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彼女は水曜日に死んだ
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彼女は水曜日に死んだの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
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「彼女は水曜日に死んだ "Sweet Nothing"」(リチャード・ラング 東京創元社)を読み終えました。10篇のクライム・ノヴェル。或いはそのようなもの、何ものも通用しない依存という名の闇、L.A.とメキシコに纏わる短篇が収録されています。 ①「悪いときばかりじゃない」 L.A.。ぼくと嫁と嫁の父親。ぼくはその父親と行動を共にしますが・・・。物語はダブルでシャープに反転します。 ②「ベイビー・キラー」 ベイビー・キラー。とんだ一週間。刹那的で美しい幕切れ。 ③「ボルドーの狼」 8人の子供を殺した男、狼(ウルフ)。囚人。看守長。神父。何処に誰の安らぎがあるのか? ④「万馬券クラブ」 違法賭博で捕まり、48時間後拘置所から解放された男。エイトボールで知り合った女とその息子を連れて競馬場に向かうおれ。精神科医もカウンセラーも"Gamblers Anonymous"も効力を発揮しない進行性の病。たとえギャンブルに勝利し続けたとしても、心に神が宿ることはない。 ⑤「夕闇が迫る頃」 L.A.。議員スタッフとして働くおれの日常。男は嫁にばれない金を持つべきか?(笑) ⑥「本能的溺水反応」 メアリーローズは水曜日に死んだ。ドラッグ。クリント・イーストウッド。(因みに、酒、ドラッグ、ギャンブル、性に埋没し続ける依存症者たちは、クリント・イーストウッドの映画が好きですね。理由は理解できるような気がします。)エコーパーク。普通に生きるためには。 ⑦「聖書外典」 宝石店の警備員。ラザロと金持ち。 ⑧「すべてのあとに」 終末なのか?この短編だけ異色。希望は身の丈の中にしか存在しない。 ⑨「甘いささやき」 おれと体重200キロ越えの同居人、トロイ。目的といえば、ただ生き延びること。 ⑩「灰になるまで」 国境沿いの山火事。国境を越えて来るアルベルトとマリアを迎えに少年ミゲルを連れて行く父親。国境近くの低木地帯に住むブリュワー。彼は避難勧告を受けながらも自分の土地を離れようとはしません。その二人と一人のこんなものが読みたかったと思えるような物語。ブリュワーの過去に寄せる思い。これは、男たちの「詩」なのだと思います。 どんな助言も通用しない、独りよがりのどうしようもない男たちの物語が続きます。一方で生き延びるためには何が必要なのかは身体のどこかで理解はしているのかもしれません。再読したいのは「本能的溺水反応」。もしこの世に希望をもちたいと思っているのなら、「灰になるまで」をお読みください。 | ||||
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