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法治の獣



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【この小説が収録されている参考書籍】
法治の獣 (ハヤカワ文庫JA JAハ 13-1)

法治の獣の評価: 4.62/5点 レビュー 13件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.62pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全12件 1~12 1/1ページ
No.12:
(4pt)

凄く読みやすい、そして面白い

オーラリメイカー作者の短編集、個人的にはオーラリメイカーよりも好き。
積んどかずとっとと読めば良かった。
絶望のファーストコンタクト、表題の社会実験物、2編連続で絶望や混乱の描いて最後に真逆の希望に満ちたファーストコンタクトと別々に読むより一気読みがお勧めです。
3編に共通テーマは主人公による観測・観察・分析かな?
法治の獣 (ハヤカワ文庫JA JAハ 13-1)Amazon書評・レビュー:法治の獣 (ハヤカワ文庫JA JAハ 13-1)より
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No.11:
(4pt)

ファーストコンタクトの想定外な影響に対し、色々考えさせられました

春暮康一「法治の獣」読了。中編SFの3作品ともに地球外生命へのコンタクトものだが、よくあるアイディアとは全く異なり圧倒された。特に、”主観者“では、人類が探査をしたきっかけが意図せず彼らを滅亡へ追いやるのは斬新で、まるで豪州の入植者が持ち込んだ動物が固有種を駆逐した事を彷彿とさせた。
法治の獣 (ハヤカワ文庫JA JAハ 13-1)Amazon書評・レビュー:法治の獣 (ハヤカワ文庫JA JAハ 13-1)より
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No.10:
(5pt)

『よく考えてお付き合いしましょう』と言う話、かな?

私には日本人(東洋人?)の作家、新しい作品、を避けているきらいがある。
近しいメンタリティによる世界の見方、母国語で創作されている故に親しみやすすぎる文体、のようなものでSFの異世界感に「水を注される」のが嫌なのかもしれない。

でも、この作品はそんな先入観を覆すのに十分すぎる程、面白かった。
正直、ファーストコンタクトを主軸に置いた「主観者」「方舟は荒野を渡る」に登場する「驚くべき生態の知生体」の正体には多くの読者が種明かしを待たずに気づいたのではないかと思う。
(多くの読者が作者と同じ文化の土壌で生き、似通った発想の根元を持っていると思う。)

 しかし、作者の思慮の深さが発揮されるのはその先で、その知生体と「どういう態度でコンタクトをとるか(または、とらないか)」、が細やかに描かれる。
個人的な話で恐縮だが、最近触れたメタバースで「姿が見えず実際にはどんな人かわからないお友達」との距離感の把握に苦労している(当たり障りのない話だけに終始して時間だけが浪費される。逆に踏み込み過ぎて関係を破壊する、等々)、そんな自分の姿が重なって非常に感じるものがあった。

表題作の「法治の獣」はコンタクトものではないが、「異星の生物がつくりだすモノ」を「人間がどう利用してどういうことになるか」という点で先の2作と通じるものがあると思う。ラストはエンタメっぽい感じもするけれど、現実の社会を振り返る思考実験?としても大変楽しく読めた。
文章は読みやすく、中編なのでさらっと読めて、考えさせられる。お勧めできる本だと思います。
法治の獣 (ハヤカワ文庫JA JAハ 13-1)Amazon書評・レビュー:法治の獣 (ハヤカワ文庫JA JAハ 13-1)より
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No.9:
(5pt)

全く予想外の生命体の描写がいい。

ヒューマノイドではない生命体の描写や、それらの生命体との交流が描かれるSFが大好きな自分にとって、この1冊は何よりも嬉しい出会いだった。全く予想外の形態の生命体。それらの代謝は。また、いかにして他者と交流するのか。本当に面白かった。

系外進出シリーズ、これからも様々な時代や場所の物語が書かれることを期待したい。
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No.8:
(5pt)

へんないきものの生態が好きな人に

まず、登場する「へんないきもの」たちが面白い。一見奇想天外ではあるが、ひとつひとつそうなった要因を説明されると納得感があって、純粋に思考実験的な部分が面白いのである。他作品を持ち出すのはマナー違反かもしれないが、オラフ・ステープルドンの「スターメイカー 」や、グレッグ・イーガンの「白熱光」、劉慈欣「三体(の三体人の生態)」とかその系統の面白さである。
そして、3編はそれぞれ、元地球人の立場から異星の生き物を観察する形で描かれる。この観察している者たちの間にも思想や政治や知的好奇心といった原動力があって、そこにも物語があって、生物に影響を与えたり、生物から影響を受けたり、というのがこの作品の特徴か。
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No.7:
(5pt)

ファーストコンタクトに関する貴重なレポート!

地球外生命について、奇想天外で、しかし熟慮された設定でストーリーが展開していきます。
その中で感銘を受けたのが、ファーストコンタクトはかくあるべきがしっかりと書かれていることです。多くのSFやその映画は、私たちよりはるかに進化した知的生命体が地球を訪れる設定ですが、こちらが訪問者となった場合は、慎重にならないと侵略者になってしまう、この作品はそういう思索のもとで書かれています。
地球外生命とのファーストコンタクトを真正面から科学的哲学的倫理学的に取り扱った稀有な作品だと思います。おすすめです!
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No.6:
(5pt)

おもしろかった。

3編だったけれどもどれも異なった切り口でおもしろかった。
作者の作品ノートや、山岸真氏の解説によると「系外進出」シリーズの中の3編。
異なる星域や時代で異性生物(群)と人類のコンタクトを扱った物語。
作者デビュー作の「オーラリメーカー」は未読だったので読みたくなった。
この巻では「主観者」と「方舟は荒野をわたる」が気に入った。
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No.5:
(5pt)

レムやイーガンから取った出汁が効いてる

すなわち、ここらが好きな人なら必ず好きになる作品です。

あと、概要だけ読んで即買いしてみたら、以前概要だけ読んで即買いした『オーラリメイカー』と同じ作者さんだった。春暮さん、もう覚えました。
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No.4:
(5pt)

世の中にはまだ新たなセンスオブワンダーを産み出す力がある

昔の自分はSFが物語る数多くのセンスオブワンダーに心を踊らせたものだったが、最近は実情報が多いせいか?歳をとって感動の幅を減らしてしまったのか?これはと思える物語との出会いが減ったように感じていたが、世の中にはまだまだ新たなセンスオブワンダーを産み出す力があるようだ。想定外の存在に対する最悪のファーストコンタクト。小野不由美の『黒祀の島』で神として祀り上げられた幻獣の名を持つ獣が、自然に獲得した規律により暮らしを営む惑星…獣の法は快不快を基準とした極端な民主主義で…。閉じられた系に発生した知性とのコンタクトは、握手しようとした手で相手を握り潰してしまう可能性が…?読み終わった後の震えるような感動、僕の感性はまだ死んでいないのかもしれない。
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No.3:
(4pt)

非常にユニークな生命体像に感動、深い哲学的思索がハードだった

●本書には非常にユニークな地球外生命体が登場します。イソギンチャクとクラゲが合体したような
「ルミナス」、自分たちで造りあげた法に従って行動しているユニコーンの様な動物「シエジー」、
直径100m厚さ20mの巨大パンケーキ型の生命「方舟」。それぞれの形態的あるいは生態的な特徴を
微に入り細を穿って描写しています。読んでいて鮮明な映像を想起させ感動的。
 それ以上に読み応えのあったのは、人類と地球外生命体とのコミュニケーションの困難さでした。
所詮、人類と地球外生命体との意思疎通など不可能ではないかと。それに加え知性とは何?あるいは
コンタクトの度合いについても考えさせられます。第3話のラストシーンで垣間見えた過去来訪した
であろう知性体の痕跡。人類の地球外生命体に対する接し方に、自分なりの心構えを自覚した姿にホ
ッとした思いです。

 深い哲学的思索が紙面を埋め、ハードすぎて読了するのが困難でした。
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4150315205
No.2:
(5pt)

ファーストコンタクトものでかなりお勧めできる

同じ世界観を元にした「主観者」「法治の獣」「方舟は荒野を渡る」という3つのSF短編集。独特な単語もあるけど自分には読みやすく面白かったです。テーマ的なものを挙げるとすると「知性とのコンタクト」みたいな言葉になりそう。
前作オーラリーメイカーでは絶対にコンタクト不能な知性(異星種)と信仰を通じて向き合った種族を題材にして、締めは新たな出会いへの希望に溢れた清々しいものでした。
なのでそんな話になるのかなと思っていたら最初の短編「主観者」で他種族とのコンタクトにおける絶望が描かれ、本のタイトルにもなっている「法治の獣」では知性なき動物が自然淘汰から知性らしき行いをする残虐さを描き、何だか暗い話が続くなあと思っていたら3つ目の「方舟は荒野を渡る」で心打たれました。
短編集だからと一つ飛ばして読むなどせず、「主観者」から順に読むのをお勧めします。そうすると気持ちのいい読後感に浸れました。
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4150315205
No.1:
(5pt)

混迷のファーストコンタクト3部作

本書はファーストコンタクトでひたすら迷走する人類を描いた3部作で構成される。極上の国産ハードSFだが、読後感は決してよろしくないので注意。

『主観者』
前作『オーラリメイカー』で人類史上最大の悪行として言及されていた事件を描いた短編。とある惑星で光るイソギンチャクの群体を発見した人類が調査を開始するが。。。という内容。各分野の専門家からなる調査隊のはずなのに、どうして「ハイヴマインド」という可能性に思い至らなかったのか、全員を呼び出して問い詰めたい。さすが人類史に残る悪行、次の「法治の獣」を読む気にならず、しばらく本書を放り出したほどの胸くそ展開。

『法治の獣』
とある惑星上に生息する角の生えたアルパカのような草食獣「シエジー」。その群れが、まるで原始的な法律に従っているかのような行動を見せていたので、人類はその軌道上にコロニーを建造し、シエジーの法律だけで人類コミュニティを運営できるかどうか実験を始めた。。。設定が斜め上過ぎて「こいつらはいったい何をしてるんだ?」と話に入り込むのに若干苦労したが、次第に引き込まれ、最後はお約束のバッドエンディング。

『箱船は荒野をわたる』
テラフォーミング候補の惑星を探していた調査隊が、極めて悪条件の惑星上で驚きの発見をする。。。これもまた著者の発想力に唸らされるぶっ飛んだ設定の短編だが、いかんせん最初の2作が胸くそ展開だったので、「今回もまたやらかしてしまうのか人類」と、最後まではらはらしながら夢中で読み終えた。ちなみにこの話の主人公は、もしや『オーラリメイカー』の探査船に搭載されていた人格の主だろうか。

以上、褒めているのかけなしているのか分からないレビューになって恐縮だが、『オーラリメイカー』に続く国産ハードSFの傑作であることは紛れもない事実。これから作品を重ねて、いずれジーリークロニクルに匹敵する一大SF叙事詩に発展することを願う。
法治の獣 (ハヤカワ文庫JA JAハ 13-1)Amazon書評・レビュー:法治の獣 (ハヤカワ文庫JA JAハ 13-1)より
4150315205

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