アフターダーク
評判
アフターダークの評価:
3.48/5点 レビュー 468件。 C ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全512件 81〜100 5/26ページ
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アフターダークの評価:
3.48/5点 レビュー 468件。 C ランク
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書評ではなく、個人的な解説なので激しくネタバレします。
まだ作品を未読の方は以下は読まない方がいいと思います。
誰にも見えないところで頑張っていたエリは心に
トラブルを抱え、こちら側の世界(現実の世界)から逃避した。
エリを見つめる仮面の男はエリの抱えている心のトラブルの象徴であり、
感情を持たないアルファヴィルの世界の住人。
心のトラブルを解決出来ない限り、エリは起きる事なく感情のない世界の住人となってしまうだろう。
現実的に頑張ってきたマリも心にトラブルを抱え夜の街に逃避する。
白川が起こした事件は現実的な世界で犯した罪。
システマティックに生きる白川は記号と化した現代社会に生きるアルファヴィルと同じ世界の住人。
仮面の男、エリ、白川が持つ同じブランドの鉛筆はあちら側の世界(アルファヴィル)の住人である事の象徴。
どれだけ時間が経過しても、みんなが忘れても犯した罪に対する罰からは逃れられない。
自分という存在は危うく、代替可能であり誰しもがどのような状況で立場が入れ替わるかもわからない。
立場が変われば白川が犯した罪を高橋が犯す可能性もあり、
状況が変われば19歳の中国人が受けた暴行をマリが受ける可能性もある。
中国人が受けた現実的な傷、マリが抱えた精神的な傷。立場が違う現実的な差異でしかない。
どんなに酷い状況でも人間は記憶があれば生きていけると伝えるコオロギ。
エリの抱えたトラブルは高橋というフィルターを通しマリに理解できる形状へ変化し伝わっていく。
思い出して、と伝えるコオロギ。大事な事を思い出す事により向き合える様になるというコオロギの示唆。
エリの抱える心のトラブルを感じる事ができたマリは、熱いお茶と少しの睡眠で休息を得て、
自分の心も解きほぐすことが出来るという確信を手にいれる。
だから深夜のファミレスで本を読むという逃避が辛くなる。本の中身に意味はない。だから明かされない。
そして同時にエリと向き合う事が出来ると確信し、帰宅を急ぐ。
こちら側とあちら側を繋いでいるものは脆弱であり、エリはもう戻れないかもしれない。
画面の歪みと共にこちら側とあちら側の世界の繋がりは断たれた。
マリはエリの苦悩を理解し向き合う事により、エリは感情のない世界の住人ではなく、
こちらの世界でただ眠っているだけの人間となった。
ただまだ心のトラブルは解決していない。だが唇がほんの少し動く。
これからマリと共に心のトラブルを解決していく事ができるという良い予感はある。
高橋が浴びせられた脅迫は高橋には何の関係もない。ただの災厄。
距離を取る事により逃げる事ができた。本当に逃げる事ができたのだろうか?
きっと逃げ切れていない。いつかまた色んな立場で災厄は襲ってくる。
白川に対する制裁は必ず夜に起こるだろう。闇は災いの象徴。明るい昼間は幸福の象徴。
きっとまた辛い時間(after dark )は来るだろう。after darkは複数の意味を持ち始める。
でも今はまだ大丈夫。太陽の下で幸福な時間を手に入れることができる。
まだ辛い事が起きるまでには十分時間がある。
そして、例えどんなに辛い状況でも人間は思い出があればきっと生きていけるんだよ。
自分の中にある憧憬や原風景を文学という器に当て嵌め、読者の共感を得て作家としての地位を築いた作者が、
成熟した今の年齢から伝える事が出来る、若い人へ対するメッセージだと思います。
死ぬほど辛い事が起こったあとの精神状態でこの本を読んだ私は、読後に涙が止まりませんでした。
ダンス・ダンス・ダンス以来の衝撃でした。
現代社会自体が既にアルファヴィルの世界なんだと受け取れる表現もあり、
本当にまだまだ沢山考察したくなる素晴らしい作品だと思います。