新世界より
評判
新世界よりの評価:
3.97/5点 レビュー 506件。 S ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全708件 281〜300 15/36ページ
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新世界よりの評価:
3.97/5点 レビュー 506件。 S ランク
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ヒトの脆さが創った不気味なまでに眩い光と
ヒトの愚かさに育まれた果てしなき暗黒の闇に、
人間のささやかな智慧と強さを、息も絶え絶えに放り込んだお話
*****
構想30年と言うだけあって、とにかくもの凄いです。
1000年後の日本。
限られたコミュニティ、囲まれた土地、少ない人口。
念動力という呪力を当たり前に使う人々。
「神の力」を得た人間が、穢れを一切排除し、
完璧なまでに創り上げた平和な世界。曰く、
「ここは病的に美しいユートピア」。
その世界が築かれるに至る人類の血塗られた歴史が紐解かれるとき、
ひた隠されていたおぞましい真実が明るみに出ようとするとき、
世界は血で溢れ、人々は混乱し、錯綜し、試される。
ありえない設定、ありえない世界、ありえないグロテスクなイキモノ。
にも関わらず、
貴志氏の微に入り細に穿った表現、緻密に構築された世界観により
そのありえない世界がぐんぐん迫って息を詰まらせる。
心理描写というよりも、細やかな行動描写により、
より微細な心理状態を炙り出すような手法は、実にお見事。
主人公の女の子が良い子すぎるのが気にはかかるが、
それどころじゃないくらいの凄まじい構想力に圧倒される。
子どもが怪我をするから危険遊具を撤去せよ、
通学路は安全でなければならないから全て車両進入禁止にせよ、
精神疾患や犯罪歴のある者は危険である可能性があるから排除せよ、
いかなる理由があろうとも暴力を振るった教師は免許を剥奪せよ。
危険因子は排除もしくは隔離せよ、という風向きの強い今の日本で、
あるいは人間が呪力を手にしてしまったとき、
ここに描かれる狂った「新世界」へ行きつくことは無いと、
誰が否定できるであろうか。
安全を願うゆえに築かれた完全な無菌ルームは、
その中に居る限り完璧な平和をもたらすが、
ひとたびその壁にたった1mmの穴が開くだけで死をももたらす。
そしてその穴は、必ず内側から開けられるのだ。
1000年前も、1000年後も、そして今も、
人間という生き物は大いに罪深いイキモノである。
しかし1000年前も1000年後も、そして今も、
どんなに醜く歪んだ狂った世界であろうとも、
人間は生きていかねばならないのだ。
そこにはいつでも血が流れ、愛が通う。
人間は、どんな力を持とうとも、神になど近づけない。
こんなにもバカで、不器用な生き物なのだから。
―人間というのは、どれほど多くの涙とともに飲み下した教訓であっても、喉元を過ぎたとたんに忘れてしまう生き物である
―新しい秩序とは、夥しい流血によって塗り固めなければ、誕生しないものなのかもしれない。
※グロテスクな描写が多々出てくるので、そういうのがとにかく無理、という方にはお薦めしません。