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絵馬と脅迫状
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絵馬と脅迫状の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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6話の短編集です。 主人公となるのは、4話が医師(と研究者)、残りの2話は、それぞれ作家の女性秘書と退職教員の男性。 医者としての深い話もあれば、医療従事者と関係なく本人も気づいていない心の病、納得のいかない無念な結果等が含まれており、どれも読んでいる最中「何かがおかしい」「まずい方向に進んでいるのでは?」と疑念やとまどいが生じる内容となっています。 謎めいていたり気味が悪かったりする一方、理由が分かったが最後なるほどと思えるサスペンス仕立ての話がほとんど。 最後が必ずしもいい方向に向かうとは限らず、何か心にひっかかりがあったりもして、コワイ一面もありました。 私は個人的に「悪いのはわたしか」「絵馬」「リアル若返りの泉」が印象的でした。 特に「絵馬」は、神仏のご利益に対する医師それぞれの姿勢が透けて見えるもの。心理的変化や葛藤も見もので、楽しめました。 | ||||
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坂部羊の作品を読むのは久しぶりだったが、やはりその筆致にはすぐに引き込まれた。医学的知識に裏打ちされた描写は、医療の現場を知る者にとってはリアリティがあり、頷ける場面が随所に登場する。単なるミステリーではなく、医療に従事する者だからこそわかる“どんでん返し”の深さに魅了され、一気に読み進めてしまった。 本作では、医療にまつわる事件を軸にしながらも、登場人物たちの心の揺らぎや葛藤が丁寧に描かれている。その心の機微に触れるたびに、「もし自分がこの立場だったらどうするか」と、自問自答しながら読み進めることになった。 医療の現場という、日常と死が隣り合わせの場において、人は何を信じ、何を選ぶのか。本作はその問いを、読者にも静かに投げかけてくる。そして、その答えは一つではなく、登場人物の数だけ存在している。だからこそ、人間の業や弱さ、そして時に強さがより鮮やかに浮かび上がるのだ。 久坂部作品ならではの知的興奮と、人間の深層心理への洞察。『絵馬と脅迫状』は、その両方を存分に味わえる、実に濃密な読書体験だった。 | ||||
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