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正欲



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【この小説が収録されている参考書籍】
正欲

正欲の評価: 3.90/5点 レビュー 359件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.90pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全249件 21~40 2/13ページ
No.229:
(5pt)

恐怖と喜び

実写化が決まって映画館でみた予告が気になり小説から先に読んでみようと思いよみはじめました。この本からとても深いものを学ぶことができた気がします。自分のなかの考え方も変わり、この本を一読している人とそうでない人では現実の見え方が異なるのではないかと言っても過言ではないと思う程です。
正欲Amazon書評・レビュー:正欲より
4103330635
No.228:
(5pt)

考えさせられる!~拡がるテーマ性~

性的嗜好というテーマから全く理解できない他者をどのように受け留めるのか?に転じるドラマ性が凄い。
理解できない次元が最早、想像の遥か上をゆく別次元の場合、繋がることなど絶望的な絶対的孤立のみ存在する。それでも、理解し合える同志を求めるという人間の性が、悲しくも可笑しい。結局、ラストでは、次元の違う異者は、正常と称する多数派に到底受け入れられず、理解を求めるという事さえ放棄し孤独の巣に戻ってゆく。性的なテーマを越えて、正常とは、異常とは、多数派とは、少数派とは、相互が理解し合える事があるのか?とテーマ性が拡がってゆく。
物語の切り口が斬新で、最近読んだ本の中では一番面白く楽しめた。
初期の話題作「桐島、部活やめるってよ」の何の拡がりもない切り取り現代青春小説から脱皮し、この不思議なsituationを設定した著者に感心した。
正欲Amazon書評・レビュー:正欲より
4103330635
No.227:
(5pt)

ずっしりとした読後感

だいぶ読みごたえがあった。
自分の知らない世界がたくさんある。

読後感、重かった。重たい内容だった。
でも考え方によっては、だからこそ、人間っておもしろいのかもしれないな、と思った。
誤解が生じている多くのこと、
誤解された、誤解したまま埋もれてしまった多くのことも、ずっしりとのしかかってきた。

解説もすごく良かった。解説に書かれていることがよくわかる。
正欲Amazon書評・レビュー:正欲より
4103330635
No.226:
(5pt)

時代を代表する小説

すごかった。この時代を代表する小説だと思った。
多様性という言葉がメディアで気軽に使われてしまっていることに対する違和感を、この小説が上手く言語化してくれている。多様性ってそんな簡単なことじゃない、もっと自分とは違う異質な存在がいることを認めること、しかしそれは人間の本能とは相容れないものでもある。人は自分と価値観が近く、考えを共有しあえる仲間を作りたがる。さらに固有の言語や方言、さらにはミーム等によって仲間意識を強めることを根元的な欲求として求めてしまう。多様性を受け入れるというのは、ある意味そういった同調意識という人間の本能を理性でねじ伏せるという、精神的な闘争や葛藤を必要とする行為であると感じさせられる。そもそも多様性が簡単に受け入れられるならば、現代のロシア・ウクライナ戦争やパレスチナ問題もないわけで。
結局、この小説の中では解決策が提示されるわけでも、登場人物が幸せに生きる道を獲得できる訳でもない。容易に答えが得られる問題ではないと思うが、それでもそういう問題が存在すると認知させることは必要だと思う。そういう意味でこの小説の存在意義は非常に大きい。多くの人に読んでもらたい。
正欲Amazon書評・レビュー:正欲より
4103330635
No.225:
(4pt)

明日死なないために繋がりを求める

話題になっていたので手にした初めての朝井リョウなのですが、読んだ瞬間なんだこのヤな感じは・・・でも読み進めたくて一気読み。予測しない位置から後頭部を叩かれたような感覚になりつつ、今現実に声を上げている人々は明日、多数派に殺されないために生き残るために結束しているのだから水を差すなよという気持ちにもなりました。

マジョリティでもマイノリティでも逸脱していると見做されれば排除される者は出てくる。多様性から外されてもなお生きる道を見つけるためにたった一人でも同じ痛みを持った人との「繋がり」が救いになるんだろうと夏月と佳道の結びつきが確かなものだとわかるシーンや、地味な八重子が大也と感情をぶつけ合う場面はとても印象に残りました。(不登校経験者なので普通を押し付けてくるパパの寺井やガチ保守田吉は問答無用で嫌いです)

時々イライラしながらも読みたくなる、深く考えてしまいたくなる物語でした。
正欲Amazon書評・レビュー:正欲より
4103330635
No.224:
(5pt)

うすっぺらな多様性

『日本で、男で、五体満足な異性愛者に生まれる。
 これで、社会にはびこる理不尽から、九割は免れることができる』
 (p.317)
この文章は刺さった。
意識していなかったが、自分が特権階級にいることに気付かせてくれた。

子どもはお母さんに育てられるのが一番。
子どもの昼食はお母さんのお弁当がいい。
こういう考えに対して、遅れている、古い考えだと思っていた。

しかし、
ミスコン存続?廃止? 別に存続してもいいんじゃない。
ルッキズムの増長?性的搾取につながる?そこまでナーバスにならなくても。
アニメの女性キャラの入浴シーン?
元々少年マンガ誌に掲載されていたものだから、背景を考えれば問題ないだろう。
こんな感じにも私は考えており、
反対意見に対しては細かいことにうるさいなと思っていた。

これぞ、本書のテーマである“うすっぺらな多様性”だ。
自分の理解できる範囲では理解を示し、
自分の理解できない範囲では拒絶する。
私もそうしていたことに、改めて気付かされる。

本書は特殊性癖を抱えた人に焦点を当てた作品である。
マイノリティの中にも序列があり、
マイノリティの中のマジョリティは
多様性が尊重される風潮の中で理解が進む。
一方、マイノリティの中でもマイノリティは理解されないままであり、
その辛さが丁寧に描かれている。

例えば、特殊性癖を抱える夏月の以下の独白が当てはまる。
『あなたが抱えている苦しみが、他人に明かして共有して
 同情してもらえるようなもので心底羨ましい』(p.242)
『性的対象は、ただそれだけの話ではない。根だ。
 思考の根、哲学の根、人間関係の、世界の見つめ方の根。
 そのことに多数派の人間は気づかない。
 気づかないでいられる幸福にも気づかない。
 他者が登場しない人生は、自分が生きていくためだけに生きていく時間は、
 本当にむなしい』(p.246)

夏月は同じ性癖を持つ高校の同級生・佐々木と再会し、
つながり、2人はより多くの人とつながろうとするが…。

ハッピーエンドで終わらないことは冒頭で示唆され、
その通りハッピーエンドで終わらず、モヤモヤする。
作者の朝井リョウは敢えて、そうしたのだろう。
その方が読者を考えさせるから。
但し、決してバッドエンドではない。
ほのかに希望を感じることができる、ふさわしい終わり方だ。

なお、朝井作品は名言が連発されることが多く、
本にアンダーラインを引きまくることが多いが、
今回もたくさん刺さる箇所があった。

まずは、冒頭の独白。最初読んだ時は気付かなかったが、
途中まで読んで再度冒頭を読むと、書かれている内容の深さに驚く。
『世の中にあふれている情報はほぼすべて、
 小さな河川が合流を繰り返しながら大きな海を成すように、
 この世界全体がいつの間にか設定している大きなゴールへと
 収斂されていく。
 その“大きなゴール”というものを端的に表現すると、
 「明日死なないこと」です』(p.6)

また、終盤の女子大生の八重子と特殊性癖を抱えている大也との
言い合いにおける、八重子の発言は圧巻だ。
「そうやって不幸でいるほうが、楽なんだよ。
 自分が一番かわいそうなんだって嘆くだけでいい。
 向き合うべきものに向き合わないでいられる」(p.449)
「この容姿の私を愛してくれる誰かと生きてみたい
 っていう憧れをとか全部消したい。
 だけど人を好きになっちゃうの」(p.449)
「はじめから選択肢奪われる辛さも、
 選択肢があるのに選べない辛さも、
 どっちも別々の辛さだよ」(p.452)
「ミスコン廃止したところで誰かの頭の中にある
 性的な目線を制御できるわけじゃないってわかっているし、
 別に全部の大学からミスコンをなくそうとしているわけでもない。
 一つの方向に導きたいとかじゃなくて、
 自分を削ってくるものだらけの世の中で
 なんとか前向きに生きていく方法を考えたいだけ」(p.452)

他にも、以下の独白に惹かれた。
『映画やドラマでは若い女性同士の関係を陰湿に描くものも多いが、
 二十歳を超えても尚異物を排除する力が強いのは圧倒的に男子の方だ。
 男は、男であることから降りようとする男を許さない。
 嫌うでもなくハブるでもなく、許さないのだ』(p.322)
『若いってああいうことだよな、と思う。自分の暇を埋めるためには
 思い付きで誰かの感情を引っかき回してみてもいいと思っていること』(p.244)
『正当な不満は、思考を生み、言葉を練り出す。
 出所が正当なのだから、その論理はどこに出ても恥ずかしくないほど
 整ってしまう。だからこそ苛立ちは増大していく』(p.245)

ストーリーも名言も、両方楽しめる名作だ。
正欲Amazon書評・レビュー:正欲より
4103330635
No.223:
(5pt)

めっちゃ難しい作品

自分が想像できない他者が同じ社会にたくさん存在すると、怖くて仕方がないから排除しようとする人
他者から想像できないような自分を持つから、排除されないように自分を社会から隠しながら存在する人
それぞれがある程度の距離を取りながら社会を形成してきたが、「多様性」という言葉が流行してきたことにより、お互いの距離が近づいた。
この接近がどのような意味を持つのかがこの作品で描かれているのではないかと感じました。
正欲Amazon書評・レビュー:正欲より
4103330635
No.222:
(5pt)

正しい性欲なんて言われても

読後、思わずうーんと唸ってしまう。どのようにレビューを書けばいいのだろう。要は「正欲」とは正しい
性欲のこと。最近LGBTQ議論が盛んで、制度的にも、また人の意識的にも(多分)いろいろな
改革がなされつつある。だが、このLGBTQが性的少数者を意味するのであれば、もっともっと
少数のフェチ愛好家(こういう表現でいいのかな)がいるわけで、人間だけを性的欲望の対象とする
とは限らないのだ。この本の関係者もそういった人間だ。彼らは自分たちの「性欲」が理解されず、
「正欲」の人たちとつながることさえできない苦しい人生を送っている。恐らく、LGBTQの人たちも
今やその「正欲」側の人なんだろう。カミングアウトなんてできないごく少数の性的愛好家たち。この
本でも「正欲」のまさに正統派(とでも言おうか)の検事寺井などは、不登校の息子や妻との
意思疎通に苦労する。彼のような人間は、極少数フェチの人間のことなどまったく想像もつかない。
彼はこの本の中ではそういった意味で間違った人間のように役回りを演じさせられるが、世の中の
ほぼすべての人たちがそちら側の人間だ。だから、彼を責める気にはなれない。とはいえ、
そういった少数フェチの人たちが最後に抱える感情は「諦観」でしかないというのも悲しい。
正欲Amazon書評・レビュー:正欲より
4103330635
No.221:
(5pt)

興味深い!

十人十色といいますが、まさにその通りだと思いますね。
センシティブな性癖の多様性について書いた作品。
普段はタブー視して考えが深く及ばない領域に踏み込んで、異常性癖者の気持ちも考察していく。
考えもしなかったが、通常は考えが至らないからこその絶望と苦悩がある。
興味深い内容でした。
正欲Amazon書評・レビュー:正欲より
4103330635
No.220:
(4pt)

答えを出す事が出来ない

物語を読んでみて、ほんの些細な事でもこんな事を考えるのは私だけなのかもしれない。その不安を一人で抱える事ができないから、あらゆる方法でいつも誰かに確かめながら生きていくしかないのだろ思いました。
安心を求め進んできたつもりだったけれど、とても不安定な場所に私はこれからもいるのだなと本を読んで感じました。
本に書かれている事件について、どうすればよかったのか。答えが出ません。ただ、私も、街ですれ違う知らない誰かであっても一人でいないでほしい。
そう強く感じた本でした。
正欲Amazon書評・レビュー:正欲より
4103330635
No.219:
(5pt)

人にお勧めする時、なんて伝えよう

このストーリーをどうこう言う事自体、自分の正欲に酔っている事になるので例え人にこの本をお勧めしたい時ですら、ストーリーについての感想を簡単に人には伝えられないな、と思いました。

ただ、この先生きていくとして
何年後か何十年後、はたまた数ヶ月後でもその時の自分の価値観で受け取り方がまた180度変わりそうです。まだ数年後、自分がまだ生きていたら読み返したいです。
正欲Amazon書評・レビュー:正欲より
4103330635
No.218:
(4pt)

多様性とは

世の中、多様性を認めようとポジティブな発信が多くて、多様性という言葉が正義みたいな感じだけど、実はそれを強調することで、ますます生きづらくなってしまう人もいる。何事にも、いい面と悪い面がある。
正欲Amazon書評・レビュー:正欲より
4103330635
No.217:
(4pt)

通底するもの

日経新聞の夕刊のイン・ザ・メガチャーチに通底するもの感じます。
ここ数年の世の中の変化、LGBTQとかに対する許容と違和感。
そうだよねっていう感じと、だから嫌だよねって感じと、それぞれの立場、感覚の人が共感できる話なのかなと思います。
でも、これからの世の中の変化に対する希望は感じにくい話なのではとも思います。
皆が受け入れてもらえるかも知れない安心感があるけど、皆を受け入れるのが苦痛であることを思い知らされる感じ。
どんどん思っていること、感じることを言えない、いろいろな人の感性を想像して、誰かにとって気に障ることは何も言えない世界の到来を感じさせる話のように受け止めました。
そうやって生きる方が正しいかもだけど、やっぱ面倒だな。こんな世界。
と、改めて気付かされました。
正欲Amazon書評・レビュー:正欲より
4103330635
No.216:
(5pt)

寛容は不寛容に対して不寛容だ

確かに。

矛盾だらけで混乱する。これを読み終わっても、私はまだ正しさに縋りたい。正欲から逃れられない。

人がAをBと考える(感じる)ことを止めることは出来ない。

確かに。

集団の2/3に収まっている人はその時はマジョリティかもしれないけれど、常にそこに居続ける人は、lim n→∞ (2/3)^n=0つまり限りなくマイノリティになっていく。

確かに。

人間は動物でも人間でもある。

確かに。

そこにある事実だけが、ただそこにある。
そんな話。

きっと、誰かを傷つけてしまったかもしれない不安に駆られたとき、またこの作品を思い出す。
正欲Amazon書評・レビュー:正欲より
4103330635
No.215:
(5pt)

問題作であり名作

最初の10ページ前後から、人間関係の窮屈さ、不穏な空気が漂い始め、
その中身は決して気持ちいい物語ではないことを予感させるが、まんまと的中する。
読み進めていくうち、随所に気づまりな人間同士の「繋がり」が見え隠れし、
作者の得意技ともいうべき「意地の悪さ」、すなわち叩けばホコリが飛び散る課題に対し
案の定、じわじわと叩いて叩いて叩き抜いて、問題提起を読者の鼻先に
突き付けてみせるいやらしさがあってよかった。

昨今、頻繁に取り上げられる【多様性】という、一見、前向きに響く言葉に対し、
ここまでほじくり返して水を差してくる着眼点は非常に秀逸。
また、会話文の隙間に差し込んでくる表現力も豊かで、好き嫌いは大きく分かれる作品だろうが、
私はひとりでも多くの人たちに、一度は読んでほしいと強く推奨したい一冊である。

ただし、良薬は口に苦し。人によっては胃痛を招くことも覚悟しておけ。
正欲Amazon書評・レビュー:正欲より
4103330635
No.214:
(5pt)

好きだった

好みは出るだろうが、私は好きだと感じた。自分が正しいと信じているから「受け入れる側」になれる
正欲Amazon書評・レビュー:正欲より
4103330635
No.213:
(4pt)

なぜか懐かしい感覚も

小説よりも哲学書や心理学書のほうが好きで興味もあり、小説は積読になることが多いのですが、
こちらの小説は読みやすく、先が気になりあっという間に読み終わっていました。

読了後少し経って、
現実と小説が入り交じるふわふわ感?が抜けた後、
マイノリティ側の心理描写に見に覚えのある感覚を持ち合わせていた自分に気づいて「え…なんでだろ」と考えました。

家庭環境に苦しさを覚えていた学生時代、
さりげない同級生の一言二言から、自分の家庭はマイノリティで普通じゃないことを思い知らされた事を思い出しました。
先生や親戚に頼りたく、母や父のことを話しても「それくらいいいじゃない」と重く取り合ってくれない。
重い家庭という概念がないのかもしれない。

世の中のテレビや当たり前の価値観の中には「家族は仲良く」「親孝行」「家族は良いもの」ばかりで、
親がアルコール中毒、薬物中毒、機能不全家族等の「家族」は当時はないも同然。

この人たちにいってもなにも分かってくれない、といった性的マイノリティ側の感性が10年前の自分の感覚と近いものを感じて、

あぁ、だから他の人よりもこの本からの衝撃が少なく感じてるんだなと納得しました。(本のレビューというより自分の感想笑)
正欲Amazon書評・レビュー:正欲より
4103330635
No.212:
(5pt)

面白かったです!

いや、久々に読むのに時間がかかって本でした。文章は読みやすいのですけど、僕の中にない言葉が多くて、面白いの意味が違う面白さに飲み込まれてました。

展開としては最初に出た情報をもとに、色々な視点で少しずつ読者に気づかせて、繋げていくのですが。
全容が見えるにつれて、そんな単純なものでは無いのだと告げていきます。

繋がりと、一人じゃないと良い。
わかってもらいたいと思ってるわけじゃ無い。でもきっと、わかろうとしなくてもわかってもらえる人は欲しい。

そして、読み終わって、え、終わり?となりました。
そう、答えを求めてしまってました。そんなものは無いのだと言っている物語なのに。
改めて正欲って何だよって思ったりもしましたね。タイトル凄い。
正欲Amazon書評・レビュー:正欲より
4103330635
No.211:
(4pt)

似た境遇の人と出会えたら救われる。

映画を観たいんですが介護中で劇場に行けないので先に原作を読むことに。力作ですね。読むほうも疲れた(笑) 物語が進むにつれ書き手の筆も走っていく感じで、読後感は静かな感動でした。夏月と佳道のラストシーンが美しかったけど、八重子と大也の最後もよかった。個人的には、このお話で最も成長したのは八重子ちゃんだった気がします。

そこまで特殊な指向とかでなくても、例えば私のように一人で親の介護してるとか、毎年花粉症に悩まされるとか、共通点がひとつでもあったら「あるある」で盛り上がって気が楽になりますよね。次元は違うけどそういうことなんだろうなと。それによって抱えてしまうしんどさが大きければ大きいほど相手との関係も深くなる。でも、あげく彼らだけで閉じてしまって世間と断絶してしまうのも悲しい。かなり特殊な部分を抱えていたとしても、その人ってそこだけで生きてるわけじゃないじゃないですか。好きな食べ物だったり音楽だったり何だったりを通して他者と交流することはできないのかな。それを日々のちょっとしたガス抜きにはできないのかな。

濃い読書経験をさせていただきました。やっぱり映画も早く観たいです。
正欲Amazon書評・レビュー:正欲より
4103330635
No.210:
(5pt)

読後自分の価値観を考えさせられる

社会正義という常識を逸脱して他者に迷惑をかける人を糾弾することが私にはある。
なぜならこちらは周りに迷惑をかけないように一生懸命配慮しているに、自分中心で傍若無人に振る舞う態度が許せないからだ。
近年の不倫スクープに対する社会からの糾弾もこれに近いような気がする。
しかし、本編に手でくる登場人物は、他者に迷惑をかけないよう、必死に努力しており、そこへの共感はかなりあった。
変わった人と思う人はうちの職場にもいるし、その人たちから見たら私も変わっているはず。
大切なことは他人の自由を侵害しないことだと思う。
自分を理解してもらえないと思い、自分を閉ざしていようが、一緒に働いている人を、「飲み会に誘ってもこない」「絶対偽装結婚です」とか周りが言う必要はない。
かといって、自分を閉ざした人に、心を開かせようとエネルギーを消費するほど、社会は甘くないしそんな時間もない。

だからこそ、人には気の合う仲間というものが必要であり、それは数ではなく質であると思った。

多数派のバイアス。多数派思考の方が生きやすいに決まっているが、
時にその方向が間違った方に行くことがあるから気をつけなくてはいけない。
今回の自民党のパーティ券事件も、所謂「みんなやってるから」だろう。
小集団の多数派が、社会という大集団から見たら少数という頭をどこかで持っていないと、人間危ないな。
でも少数であっても人に大きな迷惑をかけないのであれば、それは問題ではない。
ただ、多数派とは違う少数派を受け入れるだけの器がまだまだ成熟していないのが今の日本なのかもしれない。
正欲Amazon書評・レビュー:正欲より
4103330635

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