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アンダークラス
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アンダークラスの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.19pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全26件 21~26 2/2ページ
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介護施設に入居中の老女が水路に転落死し、ヘルパー見習いのベトナム人女性が逮捕される。警視庁継続捜査班の田川が女性キャリア警視と共に捜査をしていくと、世界的巨大ネット企業に辿り着く。 経済記者出身の筆者らしく、厳しい社内競争や外国人技能実習制度、貧富の格差などの社会問題や歪をふんだんに取り入れて、社会派が色濃く出している警察小説です。 そのため、捜査の過程も、事件そのものよりも、被害者や犯人達の心情や背景というものが炙り出されていくことに重点が置かれている印象でした。 | ||||
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「震える牛」では、巨大ショッピングモールを展開する企業と狂牛病について 取り上げていましたが、本作ではネットのプラットフォーマー企業と アパレル企業と外国人技能実習生を取り上げています。 事件の始まりは、秋田県能代市で高齢者施設勤務のベトナム人女性介護士が、 入居している高齢者の末期がんの女性に依頼され、車いすごと冬の水路に突き落としたとして、 自殺ほう助として逮捕されたことです。 そして警視庁の田川信一警部補が捜査を始めます。 自殺にしては不審な点があったので、キャリア組の女性警視と共に、 ベトナム人介護士が技能実習生として最初に働いていた 縫製工場のある神戸に聞き込みに行きます。 そこでは実質賃金300円程で実習生たちを酷使し、従わないと 大型犬用の檻に監禁するなど、人権無視の扱いが横行していました。 デフレ経済下の日本では、アパレル製品は安くてさらに品質も良いものしか 売れないので、下請けである縫製工場にも、単価の低い仕事しか回って来ないことから、 人件費圧縮のためにベトナム人実習生を呼び寄せて働かしているのでした。 捜査を続けるうちに、田川警部補はネット通販企業の管理職にも事情聴取して、 事件の真相を探るのでした。 そして真相が明らかになっていくのですが、「震える牛」と同じように、 犯人が実際に自ら手を下す動機がいまいちリアリティのない展開になっていました。 社会派小説とミステリー小説とを組み合わせて作ることの難しさが 伝わる展開でした。 しかし社会派小説としては出色の出来になっていたので、十分な読み応えのある 小説です。 著者の相場英雄氏は地方の経済に詳しい方のようなので、 それが十分に活かされた一冊になっています。 | ||||
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様々な登場人物の個人視点としてのアンダークラス、また国家間の相対的地位におけるアンダークラスの両輪を軸として、現状の日本を描いた意欲作といえるでしょう。そのこだわりが物語自体を「読ませる」ことに繋がっています。ただ、アンダークラスにこだわるあまり、不自然な登場人物のやりとりや展開が散見され、「魅せる」には足枷になってしまっている点が残念でした。 | ||||
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田川警部補シリーズの3作目。1作目『震える牛』が食品流通裏話のような装いを持ちつつエンターテインメント性を前面に出してたのに、2作目『ガラパゴス』で派遣労働、そして今作『アンダークラス』は巨大プラットフォーマー(誰が見ても “アマゾン”)と外国人技能実習制度を素材に、だんだん社会批判の匂いが強くなってきた。通信社の経済部記者上がりの地金がついつい出るのかな? ミステリとしての面白さは中の上くらい。それよりも主人公以下、登場人物が揃って力みかえって “正義” を語る辺りがやや興醒めである。そういうのは行間で語ってもらって、本体はエンターテインメントに徹して欲しいな。 本作で語られている内容は、経済紙誌を読んでいる者にとっては殊更目新しいことではない。「リアル店舗を駆逐する」と豪語する世界的E-コマース企業が持つとてつもない影響力も、ギグワーカーや現代の奴隷制のような技能実習制度の暗部も。本作の犯人は、エリートの地位を失って下層階級に転落することを怖れ、殺人を犯す。自分が彼の立場だったら、やはり同じようにするだろうと思う。そんな彼を田川警部補は糾弾するのだが、ではどんな社会がお望みなのだ? 昭和の終わり頃から、わが国では流通業界の非効率さ(問屋・卸のあり方など)がやり玉に挙げられ、”中抜き” という言葉が流行った。それで中間マージンがなくなり、個人商店もなくなり、E-コマースだけになったら、これは確かに最安の仕組みなんじゃないのか? 技能実習制度も新聞奨学生制度も噴飯的な代物ではある。でも低賃金しか出せない職場に代わって誰が行く? 菅首相のブレーンとされるデービッド・アトキンソン氏は「日本の中小企業の生産性は低過ぎる。もっと企業の新陳代謝を進めるべきだ」と云う。ゾンビ企業はさっさと退場させたとして、そこで働く労働者をどうするのか? 新しいスキルなんてそうそう身につくわけもない。 本作のなかで「日本は既に貧乏な国だ。これからもっと貧乏になる」と語られる。その通りだろう。 皆が誇りを持って仕事ができて、十分な収入を貰えて、なお且つ生活は一層便利に…って、そんな魔法のような政策はないよ。敢えて考えるとシンガポールがそれに一番近い気もするが、かなり窮屈な社会らしいぞ。結局、非効率に目を瞑って、なくてもいい仕事・なくてもいい企業を残し、なんとか失業率を上げずに騙し騙しやり過ごしてきた30年の結果が今の日本だ。 ついでに、本作において犯人の行跡を辿る警察の捜査過程で監視カメラと顔貌認識ソフトが絶大な威力を発揮している。監視社会の一里塚はこんなところにありそうだが(中国はもっと凄い)、著者はそれに対してひと言ないのかね。 「仕事を選んで頑張れば下層になんか落ちない」といったことを物語終盤で田川警部補は云うけど、そんなわけなかろうよ。社会批判も結構だが、あまり空疎なことは云わない方がよい。 | ||||
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世界的IT企業、下請け企業、外国人技能実習生の実態がリアルに描かれる。目を背けたくなる現実が悲壮感漂う物語として綴られる。最後の詩子の言葉に胸を抉られる。 藻谷浩介のコメントが的確。橘玲の的外れなコメントはいらない。自分の著作の売り上げに繋げようとするセコさが出ている。 | ||||
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普段は小説はあまり読めないが、社会派の相場英雄の新作サイン本を書店で購入。 外国人労働者(技能実習生) 通販サイト 日本経済 階級社会等に興味があればエンターテイメントとして楽しめます。 蛇足ですが、本書と同じようなトリックを名作『刑事コロンボ・殺人処方箋』でやっている。 主人公のベテラン刑事もメモ魔でコロンボっぽい。相場英雄もコロンボファンなのだろうか? ちなみに私は刑事コロンボ全作品をDVDで持っている… | ||||
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