■スポンサードリンク
梁山泊 さんのレビュー一覧
梁山泊さんのページへレビュー数78件
閲覧する時は、『このレビューを表示する場合はここをクリック』を押してください。
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
「ガラスの仮面」のオマージュのようですが、私は「ガラスの仮面」を読んだ事などないし、演劇にも全く興味がありません。
しかし、読んでいる最中は先が気になって一気読みしてしまいました。 天才(飛鳥)と秀才(響子)、または覚醒(飛鳥)と嫉妬(響子)のような構図に対する期待感が高まったからなのですが・・・ まぁそこはこの作者さんですので、覚悟はしていたもののやはり肩透かしだったかと(笑) これで終わりはあんまりだと思いましたが、やはり続編があるようですね。 個人的にはこのパターン、理瀬シリーズでお腹いっぱいなのですが・・・ 同じ題材を複数の人間が順に演じる場面があります。 映像で見せるのはありだと思うのですが、文章でこれをやられてしまうと・・・ まぁ私の想像力が乏しいという事なのでしょうが、個人的にちょっと冗長が過ぎたのではないかという印象です。 この作品単独では、長編な割に中身が薄いと評価せざるを得ません。 続編次第かと思います。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
作者の藤原伊織さんは、1948年生まれで東京大学出身という事ですから、68年の東大紛争、翌69年の 東大安田講堂事件をリアルに体験してきた人物と考えていいのかな。
団塊の世代、全共闘世代、しかもその渦中にいた作者に言わせれば「これが男の生き様」というところだろうか。 正直、素直に受け入れがたいものがあります。 まず突飛な人物設定には苦笑いせずにはおれないです。 東大全共闘、東大中退の元ボクサー(しかもかなり有望)、そして現在はアル中のバーテン、そして二回りも違う上智大学出身の現役女子大生に惚れられるという・・・ 当時はこういうタイプが格好いい男の象徴だったのでしょうか。 異端分子として、評価されず排除された自分達の価値観を肯定・美化せんとするコンプレックス裏返し的妄想が作り上げた人物像という印象です。 今は、アル中だったり人情味のあるヤクザだったりを格好いいと思える時代ではないですから、そのギャップには時代を感じずにおれませんし、滑稽だったりしますね。 異端児や落ちこぼれの大活躍というシチュエーションは嫌いではありません。 私から見ると、主人公は全共闘の成れの果ての落ちこぼれ、人生落伍者です。 しかし作者は、(恐らく)格好いいヒーローとして描いています。 少なくとも私にはそう読み取れました。 共感出来ませんでしたね。 そこさえなければ、さすが乱歩賞と直木賞をW受賞した作品という事になったと思うのですが・・・ |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
独立国としての地位を有するなどという、余りにも突飛な、しかし大阪人なら考えかねないかもとも思えてしまうところに着眼した発想は最高に面白いと思います。
しかし、その発想への期待感が大きかった分、結末には不満を抱かずにはおれませんでした。 「さぁ来るぞ来るぞ」「何をおっぱじめるんだ」という期待感が、「あれっ、終わり?」って感じ。 作者は大阪出身とのことらしいですが、作者の大阪人に対するイメージってどんな感じなんでしょうか? 正直、余りにも常識的で普通だったので拍子抜けしてしまいました。 (いくら只者ではないにしろ)たった1人の会計検査院にやり込められるというのは、大阪人らしくないなぁと思います。 たとえやり込められるにしても大阪人らしいユーモア溢れる抵抗を描いて欲しかったですね。 おばちゃんと阪神ファンが大暴れしないのも、物足りない原因ですね(笑) 会計検査院側の3人は、それなりにキャラ立ち出来ていたように思いますが、 例えば、巨人ファンの江戸っ子と中日ファンの名古屋人とか・・・蕎麦好きのうどん嫌い、もんじゃ焼き好きのお好み焼き嫌いとかにした方が面白かったのではないかと。 まぁ、そういう小説ではないのでしょうが・・・ |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
個人的には、あくまで米澤穂信さんの処女作だという事で手に取ったのですが、何やらアニメ化されていたようす。
中学生の娘に「パパ、氷菓読んでるの?」と・・・恥ずかしいやら何やらで・・・どうやらアニメを見ていたようだ。 今は早く続編を買ってくれとせがまれています。 まぁいいけど。 他のレビュアーの方も多く指摘されている通り、謎は提示されるものの些細であり過ぎて物足りなさを感じます。 推理というよりも寧ろ仮説といってしまっていいような内容だし、 事情を知る人に話を聞きに行ってしまって解決というのはミステリー的にどうなのだろうか。 シリーズ1作目という事もあり、主要メンバの紹介も兼ね高校生活に重きを置かれている印象を持ちました。 主要登場人物の、役割分担も今作である程度明確になった気がしますし、今後面白くなりそうな印象を(少し)感じたのでそこに期待したいです。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
ネタバレを表示する
|
||||
---|---|---|---|---|
タイトルの「片眼の猿」は、1000匹中999匹が片眼の猿の国にいた両目の猿が、片眼を潰して仲間と同化したという寓話らしい。
個性や自尊心の重要性を問いかけると共に、障害者に対する偏見や差別といった不条理をテーマにした作品です。 扱っているテーマはこの作者らしく重目です。 しかし、作者の従来の作品に見られる暗さは影を潜めており文体も少々「軽目」です。 また、何人かの登場人物が常人離れした特殊能力を持っているかのように描かれており「シュール」な一面も見られ、まるで伊坂幸太郎氏の作品を読んでいるかのような印象すら受けました。 この作者の作品は、まだ数作しか読んでいないのですが、この作品は少し異端かもしれません。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
過去2作に対して異端とは行かないまでも非常に個性的という印象を持っていたため正直意外でした。
真っ当なミステリは書かないと思わせる事が作者のミスリードだというレビューもどこかで見ましたが、納得できるようなできないような・・・ 芸術とミステリの融合が売りのこのシリーズですが、今作はミステリの部分がかなり弱い気がします。 後書きに、作者自身の「トスカ」の「読み替え」をまるで宣伝しているかのような記述があるのですが、正直、今作ではそれを披露したかっただけではないのか・・・とすら思えます。 作中では2つの事件が発生しますが、真相解明に辿り着くまでの手掛かりが余りにも少なすぎて、その分、どうしても「雑」に感じてしまいました。 本書のテーマとして、テキストの読み替えによる解釈の多様性というのがあります。 一応、1つの真相は提供されますが、作者が意図した真相は1つだけなのでしょうか? 多様な解釈がしやすいように「雑」になっているような気もしたのですが・・・ |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
上級者向け。
夏に雪を降らすのはどうかとも思ったが、そんなもんは序の口だった・・・ 現実離れとも言える偶然だったり、針の穴を通すようなタイミングだったり・・・ この事件の1つしかない解答、つまり真相は最早「奇跡」である。 謎は数多く投入されるが、大部分が消化される事なく残される。 本来あるべき解決編がないのだ。 恐らく、読了後は狐につままれたような気分になるだろう。 読了後、その真相について仲間と「あーだこーだ」と細っい一本の糸を手繰り寄せるのを楽しむ作品なのだろう。 ・・・だったらもう少し短くしてくださいよ(泣 特に烏有と神父の会話はきつかった。 精一杯理解しようとしたけど、私の頭では及ばなかった。 熱意とエネルギーが必要です。 これから読まれる方は、読む前に是非気合いを入れて下さい。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
「読者が犯人」という題材を扱い、初めからそう宣言している風変わりな作品。
同じ主旨の作品は過去に存在するらしいのですが、作者は作中で、これらの作品がトリックとして不十分であったと言及しています。 常識的に考えても、読者が作中人物を殺害するなんて事は有り得ない訳なので、まず万人を納得させる事は困難なはずです。 にも関わらず、自らハードルを上げる作者の自信には敬意を表したいと思います。 しかし感銘を受けるかは、やはり読み手の感性次第です。 トリックが初めから明かされているとなれば、必然的に読み手は、慎重にその伏線を紐解く読み方となります。 「超心理学の実験シーン」や「犯人からの手紙、覚書」の記述が長々と続くのですが、これらがメイントリックの伏線となっているか正直微妙です。 兎に角長いです。 脱力モノでした。 難しい題材を扱っているにも関わらず、舞台設定含め丁寧に描かれていると思います。 しかし、トリックに関しては「成立している」とは思いますが、少し肩透かしを食った感じはします。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
非常にテンポのよい作品で、まさに直滑降の如きスピード感にあふれています。 読みやすい作品です。
また読後の不快感や、回収されない謎が残ってもやもやしたりという事もありません。 でもそれだけなんです。 東野氏の作品にしては、展開にひねりもないし、オチも想定の範囲内というか想定範囲のど真ん中でしたし、登場人物も極めて普通の人ばかりで・・・ 経営難に直面するスキー場への問題提起って事で、スキー好きの東野氏としては悪人は登場させづらかったのかなぁ・・・とか思ってみたり。 東野作品に精通していない人向けだと思います。 「白夜行」や「容疑者X」を既読の方には、相当物足りないのではないかと。 東野氏の作品は「ハズレ」は殆ど無いんだけど、「当たり」も多くないんだよなぁ。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
エリートの転落劇を描いた物語。
会社の偉い人の末娘の婿養子候補、玉の輿狙いのエリート主人公、同じく婿養子候補でこれも玉の輿を狙う同僚、そしてその末娘の腹違いの兄。 更にこの男3人と関係を持ち子供が出来たと3人に迫る計算高い女。 3人の男が共謀して女を殺そうとする物語ですが、人間の内面にある醜く、黒い部分にスポットを当てる東野氏お得意のパターン。 それにしても、主要登場人物にろくな奴がいないというのは・・・ 主人公が加害者な訳で、しかも動機が不純、共感できるか否かという次元では無いです。 アリバイ工作のため、殺す係、運ぶ係、遺棄する係と役割分担を行い大阪-名古屋ー東京を結ぶ完全犯罪リレーをスタートするが、運搬役が車の中に殺害役の遺体を発見してしまう。 プロット自体は、非常に面白く、一気に魅了されてしまうだけのものではありました。 正直私も前半戦はかなり引き込まれました。 ただ、完全犯罪、しかもそれがエリート達の仕組んだものであるなら、いとも簡単に加害者側が窮地に追い込まれる展開となるのは如何なものか。 個人的な意見になるが、エリートを「悪」とするなら、それは手強い「悪」でいて欲しい。 その方が後読感がいいので・・・ 感情移入できない悪人が窮地に追い込まれ苦悩する姿を序盤から延々と描かれても・・・ 残念ながら、ページが進むにつれて興味が薄れていってしまった。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
死体の身体の一部を切断した理由、
そしてその死体をアクロバッティックに数十メートル離れた場所に移動させるトリック。 それが可能である事を証明するために、本当に方程式が出てきます。 計算上可能という事でしょうが、実際やるとしたら非常に危険、計算通りには絶対できないでしょうね。 トリックに関しては、少しでも計算が狂うと破綻するような、がちがちに計算された印象でありながら、 一方ストーリーの展開は「偶然」に大きく左右されている印象で何か全体のバランスが悪いように思いました。 意外な犯人には驚かされましたが・・・ あと「ヒビク」さんと「今日の一本」の人のキャラがかぶっているのも気になりました。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
斬新ですが、その斬新さ故賛否両論あって当然の作品かと。
私は「否」かなぁ。 拒絶反応とまではいきませんが、若干不愉快な気分にさせられる発言もありました。 ひきこもりが完全犯罪成し遂げ悦に浸る・・・リアリティゼロっしょ。 ゲーム感覚、洒落で最後まで押し通せば良いのに、あのラストは何だったのか。 強いてあげれば最初の"aXe"の話は面白い。 これを題材にして1つの連続殺人事件モノにした方がよっぽどよかった。 |
||||
|
||||
|