■スポンサードリンク
(短編集)
猛スピードで母は
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
猛スピードで母はの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.95pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全48件 41~48 3/3ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
解説者の方が長嶋有は女性にもなれるし子供にもなれる、と書いていましたがまさにそうだと思います。 なんの変哲もないような言葉がぐぐっとくるのです。 子供の感受性、怯え、強さ、大人のやるせなさ、不可解さ、言葉で書き表すのが難しいようなことを普通の言葉で染み込むように書いてある。 読んでいて共感する面が登場人物のひとりといわずあるのにどこか客観的に読めてしまった。長嶋有ってすごい人だ。いろんな人に寄り添っている、そんな小説だった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
子供っていうのは、孤独感っていうものに凄く敏感なんだと思う。 この本で描きたいところって言うのはまさにそこだった。 特に母という存在との関係は、意識的にたとえ小さいと思っていても、やっぱり深くて。 だから、この本の主人公の言葉が強く胸に刺さった。あー、やっぱり母とのちょうど良い距離を持つことは、重要なんだなあと感じさせてくれる。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
なんかキュンって切なくなる。 子供の頃、親が考えてることって計りきれなくて、親がイ ライラしてたり、機嫌が良かったりっていうのに子供とし てホッとしたりびくっとしたりしてた。 その感情の一つ一つをブルボン小林ならぬ長嶋有氏は思い 出させてくれる。 あの時の、実は一番感受性が強くそのくせ何も出来なかった 表現できないテンションをほろ苦く思い出した。 長嶋さんより年下の僕にそんなことを思い出させてくれるな んて長嶋さんはよっぽど記憶力いいのかなあ? 個人的にはサイドカーに犬の方がいいと思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
文庫になるまで読まなかったことが悔やまれる傑作。 「人とのつながり」という手垢のついた言葉の意味を根底から考えさせる、 味わい深い二編を収録しています。 詩心に満ち、そして時折湧いてくる深い情感に胸打たれます。解説者の語るように、読み出してしばらくは「作者は女性なのかな」と思わずにいられなかった繊細さがどのページにも感じられ、それが行と行の間にかすかな吐息や希望として現れるときに、日本語で書かれたよい小説を読むよろこびを読者に与えてくれます。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
文庫になって早速買いました。すごい。ぐいぐい読めました。 感動させられたりはっとさせられるときって、書き手の読者への裏切りかたがどこか冷たかったり鋭く感じたりするものですが、 これは素直な描写で淡々と書かれているおかげで、おっかなびっくりさせられることなく自然なリズムで読んでいけました。 なのに、泣けてくるのです。その感情は、実際私が今まで感じたことのある気持ち(家族とのいざこざだったり、気持ちのすれ違いだったり。) にすごく近くて、本当なのです。だから作者は女の人だと思っていたら二度びっくり。なんでこんなに女の人の気持ちが分かるのでしょう。 1970年代前半うまれの読者にはなつかしいいろいろなグッツが出てくるあたりも、リラックスさせる一因かも。 芥川賞を受賞した表題作も良いですが、私は「サイドカーに犬」が好きです。 読み進むのがもったいなくなるくらい、私にとっては面白い本でした。長嶋さんのほかの作品も読もうと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
お茶漬けをかっこむが如くさらさらと読みやすい本。 重くも無く、軽すぎも無く、おしつけがましさも無い。 メッセージ性やテーマといったものはどうなのかと言われると、やっぱりそれほど感じない。だからこそカッコいいかなって。 「サイドカーに犬」・「猛スピードで母は」に2作品収録されているが、共にあっさりとした女が描かれている。前者の方は最後まであっさりと、後者は強くたくましい母親の中にも弱い部分が見え隠れする。 情景描写もライトだし、子供の目線から見た大人像はこんなものだったかなぁなんてこそばゆい。現代的といえばそうなのかも。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
とっても淡々とした語り口なのに、思わず「わはは」って笑かせられたり、すんごく切ない気持ちになったり。 きっと、この作者の人は、照れくさくって、ダイレクトな愛情とか思いやりとかの言葉を口にしないんだけど、人一倍感じやすい人なんじゃないかと思いました。 人の気持ちのとても繊細で、言葉にできないような微妙なニュアンスを大切にして書かれている作品だと思いました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「結婚に失敗した」母と暮らす小学校5~6年生の主人公慎の視線を通して描かれる母は実に私好みだ。 ワーゲンが好きなのに「それはそれで照れくさいから」とシビックに乗り、器用にジャッキとレンチを操ってスパイクタイヤに履き替える母親。 もらった絵本を読んではくれるが、抑揚をつけることはせず、「こんな王子と私なら結婚しないね」などと感想を漏らす母。 参観日や行事に行かない母。 煙草をくわえながら、お子さま仕様ではない発言をする母。 作品全体を流れる少年の悲しげで、でも誇り高いトーンがじわじわと胸に染みこむ。 わけても一番グッときたのは、母が帰宅する前に慎が米研ぎをする場 面。冬の寒さに凍えた手が、冷水さえも温かく感じる様子。研いだ米は30分「うるかし」たら炊いてよいと教わったこと。後に、「うるかす」が標準語ではないことを知って「その時間」を否定されたように感じたこと。これには道産子の私はうるうるしてしまった。 我が家の娘たちも、5歳から米研ぎをしている。つい、彼女たちの、その時間はどんな気持ちだったのだろうかと考えてしまった。強制した訳じゃなく、自発的にその習慣は始まったのだが「なんだか面白そう」という気持ちの他に、仕事をする母への労りが、やはりあってのことだった気がする。 家の鍵と車の鍵を中につけたままロックをしてしまった時、この母の 取る行動は見事にかっこいい。息子のいじめ体験すらクールに受け流しユーモアで返す、うろたえたりしない母。 カタルシスのある勇気の湧く作品だった。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!