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(短編集)
顔
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顔の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.20pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全70件 41~60 3/4ページ
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男女雇用均等法など幻想にすぎない。 今でも男社会は存在するし、女性を多く登用しているという会社の実情も、管理職の女性と事務職の女性の格差社会だ。 警察は優秀な女性を広告塔として持ち上げても重用することは殆どない、旧態依然とした男社会である。警察という危険に身をさらし、常に緊張がともなう職場では仕方ないかもしれない。この中ではヒロインのみならず、そういった社会で静かにもがく女性の群像が描かれる。 この短編集のヒロイン瑞穂は信念を曲げ、上からの命令に従った事で心に異常をきたし、閑職においやられた若き巡査である。 有能ではあるが正義感が強すぎて周りに妥協できない。しかし、誰よりも仕事に対する誇りを持っている。警察という組織社会の中では上手く立ち回っていけないタイプであろう。 この小説を見ながら、女性が男社会で生きていく困難さ、そして様々な障害を目の当たりにした。 一つ一つの作品がコンパクトにまとまり完成度も高い。 作者が得意とするもっと骨太の警察小説のファンには物足りないかもしれないが、このように男社会で懸命に生きているヒロインの姿に元気付けられた、そんな一冊であった。 | ||||
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本書のタイトルはズバリ一文字で「顔」。タイトル一字の本というのはミステリー作品のなかでも意外と珍しいのではないか。横山作品では本書が初めてだろう(森村誠一の作品には、『駅』や『窓』といった一字タイトルの諸著作がある)。 主人公は、『影の季節』に所収の「黒い線」で登場した23歳の平野瑞穂婦警。彼女はかつて鑑識班で犯人の「似顔絵」作成を主たる任務としていたので、これがタイトルの由来である。似顔絵作成は犯人の「心の闇」を描くことである本書の触れ込みは、見事なストーリー展開と文体によって、十分に堪能できる。絵画教室で絵の技法を学ぶにとどまらず、平野は「少し背伸びをして、絵の心のようなものを吸収したいと自分なりに心掛けていた」(146頁)。 簡潔で、しかも温かな余韻を醸し出すプロローグとエピローグは、本書の「閉じ方」として申し分ない。プロローグにおける、小学校1年時の平野瑞穂の夢である「ふけいになること」はその後実現し、典型的な男性社会における幾多の壮絶な困難を果敢に乗り越えてゆく彼女のバイタリティ溢れるストーリーが展開されていく。「直接の被害者だけでなく、思いも寄らないところにまで不幸の波紋を広げ、多くの大切なものを踏みにじる」(212頁)犯罪を憎み続ける彼女の赤裸々な心情も本書全体を通じてリアルに表現されている。 「心の銃口」という作品は思わず唸ってしまうほどの出来栄えだ。『臨場』では52歳の検視官である倉石義男の活躍を描き、今作では彼よりも約30歳年下の婦警の生き様を描いている。年齢も役職も、何より性別が異なる二人の人物像を照らし合わせた時、横山作品のもつ幅の広さを痛感しないわけにはいかない。なお作者紹介の「顔」は、本書のものよりも、『臨場』における横山氏の「顔」のほうが私は好きだ。三ツ鐘警察著を舞台とした『深い追い』(新潮文庫)も情緒豊かな人間が数多く登場するお薦めの作品である。 | ||||
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本書の主人公・平野瑞穂は生き方が不器用な為、自分の希望する部署からある事件をきっかけに左遷させられしまう。次々と起こる事件に誠実に、ひたむきに、不器用にぶつかっていく瑞穂は警察官として、そして、人として成長していく。 瑞穂に限らず、横山秀夫が描く主人公達、全員に共通することは”不器用”な事(無論、手先とかではなく、生き方や性格が)ではないだろうか?作者・横山秀夫も自分が創作した人物達に負けず劣らずに”不器用”な人物なのだろう。なんたって、日本で一番有名な文学賞に向かって喧嘩するぐらいだし・・・。もちろん、私もそんな不器用な横山秀夫をこれからも読み続けたい。 | ||||
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『陰の季節』の一遍『黒い線』からスピンオフした連作短編集。非日常を切り取 る小説の中で連作短編集は非日常を描いていますが、長編よりやや日常的、小粒な 事件が連なっています。県警がひっくり返るような大事件は起きなくても主人公は 新しい経験を重ね段階的に成長していく姿を追っていくのは興味深いです。 所轄警察署を大企業の地方支店と考えると男性の考え方や女性に対する期待が 民間企業と20年くらいのギャップを感じました。確かに登場する警察官は職務に忠 実で熱心に取り組んでいる事が伺われます。しかし彼らの発言の端々に「古さ」を 感じてしまうのは私だけでしょうか。一般企業であれば市場にさらされて当の昔に 淘汰されてもおかしくない組織なのですが、改善をしなくても生き残ることのでき るシステムが彼らを現状にとどめていると考えます。同じような多くの公務員組織 が制度疲労を起こしている気がしてなりません。国は優秀な人材の使い捨てをやめ て、キャリアの警視クラスを署長に据えたら少し良くなるのではないでしょうか? 婦人警官が主人公の作品は少ないので、平野瑞穗の成長物語として読むと真剣に 職務と向き合う女性がどんなモチベーションで仕事をしているのか、おじさんにも 理解できるよう分かりやすく描いてあります。やる気のある女性の部下をどう扱っ て良いか戸惑っている管理職の方にもお奨めの一冊です。 | ||||
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警察をテーマにした小説は少なくない。というか、多い。 この作品の主人公は23歳の婦警。 若い婦警が主人公の小説となると、ぐっと数は少なくなるように思う。 さらにこの作品の異色さとして「主人公が同じ職場にずっといない」ことが挙げられる。 大体警察モノは主人公が刑事で、犯人を追い詰める捜査の一線で活躍する人間ばかりだ。 ところがこの作品の主人公は 「目撃者の情報から似顔絵を作成する鑑識」→「マスコミ対策本部」→「テレフォン相談員」→「現場刑事」 と物語のたびに職場が変わっていく。 すべて警察内部の都合。企業となんら変わりは無い、突然の人事異動。 それは「女性軽視」の現場であるがゆえ、一般企業よりひどいものかもしれない。 それでもひとつひとつの「業務」の内容をわかりやすく、魅力的に描く作者の技量はさすが。 特に最後の「現場刑事」をこなしている最中犯人を追い詰めるくだりは文章に疾走感があり、目が離せなくなる。 ☆マイナスの理由は最後の「現場刑事」の締め部分がやや芝居臭かったこと、そしてエピローグが主人公目線でなかったこと。 エピローグを他人の目から語ることによって物語がフェードアウトしていく様子はうまい表現だが、 その語ってる相手が「ほんの一日」ペアを組んだだけ(少なくとも小説上では)だったことに違和感を感じる。 主人公と深い繋がりのある七尾あたりが適任だったと思う。 それを避けたあたり作者の意図があるのかもしれないが、少なくとも私には味気なく感じられた。 疾走感あるラストだっただけに、あまりの味気なさに毒気を抜かれてしまったというのが正しいのかもしれない。 | ||||
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「陰の季節」に收録された「黒い線」に登場してゐた「似顏繪婦警」、平野瑞穗を主人公とした連作短篇集。 プロローグでは、瑞穗が小學生の時に書いた作文がタイムカプセルから發掘され、紹介されてゐる。 この作文で瑞穗が子供の頃、婦警になりたいといふ夢を持つてゐたことが讀者に知らされる。 何氣ないエピソードながら、瑞穗の幼い頃からの婦警への憧れが傳はつてくる。 「黒い線」で辛い經驗をした瑞穗が復職してゐるのを知つて嬉しく思つたのは私だけではないはず。 彼女のひたむきさは私などが既に失つてしまつたものだ。 警察といふ舊態依然たる男社會の中で奮鬪する瑞穗。 この本でまた彼女の活躍に觸れることが出來て、仕事といふものの意義をあらためて考へさせられた。 單に生活の手段といふだけでなく、誇りをもつて仕事をしたい。 私の好きな作品は、「心の銃口」。 犯人と拳銃を構へて對峙するシーン。 瑞穗の心の動きがよく描かれてゐると思ふ。 「魔女狩り」 警察の情報がマスコミに洩れる。 いつたい誰がどのやうにして情報をリークしてゐるのか。 祕書課廣報公聽係に配屬された瑞穗。 男社會の中で女が生きてゆくことの難しさ。 「決別の春」 搜査一課犯罪被害者支援對策室に配轉された瑞穗。 「なんでも相談テレホン」によせられる相談に對應する仕事だ。 その瑞穗が「きつと私、燒き殺されます・・・」といふ電話を受ける。 かけて來た女性の子供時代に經驗した或る事件の眞相が明らかになつてゆく。 「疑惑のデッサン」 瑞穗のあとを繼いだ「似顏繪婦警」の三浦眞奈美。 彼女のデッサンは稚拙である。 それにも拘らず、喧嘩殺人事件の犯人の似顏繪は犯人そつくりであつた。 かつて瑞穗の經驗したやうなことがあつたのか? しかし今囘は犯人の寫眞があるわけではない。 それなのに、何故? 「共犯者」 銀行強盜の通報訓練をしてゐる最中に、同じ銀行の別の支店に銀行強盜が入つた。 訓練中で警察はそちらに手を取られてをり、事件への對應が後手に廻つた。 その時間に訓練があることは、その支店の支店長と警察しか知らない筈だ。 いつたい、誰が、どのやうにして、その情報を利用したのか。 瑞穗の觀察力が活かされる。 「心の銃口」 射撃竸技大會で優勝するほどの腕前をもつた婦警が襲はれ、意識不明の重態になつてしまふ。 しかも彼女の持つてゐた拳銃が奪はれてしまふ。 彼女ほどの射撃の名手が何故、發砲もせず鐵パイプで毆られたのか。 意識を取り戻した彼女の記憶を頼りに、瑞穗が似顏繪を描いたが・・・ 現場に投入された瑞穗が犯人を追ひ詰める。 2006年3月27日讀了 | ||||
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面白かった。 「影の季節」に、ちらりと姿を現す婦警をこちらでは主人公にしているものです。 女性を主人公にしているからか(男性の著者であるにも関わらず)、桐野夏生の 一連の主人公の内面描写に似てなくもない。 男社会の典型のような警察組織の中の女性の立場、心理、が非常に興味深い。 警察組織での、婦人警官の位置づけは新鮮だった。 謎解きその他も一筋縄でいかない部分あり。 短編連作で、とてもスピーディだったです(その分ちょっと深みに欠けたかな)。 短いストーリーだが佳作ぞろいでした。 | ||||
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被害者から特徴を聞き犯人の似顔絵を描く、その似顔絵が元で犯人逮捕……のはずが、逮捕された犯人は似顔絵には全く似ていなかった。上司は記者会見を前に写真を見て似顔絵を描き直せと言う。 自分の仕事に誇りを持っていれば許せない一線と言うのが確かにあって、その一線を無理矢理越えさせられた一人の婦人警官の再生と成長の物語、とは大げさか。 「半落ち」で興味を持って、横山秀夫さんの作品を読むのは2作目になります。人物描写が巧みで、警察小説という今まで興味もなかったのに気がつくとぐいぐいと読み進め一気に読み切ってしまいました。 前半は主人公が気づいた点がことごとく事実と食い違っていて、実は読んでいていらいらするのですが現実にもこういうことありますよね。ちょっとした勘違いと事実の繋がり、実に巧みな小説だと思いました。 他の作品も読んでみようかなぁ。 | ||||
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初めて横山秀夫さんの本を読みましたが、主人公の真っすぐな気持ちに切なくなりました。[強くて弱い]そんな人間くさい主人公に出会う事ができて嬉しかった。 | ||||
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たしか、仲間ユキエさんが主演でフジTVで連ドラやってましたよねー。 うん、でも、TV版はみてないですが、、原作はいいですよ〜♪ この本を読むまでは、私は横山さんがかかれる作品は基本的には 「男達のアツイ警察ドラマ、人間ドラマ」だと思っていました。 ですが、この本の表題「顔」の主人公は女性警察官。 女性から見た警察機構内の矛盾、偏見、軋轢が見事にかかれています。 仲間由紀恵さんがすきなあなたや、警察小説がすきなあなたにオススメ♪ | ||||
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横山秀夫氏の警察小説のうちで、本書をナンバーワンに挙げる読者はおそらく少ないだろう。しかし、息詰まる男たちの心理劇を中心とした横山作品の中にあって、女性を主人公に据え、重苦しい部屋の窓を開けて風を通したときのようなさわやかさを感じさせる本書に、好感をもつ読者も多いのではないか。 本書の主人公は平野瑞穂巡査。『陰の季節』の中の一篇、「黒い線」では事件を起こす側として登場する。「黒い線」ではひたすら痛ましさが際立ったが、本書では休職から復帰し、惑いながらも成長していく姿が連作短編の形で描かれる。 瑞穂はごくごく普通の、むしろ繊細な感性の持ち主だ。だから、ハードな環境の中で迷い、躓き、遠回りもするが、その分きっちり前に進む。天性とも言える真実を求める志向性、仕事への静かで確かな情熱が伝わり、その姿は実にすがすがしく、ずっと見守って応援していたくなる。本書はそんな瑞穂のキャラクターで読ませる一冊と言っていいと思う。だがもちろん横山作品、「事件」の方の書き込みも抜かりない。 ラストは、瑞穂の再出発とある刑事の退職という好対照なシーンでしめくくられる。退職する刑事から励ましの言葉を贈られる前に瑞穂が立ち去るあたり、べたついた感動とは無縁の横山作品らしい描き方とも言えるし、瑞穂の自らを奮い立たせるような決意が伺えるようでもあり、胸を打たれるラストになっている。 ひたむきさ、まわり道が格好の悪いことではないと教えてくれる小説でもあると思う。 | ||||
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何年か前にTVでドラマ化された原作です。ドラマとは雰囲気が少し違うかも。ドラマも本も両方好きです。 短編でいくつかの話に分かれていますが、主人公が一人前の似顔絵婦警になるまでの過程も一緒に楽しめます。 警察内部が丁寧に描かれていて、他のミステリーとは違った視点でおもしろかったです。 基本は1話完結で、電車の中で読むにはちょうどいい長さです。 | ||||
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似顔絵を描いて犯人逮捕に貢献する「似顔絵婦警」の平野巡査の活躍が、活き活きと描かれた作品である。 厳然たる男社会の警察組織で、男尊女卑を公言する上司との間に軋轢を生じさせながらも、職務に忠実であろうとする凛々しい姿は、作中の言葉を借りるなら「若鮎のよう」で読者に好感を抱かせずにおかない。 収録された5篇のうち最終篇を除いて、平野巡査は花形の捜査官でなく、内勤者であるが、それぞれの篇の構成は良く練られていて、はっきりとした起承転結の下、しっかりと事件性も帯びている。 中でも、婦警が襲われ拳銃を強奪される事件を追う「心の銃口」の出来が抜きん出ている。 この作品は、同著者の「陰の季節」の一篇から派生し、独立された作品である。 その話の大筋は本書でも説明されているのだが、この作品の前段と言えるものだけに、できれば本書の前にそちらを読んでおきたい。 | ||||
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捜査の際につかう似顔絵。 似顔絵を作成する仕事についていた婦警瑞穂は、ある事情から似顔絵を画くことができなくなっていた。 鑑識から異動になり、広報、被害者支援対策室、強行犯捜査係の職場で色々な事件にめぐり合う。 それぞれ独立した短編として楽しめる本です。 主人公の生真面目さが、全編にわたって緊張感をもたらしています。 事件の謎解きというより、登場人物達の心理を読ませる筋立てで、ぐいぐい物語りに引き込まれていきます。 | ||||
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完全な男社会の中で、偏見と戦いながら、成長して行く似顔絵描き専門の婦警平野 瑞穂。「女だから」と言う偏見は、無くならないんでしょうね。だから、この手の小説に出てくる主人公に肩入れしてしまうんでしょうね。どの社会にもあることだと思いますが、最後には、相手に自分を認めさせる同様の話は、乃南 アサの音道貴子や松岡 圭祐の岬美由紀等、魅力ある主人公は、シリーズになってますが、これはならないんでしょうかね? | ||||
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主人公は『陰の季節』「黒い線」で登場したD県警の似顔絵婦警・平野瑞穂。なぜ横山氏はこんなに女性の気持ちが分かるのでしょう。記者時代の観察眼の賜物のなのでしょうか?「魔女狩り」 一年前の事件で現場から外され、広報係に飛ばされた瑞穂。癒えない傷を抱えながら特ダネを連発するJ新聞を嗅ぎまわります。慣れない仕事に苦悩する瑞穂は、女心を微妙に揺らしながら真実を突き止めます。女性だからこそ気づいた真実。そして少しばかり苦い結末。 過去から立ち直るきっかけとなる「決別の春」 過去を過去とすることに成功した「疑惑のデッサン」 過去から一歩前進した「共犯者」そして似顔絵婦警に復帰した「心の銃口」では、微笑ましかったはずの「プロローグ」に悪寒を感じることになります。ちょっとした分れ道。分かれた時の違いはほんの少しだったのに…行き着いた場所の大きさに愕然とさせられます。これらの短編集には幾人かの女性が登場します。どの女性も男性社会の中で、もがき苦しみいつも答えを探しています。正義感が強い故に傷つくことになる瑞穂。少しずつ乗り越えていく真っ直ぐな瑞穂に救われ、「初心を忘れずこうありたい」と女性にも思わせる秀逸な作品です。「あなたらしくない」ちょっと言われて見たい気もします(笑) | ||||
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読み始めたとき激しい既視感が。・・・D県警シリーズだから当然なんだけどね。若い婦警さんが悩みながらなぞを解いていく姿は何とももどかしいと思いつつそのリアルな表現はさすがだと思います。 | ||||
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横山秀夫氏の「直木賞騒動」とはいったいなんだったのだろう。調べたら分かることなのかもしれないが、わたしはひとつ確信した。結局あれは氏の『誇り』の問題だったのだ。「男が、自分の中の男をより際立たせようと競い合う警察社会。そうした男たちの誇りを傷つけないように常に神経をピリピリさせながら、婦警は心の片隅で、自分たちもれっきとした組織の一員なのだと声無き声で叫びつづけている。必死で戦っている。」テレビ番組にもなったこのシリーズだし、このシリーズの前の短編も読んでいたので、全編似顔絵婦警平野が活躍するのかと思えば、シリーズ当初から平野は似顔絵担当から外されている。そんな平野が自分の『誇り』を取り戻す。これはそんな物語だ。横山秀夫氏は常に『誇り』を描いていた。自らは記者として警察署内の『新聞社へのサービス』『新聞記事のコントロールのため』設けられた『記者クラブ』に常駐しながら、きっとも自らの『誇り』を磨きつづけていたに違いないと思う。 | ||||
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本書は傑作である。にもかかわらず評価があまり高くないというのは、他の横山警察小説のレベルが高すぎるからだろう。イチローが「ヒットを打たなかった」らニュースになるようなものだ。作家にとっては損だが、読者にとってはこれにまさる幸せはない。さて、本書でも警察組織と個人の相克が丁寧に描かれる。高度に発達した組織社会である現代日本において、「組織」と「個人」の葛藤は誰にとっても他人事ではない。そして警察という公権力を扱う「硬い」組織において、組織-個人の葛藤はもっとも顕著な形で現出する。その暗色の葛藤の中で、個人の「想い」が色鮮やかに輝くのだ。婦人警官・平野瑞穂の成長物語は、その果実である。あたかも泥土から咲く蓮の花のように。 | ||||
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氏の作品は初読であったが中々面白かった。己の職務に忠実に立ち向かう似顔絵婦警の平野瑞穂が、男社会である警察組織で苦闘する中で成長するといった内容の短編集が集録されている。読後、氏の他作品も読みたくなった。 | ||||
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