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(短編集)
光媒の花
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光媒の花の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.06pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全50件 41~50 3/3ページ
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道尾氏の作品はすべて読破しているが、連作短編集の中では、「鬼の跫音」「花と流れ星」 よりお気に入りだ。 全6編のうち、前半3編と後半3編の対比が秀逸。 どこまでも救いようのない前半と、わずかながらの光明を垣間見せる後半。 なぜこの作品で直木賞を取れなかったのか疑問に思い、本命「月と蟹」を 読んでから、このレビューを書いているが、やはり完成度で言うと、今作の 方が優れている。 優れているというか、今作の方が、最近の道尾氏の作品の風潮からいうと、 バランスがとてもいい。 「カラス」「ラット」「ソロモン」のようなミステリー&どんでん返し系から、 ノワールを残しつつ、登場人物の心情を深く掘り下げた作風、とでも言えば いいのか。 いずれにしても、筆者は明らかに作風を変えてきているが、いわゆる「道尾流」 を極める過程での試行錯誤がうまくいった結果、出来上がった作品ではないかと思う。 大御所たちの直木賞の書評は、理解できない点が多かったが、いいも悪いも、 この作品が多くの読者に読まれ、何とも言えない読後感を味わってほしいことを 願ってやまない。 | ||||
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若いのに手練れ、という感想がまず最初に浮かびました。 道尾氏らしい際だった仕掛けやトリッキーさが前面に押し出されることなく、丁寧に紡いだ六編の小編が最後には光の花となる。風媒花でも虫媒花でもない、自ら輝き光を伝え合う光媒の花になる。迷い傷つき、運命に翻弄される人たちへの作者の願いが込められたラストで、山本周五郎賞に相応しいと思いました。 これから道尾氏がどんどん年令を重ねてより深く人と向き合い、どんな作品を書いていくようになるのか本当に楽しみです。今回の受賞はその期待の意味もあるような気がします。 | ||||
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全六章を読み終った後に感じるものがありました。 個別のストーリーですが、なんか人間てみんな気づかずに繋がっているものなんだなぁ。 色々な事があっても生きている。強くもあり脆くもあり・・・。 あまりにも現実にありそうで怖かった。 | ||||
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私は、小手先トリックの殺人事件小説が嫌いだ。人を殺したいという気持ちと、実際に殺人を実行する行為の間には、超えがたい裂け目があると思う。だから、第一話の「隠れ鬼」で少しめげた。ああこの人やっぱり…と思った。以前道尾さんの別な作品で残念に感じたものがあったからだ。第二話、第三話のつながりが面白く、今回は面白いなと思ったものの、ちょっと人が殺されすぎるなとも思った。 だから、人の死なない話である「風媒花」と「遠い光」で、最高に読後感が良かった。それに、「遠い光」のエピソードのおかげで、第一話の「隠れ鬼」の登場人物たちさえ、人生を肯定するねばり強い筆致で再生しているではないか。 道尾秀介の、本格小説家としての円熟ぶりを示す作品である。 | ||||
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ずっと読みたくて でもケチな私は悩んでました。 本屋で表紙の綺麗さに、 「たまには贅沢をしよう」と買いました(笑) 買ってよかった^−^と思います。 人生の暗部ばかりではなく、最後にきちんと希望を持たせてくれた。 しかも巧妙につながっているんですね。 そこがよかった。 白い蝶が物語りの鍵になっていたとは……。 あと驚いたのは文章の美しさです。 とにかく綺麗でした。リズムもいいし、一気にファンになってしまった。 | ||||
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六編の全くテイストの違う短編からなる連作です。 人物の描き分けが素晴らしく、 どのお話の主人公にも感情移入して読みました。 第三章まではダークな内容で、 途中読むのがつらくなりました。 でも、決して悲しいだけの話ではないんですね。 向こう側に光差す未来が見えている、 そんな印象を受けました。 それは作者の、登場人物への深い愛情だと思います。 ただ人生の一コマを描いているのではなく、 その先の幸せまで期待して描いている、 作者の優しい気持ちが伝わってきました。 素晴らしい作品です。 代表作となる一冊だと思います。 | ||||
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感動するストーリーは意外とそこら中にあるので、 そういう意味ではあまり目新しいストーリーではないけど、 素直に感動できる、いい作品でした。 もちろん、ダークな話もあるので、 あまり「面白い!」という感じではないけど、 すべてが報われないわけではないので、読後感も良かったです。 全体的には重めな雰囲気でしたが、 その中でも6つの短編をつなぐ"仕掛け"があったのは 読んでいて「おぉ、ここでつながるか〜」と、 ストーリーとは別に楽しませてもらいました。 ただ、最後まで読み終えてみて、 深みがあったか、衝撃を受けたかというと それほどではないかなぁという感想を持ちました。 軽く1冊読みたいという方にオススメします。 | ||||
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前作『球体の蛇』よりも、よりミステリ色を薄くし文芸色を濃くしたような流麗な文章。 それぞれの主人公が、別の作品でも重要な役割を担っています。 愛憎ゆえの殺人、性的虐待、貧困、孤独・・・気が滅入りそうな物語の連続。 ここまで書かないと成り立たないのか? と問いたくなったけれど、現実の世界で苦しんでいる人がいる。やっぱり避けては通れないのでしょうか。 それでも最後の物語で 冒頭と話がつながり、かすかな希望の光が射してきます。 作者が描きたかったのはこれなのか、と納得し、静かな感動が味わえました。 そして、「この全6章を書けただけでも、僕は作家になってよかったと思います。」との言葉。 作品に対する自信と愛情が窺えます。 けれど残念ながら、ミステリー色が濃い、騙しのトリックに満ちた道尾作品が好きな私には、最高傑作とは思えませんでした。 道尾さんを知るきっかけになった「カラスの親指」 あのビッグバンドのような、壮大な騙しのスケール 未だに、私にとってのNo.1です。 まだまだお若い道尾さん。 今後とも楽しみに、応援させてもらおうと思います。 | ||||
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前作の「球体の蛇」がとても良かったので迷わず手に取りました。 道尾秀介さんの本はまず装丁が美しくて、それだけで読む意欲・期待感が増します。 文の並び、文字の大きさも丁度良いバランスで、ぱっと見にも美しいです。 今回の作品は隠れ鬼・虫送り・冬の蝶・春の蝶・風媒花・遠い光の六章で構成された連作集です。 それぞれの章が丁寧に人物描写も巧みに描かれていて、 そして各章の登場人物が交差して面白い一つの作品となっています。 大切な何かを必死に守るためにつく悲しい嘘 誰しも持ち合わせているであろう善と悪、光と影の部分が随所に散りばめられていて 作者のメッセージの様な物もそこかしこに感じられました。 今、目が話せない作家さんです。 | ||||
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とても面白かったです。物語には様々な人物が登場します認知症の母と暮らす中年男ある罪を犯した幼い兄妹悲しい秘密を抱えた少女と少女に恋をする少年あるきっかけで、耳が聞こえなくなった少女と、少女の祖父病にかかった姉を見舞う、母を恨む青年自信をなくした女教師と、憂鬱を抱える生徒道尾さんは人間の微細で繊細な、だけれども重大な心の動きを書くのが抜群にうまいのですが 今作は特にそれが顕著に描かれています。誰の心にも忍んでいて、時にふっと顔を出す悪意や狂気誰もが持つ光と陰、そして優しい心それらが巧みな筆致で表現されています。物語はバトンタッチのように次々と繋がっていきます。そしてどのはなしも読み終わった後、鳥肌がたってしまうほど濃密でした。どんな人でも複雑な思いを持っていて、それでも生きている。 76頁でホームレスが発した言葉。 よく聞く言葉ですが 道尾さんの優しく切な願いのように感じました。 | ||||
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