外としっかりしています。 刑法39条を扱う作品にしては、やや軽い印象は拭えませんが・・・ また終盤のどんでん返しの連続と、ミステリーとしての構成も非常に練れているように思います。 しかし、何故か中盤以降バイオレンスになってしまっている。 正直我慢できなかった。作者の狙いが全く理解できなかった。何の効果があったのだろうかと疑問に思う。 ここでマイナス3ポイントです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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0章をほぼ物語全体の真ん中に配置、44章から始まり、カウントダウンがゼロに達した時に悲劇とも言うべき事件が起こります。
前半に事件が発生するまでの経緯、後半に被害者側の原因追求・糾弾という構成になっています。 事件が発生するまでの経緯は「風が吹けば桶屋が儲かる」テイスト。 そこに、日常誰もが犯しているであろう些細なモラル・マナー違反を、ドミノ倒しの如く絡み合わせています。 まぁ殆どが「可能性の低い因果関係を無理矢理つなげて出来たこじつけの理論・言いぐさ」なのですが・・・ やや冗長でしょうか。 もう少し登場人物を減らしたところで、作者の言わんとする事は十分伝わったと思いますが・・・ ▼以下、ネタバレ感想 |
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勧善懲悪モノで面白いのですが、私はこの作品の続編である「オレたち花のバブル組」を先に読んでいました。
ネタバレがある訳ではないので、どちらを先に読んでも不都合はないのですが、 もし順序通り、この「入行組」を先に読んでいたなら、「面白かった!!是非続編も読みたい」となったと思います。 やはり続編の方が、敵は巨悪で影響力も広範囲、手口も凝っており、主人公・半沢にとってはより強大な障壁となります。 今作の敵には、多少人間味を感じる事も出来ましたし、この程度なら結構いるレベルの悪だったかなと思います。 それなら、最後の半沢の要求の方がよっぽどえげつないです。 本作単品の評価とは無関係にせねばなりませんが、やはり続編を読んだ後で読むと物足りないですね。 この作品では、入行前の就活風景から描かれています。 その狭き門っぷりはかなりのものなのですが、個人的には、この入行前の熾烈な競争をもっと読みたかったなぁ。 |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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クランクアップ前に、作品未完成のまま疾走した映画監督の代わりに、スタッフ・役者陣が解決編を推理し、作品を完成させようとする物語。
残り僅か10分程度のシーンなのだが、肝心要の解決編であり、しかも、完成済みの映像及び設定部分には手を加える事は不可と制約が多い。 面白いアイデアだと思ったのですが、提示された解決編のシナリオが何れもお粗末だったのが残念です。 「こうすれば可能」的な推理ばかりで、原作兼監督が「映像に残していてしかるべき結末への伏線」について誰も言及していない点が・・・ 冒頭であれだけマニアックな映画薀蓄を披露した面々が、誰一人として、そこに触れないのは、不自然にすら感じました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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