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りーり さんのレビュー一覧

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レビュー数231

全231件 61~80 4/12ページ

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No.171:
(5pt)

麦酒の家の冒険の感想


タックたち一行が迷い込んだ山荘にはベッドと冷蔵庫だけ!? そして冷蔵庫には96本の缶ビールが!!

安楽椅子ミステリを謳いながら地べたで酒飲んで推理してる。内容としてはバカミスや短編の域を出ないテーマ性であり、キャラクターの掛け合いを楽しむことが前提か。

麦酒の家の冒険 (講談社文庫)
西澤保彦麦酒の家の冒険 についてのレビュー
No.170:
(5pt)

ヒクイドリヲ クウ ビミ ナリ


 信州で暮らす久喜家に起きる二つの異変。一つ目は先代の墓が何者かによって傷付けられていたこと。二つ目は戦時中に書かれた大伯父の日記が突然届けられたこと。日記に込められた生への執着、密林で見かけた火喰鳥に関する謎の記述。故人の遺志が現実を侵食し始めた・・・。

 なぜか統合された横溝正史ミステリ&ホラー大賞の令和2年大賞作。話の引き込みはものすごく良かった。日記に書かれたヒクイドリを巡る記述から、やがて現実にヒクイドリの影が見えてくる恐ろしさは素晴らしい。一方でミステリー要素はや薄めで謎解きらしい謎解きはあまりない。明らかに異質な存在に対して巻き込まれ抵抗していく主人公たちを描くパニックSFの要素の方が強く感じられた。
 勿論終盤でこの物語に仕掛けられた裏の様相が提示はされるのだが、中々飲み込みにくい内容だった。ヒクイドリというモチーフの不気味さが最高だっただけに残念。
火喰鳥を、喰う (角川ホラー文庫)
原浩火喰鳥を、喰う についてのレビュー
No.169:
(6pt)

全てはメルカトルが中心

 メルカトル鮎シリーズの短編集。
傲岸不遜の銘探偵参る。今回のメルも凄かった!!性格の傲慢さに加え、世界がメルの為に動いていく。事件が起きるから探偵が来るんじゃない、探偵が居るから事件が起きるんだ。そして、それが銘探偵ともなると超飛躍し、事件も犯人も手掛かりも全ては探偵が事件を解決するために存在する。全てはメルが招いている。


メルカトル悪人狩り (講談社文庫)
麻耶雄嵩メルカトル悪人狩り についてのレビュー
No.168: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

メルカトルかく語りきの感想


 メルカトル鮎シリーズの短編集。 犯人当てに興じた作品としながら、犯人をぼかしたまま終わるアンチミステリーである。 突拍子もない帰結がなんとも楽しい。 美袋君が毎度の如く危険な目に当っているのだが、美袋君は探偵役以上に強い存在なので安心安心。 むしろアンチミステリーよろしく、探偵役の方が危険なポジションにいることが多いのだ。
メルカトルかく語りき (講談社文庫)
麻耶雄嵩メルカトルかく語りき についてのレビュー
No.167:
(5pt)

ノゾミくん


 「ノゾミくん、こっちにおいで」
海のそばでのおまじない、中高生で広がる都市伝説。 願いを叶えてもらったはずの生徒が屋上から身を投げる。 のぞみ君に殺されるとメッセージを残して・・・。

ノゾミ君に願いを託す都市伝説が反転しノゾミ君に襲われてしまう。 生徒を失ってしまった高校教師が都市伝説の端緒を探していくストーリー。 率直な感想をいうと、登場人物の誰も好きになれなかった。 主人公側の教師にしろ、巻き込まれた生徒にしろ、捜査する刑事にしろ、どうもステレオタイプな人間に醜さが乗っかていて中途半端に嫌な人物なのだ。 完全に嫌な人物なら死んでしまってスッキリすることもあるし、更生に傾けば感動や同情も一入なのだが中途半端ゆえにどんな結末を迎えてもいまいちしっくりこない。 終盤に攻勢する点ではミステリー要素もあるが推理できる点は少ないので、論理を重視しないホラーを許容できる人向けの作品だ。
ノゾミくん、こっちにおいで (ポプラ文庫)
水生大海ノゾミくん、こっちにおいで についてのレビュー
No.166: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

リロ・グラ・シスタの感想

私立吏塚高校の屋上で葉群という男性生徒の遺体が見つかる。遺体には墜落死の痕跡があり、犯人が屋上から落とした後で再度持ち上げたという疑惑が出るか・・・。最も疑わしい校舎に残っていた人物から無罪証明を依頼される「吏塚の名探偵」。喉を煙で焼きながらハードボイルド風の意妙な学園ミステリ開演。

 後に遠海事件を書く詠坂雄二のデビュー作。事件としては死体が持ち上げられた以外は平凡、殺されてもおかしくない学生が屋上から突き落とされた。打って変わってあまりに異質すぎる登場人物達、煙草で喉を焼く「吏塚の名探偵」、「情報屋」、愛と体を切り売りする「売春生徒」、等身大の青春から大きく離れたリアリティの薄い設定になっている。それでハードボイルド調の物語を展開するのだからびっくりだ、この湿ったドロッとした感じを高校生で出すのだからすごいな。 
 

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リロ・グラ・シスタ―the little glass sister (カッパ・ノベルス)
詠坂雄二リロ・グラ・シスタ についてのレビュー
No.165:
(6pt)

『ギロチン城』殺人事件の感想

 人形に込められたHelpの文字、探偵・ナコと頼科は曰くつきの「ギロチン城」へ。
そこでは道桐の姓を持つ一族とその従者たちが下界と隔絶した暮らしを送っていた。回廊で起こる不可能な密室殺人、あまりにも巨大な城と謎が待ち構える。

城シリーズの第四弾。非常にスピーディーに事件に突入する。アリスミラー城もそうだったが完全にトリックに重視の作品で登場人物の心理描写は淡々としている。 



▼以下、ネタバレ感想
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『ギロチン城』殺人事件 (講談社文庫)
北山猛邦『ギロチン城』殺人事件 についてのレビュー
No.164: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(4pt)

ルビンの壺が割れたの感想


 「突然のメッセージで驚かれたことと思います。」

Facebookで綴られる完全往復書簡体小説。 まぁ地の文が無い本自体は珍しくないですし、どうせならもっとネット上のやり取りを感じさせるような書き方にすればよかったのにと思う。 なんか手紙でのやり取りと遜色ない。
まぁ二時間弱で読めるような内容ですし、気になるならとりあえず読んでみてよということで。 
ルビンの壺が割れた (新潮文庫)
宿野かほるルビンの壺が割れた についてのレビュー
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(5pt)

倒錯の死角の感想


 ロンドに比べ見かけることの少ない死角の方です。 折原氏お得意の複数人視点に日記視点を交えた非常にトリッキーに作りになってます。


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倒錯の死角(アングル)―201号室の女 (創元推理文庫)
折原一倒錯の死角 についてのレビュー
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(6pt)

かつていたところ

 「どんな夢を見ているの。」
地下シェルターに閉じ込められた3人。 外に出るためには5年前の転落事故の真相を告げよ。
外部で進行する交換殺人の本当の狙いは、そしてこの作中作「かつていたところ」という物語の正体とは。


体験せよ浦賀トリックの帯に釣られ牢獄に迷い込みました。 物語は浦賀とその恋人である亜矢子が階段から突き落とされる所から始まります。 5年間眠りの牢獄から抜け出せない亜矢子、そして1日で目覚めた浦賀、やがて事件の真相を求める亜矢子の兄の手によって事件関係者の3人が地下シェルターに閉じ込められてしまう。 3人は途方に暮れながらも事件を振り返るのだが・・・。
一方、別視点では冴子という女がネットを通じた交換殺人のやり取りを持ちかけられる。 自身の元恋人・博の殺害の代わりにある人物の殺人を依頼されるのだが・・・。
この全く視点の異なる二つの物語が「かついていたところ」という亜矢子のために書かれた小説なのだという。 250頁の中に詰め込められたいくつもの技巧。 欲張りセットなパズル小説だった。



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眠りの牢獄 (講談社文庫)
浦賀和宏眠りの牢獄 についてのレビュー
No.161:
(4pt)

現実


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汚れた赤を恋と呼ぶんだ
河野裕汚れた赤を恋と呼ぶんだ についてのレビュー
No.160: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

雪女


 アリバイ証人は雪女!?

虚構推理シリーズの短編集。 メインとして雪女関連の話が二編、琴子高校時代の話が一編。
いつものように真相は予め妖怪から聞いているのだが、態々虚構を作り披露する。 なぜ虚構を伝えなければいけないのか、そこには知恵の神として人間と妖の調和の為の優しさがある。 今回は九朗先輩はほぼお休み、雪女が怯えますので。
虚構推理短編集 岩永琴子の純真 (講談社タイガ)
城平京虚構推理短編集 岩永琴子の純真 についてのレビュー
No.159: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

指切りの理由

 綾鹿市動物園で行われる人気アイドル“チタクロリン”のコンサート。 メンバーの一人がレッサーパンダに触れようとして指を噛み千切られてしまう。 やがて関係者が次々に襲われていき・・・。 ある者は中指を、ある者は小指を、持っていかれたり、放置されたり、指にまつわる事件は連鎖していく、果たしてレッサーパンダの事故は偶発的な物だったのか? 誰かが嘘を吐いている。

 ○○的でお馴染み綾鹿市シリーズ、テーマは「指」。 なんと物語早々アイドルグループの指が噛み千切られる。 そして指切り事件は飼育員や他のメンバーに波及していく。 大事なのは殺してから指を切り取ったのではなく、生きている人間から指を切り落としていくという事。 さて指を切り落とす必然性をあなたは推理出来るのか、綾鹿市シリーズにしては実に理論的な帰着でした。
指切りパズル (本格ミステリー・ワールド・スペシャル)
鳥飼否宇指切りパズル についてのレビュー
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(6pt)

invert 城塚翡翠倒叙集の感想


連続殺人鬼との対決から幾月、城塚翡翠に前に3つの殺人事件。

 
タイトル通りの倒叙3編。 作中で度々使われている古畑任三郎ネタはもう若い世代には通じないんじゃないかもしれない。 トリックよりロジックによったもので作品としては結構地味だ。
前作より落ち着いた展開になっていて、城塚翡翠の過去に迫っていくのかと思いきやそんなことは無かった。 シリーズ通した何かしらのオチを付けるのか、ただ城塚翡翠が事件を解決する推理物にするのか、そこら辺は作者の都合。
個人的にはこの作品の探偵のスタンスは苦手で犯罪者を捕縛したいのならそれに準ずる職に就けと思ってしまう。 探偵が能力を発揮出来るのは誰かに頼まれるか不可抗力で巻き込まれる時だけにして欲しい。






invert 城塚翡翠倒叙集
相沢沙呼invert 城塚翡翠倒叙集 についてのレビュー
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(6pt)

その白さえ嘘だとしてもの感想


 クリスマスを控えた階段島に起こる事件。 島のインターネット通販が機能を失った。 島に逃げ込んだハッカーの噂を聞き調査を始める真辺、泣いてる少女の為にヴァイオリンの弦を探す佐々岡、通販で届かなかった真辺への代わりのプレゼントを探す水谷、それぞれの物語はクリスマスの七不思議の謎に収斂する・・・。

 階段島シリーズの第二作。 クリスマスを前に島の通販が停まってしまった階段島。 それぞれが自身の考える正義や理想の為に奔走する。 悪がいるなら正したい真辺、不幸な少女の為にヒーローになりたい佐々岡、クリスマスを機に友好と秩序を守りたい水谷。 前作ではあまり触れられなかった佐々岡や水谷の内心が見れて良かった。 そして本作の面白い所は主人公である七草が物語の序盤よりおおよそ真相に辿り着くような布石を打っているのだがそれが読者には知らされない点である。 犯人の意図も主人公の意図も隠された状態で進む物語は非常にミステリーらしかった。 

その白さえ嘘だとしても (新潮文庫)
河野裕その白さえ嘘だとしても についてのレビュー
No.156: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)


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文庫版 狂骨の夢 (講談社文庫)
京極夏彦狂骨の夢 についてのレビュー
No.155: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

いなくなれ、群青の感想

階段島
山奥に住むという魔女によって下界から隔絶されたこの島で僕は平穏な日常を送っていた。 何の為に僕らは集められここに閉じ込められているのか、 自身の失くしたものを探し出せば島から出れるというが・・・。
そして11月19日午前6時42分、僕はこの島で一番会いたくなかった人に再会する。

 学園を舞台にした青春ミステリかと思いきや、不思議な力で支配された島からの脱出を図るファンタジー。 とはいえ主人公はあまり乗り気ではない。 未来を生きることに悲観している故にこの平穏な島から出る理由を見出せないでいる。 しかし、2年振りの彼女との再会が状況を一変させる。 対照的なまでに底抜けな理想主義な彼女はこの階段島の違法性を主張し主人公を振り回す。 
 シリーズを見越して様々な伏線、登場人物を収めた本作。 シリーズの一作目、つかみの作品として上々。

いなくなれ、群青 (新潮文庫)
河野裕いなくなれ、群青 についてのレビュー
No.154: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

月の淀む処

 築40年、パートリア淀ヶ月。 過去を断ち切りこのマンションの一室を購入した紗希は新しい生活の一歩を踏み始める。 緑の整ったエントランス、堅牢な管理人、気さくな隣人、輝かしい新生活はある宵のマンションの奇妙な風習と共に瓦解する。 このマンションは何かおかしい、、紗希は隣に住むライターの真帆子とマンションの秘密を探り始める。 自身の秘密をも隠したままで、、、

笑顔で親切な人がいる。とっても好意的な印象。 でもその人が裏では怪しい宗教の糸を引いていたら? 将又犯罪を生業として生きる人だったら? それまでの笑顔や親切が大きいほど、それは反転して恐怖に変わるだろう。 本作はそんな怖さを感じさせる。 マンションの真相に近付けば近付くほどに変わらない住人、ありふれた日常が恐ろしく思えてくる。 
ホラーミステリとしてはミステリ成分は低め。 山奥の村の因習を都会のマンションの持ち込んだような雰囲気、紗希に平穏な世界は訪れるのか否か、常に先の気になる話だった。
月の淀む処
篠たまき月の淀む処 についてのレビュー
No.153:
(6pt)

異端


 この祝祭の真実は、禁忌。

 



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異端の祝祭 (角川ホラー文庫)
芦花公園異端の祝祭 についてのレビュー
No.152: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

夏の終わりに君が死ねば完璧だったからの感想


最愛の彼女の遺体は3億の価値になる。 
 
 体が金塊になり死に至る「金塊病」、世界でも数例しかないその病の療養施設の近くに住む少年・江都日向。 ある日金塊病の女子大生に話しかけられたことで彼の人生は動き始める。 彼女は自分を相続しないかと提案してきたのだ、劣悪な家庭環境、何もない田舎町、冴えない自分自身、3億あれば変えられる。 しかし、屈託のない彼女との時間は少年にとって掛け替えのないものになっていき・・・。

 
 人の価値観がテーマである本作。 彼女は自分の死が金になることを達観していて、少年の相続を賭けたゲームを持ちかける。 少年は戸惑いつつもそのゲームに乗るが生身の彼女の姿に惹かれてゆく。 確実に進行する病と、その体に宿る金。 彼女の価値は死が近づくにつれて上がっているのか下がっているのか、少年は煩悶する。 残酷な現実は二人以外にも広まっていき、世間の好奇の眼が彼らを貫く。
非常に重いテーマ性だが、私があまり入れ込めなかったのが人の死が金になることを保険金や遺産ということ形の日常に置き換えてしまえたからだろうか。 体が金塊になるというのは独自の設定だが、人の死が金になることは往々にしてあることなのだ。 
タイトル付けも前作の「私が大好きな~」を引きづってるような感じで好きじゃない。 印象抜群のタイトルだが、読み終わってみるとそこまで作品の本質は表していないタイトルだった。



夏の終わりに君が死ねば完璧だったから (メディアワークス文庫)