■スポンサードリンク


白亜紀往事



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
白亜紀往事

白亜紀往事の評価: 4.22/5点 レビュー 9件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.22pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全9件 1~9 1/1ページ
No.9:
(4pt)

恐竜と蟻の白亜紀メルヘン

●巨大な生物恐竜と微小な蟻が織りなす共生と敵対の物語。大きさのみならず生物学的にもかけ離れている
2種類の生き物が、ファーストコンタクトを経て共生して行く過程はトンデモSFの様。ユニークであり微笑
ましくも感じる白亜紀メルヘンです。
 恐竜にとって蟻はまさにナノマシン。体内に侵入して行くシーンはI.アシモフの「ミクロの決死圏」を彷
彿とさせるものでした。また、恐竜の横暴さにオロオロする蟻の姿は、最近の某大統領の一挙手一投足に困
惑している国々を連想させ、思わずニヤッとしました。
白亜紀往事Amazon書評・レビュー:白亜紀往事より
4152102780
No.8:
(4pt)

童話的ハードSF

三体を読了後、劉慈欣の他の作品が気になりオーディブルにて拝読。
恐竜と蟻が太古から相利共生関係になり、お互いに文明を築くも結果的には対立していき、進歩したテクノロジーによって目まぐるしく戦局が変化していく、どこか童話的でもありハードSF的でもある非常にユニークな物語になっている。
恐竜と蟻という設定は独特だが、そのサイズや特性を反映した技術や戦略を使ってストーリーを展開させていくのは見事である。
三体に比べると随分短く読みやすいが、それでいて劉慈欣らしいハードSF要素やスケールの大きさもあり、読み応えのある作品となっている。
白亜紀往事Amazon書評・レビュー:白亜紀往事より
4152102780
No.7:
(3pt)

前の短編集を持っていたら買わなくていい。

前の短編集に乗っていたものが非常に良かったので、長編化されたと勘違いして購入。
読んだ限り修正部分はありましたが、追加部分はありません。しかも、追加部分が特に新しい描写がないので冗長になってただけでした。

書籍版は装丁がよくなってるらしいのですが、電子版ではそのメリットはないので短編集を持っていれば購入する必要は全くありません。
白亜紀往事Amazon書評・レビュー:白亜紀往事より
4152102780
No.6:
(4pt)

科学的なファンタジー小説

白亜紀に恐竜と蟻が共生し、広大な文明を築いていたという話です。
両方の生物を擬人化し会話させるなど、ファンタジー小説の面持ちがありつつも、SF小説らしい科学的な話も多くあります。

文明の発展段階に合わせて、それぞれの面白さを活き活きと描き出しているのはすごいと思います。さらに、実際の歴史との一致点も見出し、あり得たかもしれない話としてまとめているのも面白いです。
また科学的な話として、核抑止世界のその先までを語っているのは非常に興味深かったです。
白亜紀往事Amazon書評・レビュー:白亜紀往事より
4152102780
No.5:
(5pt)

三体ロスからはや数年

いつまで三体ロス三体ロスと言い続けているのかと思いますが、たぶんこの先一生、三体ロスからは逃れられない気がします。しかしながら本書を読んでいる間は三体ロスを忘れるほどの楽しい内容でした。

三体に馴染めななかった方にも最適です。ネタバレを知ってからももちろん楽しめますが、劉慈欣 氏著作の素晴らしい本当に素晴らしい日本語訳なので、まずは!まずは!ぜひ読んでみることをおすすめしますー。
白亜紀往事Amazon書評・レビュー:白亜紀往事より
4152102780
No.4:
(4pt)

最後は薄々伝わってきたけれど

余りにスケールが違いすぎる関係は難しい。
それにしても恐竜と蟻との共生関係は目の付け所が新鮮だった。
白亜紀往事Amazon書評・レビュー:白亜紀往事より
4152102780
No.3:
(4pt)

劉慈欣SFの入門書(パワー・ポリティクス時代の寓話)

短篇集『老神介護』に収録されていた短編版の「白亜紀往事」を読んだのは去年の10月。
 本書は、予想よりも早く書店で見かけた時、期待感もあったので中も見ずに購入するが、帰宅後ページを開いてちょっとびっくり。活字が大きく、字間も広い。まるでジュブナイルみたい。価格も高いし、期待していた中国語版では併載されていると聞いていた『悪魔の積み木』も付いていないようだし、これは買う必要はなかったかなとちょっと後悔しながら読み始めるが、意外にも価格相応には愉しむことができた。元は取れたと思う。

 まず、純粋に面白い。基本的なストーリーは短篇版と同じなので知っている話だけど、特に前半は短篇版にはない話なので興味深かったし、後半はクライマックス部分の詳細を忘れていたこともあって最後までダレることなく読むことができた。短篇版を読んでない人でもストーリー展開はわかり易く、かつ読み易いだろう。
 2点目は新しい発見。本書がジュブナイルだったことに気付く。本書を開いた第一印象もそうだったし、プロローグを読んでその印象はまさます強くなったが、中盤まで読んだ時には確信した。
 短篇版を読んだ時にはまさかジュブナイルとはまったく気が付かなかったが、それが著者の狙いだったのか、それとも単に評者がヌケていただけなのか?

 確認のために短篇版を読み直して比較してみた。
 全体量としては、長編版(本書)の本文部分が評者の計算では原稿用紙にして約350枚相当に対して、短篇版は約115枚相当。短篇版は三分の一に削られている。
 章立ては、長篇版が17章+プロローグとエピローグの計19章に対して、短篇版は9章+冒頭に4頁程の無題の章で計10章。短篇版では前半を中心にプロローグと8つの章が削られており、残っている章についてもかなり省略されているエピソードがある。
 評者は先に短篇版を読んだが、表現として特に過不足は感じなかったので、短篇版は長篇版の基本的なアイデアはそのままにして、そのエッセンスをうまく抽出しているということになると思う。
 一方で削られた部分の中には大人が読むと、くどく感じたり教条的な表現が気になる点がある。

 評者は、『老神介護』を読んだ時、「白亜紀往事(短篇版)」の初出媒体の記載がないことに疑問を持ったのだが、本書巻末の「訳者あとがき」を参考にこの2篇の成立過程を推察すると、最初、本書は年少の読者向けに出版されたが、一般向けにアブリッジしたものがアンソロジーに収録されたのではないだろうか?
 短篇版を読んだ時にジュブナイルと思わなかったのは多分、そういうことなのだろうと思う。

 作者の短編は奇想を基盤にしたものが多いので、『老神介護』の収録作の中でも特に違和感はなかったが、とてもこんなことはあり得ないと思われるようなことを強引に積み上げてストーリーにしてしまう作者の豪腕には脱帽するが、その強引さはジュブナイルにありがちの特徴だったのだろう。
 大型肉食恐竜であるティラノザウルスが群れを作って集団生活をするという設定。また、時間をかけて進化すれば巨大な恐竜がそのままのサイズで進化して知性を獲得し、都市文明を生み出すという設定。蟻と恐竜が共生関係を結び、それが同盟関係に進化するという設定。さらには、恐竜の虫歯が実際に巨大な虫によるものだったという設定。これらの設定が最初ジュブナイル用のアイデアとして生み出されたものと考えると納得できるところがある。
 年少の読者に地球の生命の歴史と文明の意味と可能性を伝えたい。そう考える時、彼らの興味を引き、物語に誘うためであれば、少々の強引さは必要だし、過度な科学的厳密さは必要ないと考えたのかもしれない。今はその考え方も良しとしたい。

 本書は、一般読者であっても、それまで共存していた大きく異なる二つの種族が、科学が暴走した時、独善と妥協の拒否によって破局を迎えてしまうという“パワー・ポリティクス時代の寓話”として読むことができるが、おそらく本来は年少の読者向けに書かれたものだろう。そのため驚くようなアイデアだけど過度に複雑なところはなく、適当な長さでかつ読み易いので、作者の他の長篇に取り組むのをためらっている年少の読者にとって劉慈欣SFの恰好の入門書になるに違いない。できれば学校の図書館に置いて欲しい。
 評者が小学生から中学生の頃読んでいたSFの相似形が、ここにある。
白亜紀往事Amazon書評・レビュー:白亜紀往事より
4152102780
No.2:
(5pt)

劉慈欣が描く蟻と恐竜が文明を築いていた幻想の白亜紀

今から6千500万年前に、蟻と恐竜が知性を持ち、お互いに共存し合いながら高度な文明を築いていたら?『三体』の劉慈欣が2004年に発表したSF小説『白亜紀往事』は、そんな奇想天外な着想の元に描かれた作品である。

この『白亜紀往事』、長さ的には200ページに満たない中編小説となるのだが、これをさらに短くした短編小説版『白亜紀往事』も存在しており、それは既刊となっている短編集『老神介護』に収録されている。しかしこの中編作と短編を読み比べるなら、中編作は描くべき事柄を余すところなく描き、非常に充実した物語として完成している部分が、これを端折った短編作は、当然だかアイディアを楽しむだけのダイジェスト版でしかなく、読み応えとして雲泥の差があった。だから短編版を読んでいる方も安心してこの中編版を楽しむといいと思う。さて物語だ。そもそも矮小サイズの昆虫である蟻と、地球の歴史でも類を見ない巨大さを誇っていた恐竜が、お互いに協力し合いながら文明を発展させる、という極端なスケール感の対比がまず面白い。面白い、というか思いついてもわざわざ小説にしないだろ、と思わせる馬鹿馬鹿しさがある。しかし劉慈欣は持ち前の優れた想像力と広範な科学知識でもって無理矢理その設定を捻じ伏せ、まさかと思わせる説得力でもって1篇の小説に仕上げているのだからやはりその力量には驚かざるを得ない。

なにしろ最初は「そんな馬鹿な」と半笑いで読み始めた物語が、途中から「こんなことがあったとしてもおかしくない」とすら思わせる迫真性を帯びてくるのだ。もちろん劉慈欣自身は真面目な顔をしながら馬鹿な話を書いただけなのだろうが。そもそも劉慈欣はハードなSF世界を描く作家というよりも、どこまでも馬鹿な大風呂敷を拡げてそれに説得力を持たせるかということを、無駄に膨大な科学知識を演繹して挑戦するという、ある種「SFで遊んでいる」作家なのだ。だから劉慈欣のSFはわざと有り得ない方向へ有り得ない方向へと物語が乱調する。その予測できなさがまた彼の作品の持ち味であり魅力なのだ。

蟻と恐竜がなぜ共生するようになったか?というのは、恐竜の歯に挟まった肉片を蟻の群れが取り除いたところから始まる。唐突に思われるかもしれないが現実でもワニの歯を掃除するワニチドリという鳥が存在するので、あながちあり得ないことではないのだ。さらにここから蟻が恐竜の体内に入り病変を治癒し始め、恐竜はそんな蟻に豊富な肉片を与え、その相互利益により食糧事情が豊かになり、その結果文明の曙に至るというわけなのだ。よく考えるなら飛躍し過ぎだが、なんとなく説得力があるではないか。

こうして高度な文明(コンピューターや宇宙船まで持っている!)を手にした蟻と恐竜だが、やはり基本は全く違う生物、いつしか対立し遂には大戦争へと至る事になるのだ。いや、「蟻と恐竜の戦争」って!?そんなもの成立するのかよ!?と思わせながらそれを見事に描き切るのだからお見事というしかない。そしてこの「蟻と恐竜の戦争」には、東洋文明と西洋文明の衝突、米ソに代表される東西陣営の冷戦構造が暗喩として提示され、物語は寓話性という新たな段階へとシフトする。こういう切り替えがまたしても上手い。

遂には戦略核まで登場し、陰謀や諜報や政治抗争までが描かれ、さらには「なぜ恐竜は滅んだのか?」という地球史の謎に一つの、そして最も有り得ない回答を用意する。同時に、そこまで発達した蟻・恐竜の科学文明がなぜ現在発見されないのか?という理由の付け方までも上手い。なにからなにまで破格の、そして文字通りの「センス・オブ・ワンダー」に満ち溢れた、同時に子供でも楽しめそうな敷居の低さを持つ、「愉しさの詰まったSF」がここにある。そしてしかも、やはり馬鹿馬鹿しい物語なのだ。いやこれには感服させられた。
白亜紀往事Amazon書評・レビュー:白亜紀往事より
4152102780
No.1:
(5pt)

劉 慈欣らしからぬ?ファンタジーSF

劉 慈欣らしからぬファンタジーSF。
こういうのも書けるんですね。
※短編集「老神介護」に短編版があるようですが、自分は未読です。

中編の佳作といったところで、ライトな読書感で一気に読めます。

ピノキオのくじら風でもあり、竜の卵のチーラ風でもある、恐竜と蟻による質量10億倍(スケール1,000x1,000x1,000倍)の文明交流/衝突ストーリー?と言っていいのかな。

著しいスケールの差による世界認識の違いが描かれるものの、同じ星の同じ生態系を共有する者同士であるために異星体同士のそれと比べていささかマイルドでディスコミュニケーション度が控えめなところや、白亜紀文明の有するテクノロジーの形態や発展過程がなぜか新生代第四紀人類文明とソックリなところ、等々が、そこはかとなく漂う「寓話感」や「おとぎ話」っぽさにつながっているように感じます。

始皇帝コンピュータにそっくりな蟻ディスプレイという、お約束?の身体を張った肉体コンピューティングに三体ファンもにっこりです。
白亜紀往事Amazon書評・レビュー:白亜紀往事より
4152102780

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!