苦役列車

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評判

苦役列車の評価:

3.84/5点 レビュー 276件。 C ランク

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平均点3.84pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全554件 521〜540 27/28ページ
No.34
(3pt)

この作品だけでは、心に残るものは無かった

芥川賞発表の報で、西村氏を初めて知った。
記者会見やその後のインタビューで垣間見える非常に奥深いキャラクターに興味がわいたので購入。

彼の書いた作品はすべて私小説とのこと。
本作で描かれている事も大部分が事実に基づいているだろうから、
様々な屈辱的な体験や、辛い思いをされたのだろうと察する。

ただ、両親がいて、大学や専門学校に通っている「普通の」学生に対し、
異常な嫉妬心を抱いたり、罵倒するシーンがあったが、これには些か嫌悪感を覚えた。
昔、長淵剛が主人公のドラマなどで特徴的だったが、人気大学や大企業に所属しているだけで、
そこの人間達はエリート意識に凝り固まっているという固定観念を前提にしている作品があるが、
こういったものは表現すべきでないと思う。
そんなことは前時代的でリアリティが欠如しているし、ただの言い掛かりに近いからだ。

こういった主人公やモチーフへの共感の欠如が災いしたのか、
正直、この作品だけでは心に残るものは全く無かった。

ただ、西村氏の作品はすべて私小説ということだから、
他作品を読んで、主人公・貫太を別角度で見てみると味わいも出てくるかもしれない。
文体は非常に特徴的で好みの作家なので、色々と試してみようと思う。
苦役列車 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 苦役列車 (新潮文庫)より
4101312842
No.33
(3pt)

この作品だけでは、心に残るものは無かった

芥川賞発表の報で、西村氏を初めて知った。
記者会見やその後のインタビューで垣間見える非常に奥深いキャラクターに興味がわいたので購入。

彼の書いた作品はすべて私小説とのこと。
本作で描かれている事も大部分が事実に基づいているだろうから、
様々な屈辱的な体験や、辛い思いをされたのだろうと察する。

ただ、両親がいて、大学や専門学校に通っている「普通の」学生に対し、
異常な嫉妬心を抱いたり、罵倒するシーンがあったが、これには些か嫌悪感を覚えた。
昔、長淵剛が主人公のドラマなどで特徴的だったが、人気大学や大企業に所属しているだけで、
そこの人間達はエリート意識に凝り固まっているという固定観念を前提にしている作品があるが、
こういったものは表現すべきでないと思う。
そんなことは前時代的でリアリティが欠如しているし、ただの言い掛かりに近いからだ。

こういった主人公やモチーフへの共感の欠如が災いしたのか、
正直、この作品だけでは心に残るものは全く無かった。

ただ、西村氏の作品はすべて私小説ということだから、
他作品を読んで、主人公・貫太を別角度で見てみると味わいも出てくるかもしれない。
文体は非常に特徴的で好みの作家なので、色々と試してみようと思う。
苦役列車 Amazon書評・レビュー: 苦役列車より
4103032324
No.32
(4pt)

確かに私小説

こういう作品が文学なのかは僕は分からないが、
一気に押し込まれたような読後感がある。
とても印象的な作品だ。
私小説ってこういう小説なんだ、
ということが良く分かった。
私小説だから、
自分の境遇と照らし合わせるとか、
緻密な構成に感嘆するということは、無い。
作中人物のケガれネジれた根性を目の当たりにし、
ぐっと息を呑む。
そういう「娯楽作品」。
ゾンビ映画と同じかなと思う。
苦役列車 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 苦役列車 (新潮文庫)より
4101312842
No.31
(4pt)

確かに私小説

こういう作品が文学なのかは僕は分からないが、
一気に押し込まれたような読後感がある。
とても印象的な作品だ。
私小説ってこういう小説なんだ、
ということが良く分かった。
私小説だから、
自分の境遇と照らし合わせるとか、
緻密な構成に感嘆するということは、無い。
作中人物のケガれネジれた根性を目の当たりにし、
ぐっと息を呑む。
そういう「娯楽作品」。
ゾンビ映画と同じかなと思う。
苦役列車 Amazon書評・レビュー: 苦役列車より
4103032324
No.30
(4pt)

ちょっと黒い

最近忘れかけていた、人間のどす黒い部分を感じた。登場人物に共感も反感も感じないが、自分はまだ大丈夫、まだやれる、という気がしてきた。
苦役列車 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 苦役列車 (新潮文庫)より
4101312842
No.29
(4pt)

これが受賞作であるのならば、もうとっくに・・・。

芥川賞受賞を心よりお祝い申し上げます。

とは言え、この作者が書いた、過去の候補作やその他の作品と比べて、今作がとりたてて優れた作品とは思えない。
むしろ、やや冗長で、プロットも内的緊張に欠けるのではないかというのが、私的な印象だ。
今作より精緻に構成された作品はいくつも公刊されていると、私には感じられた。

併せて収められた作品は、作家生活に入ってからの文学賞落選を巡るエピソード。
これを読んで、驚愕させられたことがある。作家生活を送る、今の「私」或いは「貫太」なる人物に、十代後半と比較して、人間的成長が全く感じられないのだ。
つまり、年齢を重ね、過去の経験を対象化し、作品に結晶化するという体験を積み上げても、人間的には成長できないということなのか。
或いは、作品のネタを拾うために、敢えて自ら成長を止め、だめな人間として自己劇化しているということか。
作品に追い越されたあとの人生はどうなるのか。

時間軸を遡ったり下ったりしながら、パズルのピースを埋めるが如く書き連ねられていく西村作品に、私は、私小説と実生活の連関に関わるある問題が存在するように思えた。
苦役列車 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 苦役列車 (新潮文庫)より
4101312842
No.28
(4pt)

ちょっと黒い

最近忘れかけていた、人間のどす黒い部分を感じた。登場人物に共感も反感も感じないが、自分はまだ大丈夫、まだやれる、という気がしてきた。
苦役列車 Amazon書評・レビュー: 苦役列車より
4103032324
No.27
(4pt)

これが受賞作であるのならば、もうとっくに・・・。

芥川賞受賞を心よりお祝い申し上げます。

とは言え、この作者が書いた、過去の候補作やその他の作品と比べて、今作がとりたてて優れた作品とは思えない。
むしろ、やや冗長で、プロットも内的緊張に欠けるのではないかというのが、私的な印象だ。
今作より精緻に構成された作品はいくつも公刊されていると、私には感じられた。

併せて収められた作品は、作家生活に入ってからの文学賞落選を巡るエピソード。
これを読んで、驚愕させられたことがある。作家生活を送る、今の「私」或いは「貫太」なる人物に、十代後半と比較して、人間的成長が全く感じられないのだ。
つまり、年齢を重ね、過去の経験を対象化し、作品に結晶化するという体験を積み上げても、人間的には成長できないということなのか。
或いは、作品のネタを拾うために、敢えて自ら成長を止め、だめな人間として自己劇化しているということか。
作品に追い越されたあとの人生はどうなるのか。

時間軸を遡ったり下ったりしながら、パズルのピースを埋めるが如く書き連ねられていく西村作品に、私は、私小説と実生活の連関に関わるある問題が存在するように思えた。
苦役列車 Amazon書評・レビュー: 苦役列車より
4103032324
No.26
(5pt)

これぞ文学

西村賢太氏の作品を全て十分に読み込んだ。その上での感想だが、これぞ文学、である。文学というものはどうしたって、作者の経験から描き出すもの。西村文学は、力強い独白で、傷だらけの数奇な生き方を文学として見事に昇華している。人間の弱さ、狡さ、したたかさから目を背けない作品群。こんなに夢中になれる作家と久々に出逢った。
苦役列車 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 苦役列車 (新潮文庫)より
4101312842
No.25
(2pt)

予想よりもインパクトに欠けました

一歩踏み外しそうな労働者階級の物語ということで、あっちは漫画ですが銭ゲバ思い出しました
ただし私小説という事もあってか?
こちらの主人公さんは人を騙してでものし上がろうとする訳でもなしに
かといってストイックに内面に入り込んだ世界を構築する訳でもなしに

日本で一歩踏み外したらここだよねっていうラインでした
もっと悲惨な情報を知ってしまっていると、ちょっと落ちてる人の日記感覚です
共感できる厭らしい部分もあるのですがズッシリとした重みや深みがないので付き合いきれませんでした

文体がちょっと独特で読めない部分もいくつかありました
後半の一本はコラムみたいで同時収録しなくてもよかったのでは?

ところどころ花村萬月氏の作品を読んだいるような感じがした作品だったので
もう少し著者の他の作品を読んでみないとわかりませんが
賞受賞作品としては弱いと個人的に感じました
苦役列車 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 苦役列車 (新潮文庫)より
4101312842
No.24
(5pt)

駄目な自分を巧く客観視した作品

西村氏の私小説は内容が凄過ぎる。
犯罪者となった父親、それに絶望し半ば投げやりな人生を送る自分の駄目さを客観視し巧く描いている。
怠惰な日常生活を送り、やりがいのない低賃金の仕事に甘んじている一方で、素敵な女性を欲し、その夢叶わず自慰にふける。
友人は極めて少なく、変にプライドは高い。
真に嫌になるような人生・人物であるがなぜか共感してしまう部分が少なくない。

芥川賞受賞の際に「私小説しか書く気がしない」とインタビューに答えていたが、作品の幅を拡げ今後も益々活躍して欲しい。
歴史に残る作家となる予感がする。
苦役列車 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 苦役列車 (新潮文庫)より
4101312842
No.23
(5pt)

これぞ文学

西村賢太氏の作品を全て十分に読み込んだ。その上での感想だが、これぞ文学、である。文学というものはどうしたって、作者の経験から描き出すもの。西村文学は、力強い独白で、傷だらけの数奇な生き方を文学として見事に昇華している。人間の弱さ、狡さ、したたかさから目を背けない作品群。こんなに夢中になれる作家と久々に出逢った。
苦役列車 Amazon書評・レビュー: 苦役列車より
4103032324
No.22
(2pt)

予想よりもインパクトに欠けました

一歩踏み外しそうな労働者階級の物語ということで、あっちは漫画ですが銭ゲバ思い出しました
ただし私小説という事もあってか?
こちらの主人公さんは人を騙してでものし上がろうとする訳でもなしに
かといってストイックに内面に入り込んだ世界を構築する訳でもなしに

日本で一歩踏み外したらここだよねっていうラインでした
もっと悲惨な情報を知ってしまっていると、ちょっと落ちてる人の日記感覚です
共感できる厭らしい部分もあるのですがズッシリとした重みや深みがないので付き合いきれませんでした

文体がちょっと独特で読めない部分もいくつかありました
後半の一本はコラムみたいで同時収録しなくてもよかったのでは?

ところどころ花村萬月氏の作品を読んだいるような感じがした作品だったので
もう少し著者の他の作品を読んでみないとわかりませんが
賞受賞作品としては弱いと個人的に感じました
苦役列車 Amazon書評・レビュー: 苦役列車より
4103032324
No.21
(5pt)

駄目な自分を巧く客観視した作品

西村氏の私小説は内容が凄過ぎる。
犯罪者となった父親、それに絶望し半ば投げやりな人生を送る自分の駄目さを客観視し巧く描いている。
怠惰な日常生活を送り、やりがいのない低賃金の仕事に甘んじている一方で、素敵な女性を欲し、その夢叶わず自慰にふける。
友人は極めて少なく、変にプライドは高い。
真に嫌になるような人生・人物であるがなぜか共感してしまう部分が少なくない。

芥川賞受賞の際に「私小説しか書く気がしない」とインタビューに答えていたが、作品の幅を拡げ今後も益々活躍して欲しい。
歴史に残る作家となる予感がする。
苦役列車 Amazon書評・レビュー: 苦役列車より
4103032324
No.20
(5pt)

著者の青春時代

受賞後だったか夕方のあるラジオ番組で紹介され私小説だと知った。
青春時代を日雇い労働に費やした日々が綴られ、過去の作品では「暗渠の宿」も読み応えがあった。
著者にとっては受賞までの道のり(作品)がすべて労役(苦役)だったのかもしれない。この作品が転轍機となることを期待したい。
苦役列車 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 苦役列車 (新潮文庫)より
4101312842
No.19
(5pt)

著者の青春時代

受賞後だったか夕方のあるラジオ番組で紹介され私小説だと知った。
青春時代を日雇い労働に費やした日々が綴られ、過去の作品では「暗渠の宿」も読み応えがあった。
著者にとっては受賞までの道のり(作品)がすべて労役(苦役)だったのかもしれない。この作品が転轍機となることを期待したい。
苦役列車 Amazon書評・レビュー: 苦役列車より
4103032324
No.18
(4pt)

タイトルとのギャップを感じた

「苦役列車」というタイトルで、装丁もいかにも暗い印象をかもし出していますが、
意外にも重苦しさは感じませんでした。

苦役といいながらも、ある意味では自堕落的に、困窮しながらもマイペースに
生きている主人公が描かれています。

それから、性犯罪者を父にもつ人間が書いた私小説というので、
フツウの人たちの次元を超えた内面が描かれているかと思いきや、
そうではなかったこともギャップの一つ。

自堕落的な生活の中に存在する孤独感、嫉妬、劣等感といった負の感情が
素直に表現されていて、そういった感情は特殊な生い立ちである主人公だけでなく、
誰もが持ち合わせてからこその共感があるのではないでしょうか。

個人的に、つげ義春を読んでいるような気になりました。
つげ義春の絵がつけば、そのままつげ漫画になってしまいそうな印象です。
苦役列車 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 苦役列車 (新潮文庫)より
4101312842
No.17
(4pt)

タイトルとのギャップを感じた

「苦役列車」というタイトルで、装丁もいかにも暗い印象をかもし出していますが、
意外にも重苦しさは感じませんでした。

苦役といいながらも、ある意味では自堕落的に、困窮しながらもマイペースに
生きている主人公が描かれています。

それから、性犯罪者を父にもつ人間が書いた私小説というので、
フツウの人たちの次元を超えた内面が描かれているかと思いきや、
そうではなかったこともギャップの一つ。

自堕落的な生活の中に存在する孤独感、嫉妬、劣等感といった負の感情が
素直に表現されていて、そういった感情は特殊な生い立ちである主人公だけでなく、
誰もが持ち合わせてからこその共感があるのではないでしょうか。

個人的に、つげ義春を読んでいるような気になりました。
つげ義春の絵がつけば、そのままつげ漫画になってしまいそうな印象です。
苦役列車 Amazon書評・レビュー: 苦役列車より
4103032324
No.16
(4pt)

一寸の虫にも五分の魂

まず、この本には、
“エピソード”が2つ収録されてます。

どちらも、文体は、思ったより繊細でしたが、
女性への思い込みから来る、言葉選びはとても乱暴で、
初見では、確かに陰気なものに感じるかもしれません。

しかし、その言葉の先にある、威風堂々な主人公の偏屈さは、
開き直って見てしまえば、何だか清々しいから不思議です。

もちろん、主人公の置かれた特殊な境遇もありますが、
突き詰めると、本人が父と同じDNAに嫌悪感を抱くなど、
なんとも「マトモ」な主人公である事に驚きます。

確かに、無駄なプライドばかりで歯止めのブレーキがかかり、
優柔不断のまま、出来事は通り過ぎますが、
その度に、根底にある生命力が、表裏一体となって湧き上がっており、
厚かましくも生きようとするその姿勢は、
人間らしく共感に値するのかもしれません。

きっと読み手は「線路は続くよ〜」の歌のように、
この終わりなきルートを追体験し、どんな間抜けな結果でも、
あたかも自分の荷物のように、心の席に運んでしまうのだと思います。

山手線のように、生活も同じところの繰り返しに不安をいだきながらも、
『生きたい!!』という想いが、日常のプラットホームとしてあるからこそ、
つまらぬ叱咤の戯言も、懐に落ちるものがあるのかもしれません。

それにこの主人公は、いつも悪循環のチケットを握り締め、
「出来るヤツ専用車両」に乗れなかったけれども、
いや、待てよ。本当は、これを読んでいる自分の方こそ、
もっとナーバスで、この列車に乗るべき該当者なのでは無いのか?

と、そんなことまで、考えてしまいそうなのです。

もちろん、読み手側の温度や不健康さも少なからずキーにはなっていて、
そうでなければ、読んだところで、
単なる愚痴と感じるのも同じく納得します。

例えるならば、彼女の居ない寂しいバレンタインの日、
知らぬカップルが、これ見よがしに目の前でキスをしても、
「良いねぇ」などと、余裕の笑みを浮かべる人なら、
たぶん、この本は、オススメ出来ないと思います。

要するに、
苦い薬だが、
役には立つ。

それゆえ、錆びた体には凄く効きそうな潤滑油でもあり、
心のエンジンにゆっくり浸透するには絶好の“闇”である。

少々ポジティブではありますが、
自分はそのように受け止めました。
苦役列車 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 苦役列車 (新潮文庫)より
4101312842
No.15
(4pt)

一寸の虫にも五分の魂

まず、この本には、
“エピソード”が2つ収録されてます。

どちらも、文体は、思ったより繊細でしたが、
女性への思い込みから来る、言葉選びはとても乱暴で、
初見では、確かに陰気なものに感じるかもしれません。

しかし、その言葉の先にある、威風堂々な主人公の偏屈さは、
開き直って見てしまえば、何だか清々しいから不思議です。

もちろん、主人公の置かれた特殊な境遇もありますが、
突き詰めると、本人が父と同じDNAに嫌悪感を抱くなど、
なんとも「マトモ」な主人公である事に驚きます。

確かに、無駄なプライドばかりで歯止めのブレーキがかかり、
優柔不断のまま、出来事は通り過ぎますが、
その度に、根底にある生命力が、表裏一体となって湧き上がっており、
厚かましくも生きようとするその姿勢は、
人間らしく共感に値するのかもしれません。

きっと読み手は「線路は続くよ〜」の歌のように、
この終わりなきルートを追体験し、どんな間抜けな結果でも、
あたかも自分の荷物のように、心の席に運んでしまうのだと思います。

山手線のように、生活も同じところの繰り返しに不安をいだきながらも、
『生きたい!!』という想いが、日常のプラットホームとしてあるからこそ、
つまらぬ叱咤の戯言も、懐に落ちるものがあるのかもしれません。

それにこの主人公は、いつも悪循環のチケットを握り締め、
「出来るヤツ専用車両」に乗れなかったけれども、
いや、待てよ。本当は、これを読んでいる自分の方こそ、
もっとナーバスで、この列車に乗るべき該当者なのでは無いのか?

と、そんなことまで、考えてしまいそうなのです。

もちろん、読み手側の温度や不健康さも少なからずキーにはなっていて、
そうでなければ、読んだところで、
単なる愚痴と感じるのも同じく納得します。

例えるならば、彼女の居ない寂しいバレンタインの日、
知らぬカップルが、これ見よがしに目の前でキスをしても、
「良いねぇ」などと、余裕の笑みを浮かべる人なら、
たぶん、この本は、オススメ出来ないと思います。

要するに、
苦い薬だが、
役には立つ。

それゆえ、錆びた体には凄く効きそうな潤滑油でもあり、
心のエンジンにゆっくり浸透するには絶好の“闇”である。

少々ポジティブではありますが、
自分はそのように受け止めました。
苦役列車 Amazon書評・レビュー: 苦役列車より
4103032324