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梁山泊 さんのレビュー一覧
梁山泊さんのページへレビュー数236件
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独立国としての地位を有するなどという、余りにも突飛な、しかし大阪人なら考えかねないかもとも思えてしまうところに着眼した発想は最高に面白いと思います。
しかし、その発想への期待感が大きかった分、結末には不満を抱かずにはおれませんでした。 「さぁ来るぞ来るぞ」「何をおっぱじめるんだ」という期待感が、「あれっ、終わり?」って感じ。 作者は大阪出身とのことらしいですが、作者の大阪人に対するイメージってどんな感じなんでしょうか? 正直、余りにも常識的で普通だったので拍子抜けしてしまいました。 (いくら只者ではないにしろ)たった1人の会計検査院にやり込められるというのは、大阪人らしくないなぁと思います。 たとえやり込められるにしても大阪人らしいユーモア溢れる抵抗を描いて欲しかったですね。 おばちゃんと阪神ファンが大暴れしないのも、物足りない原因ですね(笑) 会計検査院側の3人は、それなりにキャラ立ち出来ていたように思いますが、 例えば、巨人ファンの江戸っ子と中日ファンの名古屋人とか・・・蕎麦好きのうどん嫌い、もんじゃ焼き好きのお好み焼き嫌いとかにした方が面白かったのではないかと。 まぁ、そういう小説ではないのでしょうが・・・ |
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視点人物となる理帆子の一人称で語られる彼女の成長の物語のようです。
一人称小説の特徴として、感情移入させやすいというメリットがある一方で、読み手が語り手に共感できなかった場合に拒絶反応を起こされる危険性があるというデメリットがあります。 従って、感情移入しやすい人物に語らせる事に効果があると考えますが、この作品の語り手・理帆子は感情移入しやすい人物といえるでしょうか。 理帆子は自分を「少し不在」と評しています。 どこにいてもそこを自分の居場所だと思えない感覚。 自分にもどこか思い当たるフシがあります。 また、他人を下に見てしまうところ。 これもどこか思い当たるフシがあったりします。 確かに、自分と似ているところがあると感じてしまうそんな人物。 しかし、彼女は一人称として、その内面を次々と吐露していきます。 活字で読むと、かなり醜い、結構エグい。 実際は、似ている部分は確かにあるけれども、(自分はここまで醜くないので)共感はできない。 そう思う人が多いのではないでしょうか。 理帆子という人物は、さすがに、多くの読者に共感を得られる存在として造形されたキャラでは無いでしょう。 共感できない人の方が恐らく多いと思われる人物を視点とし、その人物の成長物語を描いた作者は、ある意味チャレンジャーだと思います。 「泣けた」というレビュアーの方も多々いられるようなので、その試みは成功したと言えるのではないでしょうか。 さすがの筆力ですね。 私にはにわかに信じられないのですが・・・ ▼以下、ネタバレ感想 |
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個人的には、あくまで米澤穂信さんの処女作だという事で手に取ったのですが、何やらアニメ化されていたようす。
中学生の娘に「パパ、氷菓読んでるの?」と・・・恥ずかしいやら何やらで・・・どうやらアニメを見ていたようだ。 今は早く続編を買ってくれとせがまれています。 まぁいいけど。 他のレビュアーの方も多く指摘されている通り、謎は提示されるものの些細であり過ぎて物足りなさを感じます。 推理というよりも寧ろ仮説といってしまっていいような内容だし、 事情を知る人に話を聞きに行ってしまって解決というのはミステリー的にどうなのだろうか。 シリーズ1作目という事もあり、主要メンバの紹介も兼ね高校生活に重きを置かれている印象を持ちました。 主要登場人物の、役割分担も今作である程度明確になった気がしますし、今後面白くなりそうな印象を(少し)感じたのでそこに期待したいです。 |
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8年後に小惑星が衝突し地球は滅亡すると分かってから5年後の物語。
脆い人間達が淘汰されほぼ強い人間だけが残った世界。 パニックや混乱は余り描かれず、そんな情況下における達観した人間達が描かれます。 地球が滅亡するというスケールが大きいストーリー設定だが、仙台郊外の某マンション周辺が舞台として限られているという対比が面白く、何とも伊坂さんらしい作品。 「今日を生きることの意味を知る物語」 なる程なと思う。 この「終末」という世界観だからこそ「普通」が輝いて見えるんですね。 |
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「中絶胎児が人間として認められれば、日本人の死亡率トップはガンではなく、人工妊娠中絶ということになります」
避妊や中絶の問題がテーマとなります。 この問題、責任の所在はほぼ男性側にあると言っていいでしょう。 この作品では、経済的に問題を抱える夫婦の妊娠、そして産むべきか中絶すべきかという苦悩が描かれていますが、不思議な事に、描かれている苦悩は主に男性視点からのものです。 「有無を言わさず言いなり」という女性側の現状を象徴しているように感じました。 そこで作者は、女性側の反撃として「ホラー」で返しています。 ホラーの部分には、当然リアリティはありませんし、作者の回収する意思も感じられません。 兎に角「思い知れぇ!」って感じ。 結構怖いです。 それだけ恐ろしい思いをさせなければ気が済まない、無責任な男はいなくならない。 そういう作者の怒りが感じられた作品でした。 |
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乃南アサさん初読。
文庫本巻末の「解説」を読むと、「男社会で差別的な扱いを受けながらも頑張る女性」を描いた作品という事になるのでしょうか。 読中はそこまで「反女性蔑視的」ニュアンスは感じなかったのですが、もし「解説」にあるような意図が作者にあるのなら、正直「浅い」と思いました。 この程度のハラスメントなら、男同士の関係、警察組織でなくともでも当然のように存在しますし、ましてや、彼女は男以上の活躍の場を与えられている訳です。 何故その役目を獲得できたのかという十分な描写もありませんし、説得力がないというか・・・ 単に男社会で男勝りの活躍をする(しかも何故そのような活躍ができるのかという苦労や努力、また能力的裏付けに乏しい)女性の格好良さを描いた陳腐な作品に読めてしまいます。 「姫川玲子」の苦悩の方がまだリアリテイがありますよ。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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中編を1本含む短篇集という事で、ある程度は仕方のない事だと思うが、
やはり、舞台となる閉鎖された村や家に受け継がれる言い伝え等、事件の背景となるものであるとか、歪な人間関係を描き切れていない様に思う。 このシリーズの場合、非現実的とすら思える事象を現実的な解釈に結びつけ回収する訳で、そこに強引だったり、腑に落ちない点が多くなるのもある程度やむを得ない。 そんな足りない部分を補って余りあるのが、作品が織りなす禍々しい雰囲気だと思っているので、やはりこのシリーズは舞台設定こそが命。 翼をもぎ取られた・・・という印象が拭えない。 なら表題作の中編は、それなりに読めるのかというと決してそうではなかった。 その約3分の1を要して、「こっくりさん」と「密室の分類」に纏わる蘊蓄が語られる。 「こっくりさん」はまだいいとして、三津田氏の作品で長々と「密室講義」は読みたくなかったなぁ。 冗長感が半端なかったが、それ以上に違和感ありありだった。 また、短編3作では見られなかった、言耶の一人ツッコミ一人ボケ推理がまた・・・これは中長編でのお約束なのだろうか。 思うのだが、全部自分で推理して否定してまた推理して・・・だから彼の推理には、テンポがない、切れがないのではないだろうか。 名探偵でない事は自覚しているようだが・・・ シリーズを通してワトソン役に抜擢させても違和感のない登場人物が何人かいるのに何故配置しないのだろう。 不思議でならない。 |
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「F」から始まるS&Mシリーズの最終章。
「Insider」に対する「Outsider」、名作「F」と対になると考えて良い作品。 800頁超えの長編、そしてあの真賀田四季が再登場するとなれば、読み手のこの作品に対するハードルも必然的に上がってしまう。 そんな期待感満載の作品だったが、個人的には、それに応えてくれるものではなかった。 正直、この作品に対する不満は結構ある。 しかし、このシリーズを評価順に並べろと言われると間違いなく「F」の次に置くだろう。 自分でも不思議でならないが、巷の書評サイトで言われる通り、これがまさに「真賀田四季効果」なのかと思う。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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【ネタバレかも!?】
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タイトルの「片眼の猿」は、1000匹中999匹が片眼の猿の国にいた両目の猿が、片眼を潰して仲間と同化したという寓話らしい。
個性や自尊心の重要性を問いかけると共に、障害者に対する偏見や差別といった不条理をテーマにした作品です。 扱っているテーマはこの作者らしく重目です。 しかし、作者の従来の作品に見られる暗さは影を潜めており文体も少々「軽目」です。 また、何人かの登場人物が常人離れした特殊能力を持っているかのように描かれており「シュール」な一面も見られ、まるで伊坂幸太郎氏の作品を読んでいるかのような印象すら受けました。 この作者の作品は、まだ数作しか読んでいないのですが、この作品は少し異端かもしれません。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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【ネタバレかも!?】
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過去2作に対して異端とは行かないまでも非常に個性的という印象を持っていたため正直意外でした。
真っ当なミステリは書かないと思わせる事が作者のミスリードだというレビューもどこかで見ましたが、納得できるようなできないような・・・ 芸術とミステリの融合が売りのこのシリーズですが、今作はミステリの部分がかなり弱い気がします。 後書きに、作者自身の「トスカ」の「読み替え」をまるで宣伝しているかのような記述があるのですが、正直、今作ではそれを披露したかっただけではないのか・・・とすら思えます。 作中では2つの事件が発生しますが、真相解明に辿り着くまでの手掛かりが余りにも少なすぎて、その分、どうしても「雑」に感じてしまいました。 本書のテーマとして、テキストの読み替えによる解釈の多様性というのがあります。 一応、1つの真相は提供されますが、作者が意図した真相は1つだけなのでしょうか? 多様な解釈がしやすいように「雑」になっているような気もしたのですが・・・ |
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