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二流の人
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二流の人の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.31pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全29件 21~29 2/2ページ
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なんてことはない、前回読んだ【黒田如水】はこの本の、最初の部分の抜粋だったのである。 したがって、この本は小田原城の攻防から朝鮮出兵と続き、関が原の戦いで終わる。 表題の「二流の人」とは黒田勘兵衛を指す。 NHKで大河ドラマが始まったばかりなので、この本の存在は伏せておきたいと思うくらい、勘兵衛に対する評価は辛らつである。 ドラマにするには、主人公を英雄とか神格化?しがちだが、本当の勘兵衛像は安吾が描くこちらの方に近い感じがする。 彼は無類の戦争上手で、本人はいつかは天下を取るとの野望を抱いていたらしい。 でも、結局参謀としての生き方しか出来なかった。 天下を取る器ではなかったのである。 本人も馬鹿ではないから、最後の最後にそれを悟るわけだが、そのときの悲しさといおうか、哀れさといおうかが伝わってくる。 同じ参謀でも、諸葛孔明は自分の器量を知っていて、最初っから参謀に徹したわけだが、そこが一流と二流の差なのだろうな。 自分を冷静に評価することは至難の技でありますな。 それより何より、この本で触れている秀吉の朝鮮出兵がとても面白かった。 朝鮮の人々が今でも恨みに思っている災害について、全く知らなかったので次はこれが書かれている本を読んでみたい。 | ||||
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小説、エッセイ、コラムが一緒くたになった短編集ですが、一冊を読み通してみると、坂口安吾の丁寧で客観的な世界観、人間性に触れた心地よさがありました。 心許せる親友と一晩語り尽くし、満足して朝帰りする気持ちの良さを思い出しました。 「木枯らしの酒蔵から」 1931年。24歳のデビュー作 デビュー作らしい新鮮で斬新な文体です。酔っ払いの主人公が「〜う、ぶるぶるじゃよ。」「あべべい、酒は茨だねえ、」などと呟くのが楽しい。 「風博士」 同年に発表された出世作 ライバルの蛸博士を呪って自殺した風博士の遺書ですが、全くもって、ナンセンス。「否否否。千遍否。」とリズミカルに蛸博士を否定しつつ、自殺と言っても「POPOPO!」とシルクハットを被り直し「TATATATATAH!」と消えて無くなってしまうのです。う〜ん。 「紫大納言」 1939年に発表された荒れた平安の都で、色恋に生きた男のファンタジー。 1932年3月に発表した小論「FARCEに就いて」を具現化した小説です。 「真珠」 太平洋戦争開戦当時の風俗を描きつつ、人間魚雷回天で自爆した兵士へ捧げたもの。 特攻の翌年1942年3月に執筆されました。 特攻兵士や戦争で死ぬ事に対する当時の一般市民の「声」として参考になるような気がします。 「二流の人」 戦中、戦後と継続して書かれた時代小説です。 竹中半兵衛重治没後、豊臣秀吉の軍師として活躍した黒田官兵衛孝高が生きた時代を描いています。 「正義」「大義」「信義」など、何かと精神論で描かれる事が多い時代小説と毛色を異にした快作。武将の心理描写、平たく言えば「好き嫌い」を丁寧になぞりながら物語を進めています。 「白痴」 新潮1946年6月号に発表された小説。 「人間性とは何か」を問うた問題作である、と聞いていたので、てっきりヒロイン「白痴」を健常者が忘れている美点を持つ模範として描いた作品だと思い込んでいました。 そうではなくて、 「我々は、浮世の気まぐれに白痴を見習うべき人間本来の姿と賞賛しがちですが、結局のところ人間らしいと言う事は、雑事に紛れ、煩悩に苦しみ、孤独なのです。」 と著者が説いている、と理解しました。 「風と光と二十の私と」 文芸1947年1月号に発表。 小田急線が開通する直前の草深い世田谷下北沢で代用教員を務めた一年の回想録です。 大人にとってはどうでも良いように思えることでも子供にとっては大問題であることをくみ取る丁寧な人間観察眼に目を見張ります。 作中で、道徳観について触れている箇所が印象に残りました。本来自分なりの基準を持つべき善悪の判断を、他者との比較を言い訳にして放擲してしまう危険性を指摘しています。 一部要約しながら引用します 「教育者は人の非難を受けないよう自戒の生活をしているが、世間一般の人間は、したい放題の悪行に耽っているときめてしまっていて、だから俺たちだってこれぐらいはよかろうと悪いことをやる。当人は世間の人はもっと悪いことをしている、俺のやるのは大したことではないと思いこんでいるのだが、実は世間の人にはとてもやれないような悪どいことをやるのである。」 比較対象の他者も、架空の(悪どい)他者であるため、判断基準は際限なく甘くなって行く危険性を指摘しています。僕も「教訓とせねば。」と思うところがありました。 「青鬼の褌を洗う女」 1947年10月に発表された小説です。 坂口安吾が理想とする女性を主人公に据えて、女性の立場から描いた作品として読むことが出来ます。僕は、「カッコ良い女性だな。」と思いました。 しばしば女性に対して言われる「結婚しても、ぬかみそ臭い女になるなよ。」と言う男のダンディズムを女性の立場から書いたものと理解できます。 | ||||
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初めてKindleを使ってみて、無料のものをダウンロードたくさんしてみました。図書館でも本を借りますが、場所をとらないし、これはなかなか良いです。 | ||||
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黒田官兵衛が好きだったので試しにどんなものか呼んでみた。 官兵衛の性格が良く書かれており、家康、秀吉との関わりも良く書かれています。 戦国好きの人には読んでもらいたい本です。 | ||||
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天皇との関係で、道鏡について知りたく、また坂口安吾氏の著作を読んだことがなかったので、こちらを購入してみました。 道鏡と孝謙天皇の関係は、本当にたくさんの作品で、様々な描き方がなされているようですね。 坂口氏は道鏡が王位の簒奪を企てたのではなく、あくまで天皇が主体的に譲ろうとしたというように描写なさっています。 もはや真相は誰にもわかりませんが、古くは豪族同士の争い、その後の皇族間の血みどろの構想を経て孝謙天皇が存在したことを考えると、現代において考えるほど、当時は道鏡が天皇になったとしてもそれほどの違和感はなかったのかもしれないと思うに至ります。 何事についても、現在の尺度で図ろうとすると誤ることが多くなるのかもしれません。 | ||||
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匂いって何だろう? 『白痴』『青鬼の褌を洗う女』は新潮文庫版でも読んだけど、面白かった。 『二流の人』は、奇を衒った時代小説かと思いきや至極全うな時代小説で、すごくおもしろかった。 黒田如水が一応の主人公だけど、小西行長や豊臣秀次を総括的に「二流の人」と呼び、時代に翻弄されつつも味のある人生を送った、一流ではないヒーローたちの物語。な気がする。 スティグマを持ったヒーローは、決して主役にはなれないということですね。そんなヒーローのほうが個人的には好きだけど。 苦しまなければならぬ。 できるだけ自分を苦しめなければならぬ。 人間の尊さは自分を苦しめるところにあるのさ。 君、不幸にならなければいけないぜ。 うんと不幸に、ね。 そして、苦しむのだ。 不幸と苦しみが人間のふるさとなのだから、と。 | ||||
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匂いって何だろう? 『白痴』『青鬼の褌を洗う女』は新潮文庫版でも読んだけど、面白かった。 『二流の人』は、奇を衒った時代小説かと思いきや至極全うな時代小説で、すごくおもしろかった。 黒田如水が一応の主人公だけど、小西行長や豊臣秀次を総括的に「二流の人」と呼び、時代に翻弄されつつも味のある人生を送った、一流ではないヒーローたちの物語。な気がする。 スティグマを持ったヒーローは、決して主役にはなれないということですね。そんなヒーローのほうが個人的には好きだけど。 苦しまなければならぬ。 できるだけ自分を苦しめなければならぬ。 人間の尊さは自分を苦しめるところにあるのさ。 君、不幸にならなければいけないぜ。 うんと不幸に、ね。 そして、苦しむのだ。 不幸と苦しみが人間のふるさとなのだから、と。 | ||||
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この短編集に入っている「風と光と二十の私と」を読んで、わたしは一発で安吾のファンになってしまった。これは安吾のエッセー的作品になるのだが、その中で彼は繰りかえし「人を嫌いになりたくない」と書いている。子供達の描写が細やかで驚いた。安吾という人は様々な面をもっている。そう感じさせたのが、次に読んだ「白痴」。これは文体からして全く違う。 正直最初は何の話がしたいのかわからない。しかし、物語が進むにつれ、物語の芯が見えてくる。此れを自然に出来るのが安吾に天性の才があったからとしか思えない。 同書にはこの他6編が収められている。 | ||||
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この短編集に入っている「風と光と二十の私と」を読んで、わたしは一発で安吾のファンになってしまった。これは安吾のエッセー的作品になるのだが、その中で彼は繰りかえし「人を嫌いになりたくない」と書いている。子供達の描写が細やかで驚いた。安吾という人は様々な面をもっている。そう感じさせたのが、次に読んだ「白痴」。これは文体からして全く違う。 正直最初は何の話がしたいのかわからない。しかし、物語が進むにつれ、物語の芯が見えてくる。此れを自然に出来るのが安吾に天性の才があったからとしか思えない。 同書にはこの他6編が収められている。 | ||||
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