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探偵は眠らない
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【この小説が収録されている参考書籍】
探偵は眠らないの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.80pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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最近、都筑道夫の著名なミステリ評論『黄色い部屋はいかに改装されたか?』を読んだ。ところが僕は、実作者としての都筑道夫を知らない。つまり、この人のミステリを読んだことがないのだ。というわけで、本屋で探して本書をゲット。 しかし、本書は別に都筑道夫の代表作というわけではない。「これを真っ先に読んじゃダメだよ」と都筑ファンからお叱りの声が聞こえてきそうだが、どういうわけか、現在最も手に入りやすい作品であることは間違いないのだ。 と、どうでもいいことをウダウダ書いているということは、実は取り立ててこれという感想もないのである。ちょっと古い、でもそれなりに味はある、というタイプの小説で、それ以上でも以下でもない。スカッとしない終わり方はハードボイルドといえばそうなのかもしれないけれど、少し歯切れが悪い。ホテルが舞台ということと、装丁の写真には心ひかれるものがある。 ほらね、どうでもいい感想ばかりでしょ? 要は、本書を読んだだけで都筑道夫を理解した気になってはいけない、ということだろう。次は、作家活動の初期である70年代に書かれた連作短編集『退職刑事』を手に取ってみようと思う(これも創元推理文庫から復刊されていて手に入りやすい)。なお本書『探偵は眠らない』が書かれたのは1991年、創作時期としては晩年になる。 | ||||
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本書はホテル・ディツク・シリーズ最終作、そしてシリーズ唯一の長編として、1991年新潮文庫の書き下ろし作品として登場しました・・・凄いですね!! 本作の主人公、田辺素直は刑事を退職し、今は東京浅草にある高層ホテル「ハイライズ下町」の警備を担当しています。 その田辺のもとに、ホテルで一人の男を殺すという殺人予告の電話がかかってきます。 以下ネタバレ的な事がありますから、未読の人は注意して下さい!! 予告の中には、殺す男は鼠のような男、あざのある男、というようなヒントが与えられています。 警察に相談できるようなことではないので、このようなヒントを基に、田辺をはじめ、ホテルスタッフ、関係者の懸命の捜査、推理が始まります。 一方、ホテルでは、ヤクザの抗争による駐車場での死体遺棄、ホテルに予約をしているのにロビーでいたずらに時間を過ごす男、 など様々な出来事が起こります・・・・・・・。 本書では、このようなホテル周辺の出来事が、30時間にわたり、時間の経過とともに淡々と述べられていきます。 途中、鼠のような男、あざのある男に関して、若干推理的な要素も出てきますが、これはメインではないでしょう。 本書の狙いは、著者の前書きにもあるよう、あくまで世紀末の浅草風俗の忠実な記録にあると思います。 ヤクザの誘惑を振り切るストイックな田辺、そして、浅草の風俗の忠実な記録、 才人、奇才都筑さんの他の傑作と比べると少し見劣りする感は否めませんが、 最後の長編でもありますし、これが都筑さんの考える最終到達点ということなのでしょう!! | ||||
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初刊1991年。浅草の架空のホテルを舞台にしたシリーズ唯一の、そして都筑道夫の最後の長編。 殺人予告犯との息詰まる攻防と版元の惹句にあるが、そのような派手な展開を期待するとやや肩透かしを受けるだろう。むしろ浅草という古き東京と新しい風俗が共存する街で、所謂グランドホテル形式的に人間模様を描くのが作者の主題だったと思われる。 豊かな蘊蓄とさりげない哀感を併せ持った名人芸というべき一人称の語り口の見事さは都筑流ハードボイルド・ミステリの一つの達成と云えるだろう。玄人好みのプロットの捻りやスピーディな展開が都筑編集時代のハヤカワポケットミステリの収録作品を思わせるのも興味深い。(解説ではエリック・アンブラーの『夜来たる者』が引き合いに出されているが、個人的には1950年代に盛んに訳されたアメリカ産のサスペンスや軽ハードボイルドを想起した)そして現実的な結末のつけ方は晩年過剰な作為を嫌った都筑道夫らしいものだ。 | ||||
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元刑事でホテルの警備をしている主人公田辺が、ホテルで一人の男を殺すという予告を受けてその警備と推理に奔走する1日半を描いた「探偵は眠らない」他、元ボクサーの私立探偵西連寺剛がハワイで失踪した女性を捜索する「ダウンタウンの通り雨」、『銀河盗賊ビリイ・アレグロ』から最初の1章「双頭の毒蛇」など、<ハードボイルド編>を冠するにふさわしいストーリーが納められている。 ハードボイルドとは、その「形」ではなく、すなわち主人公の行動そのものではなく、その精神にある、都筑さんは分析する。発達した文明社会の中で、人間の組織化が要求され、それによって圧迫された個性があげる絶望的な反抗の叫びがハードボイルド文学なのだという。 確かにここに納められている探偵たちは、必ずしも「ハードボイルド小説的な」行動をするわけではない。ただ、自分が行うべきことを淡々と行っているというだけ、という気がする。ただそこに、強い意志の存在や人間というものに対する哀れみが無言のうちに表現されている。そしてそれによって、これらの小説は「ハードボイルド小説」として完成されている。 | ||||
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元刑事でホテルの警備をしている主人公田辺が、ホテルで一人の男を殺すという予告を受けてその警備と推理に奔走する1日半を描いた「探偵は眠らない」他、元ボクサーの私立探偵西連寺剛がハワイで失踪した女性を捜索する「ダウンタウンの通り雨」、『銀河盗賊ビリイ・アレグロ』から最初の1章「双頭の毒蛇」など、<ハードボイルド編>を冠するにふさわしいストーリーが納められている。 ハードボイルドとは、その「形」ではなく、すなわち主人公の行動そのものではなく、その精神にある、都筑さんは分析する。発達した文明社会の中で、人間の組織化が要求され、それによって圧迫された個性があげる絶望的な反抗の叫びがハードボイルド文学なのだという。 確かにここに納められている探偵たちは、必ずしも「ハードボイルド小説的な」行動をするわけではない。ただ、自分が行うべきことを淡々と行っているというだけ、という気がする。ただそこに、強い意志の存在や人間というものに対する哀れみが無言のうちに表現されている。そしてそれによって、これらの小説は「ハードボイルド小説」として完成されている。 | ||||
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