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(短編集)

おそろし 三島屋変調百物語事始



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【この小説が収録されている参考書籍】
おそろし
おそろし 三島屋変調百物語事始 (角川文庫)

おそろし 三島屋変調百物語事始の評価: 4.18/5点 レビュー 135件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.18pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全107件 81~100 5/6ページ
No.27:
(4pt)

宮部氏版百物語開幕

宮部氏版百物語開幕
陰惨な体験をした17歳のおちかが聞き手にも語り手にもなる
5つの話が語られる
様々な変事が語られる
その底にあるものは想い
生者と死者の想いが交錯する
よくあるパターンでは、単純な因果応報的なオチをつけたり、民俗学的な薀蓄が語られたりする
しかし、宮部氏のホラー小説では殆どそれらの要素が無い
変事に関わった人々の想いを様々な切り口で丹念に描く
まさに、東西随一のストーリーテイラーだと思う
おそろしAmazon書評・レビュー:おそろしより
4404038666
No.26:
(5pt)

宮部みゆき版モダンホラー(時代ものですが。。。)

宮部みゆきの長編、
時代物でホラー。
単行本からソフトカバーとして、
今回出版された。
物語の構造としては、
主人公が章毎に不思議な因縁話を聞き、
最後に大団円を迎えるという、
モダンホラー的な構造を持っている。
テーマは人間がいだく「恨み」。
更にその恨みを糧に命を保つ「悪」の存在を描き、
最後に悪との対決がある。
キングの長編とこの辺は欲にている。
宮部みゆきとキングのモダンホラーの類似は今までも感じるところだったが、
本作でも十分にそれが感じられ、非常に満足だ。
本家のSキングがキング的なモダンホラーを書かなくなってから長い時間がたつ。
宮部みゆきがキングテイストの作品を発表してくれることは、
日本人はしあわせだと思う。
最後に主人公おちかの成長を描いたことで、
作品としても後味よくまとまっていく。
怪異の中に友を見つけ、
友は主人公の成長とともに去っていくというストーリーは、
宮部みゆきの得意なものなのだろうと感じる。
その点では満点。
おそろしAmazon書評・レビュー:おそろしより
4404038666
No.25:
(5pt)

おそろしい

続変調百物語が、読売新聞朝刊に連載中です。これを読んでおくと続編もおもしろく読めます。宮部みゆきお得意の江戸物の新シリーズですあかんべえ〈上〉 (新潮文庫)あかんべえ〈下〉 (新潮文庫)
おそろし 三島屋変調百物語事始 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:おそろし 三島屋変調百物語事始 (角川文庫)より
4041002818
No.24:
(4pt)

面白さの中に、問題提起が隠されている

江戸時代を舞台に、少女が活躍する宮部みゆき得意の時代小説。

この作品では作者の最高の筆力で物語りに引き込まれ、その世界にどっぷりと引き込まれる力が満ち溢れている。
実際、最高におもしろい!
一見普通の人情話に見るところに、一ひねりを加え、読後に問題意識を残すところなどはさすがである。

また、読み替えれば、犯罪加害者の自己正当化の中に埋もれる、被害者の人権を問題提議しているとも思われる箇所がある。
自己正当化が無ければ、生きてゆけないほどのトラウマを抱えた人の立ち直りの中で、被害者への意識はどう扱われるべきなんだろう?
そんな、ことを考えてしまう作品です
おそろし 三島屋変調百物語事始 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:おそろし 三島屋変調百物語事始 (角川文庫)より
4041002818
No.23:
(5pt)

おそろしって何?

「宮部みゆき」読ませる文章を書く作家だ。
今回も圧倒的な筆力で少し厚めの本を一気に読ませてしまった。
時は江戸。旅籠屋の娘「ちか」の心の傷を発端に、なんとか慰めようとする親戚筋の袋物屋、三島屋の主人である叔父の大胆な発想からとんでもないところに話が飛んで行く。
恐ろしいのやら、健気なのか、はたまた愛しいのか?化け物に対する感情も多感な主人公の心情と共に激しく変化し、読むものを江戸時代の旋律の中に引きずり込む。
艶やかな衣装、日本古来の武家屋敷、蔵、竹薮、曼珠沙華・・・・・・幸せで穏やかな時の流れに反して、人々の心はある切っ掛けで心の中に鬼を生み出し育む。

いったい「おそろし」とは何なのか?
モノなのか?
カラチなのか?
おカネなのか?
目に見えぬ化け物なのか?
はたまた、心の中に巣喰うものなのか?

そう言えば、人を褒める時に「おそろしく凄い奴」って使い方をしているなぁ〜
正しい使い方ではないが、おそろしの言葉は自由に使っても良い時代なんだろう。

たぶん今は、いろんな意味で「おそろし時代」なんだろう。おそろしって・・・・・・・ほんとうになんだろうか?
おそろし 三島屋変調百物語事始 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:おそろし 三島屋変調百物語事始 (角川文庫)より
4041002818
No.22:
(4pt)

おもしろいっ

そして、こわいっっ!!

タイトルが『おそろし』ですが、ホントに怖かったです。
宮部さんの江戸ものはハズレなしですが、今回は長編なこともあり
少し深いお話です。

宮部さんの怖いは、文章の厚みから滲み出す感じがして・・・
おたかさんの話の当りを油断して寝る前に読んでいたら怖くて怖くて・・・

おちかさんまではいかなくても、こういう後悔とか不満とか天災みないな不幸とか
多かれ少なかれきっと誰にでもあることで、それをどうやって乗り越えて行くか、、、
みたいな事が描かれていて、最後は心が柔らかくなりました。

〆が物語風に終わっていたのが、かわいくて私は好きです。
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4041002818
No.21:
(4pt)

確かに新しい形のくゎいだん

ただ怖い話を並べるわけでもなく,百物語の「人が語る」という面白さを活かし,なおかつ一つ一つが主人公の心のしこりを解いていくという趣向は新鮮である。
第5話は大団円にしてあるが,映画だったら魂が抜けたおちかと心配する周辺の絵がだせるからもっと分かりやすかったろうに。
読売新聞で続編が連載中。
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4041002818
No.20:
(4pt)

深いテーマを淡々と綴る「物語」

人は、人に語ることの無い物語を、人生の中で溜め込んでいく。
それは、澱のように人の中に沈殿し、発酵していく。

主人公の少女は、そんな澱を内包し、人生のまだ出だしの段階でその人生を表現する事を閉ざしてしまっている。
そんな中で、起きる様々な偶然。それはまるで、あやかしが彼女の人生をこじ開けようとからかっているような。

この本の評価が分かれるのは、この小説を物語として読むか、人生の示唆として読むかの違いなのだと思う。作者は多分、閉じてしまった人生が明かされることでの妙を表現しようとしたのだと思う。それが、静かに語られる事を良しとしない場合、この本の評価は下がるだろう。
「静か過ぎる」と。

が、静かに進行する物語の中のそこここで、叫びだしたいような「思い」はちりばめられている。是非、その思いを見つけて欲しい。
見過ごしてしまいそうな、静かな、けれども叫びだしたいような強い思いに、自分が生きている中で出会う周囲の人々も自分も、実は囚われているのではないかと思い至る事ができるきっかけをこの本は見せている。
おそろし 三島屋変調百物語事始 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:おそろし 三島屋変調百物語事始 (角川文庫)より
4041002818
No.19:
(5pt)

恐ろしいのは死霊ではなく、生きている人間

宮部さんは、現代が舞台の小説もおもしろいですが、

江戸時代物になると、本領発揮という感じです。

人間の心の奥のどろどろと江戸時代のおどろおどろした世界と。

話の展開に無理がある、論理的でないという感想も多いようですが、

人間の感情自体が、論理的ではなく、

わがまま身勝手なのですから、これでいいのだと思います。

恐ろしいのは死霊ではなく、

生きている人間の妄執がそれを呼び寄せるのだということと思います。

たぶんシリーズ化されるのでは?というラストでした。

続編、楽しみにしてます。
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4041002818
No.18:
(5pt)

江戸の物語も宮部のフィールド

面白いです。

妙技というか、さすがは宮部みゆきの得意とするフィールドというのでしょうか。

主人公の「おちか」が三島屋を訪れる人の話を聞いていくという展開であり、話の語り手が変わっていくので一辺倒でなくあきがきません。

話の中身は、不思議で恐ろしい話でありながら、それは悲しく心を揺らす話でもあり、全体の話のバランスがすばらしいです。

最終話のくだりについては、賛否両論あると思いますが、私はあの終わりかたを期待していましたし、おちかの成長が見て取れる展開ということからも、話の末尾を飾るにはちょうどいいと思いました。

ただ、最後の最後になぞが残ってしまいました。

次回へのさりげない示唆なのでしょうか。

次回作が出ることを期待します。
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4041002818
No.17:
(4pt)

とても普遍性があります。

●まず時代小説なんですがあまりその点で手を控えている人は誤らないでください。普遍性のあるテーマばかりですからあるあるという感じでドキュメンタリー感覚で読めると思います。時代小説の設定や風景に頼るところは全くありませんので純粋に登場人物の心の動きを探る楽しみ方ができます。●ただ異様に過激な暴力が多くときには死につながり後味が悪いです。経過までの心理描写は納得行くのになぜか暴発の引き金が不可解で非常に混沌とした印象です。刃傷ではなく大抵棒だったり素手なので執拗で凄惨です。ちょっと何とかならなかったのでしょうか。昔のような闊達さや人間の英知、動機・結果の納得感のようなことが最近の作品からはトンと失せてます。●特に気になったのは中盤終わりくらいのお福という女性のみにまつわる一件、有能で忠義深い使用人を非常に理不尽な形で失っています。それなのにお福はあまり苦悩していないし、その張本人であるお福の父親と犠牲者があるきっかけでまた出会いますがやはり詫びていません。江戸時代の奉公人に対するあるじの一般的な振る舞い考え方を冷淡に切り取っているのですがこれもやはり私には不可解で暗い影を落としました。●終盤は何とかならなかったのでしょうか。なんだか急にファンタジーですね。幻想的な雰囲気を伝えるために心理よりも風景描写が多くなんともいえない膠着状態になります。この前まではスイスイページをめくっていたのですが急に読みづらくなります。宮部さんはファンタジーになると結末の描写が異様に丁寧になるので非常に失速するんです。もうちょっと人間自体の描写に傾けたほうがいいと思いますけど。会話の応酬で補ったり。一応会話はあるのですが暗示的で分かりづらいです。
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4041002818
No.16:
(4pt)

なぜだろう

ジムワークの帰りに立ち寄った書店でふと手にとる。
で、そのままスターバックスでしばし読み耽ってみる。
なるほど、面白い。日本人の端くれならば、みな百物語とか怪談とかには目がないわけだし、平易な文章で頭も疲れない。コーヒーのトールサイズをゆっくり2杯飲む間に読んでしまう。
だが何か物足りない。なんだろう。
そこでもう一度書店に入り、ハーンの『怪談』を読んでみる。で、なんとなくソレが分かる。
この平成の怪談には、『不条理』がない。起こった事象の一つ一つ、出てくる亡霊にまできちんと理由があって、分かりやすい悪役も用意されている。つまりとても読者に親切に出来ている。
語り手が過剰に説明してくれるために、テーマパークのライドに乗っているような気分になってしまう。エンターテインメントとしては、完璧だ。
だが、かつて日本人の原風景の中では、人間の思慮の及ばない理や力が、人間の意思とは無関係に存在した時代が確かにあった。
それは理屈や説明を拒絶する何かであり、必ずしも劇的ではなく、必ずしも恐怖でもなかった。だが人智の及ばないそれを、我々は『怪談』として語り継いできた。
だからこそ『kwaidan』や『遠野物語』の中に見られる民話群は、かつて日本人のすぐそばにあった怖れや畏敬を淡々と今に伝え、心の奥底で『恐怖』の原型を醸成している。
『おそろし』というこの小説には、そういった人智を超えた畏れは存在しない。あるのは『恐ろしいのは人間の情念、歪んだ感情なのだ』、という分かりやすく単純なメッセージである。
つまるところ、この小説は『怪談』ではなく、オカルト活劇、もしくは『モダン』ホラー小説の類なのであろう。その意味では十分に楽しめる作品だ。
そういえば今は亡き杉浦日向子氏の『百物語』には、失われた『不条理』が数多くちりばめられていた。そしてあれは怖かった。
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4041002818
No.15:
(4pt)

一番恐ろしいのはあやかし屋敷の家守

はずかしながら、某、宮部みゆき殿は小学生の息子の国語の問題集で「火車」が出てきて読んだのが初めてでした。短い抜粋ながら深い視点の切れのある文章が印象的でした。
で、この「おそろし」を初めてきちんと宮部作品で読ませて頂いたのですが、うーん文が上手い!流れるような文体で情景がスムーズに浮かびサクサク読めます。ベストセラーになるわけだ。
内容も人の心の奥の深い部分に迫ってきます。まさに人間であるが故の「おそろし」。
中でも最終章でのあやしの家の家守の言葉が心に染み入ります。人は自分の視点でしか世界を覗く事はできず。全ての人を救う事はできない。でも、自分のできる範囲で精一杯生きて行こうと決心したおちかの心意気に共感です。
おまけですが、江戸の情景や設定も細かく、江戸風俗案内としても楽しめます。
真っ黒の絹布団にあんな艶っぽい話が出てくるとは、正に江戸のないしょ話。
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No.14:
(5pt)

宮部版「シャイニング」+「ニードフルシング」

読み終わった後、
これは宮部みゆき版「シャイニング」+「ニードフルシング」だと感じた。
謎の屋敷、人の魂を集める男。
キングのテイストがふんだんに感じられる。
大大満足。
時代小説ではあるが、
ストーリーが複数で構成され、
最後にストーリーが重なっていくいく、
モダンホラーである。
こういう小説が好きだ。

今回は「あかんべえ」、「お初シリーズ」より主人公は年長に設定されている。
おちかは自分の過去に傷ついて心を閉ざした娘。大人だ。
従来の主人公はイノセンスで、
そのイノセンスを武器に怪異に立ち向かったいたのに対して、
おちかはイノセンスを失ったがために悩み苦しんでいるのである。
最後の場面で家守にイノセンスの喪失を責められる。
おちかはそれに反発し立ち向かう。
そこが従来の時代物と一線を画す点である。

家守のキャラクターが効いている。
キング的に解釈すれば「悪」の象徴。
「悪」との対決が本作のテーマである。

エピソードの中ではお彩が出色である。
愛と死と恐怖を体現したすごいキャラクターだ。

お勧めです。
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4041002818
No.13:
(4pt)

宮部みゆきの百物語に期待

宮部みゆきによる百物語。
このようなフレーズを耳にして今回この本を手に取ってみました。

一つ一つの短編の怪異の面白さ。
連作小説のように物語がつながっていて、
その世界観が仕上がっていく様子もまた上手。

読んでいてどんどんと世界に引きずり込まれるように、
のめりこんで読み進めてしまいました。
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4041002818
No.12:
(4pt)

夏に読みたかった。

本書は宮部氏お得意の江戸物であろうが、読んでいると、どんどん辺りが涼しくなっていくように感じた。ラストが魑魅魍魎といったおどろおどろしい世界観に満ち溢れていく。
 夏場に読んでおけばよかった。
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4041002818
No.11:
(4pt)

やさしい時代小説。

宮部作品の江戸ものは、特に期待していました。
時代小説を全く読まない私にもわかりやすく、更に現代にはない、人の優しさが伝わり、
何とも言えない温かい気持ちになるからです。

本作は、心に傷を負った主人公・おちかが、
不思議な話を人から聞くことによって、
自分の不幸な傷を癒していくと言った、前向きなストーリーです。
何故叔父が、おちかに恐ろしい話を次々と聞かせたかは、
どうも腑に落ちない点があります。
でもそれをさしおいても、おちか自身のエピソードと、
客達のエピソードが少しずつ明かされていく展開はスムーズで、
引き込まれました。

ただ、問題は最終章ですね。
普通の少女が巻き込まれる事件としては、あまりにも現実感がありませんでした。
「霊験お初シリーズ」で、霊感のある少女という設定を使ってしまったため、
今回は同じようには出来なかったのかもしれません。
おちかに具体的な超能力がないと、あの展開ではどうしても夢物語みたいで、
ご都合主義な感じがしました。

そして最近の宮部作品を読んでいつも疑問に思うのは、
なぜ本当の悪人が登場しないかということです。
例えば親兄弟を裏切った姉弟が、最後に許されてしまいます。
それまで人間のどろどろしたものを丁寧に描いていたのに、
急に浄化されてしまうのです。
悪を持った人間がその後どうなるかは、
神様(=読者)が決めることではないのでしょうか。
余韻があるからこそ、読者の想像を掻き立てるのだと思うのですが、
宮部さん自身が神になってしまっているので、
全て手のひらの上のおままごとみたいになってしまったように感じました。
おそろし 三島屋変調百物語事始 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:おそろし 三島屋変調百物語事始 (角川文庫)より
4041002818
No.10:
(4pt)

湘南ダディは読みました。

繰り出される「物語」の宝、また宝と解説にありますが、本当にその通りで稀代のストーリーテラー宮部さんの面目躍如といえる作品です。本作はあちらこちらにオリジナリティのある「おそろし」さがちりばめられているだけでなく、登場人物たちの会話や地の文章にも当時のお江戸を髣髴とさせる生活感がただよっていて読者は知らず知らずに百数十年前の時間の中に引き込まれていきます。
 神田三島町の袋物屋の主人伊兵衛は、兄夫婦の娘おちかをあずかっています。おちかまだ十七歳なのですが、わけあって人との交わりをすっかり閉ざしてしまい、三島屋の女中として働くことで気を紛らわしています。ある日、突然の所用で伊兵衛夫婦が出かけることになってしまい、伊兵衛を訪ねてきた碁敵の藤吉の相手をおちかがすることになります。伊兵衛がわざわざしつらえた碁打ちのための客間、黒白の間に藤吉を通すと、藤吉は問わず語りに亡くなった兄吉蔵の話をはじめるのでした。茶を入れにたったおちかが戻ってくると藤吉は顔面蒼白になり息苦しそうにしています。立てつめた障子をあけたところ庭に咲いている曼珠沙華の花陰から覗いている人の顔をみたというのです。そしておちかは吉蔵と藤吉の因縁話が語られるのですが、その後まもなく、藤吉は憑き物が落ちたように亡くなってしまいます。
 おちかには人の心のなかに閉ざされた悩みをききだす力があると気付いた伊兵衛は、そのような悩みを持つ人を黒白の間にあつめてはおちかに聞かせ悩みから開放させてやろうとしてやります。そのようにすればおちかも自分の閉ざされた心を開くことが出来るようになると考えたからです。こうして百物語の形式をとって各章毎に怪異の話が語られる構成となっていますが、各話そのものが誠に精緻に組み上げられた因縁話になっているだけでなく、全体としておちかの秘密も解き明かされ救済されるという構成になっています。
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4041002818
No.9:
(4pt)

胸に残る、人の後悔の重さ

心に深い傷を負って、叔父が営む三島屋で暮らすようになった主人公・おちか。
そんな彼女に、叔父は「不思議な話をしてくれる人を集めたから、
それを聞いて、おまえが私にわかりやすく話しておくれ」と命じます。
それは、一風変わった「百物語」のようなもので、
次々と不思議な話をする人がおちかの前に現れます。
その一つひとつが、重く、切なく、時に恐ろしい。
しかし、その体験を経て、おちかは悲しい体験で傷ついた人は自分だけではないこと、
見方を変えるだけで被害者や加害者は立場を変えてしまうことなどを学んで行くおちか。
次第に、おちかは自分の傷や出来事を見つめることができるようになっていく。
そのうち、お客の一人が話した話から、事態は大きく動き始め・・・。

宮部みゆきらしく、登場人物一人ひとりが丁寧に描かれており、ちょっと出てきただけの人や
侍女ですら生き生きと個性を持って動き回っています。
お客が語る不思議な話には、あっという間に読み手である私も引き込まれ、
話を聞かされているおちかの気持ちを追体験するかのような感覚が得られました。
「これはどうなっていくんだろう」という興味から、あっという間に読破してしまいました。

不幸な出来事というのは、ある日突然身の上に降りかかるもの。
本当は、ただそれを不幸な出来事として、嘆くことができればいいのでしょう。
しかし、人はそれに何かしら理由がほしい。
だから、自分のせいにしてみたり、人を恨んでみたりして、想いを残し、嘆く。
その悲しさを、いろいろな出来事を通して表現している話だと思います。

ラストは思わぬ方向に進んでいき、ちょっと私の好みとは違いましたが、
それでも一気に読ませるだけのものはありました。
ほかの時代物同様、情景が浮かんでくるような描写で、十分に楽しめるものだと思います。

でも、ラストがちょっと好みと違ったので、星4つ。
そのあたりは好みの問題ですね。
おもしろかったですよ。
おそろし 三島屋変調百物語事始 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:おそろし 三島屋変調百物語事始 (角川文庫)より
4041002818
No.8:
(4pt)

静かだけど力強いストーリー

正直、宮部みゆきさんの作品を読むのは、
これが2作品目でした。

時代小説は、初めてです。
とにかく、静かに淡々と進みながらも
しっかりとストーリーの力強さを感じました。
一人一人の人々の生きる力を感じます。
ほんのり暖かで、時にひやりと冷たく、
夏の夜の一冊には最適でしょう。
おそろし 三島屋変調百物語事始 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:おそろし 三島屋変調百物語事始 (角川文庫)より
4041002818

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