熟柿

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評判

熟柿の評価:

4.20/5点 レビュー 81件。 B ランク

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平均点4.20pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全81件 21〜40 2/5ページ
No.61
(5pt)

残酷なハッピーエンド

残酷なハッピーエンドと書くべきか、幸せなバッドエンドと書くべきか、迷った挙句に結局そういうことかと思えた作品でした。
この物語は、いろいろな登場人物の視点でそれぞれに描けば、もっと楽しいエンタメ作品になったのかもしれません。しかし、終始一人称で進むこの展開こそが、相手が敵か味方か分からない、それを判断する自分にも自信を持つことができず、なぜなら自分自身こそが、自分のことを信じるに値しない人間にしてしまった、重大な過ちを犯した自分だから…という、どんな人間にも平等に与えられた「他人にはなれない」という、残酷な人生の面白さを引き出しています。

この物語で描かれる主人公の葛藤が、作品のエンタメ的な楽しさよりも、読み手の「身に覚え」という弱みにつけこむ悍ましさを持っている気がしました。

この小説に救いがあるとして、その差し出された救いの手を掴むということは、同時に私たちが何らかの犯してしまっている大小にかかわらない罪(法律上は罪にならないことでも)を、背負うことを受け入れなければならない覚悟が必要となること。

少なくとも、聖人君子として生きている自信など、とても持てない私には、残酷な希望となる小説でした。
熟柿 Amazon書評・レビュー: 熟柿より
4041146593
No.60
(5pt)

不器用な親子愛

最初の出だしから、心を奪われた。今年の本屋大賞は、朝井リョウ氏のインザメガチャーチだったが、私はどちらも読破したが、この熟柿の方が好きだ。最後の場面がまた秀逸!文句なし
次の作品が待ち遠しい。将来に希望が出来る作家だと感服した。アッパレをあげちゃう!
熟柿 Amazon書評・レビュー: 熟柿より
4041146593
No.59
(3pt)

ゆったりとした一人称、視点が変わらない物語

20代の作家、30代の作家を読んだあとに読んだこともあるだろうが
やはり年代が上の作家はテンポが違う、とまず思った。
音楽、漫画、小説、ドラマ、アニメ、映画。なんでもそうだが
今はとにかくテンポが早い。そして冒頭の掴みが衝撃的かつイメージとして強烈だ。
さらにはラストに大きなどんでん返しが用意されていることも多い。
今は当たり前となっている、1章ごとに視点が変わり、いろんな立場から物事を見る小説の形態に慣れてしまうと、
どうしてもこのゆったりとした、一人称で、時間の流れを淡々と追うような物語には飽きてしまう。
これは読み手がわの、小説をいつ、どの年代で読んできて感銘を受け、どんなものに感動してきたかという素地にも違いが出るが、自分には合わなかった。
最後まで読んだが、もうわかっている普遍的なことをまとめられても、と思ってしまう。
さらに今は交通ルールに厳しく、轢かれて亡くなりいきなり終わらせられた側の人生も考えてしまう。
たとえそれが認知症の老いた人間でもだ。
自分が車を運転する時、まず妊婦には運転させないし、雨の日はなるべく運転しない。夜もしない。
やむを得ない場合はスピードを上げない。周囲にものすごく注意を払う。
スマホに気を取られるなんてもってのほか、電源は切る。電話にも出ない。
なので冒頭から主人公に思い入れできないまま読み進めることになり、途中は何度か「勝手だな」と感じてしまった。
旦那が背負う罪も、子供も、どこか今の時代にマッチしていない考え方で、そのわりにまとめ方は普遍的で道徳的なもの。
とても長い小説だっただけに、この長さに匹敵する何かを得た感覚はなかった。
熟柿 Amazon書評・レビュー: 熟柿より
4041146593
No.58
(4pt)

後悔と向き合ってかなければならない現実ほど残酷なものはない。

後悔と向き合ってかなければならない現実ほど残酷なものはないが、その残酷な人生にもまだ光があると思って1日1日を生きていく。
熟柿 Amazon書評・レビュー: 熟柿より
4041146593
No.57
(5pt)

個人的にはこちらが大賞。

罪を償うとはどういうことなのか。
自らが犯した罪に向き合い、出所後も獄中で出産した息子の成長を見守ることも、顔を見ることすらできず、偏見に晒されながらも懸命に生きる女性の物語。途中、切ない気持ちでいっぱいになり読むスピードが鈍ったものの、文体はとても読みやすく引き込まれた。
終盤、別れた夫の発した言葉が「罪」そのものをひっくり返す効果があり驚いたが、最後のシーンは過去の一場面と重なりグッとくるものがある。
生きざまについて他人に「強い」と言われることに抵抗を感じている主人公であるが、まぎれもなく人としての強さを持ち合わせている人であり、様々なネガティヴなことに見舞われてもひねくれずに生きている姿は心を打つものがあった。
熟柿 Amazon書評・レビュー: 熟柿より
4041146593
No.56
(2pt)

面白くなかった

車の進行方向におばあさんをひいているため、たぶんおばあさんは道路に倒れたから、主人公の市木かおりさんはおばあさんを車で避けて走ったと思ったけど、それどうなんだ? と思いました。
他の方も書いてますが、現実的ではないなと思いました。

あとは作者が用意した絵に描いたような不幸な人生が続きます。職を転々と、土地も移り変わり。

金庫は普通に指紋が残ってるんじゃないでしょうか。人の人生を終わらせるぐらいの金が盗まれて、盗んだ方はあっさり逃げて、盗まれた主人公は諦めてそんなことまるでなかったかのように話に出てこなくなる。すごいなあ。

最後はちょっと感動しました。このために主人公を苦労させたと思いました。
それでもやはりリアリティに欠ける。自分語りだけが多すぎる。

刑務所って今はテレビが見れたりするらしいです。交通刑務所は刑務官がべったりというわけでなく、服役囚が各々で廊下を歩けたり、思ったより緩いらしい。
中居さんの仕事とかパチンコ店とかなんかさらっと表面を書いただけで、本当にわかって書いてるのかと疑問に思いました。

本読みにはそのあたりが残念。狂気を感じる取材力を見せて欲しかったです。
郷田マモラは自分が逮捕された経験を作品に生かしてました。
留置所はずっと明るくてまぶしくて眠りにくいだそうです。
熟柿 Amazon書評・レビュー: 熟柿より
4041146593
No.55
(5pt)

熟すること

初めのうちは気味が悪くて重苦しい感じの物語で、報われない辛い展開が続くなーと思いましたが不思議と引き込まれていきました。主人公が過去を隠して職を転々とするうちに、出会う人々の民度がだんだんと悪くなっていくのは読んでいても暗くなりました。でも次第に自分の生きる道を探り力強くなっていく、変化が良い方向に進んでいきます。そして迎える「熟柿」の意味。感動で涙が溢れました。素晴らしい本に出合えて幸せです。
熟柿 Amazon書評・レビュー: 熟柿より
4041146593
No.54
(5pt)

激しく推薦

本屋大賞2026 第二位
何の前情報もなしに読み始めてほしい。
主人公の心の中と自分をシンクロしていってほしい。客観的に眺めるなんてことをしないでどこまでも共振していってほしい。それができる作品だと思った。
人間は縁によっていかなるふるまいもするのだ。
今自分が生きている人生も、たまたまそうなっているだけで自分が望んでそう「なった」わけではない。どこかで過去をこうなるしかなかったと自分の狭い世界で整合性をなんとか見出しながら日々生きていくのだ。そんな自分の姿を見つけた気がした。
自分が欲しいと望んでいたことと現実のギャップ。自分が気が付かないいろんなこと。主人公を通して自分の人生にもあった「自分の思い込み」をいくつか思い出して、そうだ自分はこんな人生を生きてきたこんなものであったと読みながら心の奥底で肯いた。
ぜひ読んでほしい。
熟柿 Amazon書評・レビュー: 熟柿より
4041146593
No.53
(2pt)

熟柿というテーマに沿った話の流れ

ひき逃げ事件を起こし、息子と離れ離れになり、再会を願う主人公の物語。
熟柿とは、気長に時期が来るのを待つこと。この絶対的なテーマを主軸に「顔も知らない息子に会う母親の物語」として構成されています。ただ、序盤で主人公の母親が弁護士を雇い正式な手続きを踏んで息子に会おうとすれば、この物語は即終了です。そのため、物語を成立させるためにリアリティと合理性をかなり犠牲にしていると感じました。本作が「待つこと」をテーマにするのであれば、「なぜ待たざるを得なかったのか」という制約を、制度的あるいは心理的に十分に設計する必要があったように思います。その点において、本作は人物の内面による必然ではなく、物語の都合によって“待たされている”印象が強かった。
全体的な物語の説得力よりも最終的な再会という結末を無条件で受け入れられるのであれば感動的な作品と感じるだろうと思います。私は途中のあり得なさのせいで没入することが難しかったです。
移り変わりの早い今の時代だからこその「熟柿」というテーマだと思うのですが、逆に今作を読んで今の時代に「熟柿」という価値観が合わないのだと痛感させられました。
「不法侵入の母」「子供に合わせない父」「調整しない大人たち」という構図の中で、子供自身の気持ちはほとんど描かれません。この点が特に感動的という今作の評価に大きな疑問を残す要素となっています。
最後は、母親と息子が再会。色々とありましたが、息子と連絡先を交換することで関係の継続が示唆されて終わっています。でも、母親との交流が盛んになり、当時の状況を母親視点で息子が知れば、父親側が頑なに母親に息子を会わせないようにしていた事実が明るみになり、また母親に会えない理由を母親の責任に押し付けていたこともばれるので、息子と父親の確執待ったなしです。その意味で、本作の結末は必ずしも単純なハッピーエンドとは言い切れないように思います。
熟柿 Amazon書評・レビュー: 熟柿より
4041146593
No.52
(5pt)

読後しばらく胸に残る静かで重い一冊

佐藤正午『熟柿』は、読後しばらく胸に残る静かで重い一冊です。淡々とした語り口のなかで、主人公の選択や過去が少しずつ明らかになり、罪と再生、母と子の関係を考えさせられます。

風景や日常のなかで展開されるヒューマンドラマで、ミステリーというより、人間の内面の複雑さに寄り添う物語です。「熟柿」というタイトルの意味が読み進めるごとに感じ取れる点も、心地よい余韻を与えてくれます。

描写に耐えられない方には注意が必要ですが、その分テーマの重さと深さを実感できる一冊。静かな語り口ながら心を揺さぶる作品をお探しの方におすすめです。
熟柿 Amazon書評・レビュー: 熟柿より
4041146593
No.51
(3pt)

ここまで長編にするほどのテーマか?という疑問はあるが、最後まで読ませる力はある。

登場人物たちのいかにも古風な「小説風」の喋り方が気になった。いくら2000年代とはいえ自分の親のことを「親父、お袋」と呼ぶ若者はいないだろうし、後半登場する女子高校生もいかにもおじさんが考えたキャラクターという印象が否めない。このあたりに1955年生まれという作者の年齢が出てしまっている。
読み始めると結末が気になって最後まで読ませるストーリー性はあるが、いかんせん長い。特に鶴子の不倫の話は完全に蛇足。あのエピソードは除外して、もう少し短くまとめてほしかった。
熟柿 Amazon書評・レビュー: 熟柿より
4041146593
No.50
(4pt)

美味しい。

半生で美味しくいただきました。
熟柿 Amazon書評・レビュー: 熟柿より
4041146593
No.49
(2pt)

ひき逃げって、この程度で済むんだ。

一気に読みました。
先が気になって気になって。というのも、この主人公はきっと最後に本当の意味での報いを受けるだろうと思っていたから。

あまりにも自業自得の事故、そして身勝手な逃亡。被害者のことは「認知症を患った徘徊中のおばあさんだった」程度の扱い。
そして自身のことは、罪を償った後も生き別れたわが子の成長すら見守ることのできない不憫な母親だと思っている。

最後の最後に、現実を突きつけられればいいという気持ちを抱かずにはいられなかった。
だけど、期待したクライマックスもなんとも生ぬるいものだった。

著者は何を狙ってこの人物設定に決めたのだろう?反省の色が見えない犯罪者、という意味ではとてもリアルな気がする。
良識ある母親ほど、自分が逮捕された時点で子どもの前には二度と現れないようにするのでは?だって子どもの人生を守ることのほうが、自分の人生より大切だから。

その上でわが子の方から会いたいと歩み寄ってくれたという話なら応援できるけど、この主人公の場合、会えることが当然の権利のように思っている節があるからなあ。結局のところ、ひき逃げを犯すような人間ってやっぱりこんな感じなんだなと思ってしまう。
熟柿 Amazon書評・レビュー: 熟柿より
4041146593
No.48
(2pt)

好みが分かれる作品

登場人物達がどうも私には合わない。
どうしてそうなる?という行動をとる人ばかりで好きになれない。
全てが回りくどく感じるし、いい事を言っている風の台詞も???となってしまいました。
主人公に対してもずっとモヤモヤした気持ちのまま話しが終わってしまい、、、
人によって評価が分かれる作品だと思います。
熟柿 Amazon書評・レビュー: 熟柿より
4041146593
No.47
(5pt)

とても良かった

人間の持つ哀しさ、寂しさを超えて生きる力を与えてくれるビュアな精神が感じ取れる作品です。
熟柿 Amazon書評・レビュー: 熟柿より
4041146593
No.46
(2pt)

モヤモヤする

この作品は「芳醇な人間ドラマ」というオブラートに包まれた、「一人の女性に対する徹底的な搾取と不条理の記録」であるという側面が浮き彫りになっています。

主人公は償っても償いきれない罪を犯してしまっているということが軸となっていますが、私がモヤモヤすると感じる理由は、この小説が「カタルシス(浄化や解決)」を完全に放棄し、代わりに「忍従(じっと耐えること)」を美徳としてすり替えているように思えるのです。

・「泣き寝入り」を強いる構造
パチンコ屋での盗難事件のエピソードは、まさにその象徴です。

大金を盗まれた被害者である主人公が、会社から「警察に届けるな」と止められる。これは現代の感覚では、労働搾取や二次被害に近いものです。

盗んだ女性は行方不明のまま。
元夫もまた、事実上の逃げ得。

この物語の中で、「悪いことをした人間」が主人公以外は誰一人として法や社会から正当な裁きを受けていないという点は、非常にフラストレーションが溜まる構造です。
盗まれた金も、奪われた年月も、元夫の卑怯さも、何一つ解決・謝罪されないまま、「とうとう息子に会え、主人公にも信頼できるパートナーや友だちも得た」という一点だけで物語が綺麗に閉じられてしまい、これまでの苦労は報われた」という結末の持っていき方は、ある種の思考停止を読者に求めているようにも見えました。
熟柿 Amazon書評・レビュー: 熟柿より
4041146593
No.45
(5pt)

つらすぎてこれ以上読みたくない。でも、このままでは止められなかった。

●一瞬の不注意。その代償として降りかかった応報はあまりにも酷かった。胸が痛み、これ以上読み
続けるのは苦しい。それでも途中で投げ出すことはできなかった。わずかな光を求めてページを繰る
手さえもどかしく感じられた。
 過剰なドラマ性を抑えた静かな筆致が孤独や絶望をいっそう際立たせ、読む者の胸に深い共鳴を呼
び起こす。罪を背負った母が心の底に押し込めてきた数えきれない叫びが確かに聴こえてきた。その
痛切さが深い余韻と静かな痛みとなっていつまでも残りました。
熟柿 Amazon書評・レビュー: 熟柿より
4041146593
No.44
(5pt)

じゅくしと読みます

佐藤正午さんの最新作、ページをめくる手が止まりませんでした。読み終えた今、胸に去来するのは、長い暗闇を抜けてようやく柔らかな光に触れたような、深い安堵感です。
物語の始まりは、誰の身にも起こり得る日常の「一瞬の裂け目」です。激しい雨の夜の轢き逃げ事件。そこから主人公・かおりの17年に及ぶ、名もなき潜伏と献身の日々が始まります。
私自身、息子を愛してやまない妻の姿を日々間近で見ているため、かおりが味わう「我が子に会えない絶望」と、それでも息子を想い、生命保険のためだけに孤独に働き続ける直向きな姿勢には、胸が締め付けられる思いでした。一歩間違えれば自分もその境遇に置かれるかもしれないという、拭いきれない恐怖。そのリアリティが物語の緊張感をいや増しています。
そして最後に訪れる、あの「熟柿」の情景。
タイトルの本当の意味を理解した瞬間、言葉を失うほど「はっと」させられました。17年という、気が遠くなるような歳月を経てようやく「時が満ちた」のだと。これまでの彼女の不幸と孤独が、この瞬間のためにあったのだと思えるほどの、静かですが力強い救いがありました。
「報われた」――。読み終えた後、自然とそう呟いていました。
大切な家族がいるすべての人に、そして、いま何かをじっと耐え忍んでいるすべての人に読んでほしい、魂を揺さぶる傑作です。
熟柿 Amazon書評・レビュー: 熟柿より
4041146593
No.43
(5pt)

待つことの意味

時間をかけて渋柿から熟柿へ。
時間をかけることでしか得られない何か。
正に人生のような味わいのある実りを迎える幕切れだった。
熟柿になるまで待ったら普通の甘柿よりも甘さが格別。
熟柿 Amazon書評・レビュー: 熟柿より
4041146593
No.42
(3pt)

「八日目の蟬」と読み比べて欲しい・

主人公はもとより、それを取り巻く人間も全て軽率で、熟柿どころか
未熟な人間たちだ(ある親子だけは例外)。各人物の会話は、猜疑心
に満ちあふれた、あげ足とりにも近い言葉の応酬で、一章読み進める
のも骨が折れた。あの事故がなければの悔恨の連続だが、スマホをし
ながら車を運転して人をひき殺して、逃走するような主人公は(話の
冒頭に出てくるシーン)、仮にあの時に、あの過ちを犯していなくて
も、いつか必ずつまづいて、あったはずの平凡な人生などはそもそも
なかったんじゃないと思ってしまって、全く感情移入できなかった。
この小説を評価した読者は、同じく母性と逃走を描いた、角田光代氏
の「八日目の蟬」と読み比べて欲しい・
熟柿 Amazon書評・レビュー: 熟柿より
4041146593