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残月記



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【この小説が収録されている参考書籍】
残月記

残月記の評価: 3.22/5点 レビュー 45件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.22pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全24件 21~24 2/2ページ
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No.4:
(5pt)

書評通り

新聞2紙の書評で知ったので買ったのですが、評判通りでした。絶対傑作です。
残月記Amazon書評・レビュー:残月記より
4575244643
No.3:
(5pt)

男と女が世界の涯で出会ったら、微笑むことから始めるしかないのだ・・

いやあ驚きました。
 また今後の作品が楽しみな力ある作家が現れました。
 いきなり単行本で初めての作家の本を買うのは、それなりの覚悟がいるのですが、『残月記』というタイトルに惹かれ買ってみましたが、買って正解でした。
 「月」には、なにかミステリアスなイメージがありますが、実際に月の満ち欠けは人間に様々な影響を与えている事実があると言います。
 満月の日の出産率しかり、アメリカにおける犯罪発生率しかり。
 短編3編が収録された本作品集は、いずれも、そんな月が持つ不思議な力に影響を受けた物語です。
 
 まず短編1作目の『そして月がふりかえる』を数ページ読んだだけで、これは好きなタイプの文体だと嬉しくなりました。
 どんなにストーリーが斬新でも文体が稚拙なものだったり、やたら凝りすぎて読みにくかったりすると、もうそれだけで読む気がなくなるのですが、本書、小田雅久仁の文章は、丁寧に丹精込めて書かれ、かつしっかりとした筋が一本通っている力強さがあり、それでいて引っかかるところがなく読み進めることができる、という非常に好感の持てる文体です。
 本書に対する前知識はほとんどなく、純粋にタイトルの渋さだけで本書を手にとったがため、冒頭の10数ページまでは、なかなかクオリティーの高い純文学だなと思いながら読み進めていたところ、20ページ目で突然世界が切り替わるスイッチが入り、ぞぞっと鳥肌が立ちました。
 この段階で、ふと思い出したのは村上春樹の『1Q84』。
 あちらも月が重要な存在感を見せていましたが、本書においては、月の持つダークな一面が垣間見え、ホラー小説を読んだ時のような、ゾクゾク感を味わえます。
 平穏な物語がぐらりと変転する作品としては、以前読んだロシアのウラジーミル・ソローキンの短編集『愛』を思い出します。
 2作目の『月景石』も『そして月がふりかえる』同様、純文学風の語りから始まり、ある地点から世界が変転します。
 この変転した世界の描かれ方が、とても面白い。
 この変転した世界の描き方は3作目の『残月記』においても同じ雰囲気を感じます。
 ただ、『残月記』は、冒頭から、未知の感染症が広がった近未来を舞台にした物語設定となっている点が先の2作品との大きな違いでしょう。
 物悲しさもある印象的な作品でした。
 この文体から見る限り、この作者はいろいろな作品が書けるのではないかと感じます。
 今後の作品が本当に楽しみです。
残月記Amazon書評・レビュー:残月記より
4575244643
No.2:
(5pt)

表題作「残月記」だけを読んではならない。三編を順番通りに読んだ時、本書『残月記』は唯一無二の傑作となる。

「そして月がふりかえる」「月景石」「残月記」の三編からなる、本書「残月記」。

冒頭の「そして月がふりかえる」で描かれる、恐怖や絶望。
ふりかかる「月による」運命に、なすすべもなく翻弄される主人公。
佳作ではあるものの、理不尽極まりないこの冒頭作品を読んで、本書を読了しようとする意欲を持続するのは甚だ困難であろう。

しかし、この冒頭作品読了という行為こそが、著者と読者をつなぐ「月による運命」というルールの共有作業と同義であり、作品全体の序章であることを申し添えたい。
このルールは「月景石」でより確かなものとなり、クライマックス「残月記」を唯一無二の傑作へと誘う。

本書を珠玉の名作『残月記』として読了したいのであれば、圧巻の第三編「残月記」だけを読んでは、決してならない。
残月記Amazon書評・レビュー:残月記より
4575244643
No.1:
(5pt)

表題作の圧倒的なリアリティに、激しく心を揺さぶられました。

収録作品は、次の三つ。

 そして月がふりかえる 【初出は、『小説推理』 2016年2月号 】
 月景石(げっけいせき) 【初出は、『小説推理』 2017年7、8月号 】
 残月記(ざんげつき) 【初出は、『小説推理』 2019年4 ~ 7月号 】

なんと言っても、表題作の中篇『残月記』が圧巻の出来栄え。臨場感に満ちた物語のリアリティが半端なく、ぐいぐいぐいと、読み進むほどに作品世界に没頭していきました。

異世界の日本を舞台に、月昂(げっこう)という感染症にかかった男・宇野冬芽(うの とうが)の人生を、運命を描き出してゆく物語に、激しく心を揺さぶられました。
なかでも終盤、話は予想外の方向に舵(かじ)を切り、感動的なラストへと突き進んでいきます。暴風雨の後に、凄いほど美しい景色が広がっていた‥‥みたいな読み心地。昔、『風の谷のナウシカ』て映画を見て心が震えた、その時の感動、その時の光景がよみがえってきたんですよね。ほんと、ラストは泣きながらページをめくってました。

小田雅久仁(おだ まさくに)さんの作品は、去年(2020年)、伴名 練(はんな れん)さんが編んだアンソロジー『日本SFの臨界点[恋愛篇]死んだ恋人からの手紙』収録の「人生、信号待ち」て短篇で初めて読んで、とっても面白いなと思ったんでしたが、いやもう、この「残月記」には圧倒されたなあ。心揺さぶられる、忘れられない傑作となりました。
残月記Amazon書評・レビュー:残月記より
4575244643

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