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虚空から現れた死
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虚空から現れた死の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
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奇術師探偵グレート・マーリニの創出によりオールド・ファンを魅了した不可能犯罪ミステリーの巨匠ロースンが別名義で発表した傑作中編集です。主人公のドン・ディアボロはもうひとりの奇術師探偵とも呼ぶべきプロのマジシャンで、性格はすこぶる陽気で頭の回転が速く、ピンチになっても動じない沈着冷静な切れ者です。彼は高名な探偵に良くある偉そうに振舞うような態度は一切なく、気さくで人づき合いも良い愛すべきナイス・ガイだと感じ、私的にはとても気に入りました。本書の特徴は、彼が警察に協力する真面目な素人探偵なのにNY市警殺人課のチャーチ警視から怪しまれ逃げ回るという、今までにないドタバタ劇の要素にあります。探偵が個性的な脇役陣の奇術師仲間や親しい新聞記者に助けられて危うく窮地を脱するシーンは、愉快痛快且つスリル満点で、本筋の推理とは別に大いに楽しめる読み所のひとつだと思います。 『過去からよみがえった死』:地上五階の閉ざされた一室で若い女が殺され、事件直後に開いた窓からコウモリが飛び出すのが目撃される。隣室にいて疑われたディアボロは事件調査の為に自身も虚空へと消失する。密室トリックはやや平凡ですが、オカルト趣味とダイイング・メッセージは切れ味抜群で犯人を隠すテクニックも秀逸です。『見えない死』:チャーチ警視の目前で警官が殺され、犯人は全く姿が見えない。やがて宝石やお宝の窃盗予告が始まる。不可能犯罪がこれでもかとてんこ盛りで、伏線や手掛りの提示もお見事な脱帽物の最高傑作です。 本書を読んで、長編としても堂々と通用するトリックをどうして中編に縮めて、しかも何故前述のあわただしいドタバタ劇にしたのかな?と疑問に思っておりましたが、読み終えて成程と深く肯きました。賢明な方なら気づかれると思いますが、少々物語のバランスを犠牲にしても注意を逸らせて読み手を混乱させる手段なんですね。貴方も私のアドバイスを踏まえて、著者一流の策略に惑わされずに冷静に謎解きに挑んで頂きたいと思います。 | ||||
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