■スポンサードリンク
absinthe さんのレビュー一覧
absintheさんのページへレビュー数36件
閲覧する時は、『このレビューを表示する場合はここをクリック』を押してください。
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
本作はノンフィクションなので、どうしてもフィクションのミステリーを望む方には不向きです。
アンティキテラというのは島の名前で、その島のそばの海で昔の歯車が発見されたところから全てが始まります。 2000年近くも前に作られたというこの謎の歯車。誰が何の目的で作ったのでしょう? もしも鉄の歯車であったらとっくに海水に溶けていたはずが、歯車が青銅であったがために遺物として残ることができたという歴史の偶然、 潜水夫が歯車を見つけるまで、見つけた歯車がいかに博物館に渡ったか、そしてアマチュア学者たちが博物館の許可を取り付け解析に取り掛かる・・・ どのエピソードも驚きに満ちています。 また、歯車の意味を確かめるため、起こりうる天文現象との対応を推理していくのですが、これはミステリーに十分通じるところがあります。 本書は、考古学的に遺物を調査するという範囲にとどまらず、解き明かそうとした人物たちの半生にも目を向けます。 歴史事実の裏に隠されたドラマがまたすごいのです。 発見者として名を残したいというエゴ、意地の張り合い、そういった熱い人間の思いが伝わってくるのです。 そういったところをあまさずに書いたところはすごいと思います。 私的に難を上げると、むしろドラマにスポットを当てすぎた嫌いがあります。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
歴史ミステリー+アクションの王道というと、インディ―ジョーンズのような冒険家が主人公になりがちですが、本書ではそれが、くたびれた元反体制活動家で、今はただの飲んだくれという設定です。それが、失われたロシアの十字架をめぐって陰謀に巻き込まれていくとなると、冒険家となって宝物をめぐって敵と戦い・・・という風に単純に行きそうなのですが、そういうわけでもないのです。
単純なトレジャーハンター物を期待して購入しましたが、良い意味で裏切られました。 著者が書こうとした意図が半ばで解ると、ずいぶんと奇妙に見えたそれぞれ人物の設定は、どれも深く設計された完成度の高い作品だったことが分かります。 登場人物の設定は、それぞれ「ある国のある集団」のわかりやすい隠喩となっており、物語は国際情勢とその歴史を人間の生い立ちで隠喩しながら進行します。 シリアスな設定の「ヘタリア」みたいなものです。話を面白くようとして設定を少しでも変更すると全部が壊れてしまうといえるほど、ガラス細工のような精密さで書かれています。 しかもアクションや手に汗握る緊迫のシーンもそれなりに用意され、サービス満点です。 ウクライナとロシアの関係を知っているともっと面白いと思いますが、知らなくても楽しむには問題ありません。 ニュースを通してみるウクライナとロシアは、力で圧倒する貪欲な強者ロシアと圧倒されるウクライナという図式が強調されてしまいます。 本書の中では、昔堅気で民族の誇りを取り戻そうとするウクライナ人の夫と、未練を捨て切れず復縁したいロシア人妻になぞらえており、民族の感情としては領土拡大欲などという一言では説明のつかぬご当地の事情がよくわかります。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
本書はシリーズものの1冊ですが、ここまで骨にこだわったシリーズは珍しいと思います。
主人公は骨を調べるエキスパートです。その設定が生かされるので、骨から重要な事実が明かされていきます。 シリーズ全編が骨にからむミステリーで、日本語タイトルもほとんどが「・・・の骨」で統一されています。 シリーズ全部を読んだわけではないのですが、私が読んだ中では一番面白い作品でした。 とても面白い小説ですし、意外性もあります。また、ミステリーとしても正統派のように思います。 大げさなアクションはなく、はじめは淡々と進んで行きながら、後半はぐいぐいと引き込まれます。 キャラクターの個性も立っていて飽きさせません。 主人公は教授でもあるのですが、学識もあるし、仕事にも拘りがあって、大学教授によくありがちな愛嬌のある欠点もあります。 教授の個性や癖が物語の方向ともうまくつながっていて、よく考えて書かれているなぁと思いました。 骨を調べる方法論を学生たちに解説しながら作業を進めていく場面は、クスリと笑わせながら楽しい蘊蓄もくどくなら無い程度に披露されます。 実に読みどころが多い作品です。 本作のタネはわりと解りやすいかもしれません。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
パニック×ミステリー×歴史 というジャンルに目のない私としては、外せない作品です。シグマフォースシリーズの愛読者なら外してはいけない逸品だと信じて読みましたが・・・
人類史や考古学の重箱の隅マニアには面白くもないストーリーですが、新たな視点を提供してくれました。 ここでは、政治的駆け引きに主眼が置かれています。登場人物の行動を束縛するのは、すべてが当事者各国の国益です。「シグマフォースシリーズ」を期待していましたが、どちらかというと、「レッドオクトーバーを追え」(潜水艦アクションと思わせて、実は政治問題を扱った秀逸な長編大作)の政治的駆け引きを増大させた作品です。 期待とは違っていましたが、失望は無く、大いに勉強させられました。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
面白かった。
肉親が東欧出身ということがたまたまあって、周辺の地理が個人的に身近なものであったため、大変に興味を持ちまたその歴史も面白かったです。 主人公とそれが追う人物と、その人物が追う人物の3つの時系列になって、やや複雑な構成です。どうしてこんな構成の小説にしたのか?それは単に複雑にしたかっただけという指摘があるのですが著者の意図はもっと深いと思われます。東欧のソ連支配時代「前」と「後」と「解放後」の3時代を地理を移動させずつ全部書きたかったのです。 謎や種明かしの印象は、「お粗末」という指摘にうなずけるところもあるのですが、私はとにかくこの周辺の動乱の時代に、生活している人々が何を見て何を感じてきたか知りたくてしょうがなかったので、ただただ感心して最後まで楽しめました。オチは私にはすでに関心が無かったので、オチの粗末さには(他人の評価を見るまで)気付きもしませんでした。 小説にオチは大切ですが。個人的な小説の舞台との距離がそれを上回ることもあるのだなと思いました。 オススメはしません。私の高評価は、単に私の個人的理由です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
良い意味で、期待と違っていました。
宣伝から受ける印象では、なんだか懲りすぎのトリックで内容が無いミステリーか、もっと軽い小説をイメージしていましたが・・・ 売れっ子であるというだけで、東野圭吾さんを食わず嫌いしていました。もっと早くから読んでいるべきでした。 ドラマとして面白いです。最後まで飽きさせず、人物も一貫してポリシーを持っていて、犯人も探偵も頭脳明晰。 事件は意外にもシンプルで懲りすぎた設定はありません。 しかも最後にはさらにどんでん返し・・・・ しかもホロっとさせて感動もさせます。 評判がいいのには、わけがあったのですね。 東野圭吾さんの他の作品も買い込んできました。読むのが楽しみです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
*最悪の読後感* というランキングをもつ某サイトで、いつも上位にいる作品です。(最上位でも不思議はありません。)
怖いもの見たさで買ってしまいましたが・・・ 噂に違わぬ迫力です。 本書は、amazon では酷評の嵐ですね。それも頷けます。 それぞれ指摘はまっとうで、反論の余地もありません。 粘膜シリーズ(飴村)や筒井康孝のグロ系小説は、ユーモアや笑いによってオブラートにくるまれていましたが、本書はそういった救いがありません。 本書の怖さは、スプラッターとは違います。人間の心の闇の恐ろしさです。 主人公が残酷な場面を見せられ続ける話なのですが、主人公は可哀そうになって、そういうことは止めてほしいと思っていながら、どこか続きを見たいと期待しているのです。 読者の心理と主人公の心理が上手に結びあわされてしまうので、自分の醜さをこれでもかと見せつけられます。 本書のテーマは、読者の心の闇なのです。 愛する女性が犯されているのを見て性的に興奮してしまうというような、本来は人間に有るまじき不条理で醜悪だけれども心の奥底に巣くってどうしようもなく、そして取り除くことができない心理を描いたもので、外面的には虐待趣味の変態が書くのと紙一重なので、読むには注意が必要です。 映像化作品もみたのですが、そちらは完全にオブラートにくるまれて怖さが薄まってしまいました。 「気持ち悪くて吐いたじゃないか、金返せ」という言葉は作者にとって賛辞でしかありません。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
ただただ呆れて、そして面白い。
小説は人を楽しませなくてはならないです。 考えさせたり、反省させたり、そういうための小説というのは本来は邪道ですよね。 そんな開き直りが聞こえてきそうです。 でもまぁ、嫌う人もいるかもしれませんね。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
森博嗣さんの小説で最初に読みました。森さんの小説では一番好きです。
全てがFになるでデビューしたそうですが、書いたのはこちらが先のようです。 だから荒削りなところがあるのでしょうか、でもそういったところまで込みで好きな作品です。この小説を記憶に残し、特徴づける何か独特の雰囲気があります。 登場人物に数学者がいて、それがいい雰囲気だしています。 本作の途中で、数学の問題が出てきます。殺人の方と違って難しいです。とっかかりはつかめたのですが、最後までたどり着く前に力尽きました・・・ 殺人のトリックの方は単純で簡単で、困ったことに殺人が起こる前にトリックに気付いてしまいました・・・・ そのこと自体は、本作の価値を下げる気がしませんが。 本作は、最後まで明かされない一つの重大な謎が残ってしまいます。 それは読んでのお楽しみ・・・ |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
全滅領域の続編です。
前作で実体が分からなかった監視機構と呼ばれる団体を内部から描写します。(題名通り) 新しい登場人物<コントロール>が話を引っ張りはじめます。そよ風の吹く何気ない風景がこんなにも恐ろしいのか、こういう視点のホラーもありなのかと勉強させられました。 登場人物は、ちょっと謎を抱えすぎ。 次作でどこまで謎を解き明かしてくれるんでしょう? この作者のスタイルだと、結局最後まで謎を明かす気はないのじゃないかな。 パズルの断片の用に、短いシーンを張り合わせて途中まで見せかけた絵と異なる絵を完成させていく、そんな感じです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
私的には好きでたまらない設定なのですが、この作品、好き嫌いは二分しそうです。
最後まで、ほとんど何も解明されないからです。 どうやら3部作の第一部だったらしい。本当の評価が与えられるのは、3部を全部通してからでしょうね。 ラブクラフトの小説で、「宇宙からの色」とか「異次元の色彩」と呼ばれている作品があって、大好きなのですが、それを彷彿とさせる作品です。 排気ガスや工場廃棄物に汚染された我々の世界のほうが身近に見え、健康的で無害にしか見えない大自然のほうが底なしの恐怖の対象として書かれている設定がおもしろいです。(読んでいてナウシカの世界を思い出しました。) |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
インディ―ジョーンズの現代版
歴史事実や科学知識のうんちくも盛りだくさんですが、それよりもアクションにかなり比重が置かれています。 意外な事実、謎とき、裏切りもてんこ盛り。 そういうのが好きな人には堪らないと思います。 人気があるそうですが、よく解る気がします。 シグマフォースシリーズとして、この後同じ主人公で延々と続きますが、これとユダの覚醒が一番面白かったです。 その後は、回を追うごとにテンションがさがっていってしまいますので、これは必読です。 ---- シグマフォースシリーズについて シグマフォースというのは、実在組織(DARPA)の架空の下部組織シグマの特殊工作員たちのことです。 アメリカ合衆国の脅威にあたる危険な物質、装置、その他もろもろを収奪または破壊して国家を危険から守ることを任務にしています。デルタフォースは有名な対テロ専門の組織ですが、シグマフォースは戦闘力の他に科学力も必要とされ、数学で総和を意味するシグマにちなんで名づけられています。隊長のグレイソンピアースをはじめ、すべての隊員は専門の科学知識を持ちかつ戦闘のプロフェッショナルとして訓練されています。そういった隊員が、歴史に埋もれた危険な物質、装置を探しつつ敵を倒していきます。歴史冒険トレジャーハンターの要素とスパイアクションをミックスさせた、大胆で大味で迫力満点の冒険ストーリーです。 シリーズのどの物語も歴史上の謎と関連しています。謎の中から危険な物質・装置が発見されていく様はインディジョーンズの様でもあり、陰謀組織との奪い合いの様子はジェームスボンドの様でもあります。 シリーズを通して、危険な陰謀組織ギルドが影をちらつかせます。(常にギルドが敵というわけではなく、正面の敵とギルドが交互に現れる感じです。) ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
面白かったです。
実は、犯人とトリックは、なぜか私の脳みそでも解ってしまったのですが、それはこの作品の価値を下げることにはなりませんでした。 同じネタをどこかの漫画がパクッたそうですが、それも解る気がします。 複雑な伏線が、最後にピタッとはまる快感を、これほど味わわせてくれる作品は少ないです。 ネタバレは書かないことにします。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
文句なく、シグマフォースシリーズで一番面白いです。このシリーズの愛読者なことも手伝って、激甘の評価点となってしまいました。
未知の病原体、喰人族、マルコポーロ、人質、反撃、アクションもこれでもか、これでもかとてんこ盛り そこへもってきて科学知識のうんちくもたっぷり。こういうのが好きな人には堪らない逸品でしょう。 作者は惜しみなく新しいアイデアを盛り込んで、緊張感いっぱいの冒頭部分から物語の終わりまで、読者を飽きさせません。 この巻がおもしろすぎるのがいけないのか、作者が本作でネタを使いきってしまったからか、シリーズの面白さはこの巻の後は下降線をたどっていきます。 以下2巻がシリーズ最高峰で双璧でしょうね。 ユダの覚醒(シリーズ3) マギの聖骨(シリーズ1) ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|