夢は荒れ地を

【この小説が収録されている参考書籍】

【この小説が載っている参考書籍】

評判

夢は荒れ地をの評価:

4.53/5点 レビュー 19件。 A ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.53pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全34件 1〜20 1/2ページ
No.34
(5pt)

あまりにも長い間影を視ている人間は影そのものになってしまう

私たちはカンボジアという国に関して何を知っているのでしょうか?ポル・ポト
派の多量虐殺、政府に蔓延する汚職、人身売買、地雷撤去 等々。ネットで検索しても
カンボジア人の息づかいは、いまひとつ響いてきません。豊かで平和な日本で
カンボジアはあまりにも遠く、貧しい東南アジアのひとつでしかありません。
豊かではあっても日本人はそれなりに自分たちの事でいっぱい、いっぱいです。
直接利害のない東南アジアの一国に関心を向ける事はめったにありません。
本書はフィクションという手法を用い、カンボジアの現状を単なる記号から
(漠然であるものの)リアリティをもって感じさせてもらえます。

 そんな国にスポットを当てて登場する日本人の目をとおしてその国を語ってくれ
る作者の作風は彼の得意とするところです。日本人は何人か登場しますが、
本編ではどうでもいい端役でいい味を出しているのが在カンボジア日本大使館
「伊達安春」です。外務省ノンキャリアの参事官はクメール語を覚えようとせず、
すべて英語で押し通します。情報収集はもっぱらアメリカ大使館と日本のNGOに頼
りきり、霞ヶ関にインテリジェンスとして打電しています。情報入手のために用意
されている機密費は自宅の高級家具やフランスのビンテージ・ワイン購入に費やされ、
やがて実家へと送られます。あくまでフィクションの世界でのことですが
当たらずといえども遠からずいったところではないでしょうか。

 カンボジアの現状は悲惨極まりありません。しかし、先進国の論理で援助をする
ことでは解決するのは困難です。本書では「殺しあわないかぎり何も解決できない」
というクメールの古い諺のとおり、なんともやりきれない無力感を感じ
させる内容ではありますが、少なくとも本書を読む事により、私にとって
カンボジアは one of them では無くなりました。
夢は荒れ地を (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 夢は荒れ地を (文春文庫)より
4167683024
No.33
(5pt)

あまりにも長い間影を視ている人間は影そのものになってしまう

私たちはカンボジアという国に関して何を知っているのでしょうか?ポル・ポト
派の多量虐殺、政府に蔓延する汚職、人身売買、地雷撤去 等々。ネットで検索しても
カンボジア人の息づかいは、いまひとつ響いてきません。豊かで平和な日本で
カンボジアはあまりにも遠く、貧しい東南アジアのひとつでしかありません。
豊かではあっても日本人はそれなりに自分たちの事でいっぱい、いっぱいです。
直接利害のない東南アジアの一国に関心を向ける事はめったにありません。
本書はフィクションという手法を用い、カンボジアの現状を単なる記号から
(漠然であるものの)リアリティをもって感じさせてもらえます。

 そんな国にスポットを当てて登場する日本人の目をとおしてその国を語ってくれ
る作者の作風は彼の得意とするところです。日本人は何人か登場しますが、
本編ではどうでもいい端役でいい味を出しているのが在カンボジア日本大使館
「伊達安春」です。外務省ノンキャリアの参事官はクメール語を覚えようとせず、
すべて英語で押し通します。情報収集はもっぱらアメリカ大使館と日本のNGOに頼
りきり、霞ヶ関にインテリジェンスとして打電しています。情報入手のために用意
されている機密費は自宅の高級家具やフランスのビンテージ・ワイン購入に費やされ、
やがて実家へと送られます。あくまでフィクションの世界でのことですが
当たらずといえども遠からずいったところではないでしょうか。

 カンボジアの現状は悲惨極まりありません。しかし、先進国の論理で援助をする
ことでは解決するのは困難です。本書では「殺しあわないかぎり何も解決できない」
というクメールの古い諺のとおり、なんともやりきれない無力感を感じ
させる内容ではありますが、少なくとも本書を読む事により、私にとって
カンボジアは one of them では無くなりました。
夢は荒れ地を Amazon書評・レビュー: 夢は荒れ地をより
4163219102
No.32
(5pt)

カンボジア プノンペン シュムリアップ

故 船戸与一氏の最高傑作!
夢は荒れ地を (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 夢は荒れ地を (文春文庫)より
4167683024
No.31
(5pt)

カンボジア プノンペン シュムリアップ

故 船戸与一氏の最高傑作!
夢は荒れ地を Amazon書評・レビュー: 夢は荒れ地をより
4163219102
No.30
(5pt)

カンボジアのハードボイルド

カンボジアのことをあまり知らなかったが、この本を読んで内情を知ることができた。それも、現地民がどう考えているか、感じることができた。

前半は、どのあたりが「良く茹で」ているのだ?という感じだったが、中盤からとても良く茹でられてました。カンボジアの子供達のために活躍する日本人はカッコいいです。気持ちよく読めます。
夢は荒れ地を (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 夢は荒れ地を (文春文庫)より
4167683024
No.29
(5pt)

カンボジアのハードボイルド

カンボジアのことをあまり知らなかったが、この本を読んで内情を知ることができた。それも、現地民がどう考えているか、感じることができた。

前半は、どのあたりが「良く茹で」ているのだ?という感じだったが、中盤からとても良く茹でられてました。カンボジアの子供達のために活躍する日本人はカッコいいです。気持ちよく読めます。
夢は荒れ地を Amazon書評・レビュー: 夢は荒れ地をより
4163219102
No.28
(5pt)

カンボジア本の最高傑作

カンボジアについて深く知りたいなら必読の傑作。しばらく余韻が抜けない。
夢は荒れ地を (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 夢は荒れ地を (文春文庫)より
4167683024
No.27
(5pt)

カンボジア本の最高傑作

カンボジアについて深く知りたいなら必読の傑作。しばらく余韻が抜けない。
夢は荒れ地を Amazon書評・レビュー: 夢は荒れ地をより
4163219102
No.26
(4pt)

船戸与一作品としてトップレベルの質

カンボジアを舞台にしたミステリーだが、そこから日本の問題もえぐり出している。
夢は荒れ地を (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 夢は荒れ地を (文春文庫)より
4167683024
No.25
(4pt)

船戸与一作品としてトップレベルの質

カンボジアを舞台にしたミステリーだが、そこから日本の問題もえぐり出している。
夢は荒れ地を Amazon書評・レビュー: 夢は荒れ地をより
4163219102
No.24
(5pt)

ありそうな話!

フィクションでしょうが、カンボジアの内情を知っていれば、すべて納得がいく内容でち密に調べ上げてできた作品だと思う。本の厚みが全く気にならないくらい面白かった!
夢は荒れ地を (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 夢は荒れ地を (文春文庫)より
4167683024
No.23
(5pt)

ありそうな話!

フィクションでしょうが、カンボジアの内情を知っていれば、すべて納得がいく内容でち密に調べ上げてできた作品だと思う。本の厚みが全く気にならないくらい面白かった!
夢は荒れ地を Amazon書評・レビュー: 夢は荒れ地をより
4163219102
No.22
(4pt)

禁煙中に読むべからず

まず登場人物たちが煙草を口に咥え様とするとその描写が全部克明に記される。

句読点があっても改行せずびっしり分厚い本になったのはそのせいである。
禁煙中に読むととてもつらい。

それはさておき、自分は映画キリングフィールドでクメールルージュの理屈なき恐ろしさを知ったのでこの小説に興味を持ったのだがこれはどちらかというとクメールルージュ側に立った視点も多くクメールルージュが未だに生息してる地域の方がむしろ悪として描かれてる国家側からの隠れ蓑、オアシスともとれるスタンスで捉えられている。

登場人物たちは皆一本筋の通った好漢達なのだが読み始めはそれぞれにやたら話が飛ぶので少々混乱した。
それがエンディングに向けて皆、会して行く訳だが。

男臭い中に唯一ヒロインと呼べるのはノアちゃんという少女。
多分美形の筈なのだがそれについては明確な描写が無く、でも物語上は絶対美少女だったのだろうな、とこちらが推測せざるを得ない。
彼女を含め多くの登場人物たちがもうちょい気を利かせたらそんな事にはならずに済んだのに。
という顛末はちょっと強引さを感じた。

でも地名、人名、覚え辛い固有名詞が続々出てくるのだがそれは特に気にせず本の分厚さにギブアップする事なく読めた。

映画化にしたらやっすいB級アクションになってしまいそうな妄想を抱きながら、以上!
夢は荒れ地を (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 夢は荒れ地を (文春文庫)より
4167683024
No.21
(4pt)

禁煙中に読むべからず

まず登場人物たちが煙草を口に咥え様とするとその描写が全部克明に記される。

句読点があっても改行せずびっしり分厚い本になったのはそのせいである。
禁煙中に読むととてもつらい。

それはさておき、自分は映画キリングフィールドでクメールルージュの理屈なき恐ろしさを知ったのでこの小説に興味を持ったのだがこれはどちらかというとクメールルージュ側に立った視点も多くクメールルージュが未だに生息してる地域の方がむしろ悪として描かれてる国家側からの隠れ蓑、オアシスともとれるスタンスで捉えられている。

登場人物たちは皆一本筋の通った好漢達なのだが読み始めはそれぞれにやたら話が飛ぶので少々混乱した。
それがエンディングに向けて皆、会して行く訳だが。

男臭い中に唯一ヒロインと呼べるのはノアちゃんという少女。
多分美形の筈なのだがそれについては明確な描写が無く、でも物語上は絶対美少女だったのだろうな、とこちらが推測せざるを得ない。
彼女を含め多くの登場人物たちがもうちょい気を利かせたらそんな事にはならずに済んだのに。
という顛末はちょっと強引さを感じた。

でも地名、人名、覚え辛い固有名詞が続々出てくるのだがそれは特に気にせず本の分厚さにギブアップする事なく読めた。

映画化にしたらやっすいB級アクションになってしまいそうな妄想を抱きながら、以上!
夢は荒れ地を Amazon書評・レビュー: 夢は荒れ地をより
4163219102
No.20
(3pt)

義憤に燃える日本人

強きを挫き弱きを助く、勧善懲悪を実行した侍のような日本人の駆け足の
生命に魂を揺さぶられた読者は多いはずでしょう。

しかし、私はこういった正義の味方がどうにも苦手なんですねえ。
清廉潔白、純真無垢な人達は嫌いではないのですが、魅力を感じない。

どちらかといえば「山猫の夏」の「弓削一徳」のほうが影があって放埓奔放で好きなんです。
憧れとも言うのでしょうか、とにかく人間性に魅力を感じることができるんですねえ。

残念ながら、山猫の夏につづいて読んだ本書は、少々物足りなかった。
順番を間違えたのかな?
夢は荒れ地を (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 夢は荒れ地を (文春文庫)より
4167683024
No.19
(3pt)

義憤に燃える日本人

強きを挫き弱きを助く、勧善懲悪を実行した侍のような日本人の駆け足の
生命に魂を揺さぶられた読者は多いはずでしょう。

しかし、私はこういった正義の味方がどうにも苦手なんですねえ。
清廉潔白、純真無垢な人達は嫌いではないのですが、魅力を感じない。

どちらかといえば「山猫の夏」の「弓削一徳」のほうが影があって放埓奔放で好きなんです。
憧れとも言うのでしょうか、とにかく人間性に魅力を感じることができるんですねえ。

残念ながら、山猫の夏につづいて読んだ本書は、少々物足りなかった。
順番を間違えたのかな?
夢は荒れ地を Amazon書評・レビュー: 夢は荒れ地をより
4163219102
No.18
(5pt)

スカッとした読後感はない。でも、必読の★5つ

今年、亡くなった船戸与一さんの日本冒険小説大賞受賞作。船戸与一さんは最も好きな作家のひとりで、読み始めたら止まらない作品がほとんど。ただし、舞台となる国々の紛争、貧困、汚職を作品の背景となっているものが多く、娯楽小説と簡単に片付けることはできない。

本作の舞台は、2001年のカンボジア。数百万人の大虐殺を行ったとされるポル・ポトが死んでから、数年しか経ってなく、カンボジアは腐敗、汚職が渦巻き、人々は極度の貧困に苦しむ。そして、子供の人身売買組織が強大な力を手にしている。

主人公は、そのような絶望的な状況下で子供の識字率を高めようとカンボジアでの教育整備を夢見る元自衛官。そして、彼を支えるクメール・ルージュの元ゲリラ、カンボジアで小学校を主宰する日本人。東南アジアを経験した人なら、この元自衛官の夢が非常に困難であることが想像できるだろう。本作の展開も非常に重い。

本作は文庫本で800ページを超えるが、やはり、止められない面白さ。また、プノンペン、シェムリアップの街の様子、カンボジアの人身売買システムの残酷さ、ルビー採掘現場の秘密、シェムリアップの刑務所の凄さの描写がリアル。要は、超一級のエンターテイメント。

カンボジアを含め、東南アジアに関心を持つ人にはお勧めの★5つ。ただし、スカッとした読後感は味わえないので、ある程度は覚悟して読んだ方が良い。
夢は荒れ地を (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 夢は荒れ地を (文春文庫)より
4167683024
No.17
(5pt)

スカッとした読後感はない。でも、必読の★5つ

今年、亡くなった船戸与一さんの日本冒険小説大賞受賞作。船戸与一さんは最も好きな作家のひとりで、読み始めたら止まらない作品がほとんど。ただし、舞台となる国々の紛争、貧困、汚職を作品の背景となっているものが多く、娯楽小説と簡単に片付けることはできない。

本作の舞台は、2001年のカンボジア。数百万人の大虐殺を行ったとされるポル・ポトが死んでから、数年しか経ってなく、カンボジアは腐敗、汚職が渦巻き、人々は極度の貧困に苦しむ。そして、子供の人身売買組織が強大な力を手にしている。

主人公は、そのような絶望的な状況下で子供の識字率を高めようとカンボジアでの教育整備を夢見る元自衛官。そして、彼を支えるクメール・ルージュの元ゲリラ、カンボジアで小学校を主宰する日本人。東南アジアを経験した人なら、この元自衛官の夢が非常に困難であることが想像できるだろう。本作の展開も非常に重い。

本作は文庫本で800ページを超えるが、やはり、止められない面白さ。また、プノンペン、シェムリアップの街の様子、カンボジアの人身売買システムの残酷さ、ルビー採掘現場の秘密、シェムリアップの刑務所の凄さの描写がリアル。要は、超一級のエンターテイメント。

カンボジアを含め、東南アジアに関心を持つ人にはお勧めの★5つ。ただし、スカッとした読後感は味わえないので、ある程度は覚悟して読んだ方が良い。
夢は荒れ地を Amazon書評・レビュー: 夢は荒れ地をより
4163219102
No.16
(4pt)

代表作ではないが、傑作

スケールの大きい話しを書く船戸与一氏の作品群の中で評価すれば、「砂のクロニクル」等代表作に並ぶ作品とは言えないかも知れない。
しかし、複雑なプロットと人物設定の緻密さ(丹波明和の物語など)、秘められたカンボジアの闇について暴いているところなど十分に面白く、あまり有名な作品ではないが傑作と言えるのではないだろうか。
楢本辰次(自衛官)と丹波明和(カンボジア子供塾)、チア・サミン(元クメール・ルージュ)という3人の視点で越路修介を中心に人身売買と教育、汚職を巡って物語が展開する。
最後は船戸与一のお決まりの流れになるが、東南アジアの闇は深いという事がわかった。

船戸与一氏の作品は蝦夷地別件を最後に満州国演義までご無沙汰だったが、いまさらながら東南アジア5部作を読んでみたいと思っている。
いずれも満州国演義と繋がるテーマが描かれていると思うのだ。
本作では丹波明和の母が関東軍の慰安婦で父は不明という設定がそうだし、第二次大戦の南方作戦で日本軍がカンボジアまで来ている。

ただ、解説については本書で言っていることと異なる趣旨のことが書いてあると思われ、違和感を持った。
作品に書かれていない自身の主張をし、それがさも船戸与一氏が言っていることと合致しているというのはいかがなものか。
【本書に対する時差の誤解について】
本書に記述されている時差についておかしいと指摘するレビューがあるが、今回読んでおかしくないと思ったので反論しておきたい。
証拠は773ページにある。
現地夜中1時頃に日本に電話し、「日本はもう午前3時近くなのだ」と書いている。同一作品中で時差の前後を間違えるはずがない。

また、現地朝9時に電話して上司が出勤前なのはおかしい、と指摘している部分についてはその直前に「今日は日曜日だった」(35ページ)と記述されていることを読み落としている。
つまり、自宅に電話して上司がいるのは何ら不思議ではなく、時差を前後間違えての記述ではない。

春美に夜中2時頃に電話したのも、ちょっと非常識な時間かも知れないが、小説としてとくに取り立てておかしくはない。
上に指摘したとおり、船戸与一氏は時差について十分に分かって書いていると判断できる。
(注)なお、該当レビューは相当前のものなので、当時の版に加筆されて矛盾がなくなった可能性がある。
夢は荒れ地を (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 夢は荒れ地を (文春文庫)より
4167683024
No.15
(4pt)

代表作ではないが、傑作

スケールの大きい話しを書く船戸与一氏の作品群の中で評価すれば、「砂のクロニクル」等代表作に並ぶ作品とは言えないかも知れない。
しかし、複雑なプロットと人物設定の緻密さ(丹波明和の物語など)、秘められたカンボジアの闇について暴いているところなど十分に面白く、あまり有名な作品ではないが傑作と言えるのではないだろうか。
楢本辰次(自衛官)と丹波明和(カンボジア子供塾)、チア・サミン(元クメール・ルージュ)という3人の視点で越路修介を中心に人身売買と教育、汚職を巡って物語が展開する。
最後は船戸与一のお決まりの流れになるが、東南アジアの闇は深いという事がわかった。

船戸与一氏の作品は蝦夷地別件を最後に満州国演義までご無沙汰だったが、いまさらながら東南アジア5部作を読んでみたいと思っている。
いずれも満州国演義と繋がるテーマが描かれていると思うのだ。
本作では丹波明和の母が関東軍の慰安婦で父は不明という設定がそうだし、第二次大戦の南方作戦で日本軍がカンボジアまで来ている。

ただ、解説については本書で言っていることと異なる趣旨のことが書いてあると思われ、違和感を持った。
作品に書かれていない自身の主張をし、それがさも船戸与一氏が言っていることと合致しているというのはいかがなものか。
【本書に対する時差の誤解について】
本書に記述されている時差についておかしいと指摘するレビューがあるが、今回読んでおかしくないと思ったので反論しておきたい。
証拠は773ページにある。
現地夜中1時頃に日本に電話し、「日本はもう午前3時近くなのだ」と書いている。同一作品中で時差の前後を間違えるはずがない。

また、現地朝9時に電話して上司が出勤前なのはおかしい、と指摘している部分についてはその直前に「今日は日曜日だった」(35ページ)と記述されていることを読み落としている。
つまり、自宅に電話して上司がいるのは何ら不思議ではなく、時差を前後間違えての記述ではない。

春美に夜中2時頃に電話したのも、ちょっと非常識な時間かも知れないが、小説としてとくに取り立てておかしくはない。
上に指摘したとおり、船戸与一氏は時差について十分に分かって書いていると判断できる。
(注)なお、該当レビューは相当前のものなので、当時の版に加筆されて矛盾がなくなった可能性がある。
夢は荒れ地を Amazon書評・レビュー: 夢は荒れ地をより
4163219102