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書楼弔堂 霜夜



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書楼弔堂 霜夜

書楼弔堂 霜夜の評価: 4.78/5点 レビュー 9件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.78pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全9件 1~9 1/1ページ
No.9:
(5pt)

伝説の終焉を見届けるような気分になる

このシリーズで強く印象に残るのは、毎巻変わる語り手の存在ですね。
毎話ゲスト著名人が出てきてあれこれトークする傍ら、主人公である語り手の物語もちょっとずつ進行していく訳です。
どうなるのかな、と思っていると最終話で突然プツっと途切れて終わるんですね。
それが逆に強く頭に残る。

そんな感じで三冊やってきた訳ですが、この完結編である四冊目に初めてそのパターンが崩れました。
今まで全く再登場の気配が無かった語り手たちが割と元気にでてきて、あれやこれや出番もある訳です。
この、二度と会えないと思っていた知人と思わぬ再開をしたような感覚は、これまでの「溜め」もあって新鮮に感じられました。
今回ついに店を畳むことになる弔堂がお得意様の主人公に贈り物をしたように、この展開もここまで読んできた読者への贈り物なのかなとちょっと思いましたね。

数多の著名人たちが通った伝説の書楼「弔堂」。
現実ではそんな店は存在してないでしょうが、そんな特別な場所の終焉までを傍らで眺めるような、しみじみとした気持ちになりました。
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No.8:
(5pt)

是非、全巻通しで

不覚にも途中目が潤んだ
現在の出版状況を穿ち、かつ胸に迫る「物語」である
流石の京極流
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No.7:
(5pt)

待宵から霜夜は早かった。

待宵の弥蔵さんのその後が解ってうれしい。
ふらふらしていた利吉さんも身を固めて落ち着いたのかな。
炎昼の塔子さんの行く末も出てきてこれで書楼弔堂の物語も終わりなのはちょっと寂しい。
今回の主人公が活字の元字作成の仕事をしているので作中に、印刷や紙の製造、図書流通の成り立ち、古本市場の立ち上がりの解説があるのが面白い。
昔行った印刷博物館の展示物に木製の活字(日本語かどうかは忘れた。)があった記憶がある。
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No.6:
(5pt)

感動的な店仕舞い。

いずれは店じまいの時が来るであろうことは最初から予想されてはいたことでしたが。この幕切れは全く見事としか言いようのない、感動の幕切れで、大変満足しています。中世から近代に移り変わる時代に活躍した人々のバックに書物があったという物語。現代の活字離れの世に、一石を投じるエピソード群を興味深く散策できました。
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No.5:
(4pt)

書を巡り、とても良い作品でした

書楼弔堂四部作の最終巻です。
続編を期待させるような終わりではなく、ああこれで本当に書楼弔堂は終わりなんだなと言う切ない読後感です。

書がまだ庶民に遠かった幕末に弔堂は現れ、技術の革新や流通の進化で誰もが書を手に取れるような時代になった明治の終わりと共に、多くの人を導いたその役目を終える。とても素晴らしい作品でした。

唯一興醒めしたのは、最後の章で唐突に登場する天馬塔子の冗長な演説です。初対面にも関わらず説明臭く喋りすぎです。
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No.4:
(4pt)

蒐集家の自分は本を無駄にしてはいないだろうか?

おずおずとした語り手のその自らの境遇に照らし合わせて読書や書物等の考察が繰り広げられていく⋯活字・複製・蒐集・永世(用紙)・黎明(標準)・誕生(変転)、各章で変わりゆく読書の形、変化する書物の有り様が語られる。そして、本を弔う主人は飽く迄も中立の立場で考察するが、ある登場人物が「読み切れなくたって、読めなくなったって、手にしただけでそれは読書の形です。」と云う⋯本の価値はそれを手にした人が決めること、好きに読めば良いと云う⋯そこまで自由で良いのだろうか?さて、蒐集家の自分は本を無駄にしてはいないだろうか?
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No.3:
(5pt)

全4巻、書楼弔堂

この間は、巷説百物語シリーズが、終了し続けて、弔堂までラストわ、迎える。
 いつものように、歴史的人物が登場し、弔堂に来るのは当たり前。今回の主人公は、印刷業に携わる、青年が苦悩しながら、活字のデザインをしながら、同じ下宿先の友人や印刷会社の仲間達と出会う話。
 ラストには、以外な展開があり、ほっこりする内容で終わる。弔堂の亭主は、何処に消えたんでしょうね。まだまだ、続けて欲しかったのが、正直な所です。
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No.2:
(5pt)

博覧強記、博学多識

最近、山田風太郎著『幻燈辻馬車』を読み、実在した著名人を起用した作話事例をまた一つ得ました。本書のスタイルは、この形式を最も良く生かしましょう。著者自身の博覧強記、博学多識ぶりが、随所にあらわれて、各章のエピソードに加味されます。

岡倉覚三、これは恩師大岡信の研究対象の一つでもありました。もっとも当方にとっては、その弟岡倉由三郎、の名を知ったのが先。『新英和大辞典』を使用していて、辞典の箱にも、氏名がありました。

このシリーズもおわってしまいましたね。

作中、本づくりに携わる人々への言及があります。当方は、日本エディタースクールの校正講座に依存していました。遠く、林達夫氏を仰いでのことです。以来、公文書、私文書こみで数千件を赤ペンでこなしました。元来、国語科教職課程がベースの専門ですので、好きと実務とがあいまって、幸いでした。また、教育学部生でしたので、所属教室の一部が教育雑誌の実質的な編集局であったり、同期の友人たちのなかに学生教育雑誌の編集自体に参加している者があったりしまして、そのことも記憶に新しいです。文芸等の創作世界、新聞雑誌の営業世界、そのほかに教育界独特の出版文化の影響下に居続けています。今まで最高に影響を受けた勉強会は、教育雑誌編集室での課題図書の読み合わせでした。

博覧強記、博学多識の形式を平然と保持し得る人々は、本作の内容のように、事物の意味の「差異」に注目した使い分けが可能となります。これは、人の認識の「類推」過程にあたりますので、昭和のころに流行したコーヒーの宣伝文句を借りますと、違 い の わ か る 振る舞いが可能になります。できないと一段外にでて、違いのわからないシルバーブレンドになってしまいます。差異からの立論が可能となれば、いわゆるデリダの「差延」にまで足をのばすことが叶います。

われらの時代のヒーローのおひとり吉本隆明氏が、花田清輝、谷澤永一の両氏と論争したことを想起いたします。これは、博覧強記の者との対決に当たり、必然的に、相手が繰り出す表現内容の類推的事実のゆれと焦点化とをともに把握し、それを理解していることを確認してから反論せねばなりませぬ。この精密な段階が脱落しますと、対応困難となります。吉本氏は科学の人で、演繹・帰納の形式については、無論信頼するに足る論客だったわけですが、類推対応は苦しかったとお見受けしました。このことには異論もございましょう。
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No.1:
(5pt)

変遷

書楼弔堂霜夜、とても素敵でした。
時代が変わり、色々なものが変わるのけれども、結局一番大事な肝の部分は宿痾として普遍なのだと思います。激動の時代、今よりももっと人が人として個人ではなく違う視点から国を豊かにしていこうと頑張っていた時代なのだと思います。終わりではなく始まりであり、連綿と続いていく己があるからとても素敵なのだと思います。雲から光がさすようなとても良い時間を過ごせました。
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