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小銭をかぞえる



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【この小説が収録されている参考書籍】
小銭をかぞえる
小銭をかぞえる (文春文庫)

小銭をかぞえるの評価: 4.20/5点 レビュー 59件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.20pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全47件 21~40 2/3ページ
No.27:
(4pt)

kenta's love story

西村賢太の本、これで5冊目。
ここでは30代の「私」が「念願した」女性との同棲生活を描いた2編を所収。
狂うほど念願したくせに、いざ一緒に住みはじめると、言葉で女性を苛める所業。
なまじ文学に親しんだために口が立つもので、その罵詈雑言ときたら、辛辣とかいうレベルではなく、完全に云ってはいけない一線を超えている。 
自分だけ高級寿司の出前を食べておいて、腹いせに(可愛いものじゃないか)宅配ピザをとって食べる女に対して投げる言葉は、ここに書くことがはばかられるひどさ。

西村賢太を読む男は、自分のことをどんなに最低と思っていても「これほどほどひどくはない」と自分を慰める効果があるんじゃないだろうか。
女性の共感はよほど奇特な女性でないと、得られそうにない。

しかし、西村賢太はどの本でも結局「愛が欲しい」と叫んでいるようなのだ。
小銭をかぞえるAmazon書評・レビュー:小銭をかぞえるより
4163274308
No.26:
(5pt)

サディスト文学の傑作 純度の高いユーモアのセンス

本著には「焼却炉行き赤ん坊」と「小銭を数える」の二編が収録されている。
どちらも同棲相手の女性に対するDV,藤澤清造という大正期の私小説作家に対する強い想いと該作家の全集刊行の為の金策を軸に
高い水準の作品となっている。

今回は個人的に西村賢太氏の作品の中で最も気に入ってる「焼却炉行き赤ん坊」について紹介したい。

話自体は非常に単純なもので、西村賢太氏の読者であるならばおおまか予想のつく内容であろう。

ペット禁止のマンションで犬を飼いたがる同棲相手の「秋恵」がそれを主人公に訝しがられ、代わりに犬のぬいぐるみを溺愛するようになる。
最初こそ秋恵と共にぬいぐるみを可愛がるような真似もする主人公だが、ひょんなことから喧嘩がはじまり・・・・・・
といつも通りの西村賢太節なのだが、今回はある特筆すべき点があるのだ。

それは本作における西村賢太氏のユーモアのセンスが他の氏の作品と比べてもずば抜けて純度の高いものとなっているのだ。

とにかく私は本作を読んでいるとき、終始にやけてしまった。
大の大人二人がぬいぐるみを挟んで和気あいあいと「おままごと」をするシーンは一見ほがらかではあるが、これはあくまでもサディスト文学作品なのだ。
この後におこる惨事を想像すると、ページをめくるたびに描写される秋恵の無邪気さとぬいぐるみに対する溺愛ぶりには舌なめずりをしてしまう。
そしてまた、冷やかな目で見ながらその「おままごと」に表面上はつきあう主人公の冷徹さとのギャップがたまらないのだ。

当然西村賢太作品につきもののDV描写はあるが、今回はぬいぐるみが絡んでいることで残虐な行為と、可愛らしい犬のぬいぐるみの外見との間でギャップが生まれ、それがまた王道ながらにして飽き足りなさを感じさせない非常にユーモアラスな暴力描写へと進化しているのだ。

主人公が徹底した冷徹ぶりを発揮するも、その対象となるのは可愛いらしくて丸っこい犬のぬいぐるみなのだ。

秋恵に浴びせる暴言は言ってはいけないラインを超えるし、彼女が溺愛するぬいぐるみには残虐の限りを尽くす。
しかし本作は暗く陰鬱としただけの作品ではないのだ。
西村賢太氏の持つ自己を客観視し、秀逸かつ個性的な筆力で表現するユーモアセンスが本作でいかんなく発揮されている。

ぜひ一読を勧める。
小銭をかぞえるAmazon書評・レビュー:小銭をかぞえるより
4163274308
No.25:
(5pt)

苦役列車より私小説としておもしろい

二年ほど前に著者がテレビで持て囃されていたのでずっと読みたいなと思って初めに読んだのが苦役列車
これが私小説ってジャンルなのかと思ってたのですが私はこちらのほうが好きです
私小説とは過去に体験してきたことを客観的に捉えなおし書くものだと思っていましたが
悪い意味ではなくこの作品は自分の中に第三者を置いてもなお自己の認識の範疇抜け出すことができないといういい例だと思います
著者の女性に対する考え方が偏屈なのがよくわかる
一般的に考えれば著者が責められる筈なのですが当時もこの作品を書いた時、つまり客観的に過去を再構築した今でも著者は自分を正当化しているのが随所に見られます
著者の作品の多くは彼の醜い一面ばかり出ているのですが、彼の人間性というものをよく感じられた作品でした
小銭をかぞえるAmazon書評・レビュー:小銭をかぞえるより
4163274308
No.24:
(4pt)

小銭見た

カバーに少し、しみがついてる程度て、中身は
かなり、綺麗です。
充分、読む気になりました。感謝。
小銭をかぞえるAmazon書評・レビュー:小銭をかぞえるより
4163274308
No.23:
(5pt)

混沌な社会のごとく多様性を愉しむ

非常に面白く、興味深く、私はこの主人公を理解できない。だからこそ、画一的ではない世の中の人間性を再認識し、頁をつづるごとに、この混沌とした社会を捉えるがごとく腑に落ちる物語だ。凡庸な、おりこうな小説はもうつまらない。ということを私に突きつけた小説。もう我々はお利巧なアミューズメントは楽しめないのだ。
小銭をかぞえるAmazon書評・レビュー:小銭をかぞえるより
4163274308
No.22:
(4pt)

同居女との、

直接対決がメインとなった二編。同棲経験のない人間にもあまり鬼畜でない人間にもハードルは高そう。でも笑えるのは保障!
小銭をかぞえるAmazon書評・レビュー:小銭をかぞえるより
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No.21:
(4pt)

またしても一気読み

西村賢太氏の著作は4冊目だけど、またしても一気読みしてしまった。僕はつくづく、この最低最悪の屑野郎に興味があるのだと思う。

二篇の短編のうち一編は、同棲中の、子供が出来にくい体質の彼女が、そうした自分の心の穴を埋める代用として我が子の様に大切にしているシベリアンハスキーの縫いぐるみを、西村氏が無残に引きちぎって捨ててしまう話。二編目は、彼女に借銭を無理強いし実家の父にまで頭を下げさせて金策の目処が着くや、手のひらを返した様に持前のエゴ全開で逆上し、オチは彼女に非常に惨めな思いをさせるという救われない話。

つくづく最悪な屑。
容易に入る逆上スイッチが入った時の彼女への暴言も、ここ迄普通言わんだろうという範囲を安々と超えて、相手が嗚咽しか出なくなる迄徹底して吐き続ける。
それも全ての原因は西村氏の怠惰と楽観からなので、殆ど彼女に非は無い。しかし西村氏は開き直り屁理屈の積み重ねで暴挙を重ねる。もはや頭に有るのは自己都合だけで、しかも狡猾で反吐が出る屑ぶりであり、僅かなお金を都合してくれた旧友にも最後はあらゆる暴言を吐いて、しかし金は返さずに去る始末。
何冊読んでも安定したクズぶりなんだけれど、もはやそれがクセになり、その世界に没頭してみたくなる。下には下がいると言う変な優越感や安心感を満たされているのかはわからないけど、やはり面白い。でも屑野郎なので、★は4つ。
小銭をかぞえるAmazon書評・レビュー:小銭をかぞえるより
4163274308
No.20:
(5pt)

すいません。めちゃくちゃ面白いです・・・

くそー西村賢太おもしろいなぁ・・・
いま西村賢太より面白い作家っているのかな。
エンターテイメントとして一流のくせに、人間の哀しさや馬鹿馬鹿しさが沁み込んできやがる。
ダメな作者に強い共感を覚えると同時に、自分は西村氏に比べれば遥かに恵まれた境遇であって、第一あそこまで振り切れないという隔絶も確と感じる。
しかもTVで西村賢太のトルネコみたいな姿を見ると面白さが3倍増しになるオマケつき。
現実に金をせびられて暴言吐かれたら「二度と関わりたくない!」と思うに違いない。
そうわかっていても他人事として読むとどうしても面白いのだから、白旗あげる以外にない。
クッソーッ
小銭をかぞえるAmazon書評・レビュー:小銭をかぞえるより
4163274308
No.19:
(5pt)

貫太、、、おまえってやつは。

貫太、ひどい。秋恵、せつない。そうくるか、小銭をかぞえるって。痛ましい。。。
小銭をかぞえるAmazon書評・レビュー:小銭をかぞえるより
4163274308
No.18:
(4pt)

どうしようもなくて、笑えます。

メディアに登場しても赤裸々な発言の多いこのお方…。
初めて読みました。
『小銭をかぞえる』の男のこの完璧な開き直りと言い訳。
人としてどうなんだと思うけど…でも、そこがおもしろい。
描写や言葉選びがこのダメ男を少しフォローしているような。
人間らしい?憎めない?愛おしい?でも、そんな愛のある言葉では締めくくれない(笑)
やっぱり不快さは感じる…けれどもおもしろい!!
小銭をかぞえるAmazon書評・レビュー:小銭をかぞえるより
4163274308
No.17:
(5pt)

太宰の再臨って周りは大迷惑、猛人注意 本作は哀愁の秋江モノ

主人公:北町寛多は、著者:西村賢太の単純変換だそうです。ということで、著者の私事をデフォルメ脚色したまさしく私小説。本書は、著者一連の寛多シリーズ?の一遍で、寛多40前後?。本作は哀愁の秋江もの(笑。赤ちゃん欲しいのってざけんなDV編と、俺の趣味に金だしてくださいませんかDV編(笑。どちらも主人公寛多がうれしい喜んだ頭にきたむかついたしょぼんDVってあくまで自己中心な心情がネチネチネチネチ昭和初期風文体で描かれる。相変わらずストーリーではなく、著者独自の世界観を堪能するというか、これマジっすか?サイテーっスッゲーなどといいつつ、夢を求めましょうなどと言う文部省推薦の薄っぺらさでない、生きてる人間の生臭ささに圧倒される。驚愕と苦笑という複雑な感情を惹起させる作品なので、この本だけでは、はあ?でよくわからないかもしれない。他の著作も併せて読む必要あり。
 一連の作品のどの辺がフィクションかは著者のみぞ知るですが、著者曰く相当ノンとのこと。現実著者は性犯罪者の親、自身も暴力沙汰で前科持ち、学歴中卒、容貌醜悪、風呂も入らず衛生観念なし、女性は単に性のはけ口で、風俗通いは日常の重要関心事、肝心の人間性もネガティブかつ、自意識過剰という、社会的にも人間的にも破綻者。最近TVでよく見るが、暴言の数々は伝説的ともいえ、芥川賞授賞式における風俗発言を始まりとし、中でも「笑っていいとも」で、お昼時間にもかかわらず、風俗通いや女性蔑視の言行は、放送事故スレスレ、現場の女性客、日本中の良識ある人々を激怒させ、良識のない人々、下品な中高年男性を驚喜させた。著者によると、やっと得た異性のパートナーに些細なことでDVのあげく逃げられた。酒ぐせも悪く、暴言暴行も茶飯事だが、たいていは自分で起こしたトラブルの返り討ちにあうという情けない結末。また、関係した人々に小金を土下座で借金し、それを風俗で使い踏み倒す。風俗通いで、たまに相手に惚れたりすると、金をだまし取られたりする。著者は、まさしく社会的破綻者で、そのうちカッとして殺人などおこして、殺意はなかったんですなどと主張しつつ刑務所に入る確率120%であろう人物だななどと周りから思われ、常識ある人々から関わらんとこなどと見られていたのだろうと想像する。
 しかし、そうはならず、この破綻者の著作が数々の賞をとり、現実受けて判を重ねているのは、自業自得のくだらぬトラブルと同列に、幸運の出会いや運も相当にあるという奇跡。さらにの注目は、人を楽しませるのが好きであったという、かの太宰治と同質のサービス精神が根底にある点。自身のだめ人間ぶりが、実は他人を喜ばせ楽しませるネタとしての価値に気づき、それを提供したいというサービス精神。そこにそれをうまく提供できる文才に恵まれるという希有なコラボ。そこにそんなものが世に出るなどけしからんと、常識ある人々が押さえつけたが、それがまさしくたまったマグマの大爆発ということになった奇跡。我々は、新たなる何者かの登場を見ているのかもしれません。ただ著者の成功を複雑な思いで見ているであろう、関わってひどい目にあった被害者?の方々、特に逃げた同棲相手の心情を思うと、今後、猛獣注意の看板、檻に入れての厳重管理は必要(笑。
 著者にぞっこんで別作品で解説もしている石原慎太郎は、今後の活躍を期待しつつ、金も名誉も得た彼を逆に心配もしている。それを知ってか知らずか、著者は、私小説しか書けないので、今後は題だけ変えたようなモノを書くなどと、ファンをも愚弄するかの、さらなる暴言を重ねている(笑。
小銭をかぞえるAmazon書評・レビュー:小銭をかぞえるより
4163274308
No.16:
(5pt)

おもしろかった。

一気に読んで面白かったので、続編と思われる西村氏の作品を数冊読んだが、この本が一番おもしろかった。
私小説というが、女性と男性の描写力よかった。
小銭をかぞえるAmazon書評・レビュー:小銭をかぞえるより
4163274308
No.15:
(4pt)

嫌悪感の中の覗き見

たった今、読み終わりました。 この作品、女性には受けが悪いと思います。作中の女性が不憫すぎる為に。 ただ、文章力と言葉遣い、言い回しが大変よく出来ており、明治、昭和初期の優れた作品を彷彿させる感があるので、ついつい読み進めてしまう。きっと現代の言葉そのままだったら、ただのDVブログだったと思う。この作品、影響を受けやすい年頃の男の子には読んで欲しくない。それくらい惹き付ける力がある。
小銭をかぞえるAmazon書評・レビュー:小銭をかぞえるより
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No.14:
(5pt)

少しやさしくなった?

西村賢太「小銭をかぞえる」を読了。「焼却炉行き赤ん坊」と表題作の2短編の作品集。本作では新たな彼女との生活を赤裸々に表現している。これまでのテーストは失われていないが、少しやさしくなった主人公がいる。それは初期の尖った作者ではなく、円熟を迎えた作者だと思いたい。しかし進む方向性はまったく変わっていない。彼の作品を読むたびに、自己嫌悪に襲われる。彼の作品を買うのも躊躇われる。でも手にとって、活字を追い、そして自己嫌悪に陥るのである。その自己嫌悪は生きている上で必要なものなのかもしれない。四十を過ぎて、いい大人になっても、まだまだ心の奥底にある苦いものをちゃんと見据える心根が必要なのである。
小銭をかぞえるAmazon書評・レビュー:小銭をかぞえるより
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No.13:
(4pt)

荒ぶる甲斐性無しの爽快私小説

表題作と「焼却炉行き赤ん坊」の2編からなる作品集。
共に、同居する女との些細なことから勃発する口論が、やがては女への暴力へとエスカレートする様を中心に描いた私小説。その口論のテンポのよさと、それが徐々にクライマックスへと上り詰めて行く緊張感とが、読み手にぞくぞくとした快感を与え、尚且つ主人公の男の悲しくも、救いようもないほど破滅的な性(さが)が、何のてらいも無く描かれる様が圧倒的にすがしい爽快感を与えてくれる。この主人公=作者の率直で、直情的な生き方は、そうしたくてもなれずに、借りてきた猫のように大人しく、嘘嘘とした日常を送らされている飼い殺しの草食系男子に、漲る勇気を与えてくれる。
ここには、明らかに野生動物のように荒々しい一方、自らの甲斐性の無さから恥も外聞も無く周囲の人間に金を無心する情けないダメ男の姿が、生き生きと描かれている。
ガタガタ抜かす女の頬に、ビンタの一つもかましてみんかい、と背中を押されるような小説だ(H23.5.20)。
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No.12:
(5pt)

次作が楽しみになる

収録の「焼却炉行き赤ん坊」、「小銭をかぞえる」共に佳作。というか、めちゃくちゃ面白い。この面白さは、文庫本で解説を寄せているマーチダさんの言葉に頼るのがよかろうかと思われる。

「貧しい男女の悲惨で不幸な話を描き、読者に、疼痛のような、小便を我慢しているような悲しみを感じさせながら、同時にひどく愉快な気持ちにもさせる、という奇蹟――」「激烈におもしろい。」(文庫版帯より)

今、これだけおもろい小説を書く人はちょっと他にいないのではないか。次の作品を読むのが本当に楽しみ。
小銭をかぞえるAmazon書評・レビュー:小銭をかぞえるより
4163274308
No.11:
(5pt)

純度が高い。

氏の作品の中では毒づき方、計算されたギャグセンスの純度が比較的高い作品と思いました。

タイトルも洒落がきいているし。内容そのものはどの作品もそう変わらないわけですが、
この短さの中に凝縮されている氏の「毒」白。

こんな内容なのに何故か読後感は爽やか。本当に不思議。
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No.10:
(4pt)

極私小説家、西村賢太

極私小説家、西村賢太。骨の髄まで私小説家である彼の作品の登場人物は、同棲していた年の離れた年下の女性、古本屋の店主、昔荷役をしていたころに知り合った友人、くらいしかいない。

主人公(である西村氏)はひねくれていて、すぐにいじけて、同棲している女性にDVもどきの暴言をしばしば吐く。時には暴力もふるう。友達や知人とは一人相撲のいざこざばかり起こす。

それでも、そんな彼の作品に引きつけられるのは、彼のひねくれ様、いじけ様が、子供の頃、喧嘩をして、友達に不条理なことを言ったり(言われたり)したり(されたり)した後、家に帰ってお母さんにかきつくときの甘酸っぱい感触をなぜか思い出させるからだ。西村氏は、大人になりきっていない未熟すぎる自分を、少し戦前の文士がかった完成された文章で再現する。妙な筆力がある作家だ。
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4163274308
No.9:
(5pt)

ヒーロー

動物にはできない、人間ならではの無限の矛盾と欲望。
文体はあくまでもかつての私小説家のリズムに乗りながらも、現代的な風景が表現されていく。
ジコヲサゲズミ、アマヤカシ、キャッカンシ、ソシテアラワス。
誰でも乗り越えられるのだが、乗り越えられない自己壁。
欲求を限りなく体現する主人公は、ある意味ヒーローとも見える。

ありのままの感情と行動、そして無様な反省と反抗。
芥川賞のレッテルを貼られてしまった作者には、さらなる高度なヒーロー像を体現してもらいたい。
小銭をかぞえるAmazon書評・レビュー:小銭をかぞえるより
4163274308
No.8:
(5pt)

焼却炉行き赤ん坊

この筆者の作品の書籍化されているものはすべて読んでみたが、エンターテイメント作品としての完成度は、この書籍に収録されているこの作品が一番ではないであろうか? 作者は終始一貫、徹頭徹尾、読者を笑わせることを意図し大成功している。クライマックスへいたるラストのスピード感が秀逸で、字を追う目が止まらなかった。そして最後の最後に、主人公が「私の女」に対してとる、狂気ともいえる常軌を逸した行動に腹をかかえて笑った。表題作もラストのスピード感が秀逸で、同じく主人公の奇行に爆笑である。いずれも「私の女」との臨場感あふれるやりとりが楽しかった。
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4163274308

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