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黒牢城
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黒牢城の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.23pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全185件 21~40 2/10ページ
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前半部分の文章は不適格な表現が多く、しかも会話文は戦国時代の武家言葉を過剰に模倣しようとしたのか、たどたどしさが目立ち、著者の文章力に疑念を抱いたほどである。だが、中盤以降はそれが改善され、安定した叙述になった。これは、著者が歴史時代小説を書き慣れておらず、序盤は試行錯誤したものの、書き進めるに連れて徐々に慣れたためだと思う。 荒木村重が主君の織田信長に反旗を翻し、摂津有岡城に籠城するという背景の物語である。とは言え、織田家との戦いや交渉についての記述はごくわずかであり、有岡城内で起こったいくつかの出来事について村重が思考し、悩み、それらを臣下や、捕縛した黒田官兵衛の助言を借りながら解決していく、という体裁で話は進む。 村重の心情をこれでもかというぐらいに詳述し、心の揺れ動く様子や、考えの熟成過程を丁寧に描いているが、やや過剰であり、しかも共感できない箇所が多く、読んでいて疲労を感じたりもした。特に手柄争いのエピソードで、首の正体を詮索する箇所は引っ張り過ぎであり、途中で飽きが来た。ほかのエピソードについてもあまり興味を感じられず、小説の世界観に十分浸れなかった。 著者は荒木村重や戦国時代、あるいは一向一揆や仏教のことなどについて調べながら、長い時間をかけてこの小説を執筆したものと思われる。その労苦に対しては敬意を表する。ただ、歴史ミステリーとしての出来栄えはいま一つであると感じた。 | ||||
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本格的な歴史小説の体裁を取っており、米澤さんの日常の謎敵ミステリーに慣れていると、面食らうと思う。事前情報がなければ、ミステリーである箏も、なかなかわからなかっただろう。それくらいガッチリ書けており、歴史小説としても十分楽しめた。 荒木村重が信長に叛旗を翻し、黒田官兵衛を長期にわたって幽閉した、と言う史実から想像を膨らませ、連作ミステリーに仕上げたのは力業。これ単純な謎解きミステリーとしては、さほどの出来とは思わない、私でも犯人が推測出来たくらいなので。 が、史実に基づく歴史ミステリーとしては、出色の出来。特に後半、長期籠城で揺れ動く人々の心理や、それぞれの死生観の哲学的描写は、とても良く描けており、良質な純文学的感興を覚えた。 息子を失い絶望の極にあった官兵衛が報われるエピソードは、いかにもエンタメ小説らしいが悪くない。史実に基づき、奇想を膨らませた、歴史ミステリーの傑作と評したい。 | ||||
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古典部シリーズ、ベルーフシリーズ、小市民シリーズを全て読んだ米澤穂信ファンとしては、この直木賞受賞作を大いに楽しみにして読み始めました。舞台は戦国時代、籠城中の様子や荒木村重の心情が丁寧に描かれつつ穂信先生らしいミステリーが展開され、それが冬、春、夏、秋と季節の移ろいと共に起こる所は小市民シリースも彷彿とさせ、ファンとしては期待通りの内容でした。さらに、一連の出来事の動機が戦国時代という特殊で現代とは異なる環境下から来るものであるにも関わらず、現代の自分にとっても腑に落ちる自然さがあり、史実はもしかするとこの作品の様であったのかもという説得力が感じられたという点でも満足のいくもので、さすがは直木賞受賞作だと思いました。やっぱり米澤穂信は最高、次回作も期待してます! | ||||
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大河ドラマ「軍師官兵衛」は、なかなかランキング上位にこないけど、自分の中では№1のドラマだ、なので岡田准一や田中哲司、濱田岳などの顔を思い浮かべながら楽しんだ。 官兵衛を安楽椅子探偵に据えて物語を作るという発想がすばらしい、プロの作家は皆やられたと思ったのではないか。 | ||||
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官兵衛… | ||||
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村重は籠城の中で度々自分が放逐した主家の池田氏を思い出し自分も家臣より放逐されるのではないかという常に部下を疑いの目で見るようになる。 荒木村重は有岡城から逃げのびるが、妻の荒木たしは見せしめのため京都で引き回しの上斬首されるがその最後は気高く見事な最後だったと。 荒木たしは黒牢城で重要な登場人物であり荒木たしをヒロインにした小説があれば読んでみたいと思わされた。 | ||||
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米澤穂信? 自分では手に取ることはなかっただろう作家さんです。 父の日のプレゼントに、息子からもらいました。 十数ぺージ読んで、歴戦の時代小説読み(つまり、この私)の顔色が変わりました。 これまで読んだ多くの時代小説とは、明らかに異なる文体。 むむ、これは読ませる。濁流にのみ込まれました。 何が違うのか? ひとつ言えることは「地文」と「会話文」との絶妙のバランスです。 村重と官兵衛がタッグを組む。 目の付け所はもちろん素晴らしいのですが、今回はこの文体に拍手を送ります。 半分読んで、不思議なことに気づきました。 もうストーリーなど、どうでもよくなってきたのです。 読むことが、ただただ嬉しい。読むことが、ただただ快感。 こんな気分になった読書は、久方ぶりでした。 | ||||
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死が当たり前の様な戦乱の世に誰がどう殺害されたか?そんなミステリーが成り立つのだろうか等と考えながら読み始めたが素晴らしい。戦国時代に生きる武士と云う存在の死生観、それらと立場を異にする民の救済への渇望、その時代を背景にして籠城と云う舞台がミステリーを紡ぎあげていく、事件の繋がりをみれば読者からは大元に在る人物は知れてしまうが、武士と云う立場の城主には知ることが出来ない…人質の謀殺、手柄の行方、密偵の殺害、其々が城主を惑わせ故に虜囚とした男のもとを訪れさせる。そして最後に歴史を知る読者には待ち遠しい場面で幕を閉じる。 | ||||
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黒牢城ーかの米澤穂信が2021年に四大ミステリランキングを完全制覇した輝ける作品、なのだが同時に、筆者のようなポンコツな読者がはじめてまともに犯人を特定できた記念碑的な作品でもある。米澤からすればそれこそ渾身を込めた初の戦国歴史小説なのに、ろくに当てたことのない読者にはじめて犯人を当てられた作品になったというのは、あくまで史実のせいであって、とばっちりもいいとこなのかもしれない。 正直に言うと、筆者は米澤穂信の愛読者ではない。読みたいと思っている作品は何冊かはあるしいつかは読もうと思っている作家の一人ではあるが、未だに一作も読んでいないくらいの未来の読者だった。 それなのに何故この作品を完読しようと思ったのは、犯人を特定出来るかもしれないという、ささやかな野心が生まれたからである。厳密に言えば概要を見て犯人が思い浮かんだクチだ。 尤も作中で姿を現したときから犯人であると確信したのだが、最初からバイアスをかけてしまっているのでそこは仕方がない。 「信長に叛旗を翻し有岡城に立て篭もった荒木村重と、織田側の使者として単身で城に乗り込んだ結果、村重に幽閉された黒田官兵衛が、城内で起った不可解な難事件を解決しよう」というような概要も、単なる戦国ミステリーの紹介に過ぎないのだが、この時点で犯人が浮かんだのは筆者だけではないだろう。村重が比較的知名度が高い理由は、なんといっても信長に叛旗を翻したからである。村重を説得しようと試みた官兵衛は幽閉され、その挙句に官兵衛の息子松寿丸(黒田長政)を預かっていた秀吉は、信長に松寿丸を殺せと命じられる羽目になる。この一連が繰り返し大河ドラマ等で繰り広げられるわけで、脇役とはいえ、村重の名は誰も知らないというほどでもないのだ。歴男歴女が、村重を擁護出来ないところは信長に叛旗を翻したことよりも、妻子や家臣や民までも置き去りにして有岡城を出奔したこと(毛利軍へ援軍要請に向かったとも言えるのだが)なのだろうとは思うが、この概要に目を通すと、村重が有岡城を出奔したことにある程度弁解の余地があることが浮かんでくる。そうなると誰が犯人かというのは薄々分かってしまうのである。 村重を主人公として描くのはおそらく非常に困難を極めるだろう。むしろ斎藤道三や松永久秀のように派手な梟雄と思われている人物の方が使いやすいといえば使いやすいのだが、この出奔はある意味梟雄よりもイメージが悪くなっているのである。 これまで村重視点で描かれた作品はほんのわずかしかなく、印象として残っているのは遠藤周作の『反逆』くらいである。考えることは皆同じであり、本作にあたることで『反逆』を読み直した読者は少なくなかった。『反逆』にも『黒牢城』の犯人は登場するが、遠藤はその人物に大変肩入れしているし、作中にも「筆者はこの〇〇に愛着があるので」とはっきり記している。そもそも『黒牢城』のように、荒木家中に殺人事件が起きているわけでもなく、村重出奔後においても史実を覆すこともしていない。 それでも『黒牢城』には遠藤の『反逆』へのオマージュを僅かながら感じる。それはその人物への肩入れである。自作の犯人を決して貶めることはなく、むしろ村重よりも官兵衛よりもはるかに強い輝きを放つような表現になっているし、その分主役なのに村重は割を食ってしまった格好になっている。本作自体が村重の名誉回復になっているのかもしれないが、逆に官兵衛に騙された(騙されたふりをした)男としてさらに評判は悪くなったのかもしれない。 この村重は現代からワープした人間にも見える。何しろ戦国大名にあるまじき人権派大名になっていて優先順位は自分のイメージなのである。 こんなことを書いてしまうと、薄々どころか益々本作の犯人が分かってしまうのでこれきりにしておく。 米澤は、村重のことを擁護することもなければ非難することもなくフラットさを保って筆を走らせているが、村重が官兵衛や他の人質のことを殺さないことが益々状況を悪くしている事実を淡々と暴いている。他作品では見かけないことだ。並の歴史小説家であれば、人質を殺すことなど当時の常識では当たり前のことなので、わざわざ言及などしない。 人質というものは戦国ものには当たり前のもの、悪くいえばのちの天下人になる竹千代すら添え物のように描かれていることもあるのだ。たとえば秀吉や官兵衛が主人公だったりすると、松寿丸を助けるためにねねや半兵衛を巻き込んでてんやわんやをするのがお約束となっており、本作からすると非常に牧歌的だったとも言えよう。 だが著者初の戦国歴史小説としてデビューした米澤が取り上げることによって、テーマが斬新に映るのだ。 本作ははじめて人質の存在意義を主題として描かれた作品であり、相手と敵対してしまったにもかかわらず人質を開放もせず殺しもせず幽閉などしてしまうとどんなことになるかが丁寧に描かれている。官兵衛の嫡子松寿丸が助かることは読者も分かりきってはいるが、それは稀なことであり奇跡だったことに、米澤は改めて読者に提示しているのだ。 | ||||
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荒木村重 下剋上により一代で摂津守護まで上り詰めた戦国の雄 戦国という非情の時代がそうさせるのか、彼や彼を取り巻く武士たちは鋭利だ。問いも応えも、そして生きざまも鋭く無駄がない。 それは美しく希少で引き付けられる。 そんな村重を追い詰めたのは、敵の織田でも、味方でもなく、鋭さとは相反する鈍さを持つ弱き者だったというところに皮肉な運命を感じた。 | ||||
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なるほど面白い。荒木村重が有岡城を出た理由はこれだったのか、というひとつの推理を見事に示してくれた。その後の行動から愚将と言われる村重だが、先見を誤ってしまっただけであり、村重もまた大将たる器であったという書き方も良きかな。戦国時代ならではの侍言葉も心地よく大変勉強になった。 | ||||
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織田信長に謀反した荒木村重と村重に囚われた黒田官兵衛の息詰まる神経戦に引き込まれます。読み応え十分です。直木賞、山田風太郎賞他ミステリーランキング4冠制覇した傑作です。 | ||||
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歴史小説が苦手な自分でも良く読めた。 そしてこの時代の登場人物たちがすごく気になる内容だった。 時代劇をこのような形で極上のミステリーに仕上げる米澤さんの筆力。見事だと思う。 | ||||
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すごい前から米澤さんの本のファンです。わたしは米澤さんはミステリの名手だと思ってtますが、こちらは電子書籍化されてようやく読みましたが、歴史とミステリの会わせ技でした。しかし歴史小説家の如くの時代考証、恐れ入りました。戦国きっての裏切り者と知られる荒木村重、彼のような有能な武将がなぜあのような非道な裏切りをしたのかと時代劇好きなら誰しもが疑問におもうところですが、米澤さんの創作とはいえ、その疑問に少しは希望が与えられたかのように思え、読了感は最高でした。さすがです。でも時代物じゃない方が米澤さんらしい気がしましたね。 | ||||
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歴史物なので、専門用語が多くて読みづらいです!と悩んでる書き込みをネットで見かけましたが、そんなに気になりませんでした。 歴史の点数はクラス最下位を記録した私でもミステリー(というより人間ドラマ)として楽しめました。 それに時代の雰囲気がよく伝わってきて、日本の歴史に初めて興味が湧きました。 | ||||
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迅速、丁寧な配送です。 | ||||
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読了したのは結構前ですが、まだ衝撃が残っています… 歴史小説なんだけど、ミステリーで 重い内容も含んでいるがページを進めることをやめれないという中毒もはらみ、読み終えてエピローグには感嘆してしまいました。 近年読んだ中ではほんとにほんとに間違いないベストに出会えて良かったです! | ||||
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舞台は有岡城。本書の英語タイトルもArioka Citadel case。しかし、本書邦題は「黒牢城」。その意味が、読み終えてよく分かる納得の人間ドラマミステリー。是非、映像化を! | ||||
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黒田官兵衛は1年幽閉されて足を悪くしましたが、このとき土牢の中で"安楽椅子探偵"をやっていた、という【歴史xミステリー】小説です。 犯行方法もこの時代ならではですが、特に「犯行動機」が現代の小説とは違っており、この点がかなり面白かったです(※一方で、この部分を面白がれるかには歴史への理解か興味が必要かと思います)。 ミステリーが好きで、戦国時代の基礎知識(or興味)がある人は楽しめるはずです。例えば、"同盟関係を維持するため親族を他の武将に預ける「人質」の風習"などは理解しているとスムーズかと思います。 あまり時代物は読んだことがありませんでしたが、現代語に近い言葉で書かれているので、問題ありませんでした。 トリックなどはやや地味なので、その点はあまり期待しないほうが良いと思います。 荒木村重や黒田官兵衛のWikipediaを読むのは読破した後にしましょう。 | ||||
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迅速で、新品みたいでした。 | ||||
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