アフターダーク

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評判

アフターダークの評価:

3.48/5点 レビュー 468件。 C ランク

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平均点3.48pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全512件 141〜160 8/26ページ
No.372
(2pt)

白黒

あの読んだ後、心にジワーッと広がる春樹ワールドなるものを期待して読んで見たが、これまでのものとはまったく違う印象を受けた。時間を追いって様々な視点からものごとが進んで行く書き方には変わりはないが、最終的にそれぞれの謎がクリアになることはなかった。これは己の解釈で合点してくれということなのだろうか?難しい。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.371
(4pt)

読みごたえあり

 主人公はエリとマリ。対照的な二人の姉妹が二つの物語を紡ぎだしてゆく。
 主人公が「アルファヴィル」と言う映画に言及した部分からは、現代社会に対する警告や風刺が読み取れる。「アルファヴィル」の世界では、人は深い感情を持ってはいけないらしい。そこでは、おそらく人々は深く感動することも、大笑いすることも、泣くことも許されず、ただ淡々と毎日のルーティンワークをこなしていくのだろう。これは、現代社会にも当てはまるのではないだろうか。人々は、忙しさにかまけて、深い感情を持つことができなくなってしまっているとも考えられる。そういう意味で、「アルファヴィル」の記述は、非常に印象的である。
 エリが眠っているうちにテレビの中の世界に行ってしまう場面も心に残る。エリは美人で、雑誌のモデルなどもしていたという。それがある夜、テレビの向こう側の世界に行ってしまう。夜…誰にでもそれはやって来る。だが、時に暗く、深い落とし穴のようなものがそこには存在する。どんな品行方正で真面目な人間であろうと、そこに落ちてしまう可能性はある。それはたとえば刑務所であったり、犯罪者の世界、あるいはテレビの向こうの芸能界であるかもしれない。この作品を読む限りでは、著者はテレビに出たり、モデルをすることを良いイメージとしてとらえてはいないようだ。一度そこに深く足を踏み入れてしまうと、二度と戻ることはできない。その中で暗い人生を送るしかないのだろう。村上は、それをエリがテレビの向こう側に引き込まれてしまうと言う描写で表したかったのだと思われる。しかし、エリはまた元の世界に帰ってくることができた。それは、彼女がまだ芸能界(あるいは、向こう側の世界)にそんなに深く入り込んでいなかったからだと考えられる。難解な作品ではあるが、読みごたえもあると思う。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.370
(3pt)

美しい村上春樹ワールド。

なにかをうまくやることと、何かを本当にクリエイトすることのあいだには、大きな違いがあるんだ。
僕らの人生は、明るいか暗いかだけで単純にわけられているんじゃないんだ。
そのあいだには陰影という中間地帯がある。その陰影の段階を認識し、理解するのが、
健全な知性だ。そして、健全な知性を獲得するには、それなりの時間と労力が必要とされる。
なるほどなあ〜〜と思った作中の文章であります。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.369
(4pt)

ゆっくり歩いてたくさん水を飲む

近年の村上作品の特徴である形而上学的な三人称の語りが、この作品では全体を通してとても色濃く用いられている。
内容としては、現代を生きる我々にとって、目を背ける事の出来ない問題が掲げられている。情報化社会の只中で、何を信じて生きていくのか。一夜を細かい時間で区切って、一冊で描ききるという手法は新しく、妙にリアルを感じて、それが逆に怖かった。
また、村上作品には、良くも悪くも、博識なキャラクターが、文学や哲学について語る場面が印象的だが、この作品ではそういった場面が皆無であり、そしてマリの読んでいる「分厚い本」のタイトルが最期まで明かされず、マリが「ファミレスでじっと本を読んでるのも、だんだん辛くなってきたみたい」と言うなど、今までに無い現実的な描写が印象的だった。
村上氏は某文芸誌で、この『アフターダーク』について、「出来るだけ簡単な文章で、出来るだけ複雑な話を書く」と言っていたことが強く印象的だったが、正にその通りの作品だと思う。もう少し評価されてもいい作品。一晩で読み通せる長さも現代的。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.368
(5pt)

目にしているのは都市の姿だ。

一般的には評価が低いようだけれど、僕としては最高の評価を与えたい作品。
コンビニエンスストアの棚に置き去りにされた携帯電話は、実はペーストしてクリックしただけなのかもしれないような都市の匿名性/自動性そのものであり、それは容赦なく、僕らを襲うのだ。都市に生きる僕らは、その深淵から"逃げ切ることはできない"。"目にしているのは都市の姿だ。"
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.367
(2pt)

「ぼく」と彼女をめぐる不思議な世界 さようなら 

村上春樹、新境地を開拓!
ああ----しかし失敗だった。全然おもしろくない。村上さんも終わりか-----
「偉大なるマンネリ」過去の作品群を、どなたかがこう述べていらしたけど、この作品より私はマンネリの方がいい。
内容もさる事ながら、文章の輝き、村上さん独特の「言葉」の使い方の魅力が目立たなくなってしまっている。この路線でいくのなら、「さようなら,村上さん」と言うほかないだろう。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.366
(3pt)

結局、どんな世界観なのか・・・?

 本作では村上氏が何を語ろうとしているのか、いまひとつ私にはよくわからなかった。短い文章だったということもあるが、カフカやネジマキ鳥のような迫力が本作には感じられませんでした。
 やはり、いくつかの時間軸を伴って編まれている村上氏らしい作品でしたが、結局珍しく、結論らしいまとまりが出ずに終わっている。これについては、村上ファンであるならば賛否両論が生まれそうです。
 しかし「アフターダーク」・・その単語には様々な象徴的な意味が含まれているような印象でもありました。そう考えると村上氏らしい、独特の人間の心理や行動の描写はやはり顕在でしたが、多くを語ることはせずに、敢えて本作のような長さにした村上氏の意図は私には結局わかりませんでした。
 闇、夢、影・・・題名通りのダークな雰囲気の漂う不思議な作品でした。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.365
(2pt)

あざとく、鼻につく作風

都会の一夜。
ファミレスで読書をして暇を潰す19歳のマリ、行為の前に生理が始まったという理由で、客から暴力を振るわれる中国人売春婦、売春婦を殴り、持ち物を身包み剥した後で、会社に戻って仕事を続けるサラリーマン、元女子プロのラブホマネージャー、後ろ暗い過去から逃げつづけるホテル従業員、眠りつづけるマリの美しい姉、孤児だったこともある音楽青年。
彼らが少しずつ絡みながら、一夜の物語が進行する。あちこちに伏線が張られ、遠回しだがこれ見よがしな示唆と啓示が、ふんだんに盛り込まれる。
「ねじまき鳥クロニクル」に出てくるような、くそ生意気で魅力的な若い女の子、理屈っぽくてさばけている男が登場し、妙にアメリカナイズドされたわざとらしい会話が繰り広げられる。
深遠ぶった、まるで物事の本質をつかむような、断定的な科白が頻繁に登場するが、それは実に薄っぺらく、実は何も語っちゃいない。
あちこちに張られた伏線は、回収されることなく、どこにも繋がらず、放置されて終わる。このあたりの無責任さも、ねじまき鳥に共通している。
カメラ視点からの情景描写は、新しい試みではあったが、押し付けがましく、独り善がりに感じ、不快でさえあった。
文章を書く、物語を紡ぐ技量は文句のつけようもないが、彼の作風というのはどうも、あざとく、わざとらしく、鼻についてしょうがない。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.364
(4pt)

音楽を聴いていたのかしら

新聞に挙げられそうな事件なのに、淡々と取り巻く宇宙が書かれている。読者が共有してしまいそうな感情のバイオリズムは、痛みを感じない。それは、小説にドラマのどぎつさを表現するのではなくて、登場人物の視線や環境・空気を表現したことの心地よさなのだろう。だから、読み終わったあと、シンフォニーを聴いているように感じた。小説を読んで感情が高鳴らなくても、宇宙を理解できれば、感覚が深層に残り、大成功ではないだろうか。いたずらに好奇をそそる小説よりも小気味良い。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.363
(4pt)

暗闇についての作品

作中に「僕」とか「私」が登場しない、
あくまでも客観的な、でも現実的でない作品。
真夜中の都会の暗闇と、
個人の精神の中の暗闇を、
あくまでも外側から描こうとしているように思える。
「次の暗闇が訪れるまでに、まだ時間はある」
という最後の一文が印象的だった。
人は暗闇と暗闇の間に生きているんだろうか。
暗闇があるから光がある、というのは本当だろうか。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.362
(2pt)

ハイレベル過ぎて…。

「よくわかんないけどこの人が書いたんだからきっと何かあるんだろうな」
と思わせるには十分に意味深な本。
謎ばっかり。でも、ミステリーみたいにその謎を追って解決してくれる刑事や超能力者はいない。謎は謎として放置プレイ。
物語として読もうとすると破綻しそうです。意味不明で。
「アフターダーク」の名前からすると、深夜から朝までのことを描いているようだが、眠り続ける美少女とそれを見続ける視点の部分は朝でも夜でもいいんじゃない?
時々、大変ウィットに富んだ会話が行われるときにはハッとさせられますが、他は結構淡々としてる。
オシャレと言えないことも無いだろうが「面白かった」と言えるかは疑問符がつく。
新ジャンル開拓を目指しておられるのだろうか…。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.361
(1pt)

んー

良かれ悪かれ裏切ってくれる作品です。私にとっては悪いほうでしたが… 実験的な試みがあったのでしょうか? いわゆる村上春樹風ではないです。別に今までとスタイルが違うからって否定している訳ではなく、ただ、面白くなかったんです。
読者を置いてけぼりにしている気がします。
 近代日本文学を代表する程の作家になっても意欲的だってのは良いことなんでしょうがコレは無いのでは?
 お金を払ってまで読む本では無いと感じました。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.360
(4pt)

希望と再生の物語だと思う、多分。

読み終わって、ロバート・アルトマン監督の映画「ショート・カッツ」を思い出した。
一見無関係に見える様々なエピソードが同時並行して展開されるが、
それぞれのエピソードに主人公役で登場する人物や物が、
他のエピソードでは脇役で登場するところにのみ関連性がある。
しかし、そこには一貫したストーリー性はない。
本作でも説明的な部分は殆ど無く、
カメラレンズを通して見える事実(?)のみを
淡々と映し出しているだけだ。
つまり、読む(観る)者に材料だけを提供することによって、
読む(観る)者自身に物語を紡ぎださせようという意図だ。
読む(観る)者が材料をどのように調理して、
結果的にどんな物語を紡ぎだそうが、
作者にとって全然問題ではない。
なぜなら、読む(観る)者自身によって紡ぎだされた物語こそ、
その人にとっての真実の物語であるということだ。
本作で、作者は読者を振り落としにかかったのではないか。
村上春樹についていく為には、何度でも読み続けなければならない。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.359
(4pt)

二重性

都市には白川のように社会に順応してるフリをしながら、裏では犯罪まがいのことをするような別の仮面を持ってる二重生活者は沢山います。都市ってのは光と闇の空間を一瞬で行き来できる場所なんだと思うです。光の属性に所属してるが白川が勤務しているオフィスなわけで、どちらかといえば闇の属性に所属してるのはラブホテルなわけです。この対比が重要です。白川はその二つの世界を仕事の合間にいったりきたりしてる。白川自身に言及すれば、彼はグレーな存在であり、グレーということは光にも闇にも変化可能なわけです。バイクの男がいましたよね?彼は完全に裏社会の住人であり、属性は闇でシラカワのように曖昧な存在ではない。これは田舎的な構造では無理です。そういう意味では都市生活者への皮肉がこの話にはたっぷり潜んでいる。
個人的には実際、仕事を中断して便所にいくような軽々しいノリで売春して、再びオフィイスに戻って仕事をするような人がいそうで、現実味が帯びていてゾッとしました。
シラカワはシラカワ自身であり、僕自身であり、またアナタ自身でもあると思うんです。主語と述語は違えど、主語と述語を内包してる都市という枠は共有できるわけですからね。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.358
(4pt)

コミュニケーション

コミュニケーションについての話。と思った。
自己っていう袋があったとして 
それがぎっしりつまった箱が社会だとして
とりわけぎっしりな箱が新宿だとして。
いろんな方向から他者の袋と繋がれたり
通じ合えたりどうしても通じ合えなかったり
突然袋が割れんばかりのコミットを受けたり
自然とコミットできたり閉じていたものがじわじわと広がってきたり
閉じたり
誰でもくるりと一回転すればいろいろな可能性を
鳥瞰できるはずなのに普通に時間を過ごしていると
なかなか視点を変えることはできない。
でもちょっとずつそれをずらしていける時も時々訪れる
そんな深夜〜夜明けの話 
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.357
(5pt)

端的に言えば、大きな挫折を一回や二回以上あじわったりして、世の中を知ってから読むとふ

近年は読書ブームだ。日本もそれなりに本を読むようになって久しい。
それはグローバル経済や資本主義社会による、競争や優劣や傾きのある風潮の中で個人が生き抜くために『考えること』を求めるようなった表れと言えるだろう。
とくれば、『この世界の謎』その本質について考えようとするのはこの現代人の感覚にとっては自然なことと言えるだろう。
純文学ブームが再燃する中、村上春樹はこのことについてずっと考え続けてきた作家であるということから、そうした新しい読者「突き詰めた思考」をしようとする現代人たちにとって春樹のその文学の姿勢については賛否両論キレイに(良い悪いの意味ではない)あることだろうと思う。
「春樹は絶望が足りない」「踏み込んでるくせに世界のことよりアイツは結局自分の人生が大事」「文体や内容がわかりやすぎて逆に資本主義や民主主義の風潮の悪性を伸ばす結果にもなっているのではないか」
確かにそれはもっともな『正論』だ。
だが春樹ほどここまで心の内面的なことや、抽象的な視覚的・聴覚的感覚(これが実は『世界の謎』にとってもっとも重要なことのひとつなのである)を万人に違和感なく、また自然的な(例の)不快感や苛立ちなく、しかもエンターテイメントとして読ませられる作家はいない。
片山恭一などの春樹チルドレン的な文体を思わせる作家は山ほどいるが、春樹の域には遠く達していないのを経験を重ねれば重ねるほどに気づくだろう。
もちろん足りない点もあるだろうがそこを勘違いしてうかつに春樹をボロクソに調子に乗って批判してはいけない。
春樹は保守的な部分を徹底したからこそ、現段階において、だれもが環境的になしえない『世界への働きかけ』ができ、またその知名度と影響力の端により、それによって我々もまた『世界の謎』や『人間を幸福にするためには』を考え、発言の許容が許される部分があるのである。
自分の正義や誠実さだけを突き詰める前に「保守的」「保身」をなめてはいけない、それは意外にその人たちだけの問題ではなくもっと深いのだ。(また、彼はちゃんと世論を考えてここにきておおきく転向してきているので『やり方』としては至極正しいとおもう)
『アフターダーク』は『世界の謎』を考えてある程度のレベルまで突き詰めきった現代を生きる人になら、その一見わけのわからない表現がなにをあらわしているかをなんとなくはある程度感じられるものだろう。
ある程度春樹の『ねじまき鳥』や『羊』などを読んでから読むのをおすすめしたい。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.356
(5pt)

自分の場所がある

この話は日付けの変わるほんの少し前から夜が明け朝の活動が始まるまでの話だ。
本来、ほとんどの人が寝ている時間帯。
でも、この本の中にはほんの一角の数限られた人の人生が隙間なく書かれている。それは真昼に起こることと代わりのないように。
本来眠っている間の出来事だけれど、その間の出来事は、昼間のそれより鮮明で自分もそこにいるような実感があちこちにあった。
そして、最後の方に出てくるコンビニに置き去りにされた携帯電話から出てくる中国人の言葉が、妙に緊迫感があって、生きることに背中を押しているような感じでした。
とても面白い、充実した本でした。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.355
(3pt)

ちょっとだけハルキスト気分

え?どうして?
春樹にしたら、かなりストーリー性が弱い。
舞台が平面的で空間性が乏しい。
あえて、それを狙ったのか?
芝居で演じたら、面白い芝居ができそう。
落語でもいいけど。
アレンジしたら、おもしろそう。。。
とはいえ。
こちらとあちら。
春樹氏の異次元的世界観の表現。
やはり春樹は天才だ。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.354
(4pt)

人は、他人の記憶の中にこそ生きている

 普通、人間には“眠り”と“死”はあるが、その中間の“休眠”とでも言うべき状態は存在しない。この小説は“休眠(=長い「眠り」もしくは短い「死」)”という概念を導入することで、「死」と「生」について、より意識的に考えさせてくれる小説だ。自ら休眠状態に入った、あるいは入らざるをえなかった姉エリの思い出を語る、妹マリと姉の友人高橋の会話は、故人を偲ぶ通夜の席の会話を想い起こさせる。通夜の席は、そこに本人が居ないにもかかわらず(だからこそ)、本人の存在を強く感じさせる場だ。日常は、通夜の席ほど、その人のことを深く考えることはない。そして、そのことによって、この世における存在感の希薄を感じてしまう人も数多く存在しているのだ。姉エリの人生は、周りからは一見とてもうまくいっているように見えていたが果たしてどうだったのだろうか?人は、他人の記憶の中にこそ生きているのだとしたら、姉エリの人生は、うまくいっていないどころか、続けることさえ難しかったのだ。姉の休眠を目の当たりにして不眠状態となってしまった妹マリは必死で姉との過去の記憶を手繰り寄せようとする。
 この小説が単純に読めないのは、姉エリが休眠状態に入ってしまった原因をエリ自身だけには求められないこと、そして、休眠状態に入ってしまったのが今回は“たまたま”エリだったのであり、おはちが回ってくる可能性は誰にでもある、という点だ。小説は、午前0時からたった7時間の、どこにでもありそうな都会の夜の風景を描いている。でも、そこには人を呑み込んでしまう深い裂け目、暗黒の入り口、不可抗力の闇が存在していることを、著者は客観的に切り取って我々に提示してくれる。闇の存在は深く大きいが、小説が夜明けで終わっていることは救いだろう。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366
No.353
(5pt)

観念的な世界を美しい日本語と斬新な構成で見事に描写。

先ほど読み終わった。
作者のテーマ(私が勝手にそう思っている)というものが、一貫してこの作品でも貫かれている。それは自者と他者、内界と下界との行き来とその断絶である。テーマとは・・ある地点における「きっかけ」からいつしか取り返しのつかない距離まで離れてしまうことへの恐怖、とでも言うのだろうか。
ファンタスティックでありながらフワフワ感はなく、構成的にも技術的にも非常にしっかりしている。他のレビュワーさんも書いているが、特筆すべきは中立的な「視点」が物語の推進者のような役割として、文章中に組み込まれていることだ。この「視点」が主体的な動きをすることにより、見事な情景描写の効果があり、このような観念的な世界をよくここまで分かりやすく立体的に表現できるものだと感心した。
また、日本語の美しさは深く印象に残った。淡々とした情景描写にこそ、日本語の美しさの真価が発揮されるのだろうか。
アフターダーク Amazon書評・レビュー: アフターダークより
4062125366