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(短編集)
おそろし 三島屋変調百物語事始
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おそろし 三島屋変調百物語事始の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.18pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全107件 101~107 6/6ページ
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最初から、ぐいぐい読者をひきつけて読ませてくるのは、さすが宮部みゆきだと思いました。 最後の1ページ、これを読む為にここまで読んできたんだと思わせる『うまさ』です。 オススメの1冊です。 | ||||
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事件が起こって、加害者と被害者が発生する。 加害者が一方的に悪く、被害者は全く罪が無い、という単純な決め付けでわれわれは事件を理解したつもりになってとりあえず安心(理解不能なことほど不安になるものはない)してはいないか。そんな図式で悲惨な事件を型にはめて論じてはいまいか。 実際には、双方の心の奥底の野獣みたいなものがぶつかって事件がおこるのではないか。それは当事者のみならず関わる者たちの心の闇も関わっているのではないか。 そんな問題意識を持った作品(「模倣犯」「理由」など)を書いてきた宮部みゆきが、本作でも「百物語」の趣向を使いつつ、ある事件が原因で旅籠を営む川崎の実家から神田の袋物屋の伯父の元に身を寄せた娘おちかが、人の語る怪事を聞いて自らの心のうちに潜ませた黒々としたものを吐き出して行く過程を描いている。 是非そのあたりに注目していただきたい。 | ||||
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江戸の神田三島町の一角に店を構える袋物屋の三島屋。訳あって、その店の主人である叔父夫婦のもとに預けられ、働くことになった十七歳のちかが、店の「黒白の間」で、そこを訪れる人たちの不思議で怪しい話を聞いてゆく。不思議で怪しい、切なさと怖さ、恨みと憎しみ、割り切れぬ思いなどが絡まり合ってゆく。曰く、変調百物語。その聞き手となった主人公のちかが、語り手となる人たちから百物語の話を聞いていくことで、語り手とそこに関わる人たちの呪いを浄化し、それとともに、自らが負った災厄の根っこを見つめ、逃げずに相対してゆくようになるのですね。 著者の『あかんべえ』と好一対の、健気な少女と幽霊あるいは幽鬼たちが心を触れ合わせ、それぞれに浄化、変容、再生していく物語。第一話「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」の話から、「お! これは、読ませるじゃないか」と、話の中に引っ張り込まれ、「凶宅」「邪恋」「魔鏡」と読み進めていくうちに、いつしか夢中で読みふけっていました。とりわけ、「魔鏡」「家鳴り(いえなり)」と続く終盤、物語の第四コーナーの一瀉千里、怒涛の勢いは圧巻。「魔鏡」に出てくる美しい登場人物は、殊に印象強烈。怖かったなあ。上村松園の『焔(ほのお)』という絵に描かれた女性がゆくりなくも思い出されまして、ぞおっとしました。 愛する心と憎む心、気遣う心と悪意の心、そうした人の思いというのは表裏一体、紙一重のところにあるのだなあと、本書をひもといていくうちに、しみじみ感じ入ってしまいましたねぇ。登場人物の伊兵衛の言う、<何が白で何が黒かということは、実はとても曖昧なのだよ>との言葉が、ことのほか印象深く、忘れられません。 蛇足ながら、「最終話 家鳴り」の中、ある人物が言う「姉さんが来た、姉さんが来た」という台詞のことで。ここはおそらく、著者の敬愛する岡本綺堂『半七捕物帳』の記念すべき第一話「お文(ふみ)の魂」を念頭に置いています。本書をはじめ、宮部さんの江戸時代ものの小説の雰囲気、なかでも怪しの雰囲気には、岡本綺堂の『半七捕物帳』『三浦老人昔話』『青蛙堂鬼談(せいあどうきだん)』などの作品に非常に通じるものがあります。未読の方は、そちらもぜひ、お読みになることをおすすめいたします。 | ||||
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縁談の際に起こった悲劇によって、心に大きな傷を負ってしまったちかが主人公です。 物語は、彼女を預かった叔父の三島屋の主人の計らいで、心の傷の回復のために企画された「変調百物語」を中心に展開します。 この「変調百物語」の聴き手をあずかるちかは、その中で徐々に逞しく成長して行きます。 それは、ものの見方の勉強と言うことだったのかも知れません。 不幸な事件にあたって、彼女の考え方は一方的に固定されがちです。そんな時、他の事件の話を聴くことによって、別の角度からの考え方を知ることが出来るからです。それは、「広い世間には、さまざまな不幸がある。とりどりの罪と罰がある。それぞれの償いようがある。」ということなのでしょう。 「黒白の間」と名付けられた座敷で子の催しがなされるのも、「黒」「白」はそれほどはっきりとはしていないということの象徴でしょう。 舞台を江戸にとり、「百物語」を中心に一人の女性の心の問題を扱うと言うこの設定は非常に面白く、楽しく読むことが出来ました。 終わり方を見ると、何となく続編が書かれそうなので、それも又楽しみにしています。 | ||||
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宮部さんの時代物最新作。*暗い過去の出来事から心に傷を負ってしまったおちか。彼女は、袋物屋の伯父三島屋夫婦の元に預けられる事となり。そこでなんとか立ち直ってもらいたいと切に願う伯父の計らいの元、百物語の聞き手としてお客様をおもてなしする事となるが…!?☆一言で表現するならば「切ない」。そして、宮部さんらしい時代小説に仕上がっていると思う。*おちかの揺れる心の機微。そして、物語達の語り手達の気持ちが、巧く表現されていると思う。4つの百物語が、ラストには巧く1つに融合されそれもまとまりがあって良かった。*このお話を通して一番怖い物。それはやはり人間の嫉妬に行き着く。そして、誰にも心を開く事が出来ずに殻にこもったままのおちかが、周囲の優しさを汲取りながら自分に出来る事を着実に掴み進んで行く姿は、読者としても勇気付けられる物がある。 | ||||
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著者、待望の新刊です。 宮部みゆきさんの作品は全部好きですが、やはり(『火車』を別格として)江戸のお店モノが一番好 き。メインの物語のつなぎに紹介される、商売のあれこれが好き。「切り回す」とか、「こまこまと」とか、 「きりきりと」とか、ああ自分も明日頑張って仕事しようとか思えますよね。 不幸な事件に巻き込まれて心を閉ざしてしまった主人公が、自身の心の傷故に、同じような痛みを 抱えた人を引き寄せ、打ち明け話を聴くうちに、語る者の心も聴く者の心も、とらわれていた想いから 解き放たれていきます。そんな「変調百物語」。 実際の生活に囚われている私たちは、実際のところは、稀な例外を除き、解き放たれることはなかろ うと思うのですね。自分に迷惑をかけずに死んでくれと世話になった人を憎む心も、許されぬ恋である とわかっていても惹きつけられてしまう心も、そして、自分が気に病んでいることさえ丸く収まれば、それ で大団円なのであって、付随して自分が苦しめている人や忘れている人がいることは、きれいさっぱり なかったことになってしまう心も、リアルに私たちの日常にあるものだし、そして現実の日常では、そうし た心は解き放たれることはない。 でも、いっとき、宮部みゆきの小説を読んでいる時だけでも、小説の登場人物の心が解れることに 随伴して、私たちの現実の心も解れることがあるのかも、と思うことができます(甘いんだけど)。 そう思うだけで、実際は解れないんだけれど(私の心に巣食う憎しみも決して減らないのよ〜♪)、で も、そう思えるだけで、少なくとも明日もまた朝起きようと思えます。 本当にありがたい、これは宮部みゆきの大効用。 でも、宮部みゆきの小説を読んでからしばらくは、きっとみんな言葉にも行動にも表さない、それぞれ のいろんな心を抱えているのだなあ、とか思っちゃって、同僚氏のあれこれや、お隣のデスクのお嬢さん や、上司のなんだかんだに、いつものように普通に対応できなくて、なにかと固まってしまい、業務の 進捗に被害甚大。 たいへんに困ったことで、日常生活を円滑に送るためには、「偏見」という認知の節約が有効なことと 同様に、あんまり「きっとみなさん、いろいろな想いを抱えて、それでも会社に来てらっしゃる」みたいな ことはあんまり考えないのが吉かと。 これが宮部みゆきの弊害。 ほんまに、いいものを読ませてもらいました。 | ||||
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昨日買って、一気によみました。 あかんべえテイストでなかなか面白かったです。 でも個人的には「ぼんくら」ファンなので、星五つまではつけられませんでした。 展開的にも、ちょっと強引なところがあって、簡単に幽霊出すぎでしょ!みたいな・・・(汗) でも、ストーリーは面白かったし、出てくる登場人物も魅力的です。 清太郎さんがイメージしにくく、イマイチあくの弱いのが寂しいかな? 何はともあれ、おちかという新キャラ登場でしょう。 続編が期待できそうな感じです。 お初に出てくるお奉行様、女版? ぼんくら〈上〉 (講談社文庫)が好き | ||||
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