ひとり日和

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ひとり日和の評価:

3.38/5点 レビュー 78件。 C ランク

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平均点3.38pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全156件 41〜60 3/8ページ
No.116
(4pt)

未来の記憶か、記憶の未来か

半世紀の年齢差がある二十歳の女の子、知寿と七十一歳のおばあさん、吟子さんの同居生活が描かれる。
吟子さんの家には猫がいる。猫の写真もずらりと並んでいる。
その猫たちはすべてチェロキーという名前だ。どうやら過去に飼っていた猫たちの「遺影」らしい。
吟子さんは独り身だが、ホースケさんというおじいちゃんのボーイフレンドがいる。
笹塚駅の売店の売り子を始めた知寿は、藤田君という男の子と付き合うようになる。
知寿には「盗癖」がある。
といってもお金や高価な品物を盗むわけではなく、彼氏とか吟子さんとか、身近な人間からどうでもいいような小物(たとえばホースケさんの仁丹とか、中にはモト彼からこっそり切り取った髪の毛もある)を盗んでは、カラの靴箱につめこんでいるのだ。
「靴箱の小物たちは・・・苦かったり、甘かったりする記憶を、自分ひとりで楽しむ手伝いをするだけだった。それでもわたしは箱を捨てることができない。」
最後に吟子さんの家を出るとき、知寿はコレクションした盗品の全てをチェロキーたちの額縁の裏に置いていく。

こうして見えてくるのだ。
知寿と吟子さんとのパラレルな関係が。
吟子さんは知寿の未来の姿なのだ。
いや、語り手の知寿は、実は吟子さんの記憶の中の吟子さん自身なのではないか。
知寿は未来から照射されて浮かび上がる吟子さんのイメージではないか。
チェロキーと同様、知寿は吟子さんの記憶の中に並べられる一枚の写真なのだ。

すべてが淡々としている。
知寿は職場ではそつなく人間関係を築けるのに、一歩進んだ関係となると結べない。
母親さえ、いや母親だからこそか、自分からは遠い。単に母親が中国に住んでいるからだけが理由ではないだろう。
藤田君との関係もあっさりと終わってしまう。
すべては半世紀前の記憶のように薄い。

細い道をひとつ挟んで駅のホームが見える吟子さんの家。
そこに暮らして、ホーム上で手を振る人を見送りながら、知寿の人生も過ぎていった。

描写も淡々としているのに、何かしら不思議に深い小説だなあ。
こうしてレビューを書いていたら(読後感を反芻していたら)、「感性豊かな若い女性作家が細やかに描く若い女性の日常」というクリシェがぴったりの、つまり、いかにも底の浅い芥川賞作品の典型だと思って☆☆評価だったのが、☆☆☆☆にまで増えてしまった。
ひとり日和 Amazon書評・レビュー: ひとり日和より
4309018084
No.115
(4pt)

未来の記憶か、記憶の未来か

半世紀の年齢差がある二十歳の女の子、知寿と七十一歳のおばあさん、吟子さんの同居生活が描かれる。
吟子さんの家には猫がいる。猫の写真もずらりと並んでいる。
その猫たちはすべてチェロキーという名前だ。どうやら過去に飼っていた猫たちの「遺影」らしい。
吟子さんは独り身だが、ホースケさんというおじいちゃんのボーイフレンドがいる。
笹塚駅の売店の売り子を始めた知寿は、藤田君という男の子と付き合うようになる。
知寿には「盗癖」がある。
といってもお金や高価な品物を盗むわけではなく、彼氏とか吟子さんとか、身近な人間からどうでもいいような小物(たとえばホースケさんの仁丹とか、中にはモト彼からこっそり切り取った髪の毛もある)を盗んでは、カラの靴箱につめこんでいるのだ。
「靴箱の小物たちは・・・苦かったり、甘かったりする記憶を、自分ひとりで楽しむ手伝いをするだけだった。それでもわたしは箱を捨てることができない。」
最後に吟子さんの家を出るとき、知寿はコレクションした盗品の全てをチェロキーたちの額縁の裏に置いていく。

こうして見えてくるのだ。
知寿と吟子さんとのパラレルな関係が。
吟子さんは知寿の未来の姿なのだ。
いや、語り手の知寿は、実は吟子さんの記憶の中の吟子さん自身なのではないか。
知寿は未来から照射されて浮かび上がる吟子さんのイメージではないか。
チェロキーと同様、知寿は吟子さんの記憶の中に並べられる一枚の写真なのだ。

すべてが淡々としている。
知寿は職場ではそつなく人間関係を築けるのに、一歩進んだ関係となると結べない。
母親さえ、いや母親だからこそか、自分からは遠い。単に母親が中国に住んでいるからだけが理由ではないだろう。
藤田君との関係もあっさりと終わってしまう。
すべては半世紀前の記憶のように薄い。

細い道をひとつ挟んで駅のホームが見える吟子さんの家。
そこに暮らして、ホーム上で手を振る人を見送りながら、知寿の人生も過ぎていった。

描写も淡々としているのに、何かしら不思議に深い小説だなあ。
こうしてレビューを書いていたら(読後感を反芻していたら)、「感性豊かな若い女性作家が細やかに描く若い女性の日常」というクリシェがぴったりの、つまり、いかにも底の浅い芥川賞作品の典型だと思って☆☆評価だったのが、☆☆☆☆にまで増えてしまった。
ひとり日和 (河出文庫) Amazon書評・レビュー: ひとり日和 (河出文庫)より
4309410065
No.114
(5pt)

言葉にしない優しさ

ありふれたストーリーだと思う。すこし偏屈ですこし問題を抱えた主人公が大人になっていくはなし。
居候先のおばあさんとの交流がさりげなく絡む。とてもありふれているし、つまらないといえば言えなくもない。
でも、なんだか不思議と魅力的だった。居候先のばあさんは、がばいばあさんのような名言や金言は一切云わない。
ただそこに居るというだけ、そしてごくさりげなく心配して、たまに言葉を交わす。普通のやりとりがこんなに魅力的な小説は結構珍しい。

いい言葉があふれている世の中にあっては、こういう言葉にならない優しさみたいなのが、実は一番心にしみるのではないかと思える小説だった。心の動きを丹念に描いた秀作だと思う。
ひとり日和 Amazon書評・レビュー: ひとり日和より
4309018084
No.113
(5pt)

言葉にしない優しさ

ありふれたストーリーだと思う。すこし偏屈ですこし問題を抱えた主人公が大人になっていくはなし。
居候先のおばあさんとの交流がさりげなく絡む。とてもありふれているし、つまらないといえば言えなくもない。
でも、なんだか不思議と魅力的だった。居候先のばあさんは、がばいばあさんのような名言や金言は一切云わない。
ただそこに居るというだけ、そしてごくさりげなく心配して、たまに言葉を交わす。普通のやりとりがこんなに魅力的な小説は結構珍しい。

いい言葉があふれている世の中にあっては、こういう言葉にならない優しさみたいなのが、実は一番心にしみるのではないかと思える小説だった。心の動きを丹念に描いた秀作だと思う。
ひとり日和 (河出文庫) Amazon書評・レビュー: ひとり日和 (河出文庫)より
4309410065
No.112
(3pt)

潜在する暴力性

『ひとり日和』
本作を一読するには、イメージ喚起がよくて、とても読みやすいものです。
平穏な日常を精緻な描写に仕立て上げた秀作なのかとは思うのですが、
どうもそれだけではない、何かがそこに潜み込んでいるようです。

恋愛、就職、同居するばあさん。そして主人公の盗癖を含めた或る種の性格。
小説に描かれるエピソードは、どれも淡々と突き放された(ざるを得ない)もの
で、それは私鉄沿線のムーブメントに隠喩されるように、長閑さに幾許の思
いを残しながらも、ほぼ自動的に行き過ぎていってしまう、、切ないモノです。

主人公の別れに対する、また社会に対する不安までも、そんな日常に律せられ
ながら進んでゆきます。ねえ、いなくなったら、わたしの写真も飾る?”
そうたずねる彼女の居候する部屋をぐるり取り囲む猫たちの遺影には、
たった一つ、ばあさんの思い出せる最初の猫の名前しか付けられていません。

出会いも別れも、バイトも、就職も、恋愛も何もかも、、つまりはそんな風です。

それこそが著者には不安なのでしょうか。しかし何ごともそう突き放されて
しまえば、それこそが日常、そして人生に他なりません。
どうにもこうにも、彼女の人生を彩るトピックは、それ以上に生じようがない。
そうしてまた彼女も、行き過ぎる他はない。一読の印象はそうしたものです。

しかしそうしたものに芥川賞の選考では石原、村上両氏の高評価が伺えます。
そこで些か極端な読み方をせざるを得なくなります。つまりこの作品には、
潜在的な暴力性が潜み込められているのではないか? そう読むならば、
作中にはそれを伺わせる描写が随所に見出されます。匂うのは不穏な空気。

漠とした不安。そして何もない日常の殻を打開する暴力性は、両氏の表現の
中核でもあることでしょう(選評には両氏とも触れていませんが)。それが、
二十そこそこの女性作家の感性を支える、今時の(悲)才なのかも知れません。
ひとり日和 Amazon書評・レビュー: ひとり日和より
4309018084
No.111
(3pt)

潜在する暴力性

『ひとり日和』
本作を一読するには、イメージ喚起がよくて、とても読みやすいものです。
平穏な日常を精緻な描写に仕立て上げた秀作なのかとは思うのですが、
どうもそれだけではない、何かがそこに潜み込んでいるようです。

恋愛、就職、同居するばあさん。そして主人公の盗癖を含めた或る種の性格。
小説に描かれるエピソードは、どれも淡々と突き放された(ざるを得ない)もの
で、それは私鉄沿線のムーブメントに隠喩されるように、長閑さに幾許の思
いを残しながらも、ほぼ自動的に行き過ぎていってしまう、、切ないモノです。

主人公の別れに対する、また社会に対する不安までも、そんな日常に律せられ
ながら進んでゆきます。ねえ、いなくなったら、わたしの写真も飾る?”
そうたずねる彼女の居候する部屋をぐるり取り囲む猫たちの遺影には、
たった一つ、ばあさんの思い出せる最初の猫の名前しか付けられていません。

出会いも別れも、バイトも、就職も、恋愛も何もかも、、つまりはそんな風です。

それこそが著者には不安なのでしょうか。しかし何ごともそう突き放されて
しまえば、それこそが日常、そして人生に他なりません。
どうにもこうにも、彼女の人生を彩るトピックは、それ以上に生じようがない。
そうしてまた彼女も、行き過ぎる他はない。一読の印象はそうしたものです。

しかしそうしたものに芥川賞の選考では石原、村上両氏の高評価が伺えます。
そこで些か極端な読み方をせざるを得なくなります。つまりこの作品には、
潜在的な暴力性が潜み込められているのではないか? そう読むならば、
作中にはそれを伺わせる描写が随所に見出されます。匂うのは不穏な空気。

漠とした不安。そして何もない日常の殻を打開する暴力性は、両氏の表現の
中核でもあることでしょう(選評には両氏とも触れていませんが)。それが、
二十そこそこの女性作家の感性を支える、今時の(悲)才なのかも知れません。
ひとり日和 (河出文庫) Amazon書評・レビュー: ひとり日和 (河出文庫)より
4309410065
No.110
(5pt)

淡々と進む美しさ

賛否両論の作品だとは思いますが、
私は著者の文章に魅かれました。

内容だけではなく、
文章の美しさ、日本語の美しさが好きです。
ひとり日和 Amazon書評・レビュー: ひとり日和より
4309018084
No.109
(5pt)

淡々と進む美しさ

賛否両論の作品だとは思いますが、
私は著者の文章に魅かれました。

内容だけではなく、
文章の美しさ、日本語の美しさが好きです。
ひとり日和 (河出文庫) Amazon書評・レビュー: ひとり日和 (河出文庫)より
4309410065
No.108
(4pt)

いろいろと議論はあろうかと思うが

母子家庭で暮らす埼玉県に住む若い女性が、母が中国に単身赴任するのを気に、東京で暮らす遠い親戚のお婆さんの家に間借りして暮らした1年間の物語・・・

確かに人間の内面を切り裂いていくような作品ではなく、権威ある芥川賞の受賞作として相応しいか議論はあるだろうね

でもやっぱり物語って読者にページを進めさせる力がもっとも必要だと思うし、そういった意味でこの作品は飽きさせないし

なんとなく読後もすがすがしい気分になって主人公の今後を応援したくなる・・・
ひとり日和 Amazon書評・レビュー: ひとり日和より
4309018084
No.107
(4pt)

いろいろと議論はあろうかと思うが

母子家庭で暮らす埼玉県に住む若い女性が、母が中国に単身赴任するのを気に、東京で暮らす遠い親戚のお婆さんの家に間借りして暮らした1年間の物語・・・

確かに人間の内面を切り裂いていくような作品ではなく、権威ある芥川賞の受賞作として相応しいか議論はあるだろうね

でもやっぱり物語って読者にページを進めさせる力がもっとも必要だと思うし、そういった意味でこの作品は飽きさせないし

なんとなく読後もすがすがしい気分になって主人公の今後を応援したくなる・・・
ひとり日和 (河出文庫) Amazon書評・レビュー: ひとり日和 (河出文庫)より
4309410065
No.106
(4pt)

ひとりの地平

淡々とした毎日にあるような襞をすくい上げて編み込まれた、どこにでもいそうな少女が日々に揺られる物語。

人が人に重なり、ズレ、離れ、そしてまた重なり、有機的に形を変えながら、人間関係という名の「ひとり」の地図は今日も開かれる。
ひとり日和 Amazon書評・レビュー: ひとり日和より
4309018084
No.105
(4pt)

ひとりの地平

淡々とした毎日にあるような襞をすくい上げて編み込まれた、どこにでもいそうな少女が日々に揺られる物語。

人が人に重なり、ズレ、離れ、そしてまた重なり、有機的に形を変えながら、人間関係という名の「ひとり」の地図は今日も開かれる。
ひとり日和 (河出文庫) Amazon書評・レビュー: ひとり日和 (河出文庫)より
4309410065
No.104
(2pt)

何もかもが理解できなかった

主人公の知寿(ちず)は、反抗期なのか、自暴自棄になのか、何に対しても棘を含んだ物言いをする。
本当に20歳なの?いや、20歳ってまだ反発する年頃だよな。
そんなことすら忘れている自分が恐ろしくなってしまう。

母親が仕事で中国に行くことになるが、知寿は日本に残り、71歳の吟子の家に居候することになる。
奇妙な始まりは、奇妙な関係のまま、不自然な均衡を保ちながらも、結局は吟子の手のひらの中で動いていた。
真相はわからないが、そう捉えることもできるのではないだろうか。

正直理解できなかったですね。
同調することもできず、感動することもなく、結末に喜びを見いだすこともできない。
そういったことも必要ないのが芥川賞なのかとすら思ってしまいました。
芥川賞作品は元々読んでいなかったのですが、これでまた受賞作を読むのを敬遠してしまうことになりそうです。
ひとり日和 Amazon書評・レビュー: ひとり日和より
4309018084
No.103
(2pt)

何もかもが理解できなかった

主人公の知寿(ちず)は、反抗期なのか、自暴自棄になのか、何に対しても棘を含んだ物言いをする。
本当に20歳なの?いや、20歳ってまだ反発する年頃だよな。
そんなことすら忘れている自分が恐ろしくなってしまう。

母親が仕事で中国に行くことになるが、知寿は日本に残り、71歳の吟子の家に居候することになる。
奇妙な始まりは、奇妙な関係のまま、不自然な均衡を保ちながらも、結局は吟子の手のひらの中で動いていた。
真相はわからないが、そう捉えることもできるのではないだろうか。

正直理解できなかったですね。
同調することもできず、感動することもなく、結末に喜びを見いだすこともできない。
そういったことも必要ないのが芥川賞なのかとすら思ってしまいました。
芥川賞作品は元々読んでいなかったのですが、これでまた受賞作を読むのを敬遠してしまうことになりそうです。
ひとり日和 (河出文庫) Amazon書評・レビュー: ひとり日和 (河出文庫)より
4309410065
No.102
(2pt)

淡々と流れていく日常風景、それだけ

確かに文章はうまいし、センスも良い。ほとんど感情表現しない若い女の一人称風景に映しだされる、元気なおばあちゃんに二匹の猫、そして優しい彼氏。特に何が起こるわけでもない、淡々と流れていく日常風景。よしもとばななや川上弘美の系譜に連なる少女漫画風の作品だが、やっぱり新しさに欠けるのではないか。デビュー作の『窓の灯』も読んだが、個人的には合わない作家だった。それでもリズムのいい文体は読んでいて心地よかったが。
ひとり日和 Amazon書評・レビュー: ひとり日和より
4309018084
No.101
(2pt)

淡々と流れていく日常風景、それだけ

確かに文章はうまいし、センスも良い。ほとんど感情表現しない若い女の一人称風景に映しだされる、元気なおばあちゃんに二匹の猫、そして優しい彼氏。特に何が起こるわけでもない、淡々と流れていく日常風景。よしもとばななや川上弘美の系譜に連なる少女漫画風の作品だが、やっぱり新しさに欠けるのではないか。デビュー作の『窓の灯』も読んだが、個人的には合わない作家だった。それでもリズムのいい文体は読んでいて心地よかったが。
ひとり日和 (河出文庫) Amazon書評・レビュー: ひとり日和 (河出文庫)より
4309410065
No.100
(3pt)

日々のくり返しがもたらす、わずかな変化

主人公の20歳の女性と、彼女が居候することになった家の71歳のおばあさんとの間で起こる、日常の些末な出来事。はっきりいってドキドキワクワクするような展開はほとんどありません。

そんな平凡な世界を扱いながら、じゃあ何が小説を支えているかというと、人物や場面の描写力なのだと思います。とくにいいと思ったのは、登場人物の性格が悪いこと(笑) 

主人公は、怠惰で手癖が悪く、おばあさんに対しても「年寄りはずるいね」などと平気で悪態をつくし、一方のおばあさんもおばあさんで、勝手に主人公の化粧水を使い込んだりして、必ずしも若者の範たるような存在としては描かれません。

ただ、何ていうか、その不完全さがかえって瑞々しい、と思いました。描き方がうまいからなのでしょうか、二人のこれといって面白みもない共同生活や言葉のやり取りが、何だかとても味わい深いのです。

ただ、代わり映えのしない二人の共同生活も、お互いの心にそれなりの変化をもたらしてはいて、物語の最後、少しだけ成長した主人公が、自らの足で一歩を踏み出す姿は、何だかとても輝いて見えます。

エキサイティングな事件などなくても、日々の単調な繰り返しを通じて人は変わっていくし、変われるのだという、そんなことを描いた作品だと思いました。
ひとり日和 Amazon書評・レビュー: ひとり日和より
4309018084
No.99
(3pt)

日々のくり返しがもたらす、わずかな変化

主人公の20歳の女性と、彼女が居候することになった家の71歳のおばあさんとの間で起こる、日常の些末な出来事。はっきりいってドキドキワクワクするような展開はほとんどありません。

そんな平凡な世界を扱いながら、じゃあ何が小説を支えているかというと、人物や場面の描写力なのだと思います。とくにいいと思ったのは、登場人物の性格が悪いこと(笑) 

主人公は、怠惰で手癖が悪く、おばあさんに対しても「年寄りはずるいね」などと平気で悪態をつくし、一方のおばあさんもおばあさんで、勝手に主人公の化粧水を使い込んだりして、必ずしも若者の範たるような存在としては描かれません。

ただ、何ていうか、その不完全さがかえって瑞々しい、と思いました。描き方がうまいからなのでしょうか、二人のこれといって面白みもない共同生活や言葉のやり取りが、何だかとても味わい深いのです。

ただ、代わり映えのしない二人の共同生活も、お互いの心にそれなりの変化をもたらしてはいて、物語の最後、少しだけ成長した主人公が、自らの足で一歩を踏み出す姿は、何だかとても輝いて見えます。

エキサイティングな事件などなくても、日々の単調な繰り返しを通じて人は変わっていくし、変われるのだという、そんなことを描いた作品だと思いました。
ひとり日和 (河出文庫) Amazon書評・レビュー: ひとり日和 (河出文庫)より
4309410065
No.98
(1pt)

捨てられるのも無理もない

半分も読まないうちに、この調子でまだ続くのかな、とくたびれてきた。愛されない女の内面が坦々と提示される。愛されないのも当然だ。内面がつまらないから。かと言って体を愛されたのでもなさそうだが、求められたのが心でないとしたら残るはそれしかない。それは代替可能なもので、別の女の登場と共に、愛であったようなものは終る。それで? と著者に聞きたくなってしまう。主人公は最後不倫の恋に赴く。つまらないからやめろ、と言ってやりたくなる。その男への恋など彼女のどうでもいいことの一つに過ぎないからだ。しかし読者たる私の声はもちろん彼女には届かない。それは彼女の声が私に届かないのと同じことだ。しかし、これほど静かに筆を進められるのも一種の才能だろうか。
ひとり日和 Amazon書評・レビュー: ひとり日和より
4309018084
No.97
(1pt)

捨てられるのも無理もない

半分も読まないうちに、この調子でまだ続くのかな、とくたびれてきた。愛されない女の内面が坦々と提示される。愛されないのも当然だ。内面がつまらないから。かと言って体を愛されたのでもなさそうだが、求められたのが心でないとしたら残るはそれしかない。それは代替可能なもので、別の女の登場と共に、愛であったようなものは終る。それで? と著者に聞きたくなってしまう。主人公は最後不倫の恋に赴く。つまらないからやめろ、と言ってやりたくなる。その男への恋など彼女のどうでもいいことの一つに過ぎないからだ。しかし読者たる私の声はもちろん彼女には届かない。それは彼女の声が私に届かないのと同じことだ。しかし、これほど静かに筆を進められるのも一種の才能だろうか。
ひとり日和 (河出文庫) Amazon書評・レビュー: ひとり日和 (河出文庫)より
4309410065